2026.10.05
BtoCのリードナーチャリングとは?購入につなげる方法を解説
リードナーチャリングはBtoBの手法と受け取られがちです。けれども個人のお客様を相手にするBtoCにも、会員登録やメールマガジンの登録、カートへの商品追加をしたまま、購入の手前で止まっている見込み客がたくさんいます。何も届けずにいれば、その人たちは他社の商品へ流れていきます。

目次
とはいえ、BtoBのやり方をそのまま持ち込んでもかみ合いません。意思決定の仕方も、検討期間も、見込み客の数も違うからです。ここでは、BtoCのリードナーチャリングを、商材の検討期間で選ぶ育成の型、シナリオの作り方、配信の前に必要な同意と表示のルールに分けて解説します。
想定している読者は、個人向けの商品やサービスを扱い、登録してくれた見込み客を購入につなげたいマーケティング担当者の方です。
自社の商材がどの育成の型に当たるかを考えるところからでも、malnaのナーチャリング支援で話を始められます。
BtoCのリードナーチャリングとは、購入前の見込み客を購入まで育てる活動です
BtoCのリードナーチャリングとは、商品やサービスに興味を示した個人の見込み客に、検討の段階に合った情報を届けて、購入や契約へ進んでもらう活動です。
BtoCの見込み客にあたるのは、会員登録をした人、メールマガジンやメッセージアプリの配信に登録した人、資料請求や来店予約をした人、カートに商品を入れたまま購入していない人などです。どの人も、連絡先か行動の記録が手元にあり、まだ購入には至っていません。
BtoBとBtoCのリードナーチャリングの違い
BtoBとBtoCのリードナーチャリングは、見込み客を購入まで育てる目的こそ同じですが、意思決定の仕方、検討期間、見込み客の数、育成を担う主体が違います。
| 観点 | BtoB | BtoC |
|---|---|---|
| 意思決定 | 複数の担当者と決裁者が関わる | 本人や家族が決める |
| 検討期間 | 数か月以上になることが多い | 商材によって短いものから長いものまで幅がある |
| 見込み客の数 | 比較的少ない | 多い |
| 育成を担う主体 | マーケティングと営業が分担する | 配信の仕組みが中心になる |
意思決定が個人で完結する
BtoCでは、買うかどうかを本人や家族が決めます。社内の稟議のような段階がないので、届けた情報が響けば、その場で購入まで進むこともあります。
だからこそ、比較に要る情報をまとめて届けることと、購入の手続きでつまずかせないことが成果を左右します。
見込み客の数が多い
BtoCの見込み客は、BtoBより数が多くなりがちです。営業担当者が一人ひとりに連絡する形は現実的ではなく、見込み客の状態や行動に合わせて自動で情報を届ける配信の仕組みが育成の中心になります。
検討期間が商材によって大きく違う
BtoCの商材には、日用品のように思い立ってすぐ買うものもあれば、住宅や自動車のように何か月もかけて選ぶものもあります。検討期間が違えば、育成の進め方もまるで変わります。
商材の検討期間で育成の型を選びます
BtoCのリードナーチャリングは、商材の検討期間に応じて、比較の材料を届ける型、購入のきっかけを届ける型、お試しから継続につなげる型の3つから選ぶと設計しやすくなります。

検討期間が長い商材は比較の材料を届けます
住宅、自動車、習い事や教育サービスのように、価格が高く検討期間の長い商材では、見込み客は時間をかけて情報を集め、比べてから決めます。届けるのは、選び方の解説、費用の内訳、購入までの流れ、利用者の声といった比較の材料です。
資料請求や見学予約から購入までの期間が長いので、配信の間隔を空けすぎず、検討が進むにつれて内容を切り替えていきます。
検討期間が短い商材は購入のきっかけを届けます
日用品、食品、衣料品のように検討期間の短い商材では、見込み客は思い立ったときに買います。届けるのは、カートに商品を入れたまま離れた人への案内、見ていた商品の再入荷のお知らせ、季節に合わせた提案など、購入のきっかけになる情報です。
勝負はタイミングにあるため、見込み客の行動をきっかけにした配信を軸に組み立てます。
継続利用を前提とする商材はお試しから定着までを支えます
定期購入やサブスクリプション、スクールのように使い続けてもらう前提の商材では、無料体験やお試しの利用者を本契約へつなげることが育成の目的です。届けるのは、使い方の案内や、続けた先にどんな変化があるかを伝える情報です。
本契約のあとも使い方の案内を続けると、始めてすぐの解約を減らすことにもつながります。
育成シナリオの作り方
育成シナリオは、見込み客の状態を定義する、状態ごとに届ける情報を決める、行動をきっかけにした配信を組む、購入後の扱いを決める、の4つの手順で作ります。
手順1|見込み客の状態を定義する
最初に、見込み客がどの段階にいるかを見分ける基準を決めます。登録しただけ、商品ページを何度か見ている、カートに入れた、購入した、といった分け方です。
状態は、手元のデータで判定できるもので定義します。判定できない状態をいくら細かく決めても、配信には使えません。
手順2|状態ごとに届ける情報を決める
次に、それぞれの状態の見込み客が何を知りたいかを考え、届ける情報を決めます。登録したばかりの人には商品やサービスの全体像を、比べている人には選び方や費用を、購入を迷っている人には手続きの流れやよくある疑問への答えを、という具合です。
全員に同じ情報を送るのではなく、状態に合わせて中身を変える。ナーチャリングの土台はここにあります。
手順3|行動をきっかけにした配信を組む
見込み客の行動を合図に配信が始まる仕組みを組みます。登録の直後、特定のページを見た後、カートに入れたまま一定の時間がたった後などが合図になります。
決まった日に全員へ送る配信と組み合わせれば、関心が高まった瞬間を逃しにくくなります。
手順4|購入後の扱いを決める
購入した人を育成の配信からどう外すかも、あらかじめ決めておきます。買ったあとも購入を促す配信が届き続けると、配信の停止を招きかねません。
購入後は、使い方の案内や関連する商品の紹介など、購入者向けの配信へ切り替えます。
検討期間が長い商材のシナリオ例
4つの手順を、資料請求を受け付けている検討期間の長い商材に当てはめると、次のような流れになります。日数や回数は一例で、自社の商材の検討期間に合わせて決めます。
| 合図 | 見込み客の状態 | 届ける情報の例 |
|---|---|---|
| 資料請求の直後 | 情報を集め始めた | 資料のお礼と、資料の読みどころ |
| 数日後 | 全体像をつかんだ | 選び方の解説と、比べるときの観点 |
| 料金ページの閲覧後 | 費用を気にしている | 費用の内訳と、支払い方法の案内 |
| 見学予約のページを開いて離れた後 | 申し込みを迷っている | 見学の流れと、当日に聞けること |
| 購入または契約の後 | 購入者になった | 利用開始までの手続きの案内 |
表の合図は、どれも手元のデータで判定できるものにしています。料金ページを見たかどうか、予約のページで離れたかどうかが取れない環境なら、取れる合図に置き換えます。
検討期間が短い商材のシナリオ例
日用品や食品のように検討期間が短い商材では、合図からの間隔を短くし、配信の数を絞ります。
| 合図 | 見込み客の状態 | 届ける情報の例 |
|---|---|---|
| 会員登録の直後 | 店を知ったばかり | 送料や返品の条件など、買う前に気になる点 |
| カートに入れて購入せずに離れた後 | 購入を迷っている | カートの中身と、購入手続きへの案内 |
| 閲覧した商品の再入荷 | 欲しい商品がなかった | 再入荷のお知らせ |
| 初回の購入の後 | 購入者になった | 使い方や保存方法の案内 |
価格の割引を案内に含める場合は、景品表示法の有利誤認表示にあたらないよう、割引の条件や期間を案内の中に明記します。
参考:有利誤認表示(消費者庁)

登録の入口で集める情報を決めます
育成のシナリオは、登録の入口でどんな情報を集めたかで組める範囲が決まります。集める項目を増やしすぎると登録をためらわれるため、シナリオに使う項目だけに絞ります。
連絡先と配信への同意
メールアドレスや電話番号などの連絡先と、広告や宣伝を含む配信への同意は、どのシナリオでも欠かせません。同意の取り方と記録の残し方は、後の見出しで取り上げます。
シナリオの分岐に使う項目
検討期間の長い商材では、検討を始めた時期や、購入を考えている時期を登録時に尋ねると、配信の間隔を見込み客ごとに変えられます。興味のある商品の種類を尋ねておけば、届ける比較の材料を絞り込めます。
反対に、シナリオで使わない項目は尋ねないようにします。使い道のない項目は、登録の手間を増やすだけです。
行動の記録
サイトでの閲覧やカートの操作など、見込み客の行動を記録できる状態にしておくと、行動をきっかけにした配信が組めます。登録した見込み客と行動の記録を結び付けられるかは、使っている会員管理や配信の仕組みによって変わるため、シナリオを作る前に確かめておきます。
見込み客を分けるときの切り口
BtoCでは見込み客の数が多いため、全員に同じ内容を送るのではなく、いくつかのグループに分けて届ける内容を変えます。分けるときの切り口は、検討の段階、関心のある商品、最後に動いた時期の3つが基本です。
検討の段階で分ける
登録しただけの人、比べている人、購入を迷っている人では、知りたいことが違います。育成シナリオの手順1で定義した状態を、そのままグループの分け方に使います。
関心のある商品で分ける
閲覧した商品のカテゴリや、登録時に選んでもらった関心のある分野でグループを分けると、届ける比較の材料やきっかけの情報を絞り込めます。関心と関係のない商品の案内が続くと、配信の停止につながりやすくなります。
最後に動いた時期で分ける
最後にサイトを訪れた日や、最後にメールを開いた日からの経過で分けると、反応の薄くなった見込み客を見分けられます。しばらく動きのない人には、新しい商品の案内を重ねるより、配信を続けてよいかを尋ねたり、頻度を落としたりするほうが、関係を保ちやすくなります。
| 切り口 | 分け方の例 | 変えるもの |
|---|---|---|
| 検討の段階 | 登録のみ、比較中、購入を迷っている | 届ける情報の種類 |
| 関心のある商品 | 商品のカテゴリ、登録時に選んだ分野 | 紹介する商品 |
| 最後に動いた時期 | 直近に動いた人、しばらく動きのない人 | 配信の頻度と内容 |
グループを細かく分けすぎると、グループごとの文面を作る手間が増え、運用が回らなくなります。1つのグループに入る人数が少なすぎると、成果の数字も比べにくくなります。最初は3つの切り口のうち1つだけを使い、効果を見てから組み合わせていきましょう。
届ける文面の作り方
配信の仕組みを整えても、届ける文面が読まれなければ育成は進みません。BtoCの見込み客は、仕事の合間ではなく、自分の生活の中で通知やメールを受け取ります。短い時間で要点が伝わる文面にします。
1通で伝えることを1つに絞る
1通の中に、新商品、セール、使い方の案内を詰め込むと、どれも読まれにくくなります。スマートフォンの小さな画面では、最初に目に入る部分で用件が伝わらなければ、その先は読まれません。その見込み客の状態で知りたいことを1つ選び、それに合う行動の案内を1つだけ置きます。
件名や冒頭で中身が分かるようにする
メールの件名や、メッセージアプリの通知に表示される冒頭の部分で、何についての知らせなのかが分かるようにします。開くかどうかは、ここで決まります。
価格や条件の表示に気を付ける
割引や期間限定の案内を入れるときは、適用の条件や期間を文面の中に書きます。前の見出しで触れたとおり、条件を示さずに有利さだけを強調すると、景品表示法の有利誤認表示にあたるおそれがあります。
配信チャネルの選び方
BtoCのリードナーチャリングで使う配信チャネルは、メール、メッセージアプリ、ショートメッセージ、アプリの通知、広告などです。見込み客がふだん使っている手段と、届けたい情報の量で選びます。
| チャネル | 向いている情報 | 注意点 |
|---|---|---|
| メール | 比較の材料など、まとまった情報 | 開封されずに終わることがある |
| メッセージアプリ | 短い案内やきっかけになる情報 | 配信の登録をしてもらう必要がある |
| ショートメッセージ | 予約の確認など、確実に届けたい連絡 | 短い文面に収める必要がある |
| アプリの通知 | 自社アプリの利用者への案内 | アプリを入れている人にしか届かない |
| 広告 | 連絡先のない閲覧者への再接触 | 配信の条件は広告媒体の規定に従う |
1つのチャネルに頼るより、情報の量に応じて組み合わせたほうが、見込み客に届く機会は増えます。
個人情報の利用目的を示す
見込み客の連絡先や行動の記録は個人情報にあたるため、メールの配信の同意とは別に、個人情報保護法のルールにも沿って扱います。とくに、何に使うのかを本人に示すことが基本です。
利用目的を通知または公表する
個人情報保護法第21条は、個人情報を取得した場合、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知し、または公表しなければならないと定めています。会員登録やメールマガジンの登録の画面で、取得した情報を商品の案内やおすすめの配信に使うことを示しておきましょう。
書面で直接取得するときは明示する
同じ条文の第2項は、契約書などの書面(電磁的記録を含む)に記載された本人の個人情報を本人から直接取得する場合は、あらかじめ利用目的を明示しなければならないとしています。登録のフォームに入力してもらう場合も、送信の前に目に入る位置に利用目的を書いておくと安心です。
利用目的を変えるとき
同条第3項は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的を本人に通知し、または公表しなければならないとしています。育成の配信に、もともと示していなかった使い方を加えるときは、この点を確かめます。判断に迷う場合は、社内の法務の担当者や専門家に相談しましょう。
配信前に押さえる同意と表示のルール
BtoCで広告や宣伝を含むメールやショートメッセージを送るには、特定電子メール法に基づき、あらかじめ受信者の同意を得ること、同意の記録を保存すること、決められた事項を表示すること、受信拒否に応じることが求められます。
あらかじめ同意を得る
総務省と消費者庁のパンフレット(2018年7月版)によると、特定電子メール法では、原則としてあらかじめ同意した人にだけ広告宣伝メールを送れるオプトイン方式が導入されています。対象には電子メールのほか、電話番号で送受信するショートメッセージも含まれます。
会員登録やメールマガジンの登録画面で、広告や宣伝を含む配信を行うことを分かりやすく示し、同意を得ておきましょう。
同意の記録を保存する
同法では、同意を得たことを示す記録の保存が求められます。保存期間は、その記録に関わる広告宣伝メールを最後に送った日から1か月です。
さらに、通信販売の電子メール広告にあたる場合は、特定商取引法に基づいて、請求や承諾があったことを示す記録を3年間保存する必要があります。消費者庁の特定商取引法ガイドは、この期間を最後に電子メール広告を送った日から3年間としています。詳しくは後の見出しで取り上げます。
送信者の情報と受信拒否の方法を表示する
広告宣伝メールには、送信者の氏名または名称、受信拒否の通知ができる旨、受信拒否の通知を受けるためのメールアドレスまたはURLなどを表示します。送信者の住所や、苦情や問い合わせを受け付ける連絡先も表示の対象です。
受信拒否に応じる
同意をもらった相手でも、受信拒否の通知を受けたあとは、原則として広告宣伝メールを送れません。停止の手続きを分かりやすくしておくことは、法令を守るためだけでなく、見込み客との関係を壊さないためにも役立ちます。
参考:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント(総務省・消費者庁)


成果を測る指標
BtoCのリードナーチャリングの成果は、見込み客から購入に進んだ割合、購入までにかかった日数、配信の停止の割合の3つを軸に測ります。
見込み客から購入に進んだ割合
登録した見込み客のうち、決めた期間内に購入した人の割合を測ります。育成の型や状態ごとに分けて測れば、どのシナリオが購入につながっているかが見えてきます。
購入までにかかった日数
登録から購入までの日数を測ります。検討期間の長い商材なら、この日数が縮んでいるかどうかで、届けている情報が検討を後押ししているかを判断できます。
配信の停止の割合
配信を停止した人や、メッセージアプリで配信を止めた人の割合を測ります。割合が高いときは、配信の頻度か内容が見込み客の期待とずれていないかを点検します。
通信販売の案内には特定商取引法も関わる
インターネットで商品を売る通信販売の事業者が、商品の案内をメールで送る場合は、特定電子メール法に加えて、特定商取引法の決まりも関わります。消費者庁の特定商取引法ガイドは、通信販売の規制として電子メール広告と申込みの画面の表示を挙げています。
承諾のない相手への電子メール広告は原則禁止
特定商取引法ガイドによると、消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者が電子メール広告を送ることは原則として禁止されています。承諾や請求を受けた場合は、最後に電子メール広告を送った日から3年間、その記録を保存する必要があります。この規制は、通信販売の事業者だけでなく、電子メール広告の送信を受託した事業者も対象です。
規制の対象外になる広告
同ガイドは、契約の成立や注文確認、発送の通知などに付随した広告や、消費者の請求や承諾を得て送るメールマガジンに付随した広告などを、規制の対象外として挙げています。購入後の案内に関連商品の紹介を添える場合などが、これにあたるかを確かめます。
申込みの最終確認画面の表示
育成の配信から購入の画面に進んでもらうときは、申込みの画面の表示にも気を付けます。同ガイドは、インターネットの通信販売で申込みを受ける最終確認画面に、分量、販売価格と送料、支払いの時期と方法、引渡しの時期、申込みの期間の定めがあるときはその内容、申込みの撤回や解除に関する事項を表示するよう定めているとしています。配信の文面で案内した価格や条件と、最終確認画面の表示がそろっているかも確かめておきましょう。
反応の薄くなった見込み客への向き合い方
育成を続けると、登録したまま長く反応のない見込み客が増えていきます。配信を止めるか続けるかを決めずに送り続けると、配信の停止の割合が上がり、届けたい人にも届きにくくなります。
呼び戻しの配信を一度だけ送る
しばらく反応のない見込み客には、新しい商品の案内ではなく、今も配信を受け取りたいかを尋ねる内容や、登録したときの関心に合う情報をまとめた内容を一度だけ送ります。反応があれば育成のシナリオに戻し、反応がなければ配信の頻度を落とします。
配信の対象から外す基準を決める
一定の期間、配信を開かず、サイトにも来ていない見込み客を、通常の配信の対象から外す基準を決めておきます。基準を決めておけば、担当者の感覚で外したり外さなかったりすることを防げます。外した見込み客も削除はせず、新しい関心を示す行動があれば、もう一度育成のシナリオに戻せるようにしておきます。
育成を回す社内の体制
BtoCのリードナーチャリングは、配信の仕組みを作って終わりではなく、文面の更新、グループの見直し、成果の確認を続ける必要があります。誰が何を担うかを決めておきましょう。
| 役割 | 担うこと |
|---|---|
| 設計の担当 | 見込み客の状態とシナリオの見直し |
| 文面の担当 | 配信の文面と案内する情報の更新 |
| 仕組みの担当 | 配信の設定、行動の記録、同意の記録の管理 |
| 商品の担当 | 新商品や価格の変更の共有、文面の事実確認 |
少人数の会社では、1人が複数の役割を兼ねてかまいません。ただし、価格や条件の変更が配信の文面に反映されないまま送られることのないよう、商品の担当から変更を知らせてもらう流れだけは決めておきます。
改善の進め方
育成の成果を上げるには、配信を一度作って終わりにせず、1つずつ変えて結果を比べます。
変えるのは1回に1か所
件名と送る時間と内容を同時に変えると、何が効いたのかが分かりません。1回の比較で変えるのは1か所に絞ります。
比べる指標を先に決める
件名を変えたなら開封、案内の内容を変えたなら購入に進んだ割合、というように、変えた場所に合わせて比べる指標を先に決めておきます。比べる2つのグループには、同じ時期に、同じ条件の見込み客を分けて送ります。時期がずれると、季節や曜日の違いが結果に混ざるからです。購入の数まで追うと、開封は増えたのに購入は増えていない、という見落としを防げます。
結果を記録して次に生かす
比べた内容と結果を、日付と一緒に記録しておきます。うまくいかなかった比較も消さずに残しておくと、同じ試みを繰り返さずに済みます。記録がたまれば、自社の見込み客に響く件名や内容の傾向が見えてきます。
購入した後の育成につなげる
BtoCのリードナーチャリングは、購入で終わりではありません。購入した人を、2回目の購入や継続の利用につなげる育成に切り替えると、見込み客を集める費用をかけずに売上を積み上げられます。
購入の直後は使い方を届ける
購入の直後は、新しい商品を勧めるより、買った商品の使い方や手入れの方法を届けます。使いこなせずに終わった人は、次の購入に進みにくいからです。継続利用を前提とする商材では、この段階の案内が早い解約を防ぐことにもつながります。
次の購入のきっかけは時期に合わせる
消耗品なら使い切る頃、季節の商品なら季節の変わり目と、次に必要になる時期に合わせて案内を届けます。早すぎる案内は売り込みに、遅すぎる案内は他社への乗り換えのきっかけになりかねません。購入した商品と日付の記録があれば、行動をきっかけにした配信と同じ仕組みで組めます。
口コミやレビューを頼むときの注意
購入した人に口コミやレビューを頼む場合は、表示の決まりに気を付けます。消費者庁は、令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反になるとし、規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものだとしています。お礼の品などと引き換えに投稿を頼む場合などは、広告であることが分かるかどうかを確かめ、判断に迷うときは専門家に相談しましょう。
参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります(消費者庁)
配信の仕組みを選ぶときに確かめること
BtoCの育成に使う配信の仕組みを選ぶときは、使いたい配信チャネルに対応しているか、行動の記録を配信の合図に使えるか、同意の記録を残せるか、見込み客の数が増えたときに費用がどう変わるか、の4点を確かめます。
| 確かめる点 | 理由 |
|---|---|
| 使いたい配信チャネルへの対応 | メールだけか、メッセージアプリやアプリの通知も使えるか |
| 行動の記録を合図に使えるか | カートやページの閲覧をきっかけにした配信を組めるか |
| 同意の記録を残せるか | 特定電子メール法と特定商取引法の記録の保存に対応できるか |
| 数が増えたときの費用 | 登録者数や配信数で料金が変わる仕組みか |
とくに4点目は見落としやすい点です。BtoCは見込み客の数が多くなりやすいため、登録者数や配信数に応じて料金が上がる仕組みでは、育成がうまくいくほど費用もかさみます。数が増えたときの料金を、契約の前に試算しておきましょう。
BtoCの育成でつまずきやすい点
BtoCのリードナーチャリングでつまずきやすいのは、送りすぎること、全員に同じものを送ること、購入した人にも購入を勧め続けること、開封の数だけで成果を判断すること、の4つです。
送りすぎる
配信の数を増やせば購入が増えるとは限りません。頻度が高すぎると配信の停止が増え、届けられる見込み客そのものが減っていきます。配信の停止の割合を毎回確かめ、上がり始めたら頻度を見直します。
全員に同じものを送る
見込み客をグループに分けずに同じ内容を送ると、多くの人にとって関係の薄い案内になります。最初は1つの切り口だけでもよいので、グループを分けて送りましょう。
購入した人にも購入を勧め続ける
購入の記録が配信の仕組みに反映されないと、すでに買った人に同じ商品の購入を勧める配信が届きます。購入した人を育成の配信から外す設定は、仕組みを作るときに最初に確かめておきます。
開封の数だけで判断する
開封の数が増えても、購入に進んでいなければ育成の成果とはいえません。開封は文面の改善の目安として使い、育成の良し悪しは購入に進んだ割合と購入までの日数で判断します。この2つは、成果を測る指標の見出しで挙げたものと同じです。
よくある質問
BtoCのリードナーチャリングについてよく挙がる疑問をまとめます。
BtoCでもリードナーチャリングは必要ですか
購入の手前で止まっている見込み客がいるなら必要です。会員登録やカートへの商品追加をした人に何も届けなければ、他社の商品に流れてしまいます。検討期間の長い商材ほど、育成の効き目が表れやすくなります。
BtoCのリードナーチャリングにMAツールは必要ですか
見込み客の数が多く、行動をきっかけにした配信を組むなら、配信を自動化できるツールがあると運用が楽になります。見込み客がまだ少ないうちは、メール配信の機能だけで始めることもできます。
メールマガジンの登録者に広告を送るには同意が必要ですか
必要です。特定電子メール法では、原則としてあらかじめ同意した人にだけ広告宣伝メールを送れます。登録画面で、広告や宣伝を含む配信を行うことを分かりやすく示して同意を得ておきましょう。
配信の頻度はどのくらいが適切ですか
一律の正解はなく、配信の停止の割合を見ながら調整します。停止が増えたら、頻度を下げるか、見込み客の状態に合った内容になっているかを見直します。検討期間の短い商材では、合図のない定期配信を減らすのも一つの方法です。
まとめ
BtoCのリードナーチャリングは、会員登録やカートへの商品追加をしたまま、購入の手前で止まっている見込み客を購入まで育てる活動です。BtoBとは意思決定の仕方も見込み客の数も検討期間も違うため、配信の仕組みを中心に組み立てます。
育成の進め方は、商材の検討期間に合わせて、比較の材料を届ける型、購入のきっかけを届ける型、お試しから継続につなげる型から選びます。配信を始める前には、特定電子メール法に基づく同意の取得、記録の保存、表示の義務を押さえておきましょう。
手始めに、自社の見込み客を、登録しただけの人、比べている人、購入を迷っている人といった状態に分け、それぞれ何人いるかを数えてみてください。
シナリオの表ができあがり、配信の仕組みに載せる段になって迷うことがあれば、お問い合わせでその先の進め方を話し合えます。
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