Meta企業アカウントの事例6選|自治体・団体に学ぶリールと広告の使い方

Metaの企業アカウントを運用するにあたり、ほかの組織がFacebookやInstagramをどう使っているのかを参考にしたいと考えても、企業の具体的な取り組みと数字がそろった事例は、多くはありません。大手企業の事例は広告の配信方法の比較が中心で、アカウントの運用の参考にしにくいこともあります。

マーケティング支援

目次

手がかりになるのが、Metaが公式に紹介している自治体や非営利団体の事例です。予算も人員も限られる中で、リール動画、Instagramのライブやコラボ投稿、広告のA/Bテストをどう組み合わせたかが、取り組みの内容と数字とともに公開されています。体制や予算の制約が近い中小企業にとっても、取り入れやすい工夫が多く含まれています。

この記事では、Metaの公式事例と自治体の公表資料をもとに、Metaのアカウントを使った事例を6件紹介し、運用の工夫と広告の使い方に分けて読み解きます。最後に、企業が自社に取り入れるときの手順もまとめました。

事例を参考に、FacebookやInstagramを自社の集客のどこに置くかを考える段階から、malnaのマーケティング支援にご相談いただけます。

Metaのアカウントの事例は、運用の工夫と広告の使い方に分けて読みます

Metaのアカウントの事例は、アカウントの運用でどんな工夫をしたかと、広告をどう使ったかの2つに分けて読むと、自社に取り入れる部分が見えてきます。運用の工夫は時間をかけて積み上がる成果に、広告の使い方は短期間で検証できる成果に結びついているためです。

この記事で取り上げる6件を、主な取り組みと公表されている成果で一覧にすると、次のとおりです。

事例種類主な取り組み公表されている成果の例
三重県南伊勢町自治体有志職員の内製、リール、リール広告2023年から2024年でフォロワーが約2倍
東京都江東区「いいとこKOTO」自治体学生の広報サポーターによる動画開設から約半年でフォロワー1万人
Enable Ireland非営利団体リール、ライブ、コラボ投稿のコンテスト静止画からリールへの移行でリーチ+891%
イタリア憲兵隊政府機関流行を取り入れたリール動画リーチ+384%
Breast Cancer Now非営利団体広告にリール向けの素材を追加通常広告との組み合わせでクリック単価11%減
英国赤十字社非営利団体自動化された広告のA/Bテスト獲得単価が20ポンド減少

Metaの事例のページには、結果は自己申告によるもので、同じ結果が再現できるとは限らないという注記があります。数字は、取り組みの方向を知る手がかりとして読みます。

Metaで企業のアカウントや広告アカウントをまとめて管理する仕組み(ビジネスポートフォリオ)と、その作成方法は、次の記事で解説しています。

関連記事:Facebook(Meta) ビジネスマネージャ(現:ビジネスポートフォリオ)とは?作成方法とメリットを徹底解説

アカウント運用の工夫に学ぶ事例

アカウント運用の工夫に学ぶ事例は、投稿の形式、運用の体制、外部の人の巻き込み方を変えることで、届く範囲やフォロワーを伸ばした事例です。広告費をかけずに取り入れられる工夫が中心になります。

三重県南伊勢町|有志職員の内製体制とリールで、フォロワーが約2倍に

Metaの公式事例では、三重県南伊勢町が、複数の部署の有志職員による組織横断的な管理の体制をつくり、承認の流れを整えることで、タイムリーな発信を実現したと紹介されています。Instagramのプロアカウントを複数の管理者で運用し、リール、Threads、動画編集ツールのEditsを使って、動画の制作と投稿を効率化しました。

成果として、2023年から2024年にかけて、リール投稿の平均リーチが66%、リールの平均閲覧数が70%増え、Instagramのフォロワー数が約2倍になったとされています。

南伊勢町のページによると、公式Instagramは2020年5月13日に有志職員により運用を始め、企画から撮影、編集までを職員が自ら手がける内製の体制で、ほぼ毎日、朝7時半ごろに発信を続けています。2025年12月には、フォロワー数が10,284人となり、町の人口(2025年11月末時点で10,166人)を上回りました。

学べるのは、担当者1人に任せず複数の部署の職員で運用する体制と、承認の流れの整備です。企業でも、部署をまたいだ協力者を募り、承認の手順を決めておくことで、少人数でも発信を続けやすくなります。

参考:Meta|南伊勢町の事例

参考:南伊勢町|南伊勢町公式Instagramの歩みと実績

東京都江東区「いいとこKOTO」|学生の広報サポーターが動画をつくり、約半年でフォロワー1万人に

東京都江東区の公式Instagram「いいとこKOTO」について、運用に関わる株式会社ポニーキャニオンが2025年11月19日に発表したリリースでは、令和7年6月の開設以降、人気のスポットに加えて、区の歴史や伝統文化にも焦点を当てて発信してきたと紹介されています。

区内の学生が江東区学生広報サポーターとして、動画の撮影から編集までを担う投稿の企画を行い、そのコンテンツは平均1万回再生を超えたとされています。こうした発信を積み重ね、開設から約半年でフォロワー1万人を突破しました。

この事例のポイントは、発信を届けたい世代に近い人に、投稿の制作に加わってもらったことです。企業でも、若手社員や学生のインターンなど、届けたい相手に近い立場の人に企画や制作に関わってもらうと、題材の選び方や見せ方が届けたい相手に合いやすくなります。

参考:株式会社ポニーキャニオン|【東京都江東区】Instagram「いいとこKOTO」のフォロワーが1万人突破

Enable Ireland|リール、ライブ、コラボ投稿の企画で、リーチが+891%に

Metaの公式事例では、アイルランドの非営利団体Enable Irelandが、30歳未満の層を獲得し、チャリティショップの印象を変えることを目的に、サステナブルファッションのコンテスト「The Final Find」を実施したと紹介されています。24人のクリエイターが4週間にわたり、寄付された衣料をスタイリングし、リール投稿、Instagramのライブ、コラボ投稿を組み合わせました。

成果として、文字が中心の静止画のコンテンツからリールへ移行したことで、リーチが+891%、プロフィールへのアクセスが+2,900%、フォロワー数が+32%になったとされています。増えたフォロワーの大多数は30歳未満でした。

この事例は、投稿の形式を静止画からリールに変え、外部のクリエイターと一緒に企画をつくることで、届く相手の年代を変えた例です。企業でも、届けたい年代に合わせて、投稿の形式と企画の組み方を変える参考になります。

参考:Meta|Enable Irelandの事例

イタリア憲兵隊|流行を取り入れたリール動画で、リーチが+384%に

Metaの公式事例では、イタリア憲兵隊が、デジタルネイティブの若い世代との関わりを強めるため、ネットの文化や流行の曲を取り入れた、親しみの持てるリール動画の制作に取り組んだと紹介されています。組織らしさを保ちながら、流行を取り込んだ点が特徴です。

成果として、フォロワー数が58万人に達し、リール動画は安定して10万回以上の再生を得て、リーチは+384%になったとされています。なお、この事例のページには、成果の比較の起点と期間は記載されていません。

硬い印象を持たれやすい組織でも、伝え方を変えれば若い世代との接点をつくれることを示す例です。企業でも、会社の信頼を損なわない範囲で、表現を親しみやすくする工夫として参考になります。

参考:Meta|イタリア憲兵隊の事例

Metaのアカウント運用の工夫に学ぶ4つの取り組みを示した図

広告の使い方に学ぶ事例

広告の使い方に学ぶ事例は、広告の素材の形式や配信の設定を変えたときに、成果がどう変わったかを、A/Bテストで比べた事例です。期間を区切って比べているため、企業でも同じ方法で検証を設計しやすいのが特徴です。

Breast Cancer Now|広告にリール向けの素材を足し、クリック単価が11%減に

Metaの公式事例では、英国の非営利団体Breast Cancer Nowが、募金のイベントの認知を高め、ウェブサイトでの登録を促すために、通常の広告のキャンペーンにリール向けの素材を追加して、2週間のA/Bテストを行ったと紹介されています。縦型の動画に、音声、文字、場面の切り替え、行動を促す呼びかけを組み込みました。

成果として、通常の広告と組み合わせたときに、クリック単価が11%、1,000回表示あたりの費用が20%減ったとされています。リール広告は若い層に、通常の広告は45〜54歳の層にそれぞれ届いたことも紹介されています。

素材の形式を足すことで、届く相手の年代の幅が広がった例です。企業でも、静止画の広告だけで配信している場合に、縦型の動画を加えて比べる検証の参考になります。事例のように、音声や文字、行動を促す呼びかけまで含めて、縦型の画面に合わせた素材をつくることがポイントです。

参考:Meta|Breast Cancer Nowの事例

英国赤十字社|自動化された広告と手動の設定を比べ、獲得単価が20ポンド減に

Metaの公式事例では、英国赤十字社が、定期的に寄付してくれる人を新たに見つけるために、手動で配信対象を設定したキャンペーンと、MetaのAIが購入の意向の高い人を見つけるAdvantage+ セールスキャンペーンを、同じ素材で4週間のA/Bテストで比べたと紹介されています。

成果として、獲得単価が20ポンド下がり、予測されるコンバージョン数が18%、定期の寄付が43%増えたとされています。

配信の対象を人が細かく設定するより、媒体の自動化に任せたほうが成果がよかった例です。企業でも、同じ素材で手動と自動の配信を比べ、自社の商材でどちらが合うかを確かめる参考になります。比べるときは、素材と予算と期間をそろえ、配信の設定だけを変える点を押さえておきます。

参考:Meta|英国赤十字社の事例

6つの事例に共通する3つのこと

6つの事例に共通しているのは、届けたい相手を先に決めていること、リールなどの縦型の動画を取り入れていること、運用の体制や比較の方法を仕組みとして整えていることの3つです。

届けたい相手を先に決めている

Enable Irelandは30歳未満、イタリア憲兵隊は若い世代、英国赤十字社は定期的に寄付してくれる人というように、どの事例も、誰に届けたいかを先に決めてから取り組みを選んでいます。届けたい相手が決まれば、投稿の形式も、広告の配信の設定も決めやすくなります。

縦型の動画を取り入れている

6件のうち、南伊勢町、江東区、Enable Ireland、イタリア憲兵隊、Breast Cancer Nowの5件が、リールなどの縦型の動画を取り組みの中心に置いています。静止画からリールへの移行でリーチが大きく伸びたEnable Irelandの例のように、投稿の形式の変更は、届く範囲を広げる手段になっています。

体制と比較の方法を仕組みにしている

南伊勢町は複数の部署の有志職員と承認の流れ、江東区は学生の広報サポーター、Breast Cancer Nowと英国赤十字社は期間を区切ったA/Bテストというように、続けるための体制や、成果を確かめる方法を仕組みとして整えています。

自治体や団体の事例を、企業に取り入れるときの注意

自治体や非営利団体の事例は、企業にとっても参考になりますが、目的や成果の測り方が企業と違う点に注意して取り入れます。そのまま当てはめるのではなく、取り組みの型を取り出して使います。

目的の違いを意識する

自治体や団体の目的は、住民への情報発信、寄付や参加の募集など、売上ではないことが多くあります。企業が取り入れるときは、事例の目的を自社の目的(問い合わせ、購入、採用など)に置き換え、何を指標にするかを決め直します。

成果の数字は、比較の起点を確かめる

事例の数字には、静止画からリールへの移行の前後、通常の広告との比較、年ごとの比較など、さまざまな比較の起点があります。イタリア憲兵隊のように、起点と期間が記載されていない事例もあります。数字を社内の資料に引用するときは、起点を書き添えるか、起点がわからないことを明記します。

自己申告の結果であることを踏まえる

Metaの事例のページには、結果は自己申告によるもので、同じ結果が再現できるとは限らないと注記されています。事例の数字を自社の目標にそのまま置き換えず、自社で小さく試して確かめることを前提にします。

事例を自社に取り入れる手順

事例を自社のMetaのアカウントに取り入れるときは、届けたい相手を決め、取り入れる工夫を1つ選び、期間を区切って試し、結果を記録する、という手順で進めます。

  • 届けたい相手を、年代や立場で具体的に決める
  • 6件の事例から、自社の課題に近い工夫を1つ選ぶ(体制、投稿の形式、外部の人の巻き込み、広告の素材、配信の設定)
  • 期間と比べる条件を決めて試す(運用なら数か月、広告のA/Bテストなら2〜4週間が事例の目安)
  • 結果を、比較の起点とあわせて記録する

一度にいくつもの工夫を同時に取り入れると、どれが効いたのかがわかりません。1つずつ試し、効いた工夫を運用の型に加えていきます。試した工夫と結果は、うまくいかなかったものも含めて記録しておくと、次に何を試すかを決める材料になります。

Metaアカウントの事例を自社に取り入れる4つの手順を示したフロー図

事例に出てくる投稿の形式の使い分け

6件の事例では、リール、ライブ、コラボ投稿、Threadsなど、複数の投稿の形式が使われていました。形式ごとに役割が違うため、事例を参考にするときは、どの形式を何のために使ったのかを分けて見ます。

リールは、新しい人に届ける形式

リールは、縦型の短い動画の形式です。Enable Irelandは静止画からリールへの移行でリーチが大きく伸び、イタリア憲兵隊も流行を取り入れたリール動画で若い世代との接点を広げました。フォロワー以外の人にも届けたいときに中心となる形式です。

ライブは、その場の参加を生む形式

Enable Irelandは、コンテストのゲストの審査をInstagramのライブで行いました。リアルタイムで見ている人が参加できるため、イベントの盛り上がりをつくりたいときに向いています。

コラボ投稿は、相手のフォロワーにも届ける形式

Enable Irelandは、クリエイターとのコラボ投稿でリールを投稿しました。外部の人と一緒に投稿することで、相手のフォロワーにも届けられます。企業では、取引先や協力するクリエイターとの共同の企画で使えます。

Threadsは、文章で会話を広げる形式

南伊勢町は、InstagramとあわせてThreadsも活用しました。写真や動画だけでなく、文章でのやりとりを通じて、住民や観光客との交流を広げています。

少人数の企業が最初に試したい3つの工夫

6件の事例の中から、担当者が少ない企業でも始めやすい工夫を選ぶと、複数の人で運用する体制、リールへの切り替え、届けたい相手に近い人の巻き込みの3つです。いずれも大きな広告費をかけずに始められます。

複数の人で運用する体制をつくる

南伊勢町のように、部署をまたいだ協力者を募り、投稿の企画や撮影を分担します。承認の流れを決めておけば、担当者が1人で抱え込まずに済み、発信が止まりにくくなります。

投稿の一部をリールに切り替える

すべての投稿を動画にする必要はありません。週の投稿のうち一部をリールに切り替え、静止画の投稿と反応を比べます。反応がよければ、リールの比率を少しずつ増やします。

届けたい相手に近い人に加わってもらう

江東区の学生広報サポーターのように、届けたい相手に近い立場の人に、企画や制作に加わってもらいます。企業であれば、若手社員や、商品をよく使う顧客の声を企画に取り入れる方法があります。加わってもらう人には、投稿してよい範囲と確認の流れを最初に伝えておきます。

マーケティング支援

Facebookページで取り入れるときの考え方

6件の事例の多くはInstagramを中心にした取り組みですが、FacebookページでもMeta Business Suiteで投稿を管理し、同じ工夫を取り入れられます。Facebookは30代から50代の利用率が高い媒体のため、届けたい相手が働く世代であれば、Facebookページでの発信も選択肢になります。

Facebookページで取り入れる場合は、Instagram向けに作った動画をそのまま使い回すだけでなく、働く世代に向けた題材や説明を添えると、届けたい相手に合いやすくなります。広告を出す場合も、Breast Cancer Nowや英国赤十字社のように、期間と比べる条件を決めてから試します。

事例の数字を社内に説明するときの書き方

事例を社内の提案や報告に使うときは、事例の数字に加えて、比較の起点、期間、自己申告の結果であること、自社で試す計画の4つを書き添えます。数字だけを抜き出すと、読み手が過大な期待を持ったり、根拠を疑われたりします。

比較の起点と期間を書く

たとえばEnable Irelandの「リーチ+891%」は、文字が中心の静止画のコンテンツからリールへの移行の前後で比べた数字で、取り組みの期間は4週間のコンテストでした。こうした起点と期間を、数字と一緒に書きます。

自己申告の結果であることを書く

Metaの事例のページにある、結果は自己申告によるもので再現できるとは限らない、という注記も書き添えます。事例は成果の約束ではなく、試す理由として示す、という立て付けにします。

自社で試す計画を書く

事例を根拠に、自社では何を、どの期間、どの予算で試すのか、成果をどの数字で判断するのかを示します。計画まで書いておけば、事例の数字に頼らずに判断できる形で提案できます。

取り入れた工夫を振り返る方法

事例から取り入れた工夫は、月に1回、投稿の形式ごとの反応、運用の体制の負担、目的に近い数字の3つで振り返ります。工夫を取り入れても、続けられなかったり、目的の数字が動かなかったりすれば、取り入れ方を見直します。

投稿の形式ごとの反応を比べる

リールと静止画、ライブ、コラボ投稿など、形式ごとにリーチや保存、プロフィールへのアクセスを比べます。形式を変えた前後で比べるときは、同じ時期の数字どうしを並べると、季節の影響を受けにくくなります。

体制の負担を確かめる

動画の制作やライブの準備は、静止画の投稿より手間がかかります。担当者や協力者の負担が大きすぎないかを確かめ、無理がある場合は頻度を下げるか、制作の型を決めて手間を減らします。

目的に近い数字を確かめる

リーチやフォロワーが伸びても、問い合わせや購入、応募など、目的に近い数字が動いていなければ、投稿からプロフィール、自社サイトへの導線を見直します。

公式事例を読むときに見る4つの項目

Metaの公式事例のページは、課題、取り組み、成果、注記の流れで書かれていることが多くあります。4つの項目を順に読むと、自社に取り入れる部分を見つけやすくなります。

課題

その組織が、何に困っていたのかを読みます。若い世代に届かない、定期的な支援者が見つからない、といった課題が自社の課題に近ければ、取り組みも参考にしやすくなります。

取り組み

どの機能を、どんな企画で、どんな体制で使ったのかを読みます。機能の名前だけでなく、企画の組み立てと体制まで読み取ると、自社で再現するときの準備が見えてきます。

成果

成果の数字と、何と比べた数字か、期間はどれだけかを読みます。比較の起点と期間が書かれていない場合は、そのことを踏まえて参考の度合いを下げます。

注記

結果が自己申告であることなど、ページの注記も読みます。注記を踏まえて、数字をそのまま自社の目標にしない、という姿勢で読むのが基本です。

事例を参考に、最初の3か月の計画を立てる

事例から取り入れる工夫を決めたら、最初の3か月を、準備の月、試す月、振り返る月に分けて計画します。期間を区切っておくと、工夫が自社に合うかを、数字をもとに判断できます。

1か月目は、体制と比べる条件を決める

誰が企画と制作を担い、誰が承認するかを決めます。あわせて、取り入れる工夫の前の数字(リーチ、保存、プロフィールへのアクセス、目的に近い数字)を記録しておき、比較の起点にします。

2か月目は、決めた工夫を続けて試す

決めた工夫を、決めた頻度で続けます。途中で別の工夫を足さず、1つの工夫の効果を確かめることに集中します。

3か月目は、起点と比べて判断する

1か月目に記録した起点と、2か月目以降の数字を比べ、工夫を続けるか、取り入れ方を変えるか、別の工夫に切り替えるかを判断します。判断の結果と理由は、次の計画のために記録しておきます。続けると決めた工夫は、運用のルールの文書に書き加え、担当者が替わっても引き継げるようにします。

企業が取り入れやすい工夫を、運用と広告で整理する

6件の事例の工夫を、企業が取り入れやすい形に整理すると、運用では体制、投稿の形式、外部の人の巻き込み、広告では素材の形式、配信の設定の5つになります。

分野取り入れる工夫参考にする事例
運用複数の部署で運用し、承認の流れを決める南伊勢町
運用静止画中心からリールに切り替えるEnable Ireland、イタリア憲兵隊
運用届けたい相手に近い人に制作に加わってもらう江東区、Enable Ireland
広告静止画の広告に縦型の動画の素材を足すBreast Cancer Now
広告手動の配信と自動の配信を同じ素材で比べる英国赤十字社

運用の工夫は、まず体制から

投稿の形式を変える前に、続けられる体制があるかを確かめます。南伊勢町のように複数の人で運用し、承認の流れを決めておけば、投稿の形式を変えたときにも、制作の手間を分け合えます。

広告の工夫は、比べる条件をそろえる

広告の工夫は、事例と同じように、比べたいこと以外の条件をそろえて試します。素材の形式を比べるなら配信の設定と予算をそろえ、配信の設定を比べるなら素材をそろえます。期間も事例を参考に、2〜4週間程度を目安にします。

企業が取り入れやすい運用の工夫と広告の工夫を左右に並べた図

よくある質問

Metaの企業アカウントの事例は、どこで探せますか

Metaの事業者向けのサイトで、企業の成功事例と、政府機関や非営利団体の事例が公開されています。日本の事例は数が限られるため、自治体や企業が自ら公表しているリリースや広報のページもあわせて探します。取り組みの内容と、成果の比較の起点が書かれているものを優先します。

自治体や非営利団体の事例は、企業の参考になりますか

参考になります。予算や人員が限られる中での運用の体制、投稿の形式の工夫、広告のA/Bテストの進め方は、中小企業にも取り入れやすいものです。ただし、目的が売上ではないことが多いため、事例の指標を自社の目的に合わせて置き換えて使います。

リールに切り替えれば、リーチは伸びますか

伸びるとは限りません。Enable Irelandの事例ではリールへの移行でリーチが大きく伸びましたが、Metaの事例のページには、結果は自己申告によるもので再現できるとは限らないと注記されています。自社でも期間を区切って試し、反応を確かめてから取り入れる範囲を決めます。

広告のA/Bテストは、どのくらいの期間で行えばよいですか

この記事の事例では、Breast Cancer Nowが2週間、英国赤十字社が4週間でA/Bテストを行っています。予算や成果が出るまでの期間によって適した長さは変わりますが、数日の結果で判断せず、決めた期間が終わってから比べます。

まとめ

Metaのアカウントの事例は、アカウントの運用の工夫と、広告の使い方に分けて読むと、自社に取り入れる部分が見えてきます。この記事で取り上げた自治体と団体の6件は、届けたい相手を先に決め、リールなどの縦型の動画を取り入れ、体制や比較の方法を仕組みとして整えている点で共通していました。

企業が取り入れるときは、事例の目的を自社の目的に置き換え、比較の起点と自己申告の結果であることを踏まえたうえで、1つの工夫を期間を区切って試します。次にやることは、届けたい相手を決め、表の5つの工夫から1つを選ぶことです。

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執筆者情報

malnaブログ編集部

writer malnaブログ編集部 webマーケター / データアナリスト
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