BtoCマーケティング手法の選び方|商材4条件から施策を決める実務手順

BtoCマーケティングの手法を調べると、SNS、コンテンツ、広告、メールといった顔ぶれが、どの記事でもほぼ同じ順番で並んでいます。読み終えても手元に残るのは名前の一覧で、では自社は何から始めるのかという問いには答えが出ません。

目次

つまずくのは手法を知らないからではなく、選ぶ基準を持っていないからです。同じSNS運用でも、5,000円の日用品と30万円の中古車では、期待できる役割も投じられる費用も別物になります。手法の一覧は、商材の条件を通さないと使えません。

本記事では、BtoCマーケティングの手法9つを一覧で整理したうえで、単価と購買頻度、検討期間、在庫という4つの商材条件から施策の優先順位を決める手順を扱います。媒体選定の根拠となる公的統計、法規制で先に押さえるべき点、効果測定の単位までを、出典を確認できた情報だけで組み立てました。

自社の商材でどの手法から着手すべきか判断がつかない段階でしたら、戦略の設計から実行、社内への定着までを伴走してきた立場でご相談を承ります。検討の入口から相談することができます。

BtoCマーケティングの手法とは、個人の購買を動かすために使う打ち手の型です

BtoCマーケティングの手法とは、企業が個人の消費者に向けて、認知から購入、再購入までのどこかを動かすために使う打ち手の型です。手法そのものに優劣はなく、商材と顧客の条件によって効く場所が変わります。まずは代表的な9つを、担う役割と向く商材の傾向で並べて全体像を掴んでください。

手法 主に動かす段階 向きやすい商材の傾向 中心となる指標
検索連動型広告 購入直前 需要が言語化されている商材 購入単価、購入数
ディスプレイ広告 認知から比較 想起で選ばれる日常消費財 到達人数、指名検索数
SNS広告 認知から購入 見た目や利用シーンが伝わる商材 到達人数、購入数
SNSアカウント運用 認知から再購入 世界観や使い方の共有が効く商材 保存数、指名検索数
インフルエンサー施策 認知から比較 第三者の体験談が判断材料になる商材 到達人数、口コミ数
SEOとコンテンツ 比較から購入直前 検討時に調べ物が発生する商材 検索流入数、購入数
口コミとレビュー 比較から購入直前 品質のばらつきが不安になる商材 レビュー件数、評価点
メールとLINE配信 再購入 購入頻度が高く在庫が続く商材 開封率、再購入率
会員制度とポイント 再購入 同じ顧客が繰り返し買う商材 会員数、1人あたり売上

9つのうち自社に必要なものは、多くの場合3つから4つです。すべてを同時に立ち上げようとすると、どの手法も検証に足る量を回せないまま止まります。手法は増やす方向ではなく、外す方向で決めると考えたほうが実務は進みます。

手法と施策は、抽象度の違う言葉です

手法と施策は、指している階層が違います。手法は打ち手の型を指す言葉で、施策はその型を自社の条件に当てはめて実行する単位を指します。検索で両方の言葉が使われるのは、読み手が知りたい粒度が人によって違うためです。

言葉 指すもの
手法 打ち手の型 SNS広告
施策 実行の単位 新商品の発売に合わせた1か月の動画配信
戦術 施策の中の運び方 訴求別に3パターンを作って比較する

会議で話が噛み合わないときは、この階層がずれていることが多くあります。上司が手法の話をしているのに担当者が入稿設定の話をしていれば、判断は前に進みません。議題がどの階層の話かを最初に言葉にしておくだけで、議論の空転は減ります。

検索するときも、手法という言葉で調べる人は打ち手の全体像を知りたい段階にあり、施策という言葉で調べる人は明日から動かす単位を探している段階にあります。同じテーマでも必要な情報の粒度は違うため、社内で共有する資料も分けたほうが伝わります。全体像は1枚の一覧に、実行の単位は日程と担当が入った計画に落とす形です。

手法を増やしても成果が積み上がらないのは、検証量が足りなくなるためです

手法を増やすと成果が積み上がらなくなるのは、1つあたりに回せる検証量が減るためです。月の予算が同じままで手法を3つから6つに増やせば、単純計算で1手法あたりの量は半分になります。

反応の差が本物なのか偶然の揺れなのかを見分けるには、一定の量が必要です。量が足りない状態では、良い数字も悪い数字もその月かぎりの偶然と区別できません。結果として、判断できない報告が並び、翌月も同じ手法を同じ量で続けることになります。

もう1つの制約は人の時間です。手法ごとに媒体の仕様、入稿の形式、確認の観点が違うため、担当者が把握しなければならない範囲が手法の数に応じて広がります。手法の上限は予算ではなく、担当者が毎月確認しきれる範囲で決まるという見方をしたほうが、実際の運用に近い判断ができます。

BtoCで手法選択の順番が変わるのは、購買の意思決定構造が違うためです

BtoCとBtoBで使える手法の顔ぶれは、実はそれほど変わりません。変わるのは、どの手法を先に立ち上げるかという順番です。理由は購買の意思決定構造にあり、関与の度合い、検討期間、意思決定者の数、単価と回収期間という4点が、着手順を左右します。

意思決定者が1人だから、説得より想起が先に効きます

BtoCの購買では、意思決定者が本人1人であることがほとんどです。上司の承認や稟議書を経由しないため、比較検討の資料を丁寧に積み上げても、そこに至る前に選択が終わっていることがあります。

BtoBで有効な、資料で論点を潰していく手法が同じ強さで効かないのはこのためです。代わりに効くのは、買おうと思った瞬間に自社が思い浮かぶ状態をつくる手法になります。日用品や食品なら、店頭やアプリの棚を見た数秒で勝負が決まっているはずです。この数秒に間に合わせるには、検討が始まる前から名前が入っている必要があります。

BtoB側の意思決定構造や、組織の合意形成を前提とした手法の組み立ては、別の記事で整理しています。

関連記事:【保存版】BtoBマーケティングとは?基礎から戦略・手法、成功のプロセスまで徹底解説

検討期間が短い商材は、育成より受け皿を先に整えます

検討期間が数分から数日で終わる商材では、見込み客を育てる手法の出番が後ろに下がります。育成に数週間かける前に、購買のタイミングが過ぎてしまうためです。

先に整えるべきは受け皿の側です。買おうと思った人が検索したときに自社が出てくるか、商品ページで疑問が残らないか、決済まで詰まらずに進めるか。ここに穴があると、認知を広げる手法にいくら費用を投じても取り逃がします。逆に検討期間が数か月に及ぶ商材、たとえば住宅や自動車、資格講座などでは、途中で離れた人を呼び戻す手法の価値が上がります。

自社の検討期間を測るときは、初めて接触した日から購入日までの日数を、実際の購入者に聞くのが確実です。会員登録日と初回購入日の差を集計する方法でも近い値が取れます。検討期間の実測値を持たないまま手法を選ぶと、育成施策の必要性を判断できません

単価が低いと、1件あたりに使える費用の上限が先に決まります

単価が低い商材では、獲得1件あたりに使える費用の上限が計算で先に決まります。初回購入の粗利を超える費用をかければ、その1件は赤字で終わります。

このため、単価が低い商材では手法の選択が費用構造に強く縛られます。1件あたりの許容額が数百円の水準になると、人の手数がかかる手法は成立しません。逆に、初回は赤字でも数回の再購入で回収できる商材なら、初回獲得に多めの費用をかける判断が成り立ちます。この違いを言葉にせずに手法を選ぶと、途中で費用が合わなくなって撤退することになります。

条件 1件あたりの許容額の考え方 成立しやすい手法
初回で回収する 初回粗利の範囲内 検索連動型広告、SEO
数回で回収する 想定回数分の粗利の範囲内 SNS広告、配信施策との組み合わせ
回収期間を決めていない 判断できない 費用の上限が定まらず継続が難しい

関与度が低い商材では、比較されないまま選ばれます

購買への関与度が低い商材は、比較検討という段階をほとんど踏まないまま選ばれます。消費者が自分の判断を意識していないため、比較表を用意しても読まれません。

このタイプでは、目に触れる回数と置かれている場所が結果を左右します。手法としては、到達量を確保する広告と、棚や検索結果での見つかりやすさを高める打ち手が中心です。一方で関与度が高い商材では、調べる行動が確実に発生します。ここではSEOやコンテンツ、レビューといった、調べたときに答えがある状態をつくる手法が効きます。関与度の高低は、調べる行動が起きるかどうかで判別できます

自社の商材がどちらなのかを決めるときは、想像ではなく実際の検索量を見てください。商品名やカテゴリ名で検索されている量が少なければ、調べる行動そのものが起きていない可能性があります。その状態でコンテンツを増やしても、読まれる母数が育つまで時間がかかります。

接点が多いため、どの手法が効いたのかを切り分けにくくなります

BtoCの購買では、購入までに通る接点が多く、どの手法が効いたのかを1つに特定できません。テレビで見た商品を店頭で思い出し、スマートフォンで検索してレビューを読み、後日アプリの通知で購入するといった経路が普通に起こります。

BtoBのように商談の記録が残る仕組みがないため、貢献を厳密に配分する作業は現実的ではありません。実務では、手法ごとに単独で測れる範囲を決め、それ以外は期間を区切った全体の増減で見る形に落ち着きます。ここを曖昧にしたまま各手法の担当者が別々の数字を持ち寄ると、合計が実際の売上と合わない報告になるのが典型です。貢献の切り分けは諦める前提で、全体の増減を見る指標を1つ決めておくほうが判断は速くなります。

使う手法は、商材の4条件から絞り込めます

BtoCで使う手法は、単価、購買頻度、検討期間、在庫や提供枠の制約という4条件を並べると絞り込めます。手法の名前から入るのではなく、自社の商材がこの4条件のどこに位置するかを先に決めてください。

条件 確認する内容 手法選択に与える影響
単価 1回の購入金額 1件あたりに使える費用の上限が決まる
購買頻度 同じ人が年に何回買うか 再購入の手法に投じる価値が決まる
検討期間 認知から購入までの日数 育成の手法が必要かどうかが決まる
在庫と提供枠 供給に上限があるか 需要を増やす手法の上限が決まる

4条件のうち、実務で見落とされやすいのは在庫と提供枠です。予約制のサービスや生産量に限りがある商品では、需要を増やす手法を強めても提供できず、機会損失と待たせた分の不満が同時に生まれます。ここからは組み合わせの代表的な3パターンを見ていきます。

単価が低く購買頻度が高い商材は、再購入の手法から組みます

単価が低く購買頻度が高い商材では、再購入を扱う手法から先に組んだほうが費用の効率が上がります。1回の粗利が小さいため、新規獲得だけで採算を合わせるのが難しいからです。

具体的には、購入者に届く配信の経路を先に確保します。メールやLINE配信、会員制度、アプリ通知のいずれかを持たないまま新規獲得を回すと、獲得した顧客が次の購入で他社に流れてしまう構図です。経路を確保したうえで、新規獲得の手法に費用を寄せる順番になります。日用品、食品、消耗品、サブスクリプション型のサービスが該当します。

順番を逆にすると、獲得のたびに費用がかかり続ける構造から抜け出せません。再購入の経路を持たない新規獲得は、毎月ゼロから積み直す運用になるという点が、この組み合わせでもっとも重い制約です。購入完了の画面と同梱物、購入後のメールという3か所は、追加の広告費をかけずに経路へ誘導できる場所なので先に手を入れてください。

単価が高く検討期間が長い商材は、調べたときに答えがある状態を先につくります

単価が高く検討期間が長い商材では、消費者が調べる行動を必ず取ります。このため、調べたときに自社の情報が見つかり、疑問に答えている状態をつくる手法が起点になります。

SEOとコンテンツ、口コミとレビュー、比較の材料になる情報の整備が中心です。あわせて、検討の途中で離れた人に再接触する手法も価値を持ちます。検討期間が長いことは不利ではなく、接触の機会が複数回あるという意味でもあります。該当するのは、住宅、自動車、教育サービス、医療や美容の高単価メニューです。ここで注意したいのは、効果や成果を断定する表現が業法や景品表示法の制約を受ける領域が含まれる点です。表現の可否は、必ず所管の規定と専門家の確認を通してください。

在庫や提供枠に上限がある商材は、需要の量ではなく質を調整します

在庫や提供枠に上限がある商材では、需要を増やす手法よりも、需要の質と時期を調整する手法が優先されます。売り切れと待ち時間は、その場の機会損失にとどまらず、評価やレビューにも残ります。

打ち手としては、配信の対象を絞る、時期をずらす、購入前に条件を明示するといった調整が中心になります。予約制のサービス、季節商材、生産量に限りがある商品が該当します。供給の上限を無視した需要創出は、投じた費用が不満に変わるという点で、費用が無駄になるだけでは済みません。

在庫の情報を持っているのは多くの場合マーケティング部門の外側です。生産や仕入れ、店舗の担当と同じ数字を見られる状態をつくらないと、配信の判断が常に後追いになります。週次で在庫の見通しを共有する場を持つだけでも、売り切れ後の配信を止められます。

4条件は、商材ごとに1枚の紙に書き出します

4条件は頭の中で並べるのではなく、商材ごとに1枚に書き出してください。複数の商材を扱っている場合、条件が違う商材を同じ手法で扱おうとして無理が出ることがよくあります。

書き出す項目は、平均購入単価、粗利率、同じ顧客の年間購入回数、認知から購入までの日数、月に提供できる上限の5つです。粗利率まで書くのは、1件あたりに使える費用の上限がここから決まるためです。数字が社内で共有されていない場合は、その確認から始めることになります。

記入項目 記入例 この数字が決めるもの
平均購入単価 3,800円 回収の速さ
粗利率 45パーセント 1件あたりの許容費用
年間購入回数 4回 再購入施策の価値
認知から購入までの日数 3日 育成施策の必要性
月の提供上限 2,000個 需要創出の上限

この5項目が埋まると、手法の候補は自然に絞られます。埋まらない項目が残る場合、そこが計測されていない領域であり、手法の選定より先に数え方を決める必要があるという意味になります。

認知づくりの手法は、年代ごとのメディア接触と信頼度から選びます

認知づくりの手法は、届けたい年代がどのメディアに触れ、どのメディアを信頼しているかという2つの事実から選びます。総務省が令和8年6月に公表した令和7年度の調査では、媒体の利用率、目的別の使い分け、メディアごとの信頼度がそれぞれ年代で大きく違うことが示されています。

全年代の利用率は、LINEが92.9パーセント、Instagramが54.8パーセント、X(旧Twitter)が44.7パーセント、Facebookが27.0パーセントでした。動画共有系では、YouTubeが81.5パーセント、TikTokが36.7パーセントとなっています。

参考:「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表

年代別の差は、媒体ごとに極端に出ます。同じ調査では、TikTokの利用率は10代で67.9パーセント、70代で11.1パーセントでした。反対にLINEは70代でも77.8パーセントあり、年代による偏りがもっとも小さい媒体でした。届けたい層の利用率が半分を下回る媒体は、投稿の質を上げても届く総量が伸びません。

年代で入れ替わるのは、媒体よりも情報の取り方です

年代によって入れ替わるのは、使う媒体の種類だけではありません。何のために情報を取るかという目的ごとに、選ばれるメディアそのものが入れ替わります。同じ調査で、趣味や娯楽に関する情報を得るために最も利用するメディアと、情報源としての重要度を年代別に並べると次のようになります。数値はパーセントです。

年代 趣味・娯楽の情報でインターネット 趣味・娯楽の情報でテレビ 情報源としての重要度(インターネット) 情報源としての重要度(テレビ)
10代 87.9 7.9 87.1 75.7
20代 89.0 7.3 88.5 69.3
30代 88.9 5.1 88.9 73.2
40代 86.6 9.1 84.2 77.2
50代 74.0 19.2 73.4 86.1
60代 56.9 25.9 63.5 84.3
70代 28.3 41.8 39.4 90.6

境目は50代あたりです。40代までは趣味や娯楽の情報をインターネットで取る人が86パーセント以上いますが、60代では56.9パーセント、70代では28.3パーセントまで下がり、テレビの比率が上がります。主要顧客が60代以降の商材では、インターネット側の手法だけで認知を完結させにくいという前提で予算を組んでください。

参考:令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)

見つけてもらうことと、信頼してもらうことは別の課題です

見つけてもらう手法と、信頼してもらう手法は分けて考える必要があります。同じ調査では、世の中のできごとについて信頼できる情報を得るために最も利用するメディアは、全年代でテレビが50.3パーセント、インターネットが32.9パーセントと逆転しました。メディアとしての信頼度も、全年代では新聞が58.8パーセント、テレビが57.9パーセント、インターネットが26.3パーセントという順です。

この差は、商材の性質によって重みが変わります。趣味性や嗜好性が強い商材なら、インターネット側の手法で十分に届く見込みです。一方で、口に入れるもの、身体に関わるもの、金額が大きく失敗が痛い商材は、信頼の裏付けをどこで取ってもらうかを別に設計しなければなりません。第三者による紹介、公的な認証、実店舗の存在、返品や保証の条件といった要素が、その役割を担います。

インターネット側の手法だけで完結させようとすると、到達は増えても購入に至らない状態が続きます。認知の手法と信頼の手法は、別々に予算を持たせるほうが設計として自然です。

広告費の配分は、動画とソーシャルに寄っています

広告市場全体の資金の流れも、手法を選ぶ際の参考になります。電通が2026年3月に発表した2025年の推定では、総広告費が8兆623億円(前年比105.1パーセント)、インターネット広告費が4兆459億円(前年比110.8パーセント)で、総広告費に占める構成比は50.2パーセントとなりました。マスコミ四媒体広告費は2兆2,980億円(前年比98.4パーセント)でした。

参考:2025年 日本の広告費

インターネット広告の内訳では、媒体費が3兆3,093億円(前年比111.8パーセント)、そのうちソーシャル広告費が1兆3,067億円(前年比118.7パーセント)、ビデオ広告費が1兆275億円(前年比121.8パーセント)と報告されています。市場全体が動画とソーシャルに寄っているという事実は、その領域の競争が激しくなっていることも同時に意味します。市場の伸びは、参入が容易であることの証明にはなりません

参考:2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析

媒体ごとの運用実務は、それぞれ別の記事で扱っています。媒体を1つに絞ったあとの設計は、次の記事が近い内容です。

関連記事:Instagramマーケティングとは?企業の活用方法まとめ

自社の顧客層に対してどの媒体から着手すべきか、社内で判断が割れている段階でしたら、媒体選定から運用設計、社内への引き継ぎまでを一続きで支援する形でご一緒できます。媒体選定から相談することができます。

購入直前と再購入の手法は、受け皿と回収期間で決まります

購入直前と再購入で使う手法は、認知づくりとは別の基準で選びます。判断の軸は、購入直前が受け皿の完成度、再購入が1人あたりの回収期間です。あわせて、この2つの領域には法規制で先に押さえるべき点が集まっています。

検索の受け皿は、3種類の検索意図に分けて用意します

検索経由の受け皿は、指名検索、比較検索、購入意図の検索の3種類に分けて設計します。同じ1ページですべてに応えようとすると、どの検索意図にも届かないページになります。

検索の種類 検索される言葉の例 用意するもの
指名検索 商品名、ブランド名 公式の商品ページ、購入導線
比較検索 商品カテゴリと比較の語 選び方の基準、仕様の比較
購入意図の検索 カテゴリと購入や価格の語 在庫と価格、配送条件

3種類のうち、抜けやすいのは指名検索です。認知づくりの手法で名前を覚えてもらったのに、検索したときに公式の情報が上位に出てこない状態は珍しくありません。ここは費用対効果がもっとも読みやすい領域なので、認知施策の前に埋めておくほうが安全です。

商品名で検索すると、比較サイトや転売の出品ページが先に並ぶことも珍しくありません。価格や在庫の情報が古いまま表示されていれば、公式で買える状態を知らずに離脱する人が出ます。自社の商品名で実際に検索して、上から順に何が表示されるかを目で確認する作業は、月に1回でも効果があります。

手法の一覧そのものをもう一度確認したい場合は、集客手段を横並びで整理した記事があります。

関連記事:【初心者向け】Web集客の方法14選!自社に合った選び方を解説

口コミとレビューを施策として扱うときは、広告であることを明示します

口コミやレビュー、インフルエンサーによる投稿を施策として使う場合、広告であることを消費者が判別できる形にする必要があります。令和5年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示は景品表示法違反となっています。

消費者庁の説明では、規制の対象となるのは広告や宣伝であることと、一般消費者が広告であることを判別することが困難な表示であることの両方を満たす表示です。規制対象となる事業者は商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主の側であり、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象外とされています。SNS投稿やレビュー投稿だけでなく、テレビや新聞、ラジオ、雑誌での表示も対象に含まれます。

実務では、依頼の有無を発注時点で整理し、表示の方法を社内の基準として決めておく形になります。表示が小さい、大量のハッシュタグに紛れている、判別できない文言を使っているといった形は、明示したつもりでも足りていないと判断される可能性があります。個別の表示の可否は、最終的に専門家の確認を通してください。

参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。

申込みの直前の画面は、表示すべき事項が法律で決まっています

通信販売で申込みを受ける場合、最終確認画面に表示すべき事項が特定商取引法で定められています。令和4年6月1日から施行された規定で、消費者庁が通販事業者向けに表示方法の参考資料を公開しています。

定期購入の形を取る商材では、各回の分量だけでなく引き渡しの回数や総分量、支払総額の表示が求められます。無償期間のあとに有償契約へ自動で移行する場合は、その旨と移行の時期も対象です。手法の話とは離れて見えますが、購入直前で離脱が集中している場合、原因がこの画面の情報不足にあることは実際にあります。

初回を安くして継続で回収する設計は、単価が低い商材の再購入施策としてよく選ばれます。この形を取るほど、総額や回数の表示が判断の分かれ目です。表示を絞って申込数を伸ばした結果、解約の申し出とレビューの評価低下が同時に起きれば、獲得した分の価値が相殺されます。表示の設計は法務の要件であるだけでなく、獲得した顧客が続くかどうかを決める要素でもあります。個別の記載方法は、必ず所管の規定と専門家の確認を通してください。

参考:通販事業者の皆さんへ 最終確認画面や申込書面の表示方法の参考となる資料を掲載しています。

再購入の配信手法は、届く経路の広さと運用の手間で選びます

再購入を促す配信手法は、届く経路の広さと運用にかかる手間の兼ね合いで選びます。BtoCではLINEが選ばれる場面が多く、LINEヤフーの公表では、LINEの月間利用者数は2026年3月末時点で1億人とされています。

参考:お客様と「つながる」なら LINE公式アカウント

配信手法 向く場面 運用上の注意
LINE配信 到達を優先したい場面 配信数に応じた費用設計が必要
メール配信 情報量が多い案内 到達と開封の確認が前提
アプリ通知 購入頻度が高い商材 アプリの導入が前提になる
会員制度 同じ顧客が繰り返す商材 特典の原価を織り込む必要がある

どの経路でも共通するのは、配信の頻度を上げるほど解除が増えるという点です。到達数が伸びているように見えても、解除の累計が積み上がっていれば長期の到達力は落ちます。配信の評価は、その回の反応と解除の累計を並べて見る必要があります。

配信の設計で先に決めておきたいのは、送る内容の種類と頻度の上限です。値引きの案内しか送らない状態が続くと、値引きのときだけ買う顧客が残ります。使い方の紹介、入荷や再販の連絡、購入後のフォローといった種類を混ぜて、値引き以外の理由で開く習慣をつくる形が取りやすいです。頻度の上限を決めておけば、繁忙期に配信が集中して解除が増える事故も防げます。

購入者の情報を扱う手法では、取得の目的と利用の範囲を先に整理しておく必要もあります。何のために取得した情報かを説明できない状態で配信を始めると、あとから範囲を絞り直す手戻りが発生します。個人情報の取り扱いは法令の要件が関わる領域なので、社内の規程と専門家の確認を通してから設計してください。

値引きで再購入を促すときは、価格の表示方法に注意します

値引きやセールで再購入を促す場合、比較対照として並べる価格の扱いに注意が必要です。消費者庁は二重価格表示について、比較対照価格の内容ごとの考え方を示しています。

過去の販売価格を比較対照に使う場合、同一商品について最近相当期間にわたって販売されていた価格であれば不当表示に該当するおそれはないという整理です。その基準に満たない価格を使う場合は、いつの時点でどの程度の期間販売されていた価格なのかを正確に表示しない限り、不当表示となるおそれがあります。将来の販売価格を比較対照にする場合は、実際には販売しない価格やごく短期間のみの価格など、十分な根拠がないときに問題となります。希望小売価格についても、製造業者等が設定してあらかじめカタログ等で公表しているとはいえない価格を用いる場合は同様です。

参考:二重価格表示

BtoCの効果測定は、媒体の数字と実売の突合を単位にします

BtoCの効果測定でつまずく原因は、媒体が返す数字と実際の売上が別の単位で出てくることにあります。個人を特定した追跡が前提にできないため、媒体の管理画面の合計と事業側の売上を突き合わせる作業が避けられません。

手法ごとに、測れる範囲と測れない範囲を先に決めます

手法ごとに測れる範囲は違います。どこまで測れるのかを先に決めておかないと、測れない手法が評価の対象から外れ、結果として測りやすい手法だけが残ります。

手法 直接測れるもの 突合が必要なもの
検索連動型広告 クリック、購入数 実際の入金、返品
SNS広告 到達、購入数 店頭での購入
SNSアカウント運用 保存、プロフィール到達 指名検索と購入の増減
インフルエンサー施策 到達、投稿の反応 期間中の売上の変化
口コミとレビュー 件数、評価点 購入率の変化
会員制度 会員数、利用回数 1人あたり売上の推移

測れない範囲があること自体は問題ではありません。問題になるのは、測れないことを理由にその手法を評価の外に置くことです。店頭やテレビ、口コミのように直接の紐付けが難しい手法は、期間を区切った前後比較や、指名検索数の推移といった間接の指標で扱う方法があります。

なお、手法ごとの平均的な費用対効果を横並びで比較できる公的な統計は、本記事の調査時点では確認できませんでした。他社の平均値を基準にするのではなく、自社で計測した値を基準に判断してください。業種や単価、地域の条件が違えば同じ手法でも結果は変わるため、外部の平均値を目標値として置くと判断を誤ります。

計測の環境を整える段階で費用がかかることも見込んでおいてください。購入までの経路を記録する仕組み、店頭と通販の売上を同じ単位で並べる集計、媒体ごとの数値を1か所に集める作業には、それぞれ工数がかかります。計測の準備を後回しにすると、投じた費用の説明ができない期間が長く続きます

見る指標は、期間の長さで分けます

効果測定の指標は、判断に必要な期間の長さで分けて並べます。同じ表に短期と長期の指標を混ぜると、短期の数字だけで判断が下されます。

短期で見るのは、到達数と反応、購入数、1件あたりの費用です。ここは日次から週次で動きます。中期で見るのは、指名検索数、初回購入者数、レビュー件数です。数か月単位で傾向が出ます。長期で見るのは、再購入率、1人あたり売上、解除や離脱の累計です。判断の期限を指標ごとに決めておくと、成果が出る前に手法を止めてしまう事態を避けられます。

期間 見る指標 判断の内容
日次から週次 到達数、反応、購入数、1件あたりの費用 配信の増減、訴求の入れ替え
月次から四半期 指名検索数、初回購入者数、レビュー件数 手法の継続と配分の変更
半期から年次 再購入率、1人あたり売上、解除の累計 手法の入れ替え、体制の見直し

報告の場を期間ごとに分けておくと、短期の数字で長期の判断が下されることを防げます。週次の会議で再購入率の議論をしても、まだ動いていない数字を眺めるだけで終わります。

手法をまたぐ共通指標としては、指名検索数が使いやすいです

複数の手法をまたいで比較する指標としては、指名検索数が使いやすいです。商品名やブランド名で検索された回数は、どの手法を経由したかによらず、名前を覚えた人の総量に近い動きをします。

たとえばテレビ、動画広告、インフルエンサー施策を同じ月に走らせた場合、それぞれの貢献を分けることは難しくても、指名検索数の推移を見れば認知づくり全体が動いたかどうかは判断できます。指名検索が増えていないのに購入数だけが伸びているときは、需要を新しくつくったのではなく、既に買う予定だった人を安く獲得しただけという読み方もできます。ただしこの指標は季節性の影響も受けるため、前年の同じ時期との比較を並べて見てください。

施策を回す体制では、先に4項目を決めます

施策を回す体制で先に決めるべきなのは、意思決定者、社内と外部の分担、承認の速さ、在庫や店舗との連携の4項目です。手法の選定が正しくても、この4項目が決まっていないと実行の途中で止まります。

決める項目 決めないと起きること
意思決定者 表現や予算の判断が保留になり配信が遅れる
社内と外部の分担 同じ作業が重複する、あるいは誰もやらない
承認の速さ 反応が良い施策の増額が間に合わない
在庫や店舗との連携 売り切れや在庫過多が発生する

BtoCは反応が短期間で出るため、承認の速さが結果に直結します。週に1回の定例でしか判断できない体制では、初動の数日で決まる勝負に対応できません。

現実的な対応は、事前に決めた範囲内なら担当者の判断で動かせるようにしておくことです。予算の増減幅、使ってよい表現の範囲、止める条件を先に文書にしておけば、そのつど承認を待つ必要がなくなります。決めるのは施策ごとではなく、判断の枠のほうです。

年間の予算配分は、確実に測れる領域から埋めます

年間の予算配分は、確実に測れる領域から順に埋めてください。測れる領域は結果を根拠に増減を判断できるため、投じた費用が説明のつく形で残ります。

順番としては、指名検索への対応と購入直前の受け皿、次に需要が言語化されている検索への出稿、そのあとに認知づくりの手法という並びが取りやすいです。認知づくりを最後に置くのは価値が低いからではなく、成果の確認に時間がかかるためです。前段が埋まっていない状態で認知づくりに費用を寄せると、増えた関心を受け止められません。予算配分の順番は、成果の確認しやすさで決めると社内の合意も取りやすくなります。

年度の途中で配分を組み替える余地も残しておいてください。BtoCは季節性と外部要因の影響を受けやすく、期首に立てた配分が半年後も最適である保証はありません。四半期ごとに配分の1割から2割を動かせる状態にしておくと、伸びた手法に寄せる判断ができます。

内製と外注の線引きは、続ける工程で決めます

内製と外注の線引きは、毎月続く工程を誰が担うかという観点で決めます。立ち上げだけを外部に任せ、継続する部分を社内で受け止められないと、数か月後に運用が止まります。

判断の目安は、その工程が月に何時間必要かという見積もりです。SNSアカウント運用のように毎日手が動く工程は、社内の余力を先に確認してください。

社内に残すべきなのは、商材と顧客の理解が必要な部分です。何を訴求するか、どの表現なら自社として問題ないか、顧客からの声をどう扱うか。この判断は外部に切り出しても精度が上がりません。逆に、媒体ごとの入稿作業、素材の制作、数値の集計といった工程は、手順が決まっていれば外に出しやすい部分です。外注の線引きは、判断が必要な工程と手順が決まっている工程の境目で引くと整理しやすくなります。

外部に任せる場合も、月次の報告を受け取るだけの関係にしないでください。数値の意味を社内で説明できない状態が続くと、契約が終わった時点で運用の知見がすべて外に残ります。運用の外部委託を検討する場合、業務範囲と費用の相場を整理した記事があります。

関連記事:SNS運用代行とは?仕事内容とメリット、おすすめ代行会社を紹介

施策が止まる原因は、手法ではなく組織側にあります

施策が続かない原因は、手法の選び方ではなく組織の側にあることが少なくありません。役割の定義、判断の基準、情報の共有といった土台が言語化されていないと、担当者が代わるたびに設計がやり直しになります。

この論点を単独で整理した記事があります。手法を選び直す前に、こちらを確認したほうが早く進む場合があります。

関連記事:マーケティングが停滞する原因は?施策改善の前に見直すべき組織の7つの落とし穴

よくある質問

BtoCマーケティングの手法選定について、検討の初期に寄せられることの多い質問をまとめました。

BtoCマーケティングの手法は何から始めるべきですか

購入直前の受け皿を整えることから始めてください。指名検索で自社の情報が出てくるか、商品ページで疑問が残らないか、決済まで進めるかを確認します。ここに穴がある状態で認知を広げる手法に費用を投じると、関心を持った人を取り逃がします。

BtoBとBtoCで同じ手法を使ってはいけないのですか

手法そのものは共通で使えます。違うのは着手する順番と、1件あたりに使える費用の上限です。BtoCは意思決定者が本人1人で検討期間が短い傾向があるため、資料で論点を潰す手法より、買う瞬間に思い浮かぶ状態をつくる手法を先に置く判断になりやすいです。

予算が限られている場合、どの手法を優先すべきですか

計測できて、投じた費用の回収を確認しやすい手法を優先してください。指名検索への対応と検索連動型広告は、需要が言語化されている分だけ結果の読み方が単純です。そこで得た数値をもとに、認知づくりの手法へ配分を広げる順番が取りやすくなります。

SNSは複数の媒体に同時に出したほうがよいですか

媒体を増やす前に、1媒体で成果の型が出るところまで進めるのが安全です。年代による利用率の差が大きいため、届けたい層が使っていない媒体を並列で持つと工数だけが増えます。総務省の調査では、同じ媒体でも年代間で利用率が3倍以上開く場合があります。

施策の効果はどのくらいの期間で判断すべきですか

指標ごとに期限を分けて判断してください。到達や購入数は日次から週次、指名検索数やレビュー件数は数か月、再購入率や1人あたり売上は半年以上の期間で傾向が出ます。短期の指標だけで判断すると、育つ前の手法を止めることになります。

まとめ

BtoCマーケティングの手法は、名前を覚える対象ではなく、商材の条件に当てはめて選ぶ対象です。単価、購買頻度、検討期間、在庫と提供枠の4条件を先に決めれば、9つの手法のうち自社に必要な3つから4つが見えてきます。

認知づくりの媒体は、届けたい年代の利用率という事実から選んでください。総務省の調査が示すとおり、媒体ごとの利用率には年代で3倍以上の差があります。購入直前は受け皿の完成度、再購入は回収期間が判断の軸になり、いずれも景品表示法や特定商取引法の規定を先に確認しておくべき分野です。手法を増やす前に、測る単位と決める人を先に決めることが、続く施策と止まる施策を分けます。

まずは自社の商材を4条件に当てはめ、着手する手法を3つに絞るところまで進めてください。そこから先の設計と実行、社内への定着までを一続きで進めたい段階でしたら、伴走する形でご一緒できます。進め方を相談するところから始められます。

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malnaブログ編集部

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