2026.08.14
SEO事例14選|Google公式の公表数値で見る施策別の成果と再現条件
「SEO 事例」で調べると、流入が3倍になった、順位が1位になったといった数字はいくらでも出てきます。ところが、その数字を公表しているのが誰で、どの施策がどの数字に効いたのかまで追える記事はそれほど多くありません。
目次
匿名のA社事例では、自社の状況と重ねて考える手がかりが足りません。業種も規模も施策の順番もわからないまま数字だけを受け取っても、明日から何をするかは決まらないはずです。
本記事では、Googleが自社の公式サイトで公表している事例だけを14件集め、実施した施策、公表された数値、出典の公開時点をそろえて整理しました。あわせて、14件を横断して見えてきた成果の出方と、自社に置き換えるときの手順もまとめています。
自社サイトのSEOをこれから本格化させる担当者の方、社内で施策の優先順位を説明する必要がある方に向けた内容です。
検索の数字は動いているのに、何が効いたのかを社内に説明できない。そんな状態で止まっているようでしたら、現状の棚卸しからmalnaにご相談ください。
SEO事例とは、施策と成果が公開情報で確認できる改善の記録です
SEO事例とは、あるサイトがどんな施策を実施し、その後に検索まわりの数値がどう変わったかを、実施した側または計測した側が公表した記録です。実績の数字だけを並べた紹介と違い、施策と成果の対応関係をたどれるところに使いどころがあります。ここでは、本記事に載せる事例をどう選んだかと、14件の全体像を先に示します。
この記事に載せた事例の選定条件
選定の基準は一つで、Googleが運営するサイトに掲載され、実在するページで数値を確認できることです。具体的には、Google 検索セントラルのケーススタディと、Googleが運営するweb.devのケーススタディに掲載されたものだけを採用しました。
SEO支援会社が自社サイトで公表している支援実績にも参考になるものはありますが、計測条件や比較対象が読み手側から検証しにくいという弱さがあります。匿名のA社・B社として書かれた事例であればなおさらです。そこで採用の条件を、次の3つを満たすものに絞りました。
- 掲載元がGoogleの公式サイトであること
- 企業名と実施した施策が明記されていること
- 成果が数値として書かれていること
数値はすべて、出典に書かれているものをそのまま使っています。丸めたり、期間をまたいで合算したりはしていません。なお、これらはいずれもGoogleが掲載した内容であり、Googleの検索機能を活用した事例が中心に選ばれている点は、読むうえで差し引いて考える必要があります。
14事例の全体像
14件を公開時点の古い順に並べると、施策の重心が構造化データから動画、そしてページの表示品質へと移っていることが見て取れます。まず全体像を押さえてから、個別の中身を見ていきます。
| 事例 | 主な施策 | 公表された主な成果 | 出典の公開時点 |
|---|---|---|---|
| 楽天レシピ | Recipe構造化データ | 検索エンジンからの流入2.7倍 | 2018年5月 |
| Eventbrite | Event構造化データ | イベント掲載ページへの流入が前年比成長率で約100%増 | 2018年5月 |
| ZipRecruiter | JobPosting構造化データ | オーガニック経由のCVRが従来比4.5倍 | 2018年5月 |
| Jobrapido | JobPosting構造化データ | オーガニック流入182%増 | 2018年8月 |
| Monster India | JobPosting構造化データ | 求人詳細ページのオーガニック流入94%増 | 2019年6月 |
| Saramin | クロールエラー修正と構造化データ | 2019年9月のオーガニック流入が前年比102%増 | 2020年4月 |
| Yahoo! JAPAN ニュース | CLSの改善 | セッションあたりページビュー15.1%増 | 2021年3月 |
| MX Player | VideoObjectと動画サイトマップ | Googleからの流入3倍超 | 2021年7月 |
| Kirbie’s Cravings | max-image-preview:largeの指定 | CTR79%増 | 2021年8月 |
| Istoé | max-image-preview:largeの指定 | CTR30%増、6か月でクリック332%増 | 2021年8月 |
| 楽天24 | Core Web Vitalsの最適化 | 訪問者あたり収益53.37%増 | 2022年8月 |
| Italiaonline | 動画構造化データ | 動画クリック841%増 | 2023年7月 |
| ABP News | 動画構造化データとキーモーメント | Googleからの流入30%増 | 2023年7月 |
| Vidio | VideoObject構造化データ | 動画の表示回数約3倍 | 2024年6月 |
同じ「構造化データを入れた」でも、伸びた指標は流入だったりCVRだったりと揃っていません。この差がどこから来るのかは、個別の事例を読むと見えてきます。
構造化データで検索結果の見え方を変えたSEO事例5社
構造化データとは、ページの内容をGoogleが理解できる形式で明示するマークアップです。Googleは、構造化データを追加すると、より魅力的な検索結果(リッチリザルト)の対象になり得ると説明しています。ここで取り上げる5社は、いずれもレシピ、イベント、求人という定型的な情報を持つサイトで、その情報をマークアップした結果を公表しています。
楽天レシピ(楽天グループ)
楽天レシピは、Recipe構造化データの整備によって検索エンジンからの流入を2.7倍に伸ばした事例です。同サービスは2010年に立ち上がり、出典の公開時点で約190万件のレシピとメニューを抱えていました。
構造化データの利用開始は2012年で、その2年後にカテゴリを拡張し、2017年にはGoogle検索側と連携してマークアップの内容をさらに詰めています。実装そのものはCMS経由で2週間ほどで完了したと書かれており、大規模な作り直しは発生していません。エラーの検出にはSearch Consoleと構造化データテストツールを使い、AMPページ上のマークアップ不備を継続的に潰しています。
公表された成果は、検索エンジンからのレシピページ全体への流入が2.7倍、平均セッション時間が従来の1.5倍です。いずれもGoogle 検索セントラルが2018年5月8日に公開したケーススタディに掲載された数値で、楽天レシピのマネージャーのコメントとあわせて紹介されています。
参考:Rakuten increased time on site 1.5x with the recipe search experience on Google
Eventbrite
Eventbriteは、Event構造化データをサイト全体に広げてイベント掲載ページへの流入を伸ばした事例です。180以上の国と地域でイベントを扱うプラットフォームで、SEOチームは2015年から構造化データを使い始めていました。
2017年5月にGoogleがモバイル向けのイベント検索体験を開始した際、すでに下地があったため短期間で対応できています。ベーステンプレートを用意し、実装後の微調整だけで全イベントに展開しました。
成果として公表されているのは、新しい検索体験の実装後1か月で、Google検索からイベント掲載ページへの流入が例年の前年比成長率に対しておよそ100%増えたという数値です。プロダクトマネージャーは、Google アナリティクスでの計測にもとづく数字だと明言しています。実装から2〜3週間で検索結果の見た目に変化が現れたという記述もあり、反映の速さがうかがえます。
参考:Eventbrite boosted traffic 100% with the events search experience on Google
ZipRecruiter
ZipRecruiterは、JobPosting構造化データの実装後にコンバージョン率が大きく動いた事例です。同社は2012年から構造化データをベストプラクティスとして導入しており、新しいフィールドが公開されるたびに追加してきました。
Googleが2017年6月に求人検索体験を開始したときも、大がかりな改修は不要だったと述べています。同社が指標に置いているのは、Google検索から着地した人がサービスに登録する割合です。
公表された数値は、Google経由のオーガニック流入のCVRが従来の4.5倍、他の検索エンジン経由と比べて3倍、求人ページへのGoogle経由訪問の直帰率が10%超の低下、そして月間の非ブランドオーガニック流入が35%増というものです。流入量よりも流入の質が動いた事例として読めます。数値はいずれもGoogle 検索セントラルが2018年5月8日に公開したケーススタディに掲載されています。
参考:ZipRecruiter grew conversion rate 4.5x with the new job search experience on Google
Jobrapido
Jobrapidoは、求人検索体験への対応でオーガニック流入を3倍以上に伸ばした事例です。毎月2,000万件以上の求人を扱い、58か国で展開する求人検索エンジンで、Googleの新機能を早期に採用する方針を持っていました。
同社のプロダクト担当VPは、求人向けマークアップの追加は簡単で、短期間で検索体験の恩恵を受けられたと語っています。実装の重さよりも、対応を決める速さが効いた事例です。
公表された成果は、全対象国でのオーガニック流入182%増、オーガニック経由の新規ユーザー登録395%増、直帰率35%低下の3点です。登録数の伸びが流入の伸びを上回っている点から、届いた人と求人の噛み合いが改善したと同社は説明しています。Google 検索セントラルが2018年8月17日に公開した内容です。
参考:Jobrapido more than tripled its organic traffic though the job experience on Google Search
Monster India
Monster Indiaは、パイロット導入から全件展開へ段階を踏んで成果を確かめた事例です。2001年からインドで事業を展開し、出典の公開時点で11都市に拠点を持っていました。
同社のSEOチームは2018年4月にJobPosting構造化データを使い始め、まずパイロットとして一部で試しています。そこで良い反応を確認してから、インド国内の全求人へマークアップを広げました。いきなり全件に手を入れず、効果を見てから広げる進め方が明記されている点は、社内稟議を通す立場から参考になります。
公表された成果は、求人詳細ページのオーガニック流入94%増と、応募数10%増です。同社CMOは、この結果をもとにMonster Gulf、Monster Philippines、Monster Singapore、Monster Malaysiaへ展開し、各国で導入後にサイトへのオーガニック流入がほぼ倍増したとコメントしています。Google 検索セントラルが2019年6月18日に公開した内容です。
関連記事:SEOの内部対策は何をしたらいい?10個のポイントを徹底解説!
動画SEOで検索流入を伸ばしたSEO事例4社
動画SEOとは、サイト上の動画をGoogleが正しく認識してインデックスできる状態に整える施策です。VideoObject構造化データの実装、動画サイトマップの送信、Search Consoleの動画インデックスレポートでの監視が中心になります。ここで挙げる4社は、いずれも大量の動画を持ちながら検索経由の露出が取れていなかったところから改善しています。
MX Player
MX Playerは、動画の発見性を高める施策だけでGoogleからの流入を3倍以上に伸ばした事例です。インドの動画配信サービスで、12言語にわたる20万時間以上のカタログと2億人の月間利用者を抱えています。
実施したのは、構造化データの追加と動画サイトマップの高頻度な送信です。同社の担当者は、Googleのガイドラインに沿って進めたところ実装は容易で、オーガニックの動画枠に表示される資格を得られたと述べています。
成果は6か月間の変化として公表されており、Googleからの流入が3倍超、オーガニック検索経由のユーザーセッションあたり動画ページビューが100%増でした。動画の検索枠、動画タブ、Discoverといった複数の面での露出が同時に増えたことが要因として挙げられています。Google 検索セントラルが2021年7月29日に公開した内容です。
参考:MX Player boosted organic traffic 3x by maximizing video discoverability on Google
Italiaonline
Italiaonlineは、動画のインデックスエラーを潰すことでクリックを大きく伸ばした事例です。イタリアの大手デジタルグループで、複数ドメインを通じてイタリア市場の62%、2,720万のユニークユーザーに接触しています。
同社はまずSearch Consoleの動画インデックスレポートで、公開済み動画のうち何が正しく認識されていないかを洗い出しました。そのうえで動画構造化データを実装し、レポート上で残った不備を順に修正しています。
公表された成果は、オーガニック検索での動画クリック841%増、表示回数353%増、動画インデックスエラー85%減です。エラーの減少と露出の増加が同じ出典に並記されている点で、何が原因で伸びたのかを推測しやすい事例といえます。
ABP News
ABP Newsは、8つの地域言語すべてで動画対応を進めて流入を伸ばした事例です。インドの大手ニュースパブリッシャーで、多言語の動画コンテンツを大量に抱えていました。
実施したのは、構造化データの追加、Googleの動画向けベストプラクティスの適用、そして動画キーモーメントという新機能の試験導入です。一部の言語だけでなく8言語すべてに横展開した点が、同社CEOのコメントで強調されています。
公表された成果は、Googleからの流入30%増です。前の2社と比べると伸び幅は控えめですが、多言語サイト全体に同じ施策を一括で当てた場合の目安として読めます。なお、Italiaonlineと本事例、そして動画ページのインデックス数が2倍になったWeather.comの3社は、Google 検索セントラルが2023年7月19日に公開した同じケーススタディに収録されています。
参考:How video SEO features helped three global content publishers reach their audiences more effectively
Vidio
Vidioは、動画ファイル形式を変えずにマークアップ側の工夫で成果を出した事例です。インドネシア最大級の動画配信サービスで、100万本を超える動画を抱えています。
同社の動画はHLSプロトコルに沿ったM3U8形式で、この形式は動画を構成する部品への参照をまとめた地図のような構造を持ちます。参照先の一つでも取得できないと動画全体の取得が失敗するため、Googlebotがクロールしづらいという課題がありました。そこで各動画ファイルに安定したURLを割り当て、Googlebotから確実にアクセスできる状態を作ったうえでVideoObjectマークアップを実装しています。
公表された成果は、実装から1年以内で動画の表示回数が約3倍、動画クリックが約2倍というものです。ただし出典には、同じ2022年第1四半期から2023年第1四半期にかけて公開動画数自体が約30%増えていたことも併記されています。伸びのすべてがマークアップによるものではない点は、出典側が明示している注意書きです。Google 検索セントラルが2024年6月4日に公開しました。
表示速度とレイアウト安定性を改善したSEO事例2社
Core Web Vitalsとは、読み込み、応答性、視覚的な安定性という3つの観点でページ体験を数値化した指標群です。Googleは、Core Web Vitalsをランキングシステムで使用しているとしたうえで、レポートで良い結果が出ることが上位表示を保証するわけではないと明記しています。ここで挙げる2社はいずれも日本企業で、指標の改善と事業指標の関係を自ら計測しています。
Yahoo! JAPAN ニュース
Yahoo! JAPAN ニュースは、CLSの改善がエンゲージメント指標に直結した事例です。同サービスは月間220億を超えるページビューを持ち、ユーザー体験の改善を担当する専任のエンジニアリングチームを置いています。
問題の特定にはSearch ConsoleとLighthouseを使い、記事詳細ページのCLSが悪いことを突き止めました。実データはweb-vitalsのJavaScriptライブラリで集め、Chrome DevToolsでどの要素がずれているかを可視化しています。原因は記事冒頭のヒーロー画像で、読み込み完了時に本文が下へ押し下げられていました。対策として、画像の表示領域をあらかじめ確保するアスペクト比ボックスの手法を採っています。
公表された成果は、CLSが0.2改善したこと、セッションあたりページビューが15.1%増、セッション時間が13.3%増、直帰率が1.72ポイント低下したことです。Search Console上で低評価だったURLは98%減りました。Googleが運営するweb.devに2021年3月9日付で掲載され、Yahoo! JAPANのエンジニアが共著者に名を連ねています。
参考:How CLS optimizations increased Yahoo! JAPAN News’s page views per session by 15%
楽天24(楽天グループ)
楽天24は、Core Web Vitalsの改善効果をA/Bテストで切り分けて計測した事例です。日用品を扱うオンラインストアで、継続的に指標を計測、最適化、監視する体制を敷いています。
実施内容は多岐にわたります。レンダリングを妨げるリソースの排除、コード分割と遅延読み込み、CDNの利用、画像の遅延読み込みとWebPやSVGの採用、CSSのaspect-ratioを使ったCLS対策などです。そのうえで、最適化版と元のページを1か月間50対50で振り分けるA/Bテストを実施しました。
A/Bテストで公表された数値は、訪問者あたり収益53.37%増、コンバージョン率33.13%増、平均注文額15.20%増、平均滞在時間9.99%増、離脱率35.12%減です。あわせて、LCPが良好なグループではコンバージョン率が最大61.13%高く、訪問者あたり収益が26.09%高いという相関も報告されています。web.devに2022年8月24日付で掲載された内容です。
この2件は検索順位そのものの変化を示したものではなく、あくまでページ体験の改善と行動指標の関係を測ったものです。順位改善の根拠として引用すると意味がずれる点には注意してください。
参考:Understanding Google Page Experience
サイトの基礎整備と検索結果での見せ方を変えたSEO事例3件
サイトの基礎整備とは、クロールとインデックスが正しく行われる状態を作り、検索結果での表示のされ方を自分で制御することです。派手さはありませんが、ここが崩れていると上の施策はすべて効きません。ここでは、地道な整備から始めた1社と、メタタグ1行で表示のされ方を変えた2件を取り上げます。
Saramin
Saraminは、クロールエラーの修正という地味な作業から始めて流入を倍増させた事例です。韓国最大級の求人プラットフォームで、求人推薦や企業情報、AIを使った面接サービスなどを提供しています。
同社は2015年にサイトをSearch Consoleに登録し、初年度はクロールエラーの確認と修正だけに集中しました。この段階でオーガニック流入が15%増え、SEOへの投資を広げる判断につながっています。その後、不要なキーワードで膨らんでいたメタタグの整理、canonical URLの指定と重複コンテンツの削除を実施し、JobPosting、Breadcrumb、Estimated salaryの構造化データを順に適用しました。Search Consoleのカバレッジで赤いエラーが緑に変わっていくのを進捗の目印にしたと述べています。
公表された成果は、採用の繁忙期にあたる2019年9月のオーガニック流入が前年比102%増、オーガニック経由の新規会員登録93%増、コンバージョン率が前年比9%増です。同社のSEOマネージャーは、量だけでなく質も改善したと評価しています。Google 検索セントラルが2020年4月8日に公開した内容です。
参考:Saramin increased organic Search traffic 2x by investing in SEO
Kirbie’s Cravings
Kirbie’s Cravingsは、HTMLを1行足すだけでクリック率が大きく動いた事例です。レシピと外食体験を扱う個人発の料理ブログで、運営者が趣味から専業へと育ててきたサイトです。
Googleは2020年に、robotsメタタグのmax-image-preview設定を導入し、Discoverでの画像の見せ方をサイト側が制御できるようにしました。max-image-preview:largeを各ページのヘッダーに指定すると、Discoverなどの面で画像を大きく表示できるようになります。同ブログが実施したのは、この短いHTMLの追加だけです。
公表された成果は、クリック率79%増です。運営者は、Discoverからのクリックが大幅に増え、結果としてサイトへの流入、読者数、ページビューの増加につながったとコメントしています。
Istoé
Istoéは、同じメタタグ指定で中期の伸びまで公表している事例です。経済からスポーツ、健康、国際情勢まで幅広く扱うブラジルの週刊誌で、Kirbie’s Cravingsと同じくmax-image-preview:largeを採用しました。
公表された成果は、クリック率30%増と、6か月でクリック数332%増です。クリック率の伸びが30%にとどまる一方でクリック数が332%伸びている点から、表示回数そのものも同期間に増えていたと読み取れます。単月のクリック率と累積のクリック数を分けて見る必要がある、という読み方の例にもなっています。
なお、この2件はGoogle 検索セントラルが2021年8月11日に公開した同じケーススタディに収録されています。サイトに大きな画像を使っているのであれば、まず試す価値のある施策です。
参考:How large images in Discover improved CTR and increased visits to publisher sites
参考:Robots Meta Tags Specifications
関連記事:【2025年最新版】SEOに必須!クローラー対策を徹底解説|robots.txt・noindex・サイトマップの設定法
14事例を横断して見えた成果の出方
14件に共通しているのは、検索結果での見え方、着地後の体験、クロールとインデックスの土台のいずれかを変えている点です。順位を直接押し上げにいった事例は一つもありません。ここでは、事例を並べたときに浮かぶ3つの傾向と、数値を読むときに差し引くべき前提を整理します。
社内で施策の優先順位を決める段階でしたら、自社サイトの現状と事例の前提条件を突き合わせるところからmalnaがご一緒できます。戦略の設計から実行、社内で回せる状態への引き渡しまでを伴走する形での支援について、こちらからお問い合わせいただけます。
伸びたのは順位ではなく見え方と体験
14件のうち11件は、検索やDiscoverでの見え方を変える施策です。構造化データによるリッチリザルト、動画枠への露出、Discoverでの大きな画像表示は、いずれも順位が同じでも目に入る面積とクリックされやすさを変えます。2件は着地後の表示品質を整えたもので、残る1件はクロールとインデックスの土台を整えたものでした。
Googleは構造化データについて、追加することでリッチリザルトの対象になり得ると説明しており、順位が上がるとは書いていません。Core Web Vitalsについても、ランキングシステムで使用しているとしたうえで、良いスコアが上位表示を保証するわけではないと明記しています。事例の数値も、この説明と矛盾しない形で並んでいます。
効果が出るまでの期間は施策で大きく違う
出典に期間が明記されているものを並べると、反映の早さに幅があることがわかります。実装の重さと効果が出るまでの時間は、必ずしも一致しません。
| 事例 | 期間の記述 | 変化した指標 |
|---|---|---|
| Eventbrite | 実装から2〜3週間で検索結果の見た目が変化、1か月後に流入を計測 | イベント掲載ページへの流入が前年比成長率で約100%増 |
| MX Player | 6か月 | Googleからの流入3倍超 |
| Istoé | 6か月 | クリック数332%増 |
| Vidio | 実装から1年以内 | 動画の表示回数とクリック |
| Saramin | 登録から4年後の繁忙期 | オーガニック流入が前年比102%増 |
構造化データのように検索結果の表示が切り替わる施策は、数週間で見た目の変化が確認できます。一方でSaraminのように、クロールエラーの修正から始めて数年かけて積み上げた例もあります。自社がどちらの型の施策に取り組むのかで、社内に約束できる時間軸は変わります。
計測はSearch Consoleと自社解析の両方で行われている
14件のほぼすべてが、Search Consoleを施策の起点か効果確認のどちらか、あるいは両方に使っています。Italiaonlineは動画インデックスレポートで直すべき対象を洗い出し、Yahoo! JAPAN ニュースは低評価URLの98%減という形で改善を確認しました。Saraminはカバレッジの赤が緑に変わることを進捗の指標にしています。
一方で、流入やコンバージョンの数値はGoogle アナリティクスなど自社側の計測に依っています。Eventbriteは成果の出どころをGoogle アナリティクスと明示し、楽天24はA/Bテストという形で他要因を切り分けました。事例を自社で再現するなら、この二層の計測を先に用意しておく必要があります。
数値を鵜呑みにできない3つの理由
公式の出典であっても、数値をそのまま自社の期待値に置き換えることはできません。同じ「流入◯%増」という表記でも、何を分母にしているか、いつからいつまでを比べているかが事例ごとに違うためです。差し引いて読むべき前提を3つ挙げます。
- 分母が事例ごとに違う。Monster Indiaの94%増は求人詳細ページ限定、ZipRecruiterの35%増は非ブランドのオーガニック流入に限った数字です
- 施策以外の変化が同時に起きている。Vidioの出典は、同期間に公開動画数が約30%増えていたことを併記しています
- 出発点が低いほど倍率は大きく出る。MX Playerは、動画のWeb上の存在感がほとんどない状態からの改善だと出典に書かれています
倍率だけを取り出して並べると、実態より大きな期待を招きます。社内で共有するときは、分母と期間と出発点をセットで伝えてください。
公式ドキュメントに載っているその他の公表値
Google 検索セントラルの構造化データ入門ページには、ケーススタディとは別に3社の数値が掲載されています。公開時点の記載がないため参考値ですが、施策の効き方の幅を知る材料になります。
| 企業 | 掲載されている内容 |
|---|---|
| Rotten Tomatoes | 10万ページに構造化データを追加し、追加していないページと比べてクリック率が25%高い |
| Food Network | 全ページの80%を検索機能に対応させ、訪問数が35%増加 |
| Nestlé | リッチリザルトとして表示されるページは、そうでないページよりクリック率が82%高い |
参考:Introduction to structured data markup in Google Search
事例を自社のSEOに置き換える4ステップ
事例を自社に持ち込むときの順番は、現状把握、前提の照合、単独での実装、切り分けた計測の4つです。この順番を飛ばして施策から入ると、効果が出ても出なくても理由がわからない状態になります。ここでは各ステップで具体的に何を見るかを示します。
ステップ1 自社の検索結果での見え方を確認する
最初にやることは、自社の主要ページが検索結果でどう表示されているかを目で見て確かめることです。リッチリザルトが出ているか、画像は表示されているか、動画があるならインデックスされているかを確認します。
Search Consoleの検索パフォーマンスで表示回数とクリック率を見ると、表示は取れているのにクリックされていないページが見つかります。そこが見え方の改善余地です。逆に表示回数が少ないなら、先にインデックスとコンテンツの問題を疑います。
ステップ2 事例と同じ前提が自社にあるか照合する
次に、参考にしたい事例が成り立った前提が自社にもあるかを確かめます。ここを飛ばすと、成立条件のそろっていない施策に工数を使い、効果が出ない理由もわからないまま終わります。判断材料になるのは、扱っている情報の種類と量です。
たとえば構造化データの事例5社は、レシピ、イベント、求人という定型的で件数の多い情報を持っていました。Discoverの事例2件は、大きな画像を持つメディアです。動画の事例4社は、いずれも大量の動画を持ちながら、その多くが検索に正しく認識されていない状態からの出発でした。自社に該当する情報資産がないのであれば、同じ施策を入れても検索結果の見え方は変わりません。
ステップ3 施策を1つに絞って実装する
3つ目は、一度に変える箇所を1つに絞ることです。複数の施策を同時に入れると、数値が動いたときにどれが効いたのかを分解できなくなり、次の判断材料が残りません。効果を確かめてから広げる順序で進めてください。
Monster Indiaがパイロットから始めて全件展開に進んだように、対象ページを限定して試す方法が取りやすいはずです。楽天24のように、最適化版と元のページをA/Bテストで比較できるなら、切り分けの精度はさらに上がります。実装前に、どの指標がどれだけ動いたら成功とするかを決めておいてください。
ステップ4 効果を分けて読む
最後に、変化した数値を要因ごとに分けて読みます。施策の前後で季節性や競合の動き、コンテンツの追加量が変わっていないかを確認したうえで、施策そのものの効果を見積もる手順です。Vidioの出典が公開動画数の増加を併記していたのと同じ姿勢が求められます。
Search Console側で表示回数とクリック率の変化を、自社解析側で流入とコンバージョンの変化を追い、両方が同じ方向に動いているかを見ます。片方だけが動いている場合は、施策以外の要因が混ざっている可能性が高いと考えてください。ここまで整えて初めて、次の施策に進む判断ができます。
関連記事:SEOの競合分析のやり方とコツ!おすすめ分析ツール5選!
関連記事:中小企業こそSEO対策をすべき!メリットや対策方法を解説します
よくある質問
SEO事例を調べたあとに残りやすい疑問を5つ整理しました。数値の当てはめ方、構造化データと順位の関係、効果が出るまでの期間、出典の見極め方、企業規模による差という順で扱います。回答はGoogleの公式情報で確認できた範囲にとどめています。
SEO事例の数値は自社にどこまで当てはめられますか
そのまま当てはめることはできません。事例の数値は、分母となるページ範囲、計測期間、施策前の状態がそれぞれ異なるためです。参考にする場合は、業種や情報の種類、サイト規模といった前提が自社と重なるかを先に確認し、倍率ではなく施策の中身を持ち帰ってください。
構造化データを実装すれば検索順位は上がりますか
順位が上がるとはGoogleも書いていません。公式ドキュメントでは、構造化データを追加するとリッチリザルトの対象になり得ると説明されています。順位が同じでも検索結果での見え方が変わることでクリックされやすくなる、という効き方が事例の数値とも整合しています。
SEO施策の効果はどのくらいで出ますか
施策の種類によって数週間から数年まで幅があります。Eventbriteは実装から2〜3週間で検索結果の表示に変化を確認し、MX Playerは6か月でGoogleからの流入が3倍超になりました。一方でSaraminは、クロールエラーの修正から始めて数年かけて流入を倍増させています。
事例の数値が信頼できるかはどう確かめますか
出典のページを開き、誰が公表した数値かと公開時点を確認してください。企業自身の公式発表、Googleなどのプラットフォーム公式ケーススタディ、公的機関の資料は検証しやすい部類です。匿名のA社事例や、出典リンクのない数値は、社内の意思決定の根拠には使わないほうが安全です。
中小企業でも事例と同じ成果は出せますか
規模より、事例と同じ前提を持っているかで決まります。Kirbie’s Cravingsは個人が運営する料理ブログで、メタタグを1行追加しただけでクリック率が79%伸びました。大きな画像や定型的な情報など、施策が効く条件がそろっていれば、サイト規模が小さくても変化は起こります。
まとめ
SEO事例とは、施策と成果の対応関係を公開情報で追える改善の記録です。ここまで取り上げた14件はすべてGoogleが自社サイトで公表したもので、企業名、実施した施策、成果の数値、公開時点のいずれも出典のページ上で確認できます。匿名の実績紹介と違い、前提を自分で確かめられる点が使いどころでした。
14件を横断して見えたのは、伸びたのが順位ではなく検索結果での見え方と着地後の体験だという点でした。構造化データ、動画マークアップ、Discoverの画像指定はいずれも見え方を変える施策で、Core Web Vitalsの2件は体験の側を整えたものです。効果が出るまでの期間は数週間から数年まで開きがあり、数値の分母と出発点も事例ごとに違います。倍率ではなく施策の中身と成立条件を持ち帰ることが、事例の正しい使い方です。
まずは自社の主要ページが検索結果でどう表示されているかを一つずつ確認し、事例と同じ前提が自社にあるかを照合するところから始めてください。どの施策から手を付けるかの判断や、効果を切り分けて計測する仕組みづくりまで含めて整理したい段階でしたら、進め方のご相談から承ります。
関連記事:コンテンツマーケティングの事例9選!押さえたいポイントを徹底解説
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