2026.10.19
リード獲得ツールの選び方|トライアルで試して評価する手順と観点
中小企業庁が2026年6月に示した資料によると、ITツールの活用に取り組んだ中小企業のうち、部門間の連携ができていない事業者では34.8%が「想定した効果が得られなかった」と答えています。連携ができている事業者では7.6%でした。ツールそのものの良し悪しだけでなく、選び方と使い始めてからの進め方が成果を分けている、と読める数字です。

目次
リード獲得ツールも同じです。比較記事で機能や料金を見比べて選んでも、自社の業務に載せたとたん、思っていた使い方ができない、営業に情報が届かない、担当者しか触らない、といった理由で使われなくなっていきます。
ここでは、リード獲得ツールを契約する前に、無料プランやトライアルの期間で何を確かめればよいかを、ツールの種類ごとに解説します。評価シートに入れる項目、導入後に使われなくなる5つの型、定着までの進め方もまとめました。リード獲得ツールの導入を任されたマーケティング担当者の方に向けた内容です。
どの種類のツールから試すべきかを、自社の集客の課題から見立てたい場合は、malnaの新規リード獲得戦略の支援で整理を手伝えます。
リード獲得ツールは、課題に合う種類を絞ってから試して選びます
リード獲得ツールとは、見込み客の連絡先を集め、管理し、営業につなぐ作業を助けるソフトウェアの総称です。種類によって解決する課題が違うため、まず自社の課題に合う種類を絞り、そのうえで候補の製品を実際に試してから選ぶと、導入後のずれを減らせます。
主な種類と、それぞれが解決する課題は次のとおりです。
| 種類 | 主な役割 | 向いている課題 |
|---|---|---|
| フォーム作成 | 問い合わせや資料請求のフォームを作り、回答を管理する | フォームが作れない、回答の管理が手作業 |
| 入力フォーム最適化 | フォームの入力を助け、途中の離脱を減らす | フォームに入っても送信されない |
| チャット | サイトを訪れた人と会話し、質問に答える | 訪問はあるが問い合わせにつながらない |
| MA | 集めた見込み客の行動を記録し、メールなどで関係を育てる | 集めた見込み客を放置している |
| 企業データベース・営業リスト | 企業の情報を検索し、接触する先を選ぶ | 営業をかける先が足りない |
課題がはっきりしないまま製品を試すと、機能の多さや画面の見やすさで判断してしまいます。最初に、いまの集客のどこで見込み客を逃しているのかを、数字で確かめておきましょう。
1つの製品が複数の種類の役割を持っていることもあります。たとえばMAの中にはフォームを作る機能を持つものがあり、チャットの中には見込み客を管理する機能を持つものもあります。種類は、製品の分類ではなく、自社が解決したい課題の分類として使うと選びやすくなります。
種類別の代表的なリード獲得ツールと特徴
リード獲得ツールは、同じ種類の製品でも、料金が増える単位と、無料で使える範囲が製品ごとに違います。
次の一覧は、2026年10月19日時点の各社の公式ページの表記をもとにしています。
金額は、各社の公式ページの税抜(税別)の表記です。
| 種類 | 製品 | 公式ページが示す特徴 | 料金の単位と無料プラン |
|---|---|---|---|
| フォーム作成 | formrun | 専門知識がなくてもノーコードでフォームを作れるフォーム作成ツール | プランごとの月額制(BEGINNER 年間契約で月額2,980円〜)。永久無料のFREEプランあり |
| フォーム作成 | Tayori | 問い合わせ対応に使うフォーム・FAQ・アンケート・チャットを1つのツールで作れる | 利用ユーザー数に応じたプランの月額制(スタータープラン 月額3,800円)。フリープランあり |
| 入力フォーム最適化 | Gyro-n EFO | 入力フォームまで来た人を送信完了まで導くEFOツール | 月額15,000円〜で、フォームの月間ユニークユーザー数に応じて変わる。利用期間は6か月以上。1か月の無料トライアルあり |
| 入力フォーム最適化 | formrunのEFO機能 | formrunで作ったフォームに入力支援を加え、途中の離脱を防ぐ追加の機能 | 1フォームあたり月額3,000円、または使い放題で月額30,000円 |
| チャット | ChatPlus | サイトに置くチャットとAIチャットボット | アカウント数とサイト数に応じたプランの月額制(ミニマム 年契約で月額1,500円)。初期費用0円。10日間の試用あり |
| MA | SATORI | Webサイトに計測タグを埋め込んで使い始め、見込み客の獲得・育成・管理を行うMA | 月額148,000円(年間契約)と初期費用300,000円。従量課金が発生する場合あり |
| MA | BowNow | 国産のMA | プランごとの月額に加え、リード数5千件ごと・PV数5万ごとに10,000円の従量課金。フリープランあり |
| MA | List Finder | アクセス解析に加え、フォーム作成やPDF解析の機能を持つMA | フリープラン(0円)と、ライト・スタンダード・プレミアムの月額制 |
| 企業データベース | Musubu | 企業の基礎データに、ニュース・求人などの情報を統合した法人営業支援のデータベース。国内1,200万件超の企業情報を収録 | 月額利用料(6か月プランで月額200,000円、12か月プランで月額160,000円)。初期費用なし。30日間の無料トライアルあり |
| 企業データベース | SalesNow | 1,600万件超の企業データを持つ企業データベース | 契約期間と利用人数に応じた見積もり。料金ページに金額の掲載なし |
| 企業データベース | uSonar | 1,250万拠点を収録した企業データベース | 公式サイトに金額の掲載なし |
同じMAでも、BowNowやList Finderはフリープランから始められ、SATORIは年間契約の月額費用と初期費用が前提です。
企業データベースは、月額で一定量を使う形のMusubuと、見積もりで金額が決まるSalesNowやuSonarでは、比べ始める前に必要な手続きが違います。
金額や条件は改定されることがあるため、候補を決めたら、各社の料金ページで最新の表記を見てから試用を申し込みます。
参考:料金(SATORI)
参考:Musubu
参考:SalesNow
参考:ユーソナー
契約の前に試せる範囲は、製品ごとに違います
次の表の製品では、契約の前に無料で試せる仕組みを用意しているものが多く、その形は製品によって違います。期限のない無料プランで機能や件数が制限されるもの、有料プランを期間を区切って試せるもの、料金ページに試用の記載がないものがあります。
2026年10月19日時点の各社の公式ページでの表記は、次のとおりです。
| 製品(種類) | 試せる形 | 公式ページの表記 |
|---|---|---|
| HubSpot(MA・CRM) | 期限のない無料ツール | 無料ツールはトライアル版ではなく、利用期限はない |
| formrun(フォーム作成) | 永久無料プランと有料プランの試用 | 有料プランを各アカウント1回限り14日間無料で利用できる |
| BowNow(MA) | フリープラン | 上限リード数100、フォーム作成は1フォームのみ |
| List Finder(MA) | フリープラン | 初期費用・月額費用とも0円のフリープランがある |
| ChatPlus(チャット) | 期間付きの試用 | まずは10日間お試しください |
| Gyro-n EFO(入力フォーム最適化) | 期間付きの試用 | 無料トライアルは1か月、EFOあり・なしの比較が可能 |
| SATORI(MA) | 料金ページに試用の記載なし | 初期費用と月額費用を掲載 |
条件は変わることがあるため、試す前に公式のページで最新の情報を確かめてください。無料の範囲で使える期間や件数は、改定のたびに見直されることがあります。料金ページに試用の記載がない製品も、問い合わせればデモを見られる場合があります。
参考:Gyro-n EFO
参考:料金(SATORI)
無料プランは、上限で試せる範囲が決まる
期限のない無料プランは、時間をかけて試せる一方で、件数や機能に上限があります。たとえばformrunの無料プランは、1フォームあたりの月間の回答数が30件、作れるフォームは1個です。BowNowのフリープランは、上限のリード数が100です。
上限がある以上、無料プランで確かめられるのは操作のしやすさや基本の機能までです。実際の件数を流したときの動きまでは、試せない場合があります。無料プランで確かめられなかった点は、有料プランの試用やデモで補います。
期間付きの試用は、始める前に準備を済ませる
期間を区切った試用は、始めた日から期限が進みます。10日間や14日間の試用では、準備に時間を取られると、肝心の確認ができないまま期限が来てしまいます。
試用を申し込む前に、試すことの一覧、試す人、試すデータ、合格の基準を決めておきましょう。formrunの有料プランの試用のように1回限りと決まっているものもあるため、準備が整ってから始めましょう。
試す前に、いまの見込み客の流れを書き出します
リード獲得ツールを試す前には、いまの見込み客がどこから来て、誰が受け取り、どう営業につながっているかを書き出しておきます。流れが見えていれば、ツールで置き換える部分と、ツールの外に残る部分の区別がつき、試すべき点がはっきりします。
入口と受け取る人を書き出す
まず、見込み客の入口を書き出します。サイトの問い合わせのフォーム、資料のダウンロード、展示会で集めた名刺、セミナーの申し込みなどです。そのうえで、それぞれの入口から入った情報を、誰が、どこで受け取っているかを書き添えます。
表計算ソフトやメールの受信箱など、情報が散らばっている場所が多いほど、ツールで1か所にまとめる意味は大きくなります。
手作業で止まっている場所に印を付ける
次に、流れの中で人の手作業に頼っている場所に印を付けます。フォームの回答を手で表に写している、名刺の情報を入力するのに時間がかかっている、営業への連絡が遅れている、といった場所です。
印を付けた場所が、ツールで解決したい課題になります。トライアルでは、その場所の手作業がどれだけ減るかを中心に確かめます。
トライアルを始める前に決める3つのこと
リード獲得ツールのトライアルを始める前には、合格の基準、試す人、試すデータの3つを決めておきます。この3つが決まっていないと、試用の期間を使い切っても「なんとなく良さそう」という印象しか手元に残りません。

合格の基準を、数字か行動で決める
何ができたら合格とするかを、試す前に決めます。「フォームの完了率がいまより上がるか」「営業の担当者が通知を受けて10分以内に見込み客の情報を開けるか」のように、数字か具体的な行動で書くと、試した結果を判断しやすくなります。
試す人に、実際に使う人を入れる
試すのは、ツールを選ぶ担当者だけでは足りません。導入した後に毎日使う人、たとえばリードを受け取る営業の担当者や、フォームを直すサイトの担当者にも、試用の期間中に触ってもらいます。触ってもらう人には、何を試してほしいかを短い一覧にして渡し、終わったら気づいた点を書いてもらいます。感想を口頭で聞くだけだと、後で比べるときに材料が残りません。
選ぶ人と使う人が違う場合、導入後の定着を左右するのは、選ぶ人にとっての便利さより、使う人にとっての手間です。
試すデータに、個人情報を入れるかを決める
試用の期間中に、実際の見込み客の個人情報を入れるかどうかを決めます。本番に近いデータで試すほうが確認は正確になりますが、契約の前の段階で個人情報を預けることになります。
個人情報を入れる場合は、後で書く情報の安全の確認を、試用を始める前に済ませておきます。入れない場合は、架空のデータで試せる範囲と、本番で確かめる範囲を分けておきましょう。
種類ごとに、トライアルで確かめる観点
リード獲得ツールのトライアルで確かめる観点は、ツールの種類によって違います。種類ごとに、導入後に問題になりやすい点を中心に確かめておくと、契約の後のずれを減らせます。
フォーム作成は、作る手間と回答の受け取り方を見る
フォーム作成のツールでは、自社に必要な入力項目のフォームを、担当者が迷わず作れるかを確かめます。あわせて、回答が届いたときに誰にどう通知されるか、回答の一覧を営業や他のツールにどう渡せるかを見ます。
既存のサイトにフォームを埋め込む場合は、サイトのデザインになじむか、スマートフォンで入力しやすいかも、実際に埋め込んで確かめておきます。
入力フォーム最適化は、導入した場合としない場合を比べる
入力フォーム最適化のツールは、入れたときと入れないときで、フォームの完了率がどれだけ変わるかを確かめます。Gyro-n EFOの試用では、PCとスマートフォンでそれぞれ1フォームずつ、最適化のあり・なしを比べられると公式のページに示されています。
比べる期間には、普段と同じくらいの訪問が必要です。訪問が少ない時期に試すと、差が出ても偶然かどうかを見分けられません。広告を出している時期と出していない時期をまたいで比べると、訪問する人の質が変わり、比較がずれることもあります。比べる期間は、集客の条件がなるべく同じになるよう選びましょう。
チャットは、対応する人手と時間を見る
チャットのツールは、訪れた人からの質問に誰が、いつ答えるかで、成果が変わります。試用の期間中に、実際の担当者が質問に答えてみて、営業時間の外に来た質問をどう扱うか、自動の応答でどこまで答えられるかを確かめます。
人手が足りない場合は、自動の応答をどれだけ簡単に作れるかも、確かめておきたい点です。
MAは、取り込みと営業への引き渡しを見る
MAでは、フォームや展示会で集めた見込み客の情報を、どれだけ手間なく取り込めるかを確かめます。そのうえで、見込み客の行動を記録し、関心が高まった人を営業に知らせる流れが、自社の営業の進め方に合うかを見ます。
メールの配信を試す場合は、配信の同意を取った相手だけに送れる設定になっているかも確かめておきます。メール配信の法令上の要件は、関連記事で詳しく扱っています。
関連記事:リード獲得ツール13製品を比較!機能と料金・選び方を解説
企業データベースは、自社の対象企業の情報を見る
企業データベースや営業リストのツールでは、自社が営業をかけたい業種や規模の企業が、どれだけ収録されているかを確かめます。収録の件数が多くても、自社の対象に合う企業が少なければ役に立ちません。
あわせて、企業の情報がどのくらいの頻度で新しくなるのか、取り出したリストをSFAや表計算ソフトにどう渡せるかも見ておきます。試用の期間中に、すでに取引のある企業を何社か検索し、登録されている情報がいまの実態と合っているかを照らし合わせると、情報の確かさを手早く確かめられます。
BtoBとBtoCでは、確かめる観点の重みが違います
リード獲得ツールのトライアルで確かめる観点は、BtoBとBtoCで重みが変わります。BtoBでは見込み客を営業につなぐ流れが、BtoCでは多くの人の情報を効率よく扱えることが、選ぶうえでの中心になります。
BtoBでは、営業への引き渡しを重く見る
BtoBでは、見込み客1件あたりの価値が大きく、営業の担当者が一人ひとりに対応します。そのため、関心が高まった見込み客を営業に知らせる仕組みや、SFAとの連携がうまく動くかを重く見ます。
会社の名前や部署、役職といった項目を扱えるか、同じ会社の複数の担当者をまとめて見られるかも、BtoBならではの確認の観点です。
BtoCでは、件数と自動化を重く見る
BtoCでは、扱う見込み客の数が多く、一人ひとりに人が対応するのは難しくなります。そのため、件数が増えても動きが重くならないか、メールの配信や自動の応答をどこまで仕組みで回せるかを重く見ます。
件数が多い分、無料プランの上限にもすぐに届きます。BtoCで試す場合は、上限に達したときの料金の増え方も、試用の段階で確かめておきましょう。

評価シートには、機能と運用と安全の項目を入れます
トライアルの結果は、評価シートにまとめて比べます。評価シートには、課題を解決できるかという機能の項目に加えて、社内で使い続けられるかという運用の項目と、預ける情報を守れるかという安全の項目を入れます。
| 分類 | 項目 | 確かめる中身 |
|---|---|---|
| 機能 | 課題の解決 | 合格の基準を満たしたか |
| 機能 | ほかのツールとの連携 | SFAやメールなど、いま使っているツールにつながるか |
| 運用 | 使う人の負担 | 実際に使う人が、迷わず操作できたか |
| 運用 | 管理の担当者 | 設定やルールを管理する人を社内に置けるか |
| 運用 | サポート | 受付の時間、連絡の方法、問い合わせの料金 |
| 安全 | セキュリティ対策 | 対策の内容が公開されているか |
| 安全 | 利用をやめたときのデータ | データを返してもらえるか、ほかで使える形か |
| 安全 | データの保存場所 | どの国や地域のサーバーに保存されるか |
安全の項目は、IPAのチェックシートを使う
安全の項目を自分で考えるのが難しい場合は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」が使えます。手引きには、クラウドサービスを選ぶとき、運用するとき、セキュリティを管理するときに確かめる15の項目が、チェックシートとしてまとめられています。
たとえば、サービスの利用が終わったときのデータの取り扱いを確かめたか、データがどの国や地域のサーバーに保存されているかを確かめたか、といった項目があります。手引きは、クラウドサービスの安全は、提供する事業者と利用者がそれぞれの役割と責任を分担して守るものだとしています。
参考:中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き(IPA)
見込み客の個人情報を預けるときの確認
リード獲得ツールには、見込み客の名前や連絡先といった個人情報を保存することになります。個人情報保護委員会は2024年3月25日の注意喚起で、クラウドサービスの利用が個人データの取り扱いの委託に当たるかを判断する必要があり、委託に当たる場合は委託先に対する必要かつ適切な監督が必要になると示しています。
同じ注意喚起では、サービスの機能やサポート体制だけでなく、サービスに付随するセキュリティ対策も理解し、確かめたうえで事業者とサービスを選ぶよう求めています。委託に当たるかどうかは個別に判断されるため、契約の前に、社内の法務の担当者や専門家に確認してください。
参考:クラウドサービス提供事業者が個人情報保護法上の個人情報取扱事業者に該当する場合の留意点について(個人情報保護委員会)
トライアルの結果は、使う人を交えて決めます
トライアルの結果は、選ぶ担当者だけで決めず、実際に使う営業やサイトの担当者を交えた場で決めます。使う人が選ぶ過程に加わっていると、導入した後に「自分たちが選んだツール」として使われやすくなります。
決める場では、評価シートの項目ごとに、候補の製品を並べて点を付けます。点の付け方は、たとえば3段階のように粗くしておくと、人によるばらつきが出にくくなります。点を付けるときは、合格の基準を満たしたかどうかを先に見て、満たさなかった製品は候補から外します。そのうえで、運用と安全の項目で比べると、機能の多さに引きずられずに選べます。
最後に、選んだ理由と、選ばなかった製品の理由を短く記録しておきます。1年後に契約を見直すとき、当時の判断の前提を振り返る材料になります。
導入後に使われなくなる5つの型
リード獲得ツールが導入後に使われなくなる理由には、共通する型があります。担当者が1人で抱える、入力や運用のルールが決まっていない、営業に情報が届かない、目的の数字を見ていない、機能を一度に広げすぎる、の5つです。

担当者が1人で抱える
ツールの設定も運用も1人の担当者が担っていると、その人が忙しくなったり異動したりしたときに、ツールが止まります。IPAの手引きも、運用のポイントとして、クラウドサービスの特性を理解した管理の担当者を社内に確保することを挙げています。
設定やルールを管理する人と、日々使う人を分け、管理の担当者にも代わりの人を決めておきましょう。
入力や運用のルールが決まっていない
どの項目を誰がいつ入力するのか、見込み客の状態をどう分けるのかが決まっていないと、人によって使い方がばらつきます。ばらついたデータは集計に使えず、使う意味がないと思われて、ツールから人が離れていきます。導入の最初に、項目の意味と入力する人を一覧にしておけば、こうしたばらつきは減らせます。
営業に情報が届かない
リード獲得ツールで集めた見込み客の情報が、営業の担当者に届かなければ、商談は生まれません。冒頭で紹介した中小企業庁の資料では、部門間の連携ができていない事業者のうち34.8%が、ITツールの活用で想定した効果が得られなかったと答えています。リード獲得ツールに限った調査ではありませんが、マーケティングと営業の連携が成果を左右することを示す数字です。
目的の数字を見ていない
導入の目的だった数字、たとえば問い合わせの数やフォームの完了率を、導入した後に誰も見ていないことがあります。数字を見なければ、ツールが役に立っているのかが分かりません。更新の時期が来ても、惰性で続けるか、根拠なく解約するかの二択になります。
機能を一度に広げすぎる
多機能なツールを導入すると、すべての機能を使おうとして、設定と教育の手間が膨らみます。使いこなせない機能が多いと、ツール全体が難しいものと受け止められます。
参考:2026年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要(中小企業庁)
定着までの進め方は、範囲を絞って広げていきます
リード獲得ツールを定着させるには、使う機能と部門を絞って始め、使われることを確かめてから広げる進め方が向いています。最初の数か月で使う習慣ができれば、その後の広げ方も決めやすくなります。
最初の1か月は、1つの使い方を回す
最初の1か月は、導入の目的に直結する1つの使い方だけを回します。フォーム作成のツールなら問い合わせのフォームだけ、MAなら新しく集めた見込み客を営業に知らせる流れだけ、というように絞ります。
この間に、入力や運用のルールを文書にし、困ったときに誰に聞けばよいかを決めておきます。ルールは、入力する項目、入力の期限、見込み客の状態の分け方の3つから決めると、最初の1か月で回し始められます。
2か月目からは、使う人と機能を広げる
1つの使い方が回り始めたら、使う人と機能を少しずつ広げます。広げる前に、最初の1か月で出た質問や困りごとを集め、ルールや手引きを直しておくと、新しく使い始める人がつまずきにくくなります。
研修や勉強会で、使い方をそろえる
使う人が増える段階では、研修や勉強会で使い方をそろえます。中小企業庁の資料では、ITツールの活用に取り組んだ事業者のうち、研修や勉強会に取り組んでいる事業者で「想定した効果が得られなかった」と答えたのは8.7%、取り組んでいない事業者では19.1%でした。
研修といっても、大がかりな場を用意する必要はありません。月に1回、使い方の工夫や困りごとを共有する場を設けるだけでも、使い方のばらつきを減らせます。
困ったときの相談先を決めておく
使う人が増えると、操作の質問や不具合の報告も増えます。質問を受ける社内の窓口と、ツールの提供元のサポートに問い合わせる人を決めておくと、困りごとが放置されずに済みます。
社内の窓口に集まった質問は、よくある質問として手引きに足していきます。同じ質問が減っていけば、使い方が社内に根づいてきた目安になります。
3か月たったら、目的の数字で振り返る
導入から3か月ほどたったら、導入の目的だった数字を、導入の前と比べて振り返ります。数字が動いていれば広げる範囲を決め、動いていなければ、使い方とツールのどちらに原因があるのかを切り分けます。

契約を更新する前に、使われ方を確かめます
有料プランで契約した後も、更新の時期の前には、ツールが実際にどう使われているかを確かめます。導入した時点では課題に合っていても、事業や体制が変わると、使われなくなっていることがあるためです。
確かめるのは、ログインしている人の数と頻度、導入の目的だった数字の推移、使われていない機能の3つです。使われていない機能が多い場合は、下のプランに移せないかを検討します。反対に、上限に頻繁に達している場合は、上のプランへの移行や、別のツールとの組み合わせを考えます。
IPAの手引きが挙げているように、利用をやめるときのデータの扱いは、契約の段階で確かめておくのが前提です。更新しない判断をしたときに、集めた見込み客の情報を手元に戻せるよう、書き出しの方法を年に1度は試しておくと安心です。
無料プランから有料プランに移る判断
無料プランや試用から有料プランに移るかどうかは、無料の範囲で合格の基準を満たし、上限が業務の妨げになり始めた時点で判断します。上限に達していないのに有料プランに移っても、費用が増えるだけです。
移る前には、有料プランの最低の契約期間や初期費用を確かめます。たとえばBowNowは、フリープランを除き最低の利用期間を1年間としています。SATORIの料金ページでは、初期費用が30万円(税別)、月額費用が14万8,000円(年間契約・税別)と示されています。契約期間の縛りがある場合は、試用の結果がそろってから契約しましょう。
よくある質問
リード獲得ツールは無料で使えますか
期限のない無料プランを用意している製品があります。HubSpotの無料ツールは利用期限がなく、formrunやBowNow、List Finderにも無料のプランがあります。ただし件数や機能に上限があるため、実際の業務の量で使えるかを確かめてから判断しましょう。
トライアルの期間中に何を確かめればよいですか
合格の基準を満たすか、実際に使う人が迷わず操作できるか、いま使っているツールとつながるか、預ける情報を守れるかを確かめます。試す前に、合格の基準、試す人、試すデータを決めておくと、短い期間でも判断できます。
リード獲得ツールが使われなくなる原因は何ですか
担当者が1人で抱える、入力や運用のルールが決まっていない、営業に情報が届かない、目的の数字を見ていない、機能を一度に広げすぎる、の5つの型があります。管理する人と使う人を分け、使い方を絞って始めると、避けやすくなります。
見込み客の個人情報をツールに保存しても問題ありませんか
クラウドサービスの利用が個人データの取り扱いの委託に当たる場合は、委託先を監督する必要があります。サービスのセキュリティ対策や、利用をやめたときのデータの扱いを確かめ、委託に当たるかどうかは社内の法務の担当者や専門家に確認してください。
複数のリード獲得ツールを同時に試してもよいですか
試せますが、比べる観点と合格の基準をそろえることが前提です。同じ評価シートを使い、同じ人が同じ作業を試すと、違いを比べやすくなります。期間付きの試用は期限が重ならないよう、準備ができた製品から順に始めましょう。
まとめ
リード獲得ツールは、自社の課題に合う種類を絞り、契約の前に試して確かめてから選びます。試せる範囲は製品ごとに違うため、無料プランの上限や試用の期間を確かめ、始める前に合格の基準、試す人、試すデータを決めておきましょう。
評価シートには、機能の項目だけでなく、社内で使い続けられるかという運用の項目と、預ける情報を守れるかという安全の項目を入れます。導入した後は、使う機能と部門を絞って始め、研修や勉強会で使い方をそろえながら広げていくと、使われなくなる事態を避けられます。
候補を絞り込み、試用と定着の計画を組み立てる段階に入ったら、malnaのマーケティング支援が並走します。

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