2026.08.14

ディープリサーチとは?ChatGPT・Gemini・Perplexityの使い方と検証手順

競合調査や市場調査を任されて、とりあえずChatGPTやGeminiのディープリサーチを走らせてみた。数分待つと、それらしい見出しと出典リンクが並んだ十数ページのレポートが出てくる。ここまでは、多くの担当者が同じ道を通ります。

目次

問題はその次です。出てきたレポートをそのまま社内資料に貼れるのか。数字は信じていいのか。上司に「これはどこの情報ですか」と聞かれて答えられるのか。起動手順を知っていることと、出力を業務判断に載せられることのあいだには、思ったより距離があります。

本記事では、ChatGPT・Gemini・Perplexityのディープリサーチについて、公式情報で確認できる仕様と確認できない仕様を切り分けたうえで、依頼文の設計、出力レポートの検証手順、社内ルールの決め方までをまとめました。調査業務にAIを組み込みたい事業企画・マーケティング・情報システムの担当者の方に向けた内容です。

調査をどこまで任せるかは、ツールの性能よりも社内の確認体制で決まる部分が大きいところです。判断の材料が足りないと感じる段階でしたら、お問い合わせからご相談ください。

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ディープリサーチとは、AIが複数のサイトを横断して調べ、出典付きのレポートを作る機能です

ディープリサーチとは、指示されたテーマについてAIが検索と読み込みを何度も繰り返し、集めた内容を1本のレポートにまとめる機能です。 OpenAIはdeep researchを、複雑なタスクについてインターネット上で多段階のリサーチを行うエージェント的な機能だと説明しています。1回の検索で終わらず、読んだ内容に応じて次に何を調べるかをAI自身が決めていく点が、普段の検索とはっきり違います。

処理の中身は、検索、ページの読み込み、内容の解釈、次の検索という繰り返しです。OpenAIの資料では、deep researchのモデルがウェブ閲覧向けに最適化されたo3の初期版をベースにしており、ユーザーが渡したファイルを読んだり、Pythonのコードを書いて実行しながらデータを分析したりもできると書かれています。Googleも、Deep Researchが数百のウェブサイトを自動で参照して数分でレポートを作ると紹介しています。

通常のAIチャットとの違いは、調べる回数と時間のかけ方にあります

通常のAIチャットとディープリサーチの違いは、1つの質問に対してAIが何回情報を取りに行くかという点に集約されます。チャットが返すのは、手元の知識か1回程度の検索で作った答えです。ディープリサーチは調べては読み、足りない部分をまた調べるという工程を繰り返します。

その分、返答までの時間も変わります。OpenAIが開発者向けに公開しているdeep researchモデルの解説では、タスクの完了までに数十分かかることが想定されると明記されています。Googleのヘルプページも、Deep Researchのレポート作成には通常5分から10分かかるとしています。数秒で返事がくる普段のチャットとは、待ち方そのものが違うわけです。

もう1つの違いが、出典の扱いです。deep researchモデルの最終回答にはインライン引用が含まれ、注釈として引用元のURLとタイトル、本文中のどの位置に対応するかが付与される仕組みになっています。どこから持ってきた記述なのかを後から追える形で出てくる点が、実務では効いてきます。

検索エンジンで自分で調べる作業との違い

検索エンジンを自分で叩く作業とディープリサーチの違いは、情報を集める工程を人が持つかAIが持つかという分担の差です。人が調べる場合は、検索語を考え、リンクを開き、読んで取捨選択するまでが手作業になります。ディープリサーチはその一連をまとめて引き受けます。

ただし、引き受けてもらえるのは集める工程までです。何を調べるべきかという設計と、集まったものが正しいかという検証は人の側に残ります。この2つを手放したまま使うと、体裁の整った読み物は手に入るのに意思決定には使えないという状態になりがちです。

AIを使った情報収集の全体像については、次の記事でも触れています。

関連記事:Google検索やSNSは時代遅れ?! AIを使った効率的な情報収集とトレンド分析

ChatGPT・Gemini・Perplexityの比較では、公式に確認できる仕様の範囲が異なります

3つのツールを比べるとき最初に押さえたいのは、プラン別の回数や上限が公式ドキュメントに数値で書かれているとは限らないという点です。仕様は頻繁に改定されるため、各社とも絶対値を出さず相対的な表現でとどめている箇所があります。まとめ記事に載っている数字をそのまま稟議に書くと、根拠が後から崩れます。

以下は、2026年8月13日時点で各社の公開ページから確認できた内容だけを並べた表です。確認できなかった項目は、推測で埋めずにその旨を書いています。

項目 ChatGPT Gemini Perplexity
機能の位置づけ 複雑なタスクについて多段階のリサーチを行うエージェント的な機能 数百のウェブサイトを参照して複数ページの分析レポートを作るリサーチ機能 アプリの提供機能としてDeep Researchが掲載されている
参照できる情報源 ウェブ検索に加え、ユーザーが渡したファイルの読み込みに対応 既定はGoogle検索。Gmail、Googleドライブ、アップロードしたファイル、NotebookLMのノートブックを追加できる 公開情報からは確認できない
実行にかかる時間 開発者向け資料に数十分かかる想定と記載。画面上の実測値は公開されていない レポート作成に通常5分から10分 公開情報からは確認できない
出典の示し方 引用付きで情報を統合すると説明。開発者向け資料では引用元のURLとタイトルが注釈として付与される 参照したウェブサイトをもとにレポートを作成 公開情報からは確認できない
プラン別の利用上限 公開ページからは数値を確認できない 数値ではなく倍率で提示。AIプランなしが標準、AI Plusが2倍、AI Proが4倍、AI UltraはAI Proの4倍または20倍 公開情報からは確認できない
上限のリセット 公開ページからは確認できない 週ごとの上限に達するまで5時間ごとにリセット 公開情報からは確認できない

Perplexityについては、App Storeの掲載情報でDeep ResearchとLabsが提供機能として記載されていることまでは確認できました。回数や仕様を示す一次情報には到達できていません。確認できないと書いた欄は機能がないという意味ではなく、公開情報からは裏が取れなかったという意味です。

公式ページでも数値が書かれていない箇所があります

Googleの使用量上限のヘルプページは、プランごとの上限を絶対値ではなく倍率で示しています。AIプランなしを標準として、AI Plusが標準の2倍、AI Proが標準の4倍、AI UltraはAI Proの上限の4倍または20倍という書き方です。標準が何回なのかは、このページからは分かりません。

同じページには、上限が週ごとの上限に達するまで5時間ごとにリセットされるという説明もあります。月あたり何回という数え方ではないため、他社の月間回数と横並びにすること自体が成立しにくい構造です。Deep Research自体はAIプランなしを含めて利用できる扱いになっていますが、一部の機能は使用量をより多く消費するとも書かれています。

参考:Google AI のサブスクリプション プランに応じた Gemini アプリの使用量上限とアップグレード

プランと料金は契約前に自分の画面で確認する

料金の情報は、機能の紹介ページと課金ページで粒度が違います。GoogleのAIプランの紹介ページには、Google AI ProとGoogle AI UltraでDeep Researchなどの機能も利用できると書かれている一方、月額の金額はこのページには出てこず、別のプラン・料金ページに誘導される作りです。

稟議に金額を書くときは、記事や比較サイトの数字ではなく、契約する国と通貨で表示された自分の画面を根拠にしてください。為替や地域で表示額が変わるうえ、改定も入ります。

参考:Google AI プラン

ChatGPTの各プランで何が使えるかを整理した記事もあわせてご覧いただけます。

関連記事:ChatGPTの料金プラン完全ガイド|無料版と有料版の違い・最適な選び方

3つのツールでディープリサーチを実行する手順

実行手順そのものは、テーマを入力して待つという流れでどのツールも共通しています。差が出るのは、実行前にどこまで条件を指定できるかと、実行後にどこまで残せるかの2点です。ここでは画面上の細かい位置ではなく、改定されても変わりにくい確認ポイントの順に整理します。

各サービスの画面構成と機能名は更新のたびに動きます。手順を暗記するより、探す場所を覚えておくほうが長持ちします。

ChatGPTでdeep researchを実行するときに確認すること

ChatGPTでdeep researchを使うときは、入力欄の周辺にあるツールやモードの選択メニューから該当する機能を選び、テーマを入力します。表示位置はバージョンによって変わるため、見当たらないときは入力欄のメニューを開いて一覧を確かめてください。

実行前に押さえたいのは、参照させる情報源です。OpenAIが開発者向けに公開している資料では、deep researchのモデルはウェブ検索、ファイル検索、リモートのMCPサーバーのうち少なくとも1つのデータソースを必要とすると説明されています。手元の資料を読ませたい場合、テキストで貼るのかファイルで渡すのかを先に決めておくと、後の検証がやりやすくなります。

同じ資料には、外部から取り込んだ指示によるプロンプトインジェクションやデータ流出のリスクに触れ、信頼できる接続先だけを使い、ツールの呼び出しを監視することが推奨されると書かれています。社外のページを大量に読ませる機能である以上、読み込ませる範囲は業務上の必要に絞るのが安全です。

参考:Deep research(OpenAI 開発者向けドキュメント)

調査テーマごとに資料や指示をまとめておきたい場合は、プロジェクト機能の使い方が参考になります。

関連記事:ChatGPTのプロジェクト機能とは?malnaが徹底解説します!

GeminiのDeep Researchはリサーチプランを編集してから走らせる

GeminiのDeep Researchで特徴的なのは、実行前に調査計画を確認して直せる点です。Googleのヘルプページによると、Deep Researchを選んでプロンプトを送るとGeminiがリサーチプランを提示します。内容を確認し、プランを編集から修正したうえでリサーチを開始を押すと、そこから調査が走ります。

情報源も実行前に指定できる仕組みです。既定ではGoogle検索が対象で、Gmail、Googleドライブ、アップロードしたファイル、NotebookLMのノートブックを追加できると説明されています。GmailやGoogleドライブを情報源にした場合はビジュアル機能が使えないという注意書きもあり、図表が必要な調査では情報源の選び方が出力形式に響きます。

利用条件として、Geminiアプリへのログインと18歳以上であることが挙げられています。1日に実行できるリサーチリクエスト数と同時に実行できるリクエスト数には上限があり、上限に近づくとアプリから通知が届く仕組みです。過去のレポートを見返すにはアクティビティの保存がオンになっている必要があるとも書かれています。業務で使うなら、この設定は先に確認しておきましょう。

参考:Gemini アプリで Deep Research を利用する

参考:Gemini Deep Research の概要

PerplexityのDeep Researchは自分のアカウントで仕様を確かめる

PerplexityのDeep Researchについては、App Storeの掲載情報で提供機能として記載されていることが確認できます。提供元はPerplexity AI, Inc.で、説明文にはPro SearchとDeep Research、そしてLabsが並んでいます。

一方で、回数制限や対応プランの詳細を示す一次情報には今回到達できませんでした。 そのため数値は載せていません。業務で使う前に、アカウントの設定画面とヘルプセンターで、利用できるプラン、1日あたりの実行回数、出力の保存先の3点をご自身で確認してください。第三者の記事に書かれた回数を社内資料に転記すると、改定のたびに説明がずれます。

確認のときは、出力画面の引用番号から元ページに飛べるかどうかも見ておくと、後の検証工数が読めます。出典の追いやすさは、レポートの見た目より実務に効く要素です。

参考:Perplexity – AI Search & Chat(App Store)

終わらない、機能が見つからないときに見る場所

ディープリサーチが終わらない、機能自体が見当たらないという状況は、待ち時間の想定と提供条件のどちらかがずれていることがほとんどです。Geminiのヘルプはレポート作成に通常5分から10分かかるとしており、OpenAIの開発者向け資料は数十分かかる想定だとしています。数分待って反応がないこと自体は、異常とは限りません。

機能が見つからない場合に確かめたいのは、ログイン状態、契約しているプラン、年齢や地域の条件です。GeminiのDeep Researchはログインと18歳以上という条件が明記されています。加えて、1日あたりの上限や同時実行数の上限に達している可能性もあります。上限に達したときは、リセットを待つか上位プランを検討するという整理になります。

出力の質を決めるのは、依頼文に入れた5つの要素です

ディープリサーチの出力が浅くなる原因の大半は、モデルの性能ではなく依頼文の設計にあります。調べる範囲と判断基準を書かずにテーマだけ渡せば、返ってくるのは一般的な解説です。人に調査を外注するときの指示書と同じ粒度で書くと、中身が変わります。

ここでは、依頼文に入れておきたい要素を5つに分けて整理しました。毎回すべてを書く必要はありませんが、社内で使い回すテンプレートには入れておく価値があります。

1 調査の目的と、結果を何に使うか

目的と使い道を最初に書くと、AIが拾う情報の粒度が変わります。値付けの意思決定に使うのか、営業資料の比較表に使うのか。同じ競合の価格調査でも、用途が違えば必要な精度も出典に求める強さも別物です。

書き方は、誰が読みどんな判断に使うのかを1文添えるだけで構いません。来期の価格改定を経営会議で議論するための材料にすると書けば、根拠の弱い数値は避けるべきだという前提が伝わります。

2 対象範囲と、除外する条件

範囲を切ると、レポートの密度が上がります。対象とする国や地域、業種、企業規模、期間を明示し、あわせて除外したいものも書き添えてください。除外条件は見落とされがちですが、精度への効き方は範囲指定と変わりません。

指定の例としては、次のような書き方があります。

  • 日本国内で公表された事例に限る
  • 2024年以降に発表された情報に限る
  • 個人ブログの体験談は根拠に含めない

期間を切っておくと、古い情報が最新の話として混ざるという典型的な事故を減らせます。除外条件は最初に3つ程度書き出しておけば、以降は同じものを流用できるはずです。

3 使ってよい情報源の条件

情報源の条件を指定すると、後の検証が楽になります。公式発表、官公庁の統計、上場企業の開示資料などを優先し、まとめサイトや二次情報だけを根拠にしないよう書き添えてください。

出典の優先順位を依頼文に書いておくと、検証工程で確認すべき箇所が最初から絞られます。 何も書かなければ、AIは到達しやすいページから集めます。到達しやすさと信頼性は別物です。

4 出力の形式と粒度

形式を指定すると、そのまま社内で回せる状態に近づきます。見出しの構成、表にしたい項目、1項目あたりの分量、図の要否などを書きます。比較調査であれば、比較軸を先に列挙して渡すのが確実です。

粒度の指定も忘れないでください。A4で2枚程度、各社3行以内といった形で書くと、読む側の負担が下がります。長ければよいというものではありません。

5 判断がつかないときの扱い方

分からなかったことを分からないと書かせる指示は、実務では最も効きます。 情報が見つからない項目については、推測で埋めず確認できずと明記するよう依頼文に書き添えておきましょう。

これを入れておくと、検証工程で真っ先に見るべき箇所がレポート上に浮かび上がります。すべて埋まっている表と、埋まっていない箇所が分かる表では、後者のほうが業務では扱いやすいものです。

調査テーマが固定的なら、依頼文を毎回書き直さずに定型化する手もあります。

関連記事:カスタムGPT(GPTs)とは?活用事例・設定方法を解説!

依頼文の型づくりは、最初の数本を一緒に回すと社内に定着しやすくなります。malnaでは業務プロセスの整理を含めたAI導入支援を行っていますので、調査業務への適用を具体的に設計したい場合はお問い合わせからご連絡ください。

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出てきたレポートは、5つのステップで検証します

ディープリサーチの出力は、出典が付いていても検証なしに使える状態ではありません。OpenAIが公開しているdeep researchのシステムカードには、モデルが事実として誤った情報を生成する可能性があること、レッドチームがdeep researchの思考過程で外部ツールへのアクセスに関するハルシネーションを確認したことが記載されています。出典が並んでいることと、記述が出典どおりであることは別の話です。

同じ資料には、人物に関する事実を問うPersonQAという評価での数値も載っています。deep researchの正答率は0.86、ハルシネーション率は0.13で、比較対象のGPT-4oは正答率0.50、ハルシネーション率0.30でした。改善はしているものの、誤りが出ない水準ではありません。検証工程を省かない前提で組み込む必要があります。

ステップ1 出典URLを開いて、記述と一致するか確かめる

最初にやることは、レポートの主張と出典ページの記述が一致しているかの照合です。リンクが付いていても、そのページに書かれていない内容が要約として付されていることがあります。

すべて開くのが難しい場合は、意思決定に効く記述から順に開きます。数値、固有名詞、期間、そして唯一や最大といった強い断定を含む箇所が優先対象です。

ステップ2 数値は発表元までさかのぼる

数値の検証は、引用元の引用元まで戻すのが基本です。ニュース記事や解説記事が出典になっている場合、その記事が引用している調査レポートや決算資料が本来の一次情報にあたります。

さかのぼる過程で、集計対象や調査手法が想定と違うと分かることも珍しくありません。同じ導入率という言葉でも、母数が全企業なのか一定規模以上の企業なのかで意味が変わります。

ステップ3 日付と版を確認する

情報の鮮度は、内容の正しさと同じくらい重要です。出典ページの公開日と最終更新日を見て、調査で指定した期間の条件を満たしているかを確認します。

料金や機能仕様は特に入れ替わりが速い領域です。本記事で扱っているディープリサーチ自体、各社が数か月単位で提供範囲を変えています。古い版の仕様が最新として引用されていないかは、毎回見る必要があります。

ステップ4 出典がない主張に印を付ける

出典が付いていない記述は、レポートの中で最も注意が必要な部分です。AIが文章のつながりを整えるために補った説明が、事実の記述と同じ調子で混ざっていることがあります。

対処は単純で、出典のない文に印を付け、使うか削るかを人が決めるだけです。使うと決めた場合は、自分で出典を探して付け直します。この作業を誰がやるか決めていない組織では、レポートがそのまま資料へ流れていきます。

ステップ5 同じ条件で再実行して、結論が変わらないか見る

重要な調査ほど、1回の出力で結論を確定させないほうが安全です。同じ依頼文でもう一度実行し、主要な結論と根拠が揃うかを確認します。ずれた場合は、依頼文の条件が曖昧か、そもそも情報が定まっていないテーマである可能性が高いところです。

再実行のたびに結果が変わるテーマは、AIに任せる範囲を狭め、人が直接一次情報にあたる部分を増やす判断材料になります。

参考:Deep Research System Card(OpenAI)

業務調査に載せる前に、社内で決めておく4つのルール

ディープリサーチを業務に組み込むときに決めておくべきは、入力してよい情報、確認の担当、記録の残し方、使ってよい用途の4点です。総務省の令和8年版情報通信白書によると、2025年度の企業向け調査で生成AIを積極的に活用する方針である、または活用する領域を限定して利用する方針であると回答した日本企業の割合は合計68.9%でした。前年度の49.7%から大きく上がっています。方針を掲げる企業は増え、運用の細部を詰める段階に入ってきました。

入力してよい情報の線引きを先に決める

入力の線引きは、法令の要請から逆算するのが確実です。個人情報保護委員会が2023年6月2日に出した注意喚起では、個人情報取扱事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。

さらに、本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合には、個人情報保護法の規定に違反する可能性があるとしています。そのうえで、サービス提供事業者が当該データを機械学習に利用しないことなどを十分に確認するよう促しています。ディープリサーチはファイルやメールを情報源に追加できるため、この点は特に効いてきます。

確認者を決め、レポートを出した人と分ける

検証工程は、実行した本人以外が見る形にすると精度が上がります。自分が投げた依頼文の意図を知っている人ほど、出力を好意的に読んでしまうためです。

現実的な運用としては、レポートの重要度で確認の深さを変えます。社内共有までなら本人確認、顧客提出や投資判断に関わるものは第三者確認という二段構えが回しやすいところです。確認した人の名前と日付をレポートに残すところまでを手順に含めてください。

実行した条件を記録して、再現できるようにする

再現性の確保には、依頼文と実行日時、使ったツールとプランの記録が必要です。同じテーマでも実行時期が違えば参照されるページが変わり、結論も動き得ます。

記録の置き場所も決めておきましょう。GeminiのDeep Researchでは、過去のレポートを表示するためにアクティビティの保存がオンになっている必要があると説明されています。ツール側の履歴に依存せず、社内のドキュメント基盤に成果物と依頼文をセットで保存する運用にしておけば、後から追えます。

使ってよい用途と、使わない用途を書き出す

用途の線引きは、出力の性質から決めます。個人情報保護委員会の注意喚起は、生成AIサービスの応答結果には不正確な内容が含まれることがあり、それは確率的な相関関係に基づいて生成されるためだと説明しています。断定的な事実確認を必要とする用途とは相性がよくない性質です。

業界動向の把握、仮説出し、資料の下ごしらえには向きます。一方、契約条件の確認、法令解釈、特定企業の財務数値の確定といった用途は、一次情報の確認を人が行う前提にしてください。用途一覧を1枚の表にして配ると、判断のばらつきが減ります。

参考:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(個人情報保護委員会)

参考:令和8年版 情報通信白書 企業等におけるAI利用の進展

向く調査と向かない調査の線引き

ディープリサーチが向くのは、公開情報が一定量あり、結論に幅があっても許容できる調査です。非公開情報が中心のテーマや、1つの正解を確定させる必要がある調査には向きません。この線引きを最初に共有しておくと、期待値のずれによる不満が減ります。

向いている調査の型

向いているのは、広く浅く集めてから人が絞り込む型の調査です。市場の全体像の把握、競合の公開情報の棚卸し、技術トレンドの整理、社内提案の前段となる論点出しなどが該当します。

いずれも、抜けがあっても後から足せる性質の作業です。人が手作業で集めると数日かかる範囲を数十分に圧縮できるため、時間対効果が出やすい領域といえます。

向いていない調査の型

向いていないのは、根拠の確からしさが一点でも崩れると成果物が使えなくなる調査です。契約書の条項確認、規制要件の適合判断、個社の財務数値の確定、係争中の案件に関する事実認定などが挙げられます。

こうした領域では、AIの出力を下調べにとどめ、結論は一次情報と専門家の確認で確定させる進め方が現実的です。法務や税務に関わる判断は、最終的に専門家へご確認ください。

迷ったときの判断材料

判断に迷う場合は、その調査結果が間違っていたときに何が起きるかを考えると整理できます。やり直せる範囲の影響なら任せてよく、対外的な約束や金銭の支払いにつながるなら人が確認する範囲を広げます。

もう1つの材料が、テーマの情報密度です。検索して公開情報がほとんど出てこないテーマは、ディープリサーチでも出てきません。その場合はヒアリングや一次調査に切り替えるほうが早く進みます。

ChatGPTのモデルごとの向き不向きについては、次の記事でも整理しています。

関連記事:ChatGPTのモデル別の違いは?無料版から有料版まで利用シーン別に徹底解説

よくある質問

ディープリサーチについて寄せられる質問は、料金と回数、所要時間、出力の扱い、ツール選び、社内ルールの5つに分かれます。ここでは、公式情報で確認できた範囲と、確認できなかったためご自身で確かめていただきたい範囲を分けてお答えします。

ディープリサーチは無料でも使えますか

GeminiのDeep Researchは、Googleのヘルプページ上でGoogle AIプランに加入していない場合も利用できる扱いになっており、上限はプランごとに倍率で差が付けられています。ChatGPTとPerplexityは、無料プランでの提供条件を示す一次情報を確認できなかったため、各サービスの公式ヘルプでご確認ください。

レポートの作成にどれくらい時間がかかりますか

GeminiのヘルプページはDeep Researchのレポート作成に通常5分から10分かかるとしています。OpenAIが開発者向けに公開している資料では、deep researchのモデルがタスクの完了までに数十分かかることが想定されると記載されています。テーマの広さや指定した情報源の数によって変動します。

出典が付いていれば内容をそのまま使えますか

そのままでは使えません。OpenAIのシステムカードでは、PersonQAという評価でdeep researchのハルシネーション率が0.13と報告されており、誤りが生じない水準ではないと示されています。出典URLを開いて記述との一致を確認し、数値は発表元までさかのぼってから使ってください。

3つのうちどれを選べばよいですか

用途と既存の環境で選ぶのが現実的です。GmailやGoogleドライブの中身を情報源に含めたい場合はGeminiが候補になり、実行前に調査計画を編集できる点も特徴です。ChatGPTはファイルを読ませたうえでの分析に対応しています。回数や料金は改定が頻繁なため、契約前に自分のアカウント画面で確認してください。

社内で使うときに最初に決めることは何ですか

入力してよい情報の線引きです。個人情報保護委員会の注意喚起では、個人情報を含むプロンプトを入力する際に利用目的の範囲内かを十分に確認すること、提供事業者が当該データを機械学習に利用しないことなどを確認することが求められています。この線引きを決めてから、確認者と記録方法を順に決めてください。

まとめ

ディープリサーチは、調べる工程をAIに預けられる機能です。ただし預けられるのは集める作業までで、何を調べるかの設計と、集まったものを確かめる工程は人の側に残ります。この2つを設計しないまま使うと、読み物としては整っているのに判断には使えないレポートが積み上がります。

3つのツールを並べてみると、公式ドキュメントに数値が書かれていない項目が少なくないことも見えてきました。Googleは上限を倍率で示し、月あたりの単純な回数では表現していません。だからこそ、比較記事の数字を写すのではなく、契約前に自分のアカウント画面で確認する運用が要ります。

まず着手するなら、依頼文のテンプレートを1つ作り、出てきたレポートを検証する担当を決めるところからです。テンプレートと検証手順が固まれば、ツールが変わっても運用は残ります。

AIを使える人材が社内にいない場合

調べ方の見当はついた。でも、出てきたレポートの裏を取り続ける人が社内にいない。

依頼文のテンプレートと検証手順をそろえても、それを毎回回す担当が空席のままでは、どのツールを選んでも同じ場所で止まってしまうのではないでしょうか。malnaでは、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。

調査業務のどこまでをAIに任せ、どこから人が確認するか。この線引きは業務ごとに違うため、実際の手順を見ながら決めるのが早道です。設計から一緒に進めたい場合は、お問い合わせからご相談ください。

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malnaブログ編集部

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