2026.09.28

AI

食品メーカーのAI活用|HACCP記録と規格書を整える書類の分け方

食品メーカーの事務所に積み上がる書類は、大きく2種類に分かれます。ひとつは衛生管理の手順書や記録、取引先から届く品質の質問票への回答といった、安全を示す書類です。もうひとつは商品規格書、商品の紹介文、営業の提案書といった、商品を売るための書類です。

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農林水産省の案内では、改正食品衛生法が令和3年6月1日に完全施行され、原則すべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組む必要があるとされています。衛生管理の計画と記録は、規模を問わず食品メーカーが備えておくべき書類になっています。

本記事では、この2種類の書類に分けて、食品メーカーがAIに下書きを任せやすい書類と、問い合わせ対応での線引き、人が判断すべき範囲、始め方を解説します。中小の食品メーカーの経営者、品質管理・営業・事務の担当者の方に向けた内容です。

安全の書類と販売の書類のどちらから手を付けるかは、いまどちらの締め切りに追われているかで決まります。malnaへの問い合わせで、手元で滞っている書類の種類を教えていただければ、そこから始め方を一緒に考えられます。

食品メーカーのAI活用は書類を2種類に分けて考える

食品メーカーでAIを使うなら、書類を「安全を示す書類」と「売るための書類」の2種類に分けて考えると、任せ方と確認の厳しさを決めやすくなります。

安全を示す書類は、中身の正しさがそのまま食品の安全と取引先の信頼につながります。AIに任せるのは形を整える下書きまでで、内容の確認は品質管理の担当者が行います。売るための書類は、表現の工夫の余地が大きい一方で、原材料や表示に関わる記載は安全の書類と同じ厳しさで確かめる必要があります。

書類の種類 主な書類 AIに任せる範囲 確認する人
安全を示す書類 衛生管理の手順書、記録の整理、取引先の質問票への回答 形を整える下書き 品質管理の担当者
売るための書類 商品規格書、商品紹介文、営業提案書 下書きと表現の案 営業と品質管理の担当者

安全を示す書類でAIに任せやすいこと

安全を示す書類では、手順書の文章化、記録の整理、取引先の質問票への回答の下書きが、AIに任せやすい仕事です。

安全を示す書類でAIに任せやすいこと

衛生管理の手順書を文章にする

厚生労働省は、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書を業種別に公開しており、事業者が衛生管理計画を作成し実施するための手がかりになっています。自社の工程に合わせて手順書を作る際、現場の担当者が口頭で説明した手順をAIに渡し、手引書の項目に沿った文章に整えさせる使い方ができます。

温度の基準や確認の頻度といった手順の中身は、自社の工程と手引書に照らして品質管理の担当者が決めます。AIの出番は、決めた内容を読みやすい文章に並べるところです。

参考:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(厚生労働省)

記録の整理と月次のまとめ

日々の温度や清掃の記録を、月ごとのまとめや社内会議の資料に整える作業にもAIを使えます。記録を渡して、確認できなかった日や基準から外れた記録を一覧に抜き出させれば、担当者が見るべき箇所を絞れます。

記録の数値そのものをAIに書き換えさせることはしません。記録は現場で取った事実なので、任せるのは並べ替えと抜き出しまでです。

取引先の質問票への回答の下書き

小売や卸の取引先からは、工場の衛生管理やアレルゲンの管理、原材料の産地などを尋ねる質問票が届きます。過去に提出した回答や自社の手順書を参考として渡せば、新しい質問票への回答の下書きを作らせることができます。

回答の中身は、自社の実際の運用と一致している必要があります。下書きを提出する前に、品質管理の担当者が一項目ずつ実態と照らし合わせます。

参考:改正食品衛生法の概要、HACCP手引書等について(農林水産省)

売るための書類でAIに任せやすいこと

売るための書類では、商品規格書の下書き、商品紹介文、営業提案書が、AIに任せやすい仕事です。

商品規格書の下書き

取引先ごとに様式が違う商品規格書では、同じ商品の情報を何度も書き写すことになります。自社で管理している商品情報の元データを渡して、取引先の様式の項目に合わせて並べ替えた下書きを作らせれば、書き写しの時間を減らせます。

原材料、アレルゲン、賞味期限、保存方法といった記載は、元データと一字一句照らし合わせて確認します。ここは売るための書類であっても、安全の書類と同じ厳しさで扱う部分です。

商品紹介文と営業提案書

商品の特徴、製法のこだわり、おすすめの食べ方をメモで渡せば、商品紹介文やカタログの文章、営業の提案書の下書きを複数の切り口で作れます。売り場や取引先の業態に合わせて言い回しを変える作業も、AIが得意とするところです。

効能や健康への効果をうたうような表現、根拠のない「日本一」「最高級」といった表現が紛れ込んでいないかは、公開や提出の前に必ず確かめます。表示に関わる判断に迷う場合は、所管の窓口や専門家に確認してください。

関連記事:飲食店のAI活用は文章仕事から|任せる3領域とルール・定着の決め方

問い合わせ対応での線引き

消費者や取引先からの問い合わせのうち、定型的なものはAIに返信の下書きを任せられますが、アレルギーや体調に関わる問い合わせは人が対応します。

購入できる店舗、賞味期限の見方、保存方法といった定型的な問い合わせは、社内のFAQや過去の回答を参照させれば、返信の下書きを素早く用意できます。担当者は内容を確かめて送るだけで済みます。

一方で、アレルギーに関する質問、食べたあとの体調の変化、異物の混入が疑われる申し出などは、AIの下書きに頼らず、社内で決めた対応手順に沿って担当者が直接対応します。こうした問い合わせは、受け付けた時点で人に回す流れを先に決めておくことが欠かせません。

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人が判断する範囲とAIに任せる範囲

食品メーカーでAIを使う場合でも、衛生の基準、原材料と表示の正しさ、安全に関わる問い合わせへの対応は、人が判断します。

書類・業務 AIに任せてよい範囲 人が判断する範囲
衛生管理の手順書 決めた手順を文章に整える 基準と頻度の決定
記録の整理 並べ替えと抜き出し 記録の数値、基準から外れたときの対応
取引先の質問票 過去の回答をもとにした下書き 実際の運用との照合
商品規格書 様式に合わせた並べ替え 原材料・アレルゲン・期限の確認
問い合わせ 定型的な問い合わせの返信下書き アレルギー・体調・異物に関する対応

安全の書類であればあるほど、AIの役目は形を整えるところまでにとどめます。書類の中身が事実と一致しているかを確かめる責任は、これまでどおり品質管理と営業の担当者が持ちます。

始めるときの3つの段取り

食品メーカーの書類にAIを使い始めるときは、元データをそろえる、1種類の書類で試す、確認する人を決める、の3つの段取りで進めると混乱が少なくなります。

始めるときの3つの段取り

商品情報の元データを1か所にそろえる

規格書や質問票の回答の下書きは、元になる商品情報が正しくそろっていて初めて役に立ちます。原材料、アレルゲン、期限、保存方法などの元データを、担当者の手元ではなく1か所で管理しておくことが最初の段取りです。

1種類の書類で試す

最初は、件数が多く、形がある程度決まっている書類を1種類だけ選んで試します。取引先ごとに様式の違う規格書の書き写しや、定型的な問い合わせの返信が向いています。

下書きを確認する人を書類ごとに決める

どの書類を誰が確認してから提出・送付するかを決めておきます。安全を示す書類と、原材料や表示に関わる記載は、品質管理の担当者が確認する書類として分けておきます。あわせて、顧客や取引先の情報をAIツールにどこまで入力してよいかも、この段階で決めておきます。

よくある質問

食品メーカーでAIを使うなら、最初にどの書類から試すのがよいですか?

取引先ごとに様式の違う商品規格書の書き写しや、定型的な問い合わせの返信のように、件数が多く形がある程度決まっている書類から試すのがよいでしょう。

HACCPの記録をAIで作ってもよいですか?

記録そのものは現場で取った事実であり、AIが数値を作ったり書き換えたりすることはしません。AIに任せるのは、記録を並べ替えて月次のまとめにする作業や、基準から外れた記録を抜き出す作業までです。

商品規格書をAIで作るときの注意点はありますか?

原材料、アレルゲン、賞味期限、保存方法といった記載は、元データと一字一句照らし合わせて確認します。売るための書類であっても、この部分は安全の書類と同じ厳しさで扱います。

アレルギーに関する問い合わせにAIを使えますか?

アレルギーや体調の変化、異物の混入が疑われる申し出などは、AIの下書きに頼らず、社内で決めた対応手順に沿って担当者が直接対応します。受け付けた時点で人に回す流れを先に決めておきます。

まとめ

食品メーカーのAI活用は、衛生や原材料の判断ではなく、安全を示す書類と売るための書類の下書きから始めるのが現実的です。手順書の文章化や記録の整理、取引先の質問票、商品規格書、商品紹介文はAIに下書きを任せ、衛生の基準、原材料と表示の正しさ、安全に関わる問い合わせは人が判断するという線を保ったまま進めましょう。

1週間に作っている書類を「安全」と「販売」の2つに仕分けてみると、どちらから手を付けるべきかが見えてきます。仕分けた一覧をmalnaへの問い合わせに添えていただければ、具体的な使い方の話から入れます。

AIを使える人材が社内にいない場合

安全と販売で書類を分ける考え方はつかめた。でも、品質管理と営業の間に立って使い方をそろえる人が社内にいない。

部署をまたぐ書類の流れほど、誰が整えるのかが決まらないまま日々の業務に埋もれがちです。malnaでは、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。

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執筆者情報

malnaブログ編集部

writer malnaブログ編集部 webマーケター / データアナリスト
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