2026.10.16

AI

AIによるマーケティング自動化とは|4業務の設計例と人が承認する位置

週次の広告レポート、メールマガジンの文面、問い合わせへの返信、記事の構成案。マーケティングの仕事には毎週同じ形で回ってくる作業が多く、その一部をAIに任せられないかと考える担当者の方もいるはずです。ところが、生成AIのツールを契約して試してみても、日々の業務が思ったほど軽くならないことがあります。

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目次

AIが下書きを出せることと、業務が自動で流れることは、同じではありません。どこまでを自動で流し、どこで人が読んで承認するのかが決まっていなければ、下書きは担当者の手元に溜まっていくか、誰も読まないまま社外に出ていくかのどちらかになります。

ここでは、マーケティングの定型業務を、きっかけ、データの取得、AIの処理、人の確認、配信と記録という5つの工程の流れとして設計する手順を解説します。週次の広告レポート、メールの下書きと配信、問い合わせの一次振り分け、記事の構成案づくりの4つの設計例に加え、MAや広告管理画面の自動化機能との分担、半自動から自動へ広げる基準と止める基準も扱います。内容は2026年10月時点の情報にもとづいています。

最初にどの業務を流れに乗せるかで迷うなら、malnaのAIエージェント構築支援で業務の棚卸しから整理を始められます。

AIによるマーケティング自動化とは、定型業務を5つの工程の流れとして組むことです

AIによるマーケティング自動化とは、繰り返し発生するマーケティング業務を、きっかけ、データの取得、AIの処理、人の確認、配信と記録の5つの工程に分け、人が手を動かさなくても次の工程へ進む流れとして組むことです。AIが受け持つのはこのうち処理の工程で、流れ全体を設計するのは人の役割です。

AIで自動化できるマーケティング業務と人が持つ判断

AIによるマーケティング自動化の対象は、決まった間隔で、同じ形の入力から同じ形の出力を作る業務です。

対象になりやすい業務には、次のような例があります。

  • 広告の数値を集めて、前の週との差を文章にまとめる
  • 問い合わせの本文を読んで、資料請求や見積もりなどの種類に分ける
  • 配信の目的と過去の文面から、メールの文面と件名の下書きを作る
  • 狙うキーワードと読者像から、記事の見出しの案を作る

何を誰に届けるかの判断、社外へ出す前の承認、広告表示の根拠の確認は、自動化した後も人が持ちます。

5つの工程の中身

5つの工程は、業務が違ってもほぼ同じ形で書き出せます。ツールを選ぶ前に工程ごとの中身を決めておくと、設計の抜けにその場で気づけます。

工程中身決めておくこと
きっかけ流れを始める合図毎週月曜9時、フォームの送信、配信リストの更新など
データの取得AIに渡す材料を集めるどのツールから、どの期間の、どの項目を取るか
AIの処理要約・分類・下書きをつくる指示文、出力の書式、やってはいけないこと
人の確認出力を読んで承認または修正する誰が、何を見て、いつまでに判断するか
配信と記録社外や社内に届け、結果を残す配信先、記録の置き場所、修正内容の残し方

右の列が空いたまま動かし始めると、どこかの工程で流れが止まります。とりわけ人の確認は、担当者と期限を決めていないと、承認待ちの下書きが積み上がる場所になりやすい工程です。

できること一覧ではなく流れから考える理由

AIで自動化できるマーケティング業務の一覧や、使えるツールの種類については、すでに多くの解説が出ています。一覧は業務を選ぶ入口としては役に立つものの、誰がいつ確認するのか、どこで止まるのかまでは教えてくれません。

流れから考えると、AIに任せる部分と人が持つ部分の境目が工程の単位で見えてきます。同じメール配信でも、文面の下書きはAI、配信リストの抽出は今使っているMA、配信の承認は人、という分け方ができるわけです。AIマーケティングで何ができるかの全体像と、Claude Codeを使った自動化の進め方は、次の2本にまとめています。

関連記事:【2025年度版】AIマーケティングとは?活用事例から最新トレンドまで徹底解説

関連記事:Claude Codeでマーケティングを自動化!活用できる業務と始め方

マーケティング自動化の5つの工程を矢印でつないだフロー図

人が承認する位置は、社外に届くかと取り消せるかで決めます

人が承認する工程の位置は、その出力が社外に届くかどうかと、届いたあとで取り消せるかどうかで決めます。社内で閉じていて後から直せる出力は自動で流し、社外に届いて取り消せない出力は、人が承認してから配信する形にします。

承認の位置を決める4つの問い

業務ごとに次の4つの問いへ答えていくと、承認を置く位置が決まります。1つでも当てはまる工程があれば、その直後に人の確認を置きます。

  • 出力は社外の人(顧客、見込み客、取引先)に届くか
  • 届いたあとに取り消したり訂正したりできないか
  • 個人情報や顧客ごとのデータを含むか
  • 広告表示やメール配信のように、法令の決まりがかかわるか

社内向けの週次レポートなら、社外には届かず、誤りがあっても翌週に直せます。メールマガジンは送った時点で相手の受信箱に入り、取り消しが効きません。どちらもAIに下書きさせる業務ですが、承認を置く位置はこれだけ違ってきます。

自動化の4つの段階

自動化の度合いは、人がどこまで関わるかで4つの段階に分けられます。いきなり最後の段階を目指すのではなく、業務ごとに今どの段階で運用しているかを決めておきます。

段階人の関わり方向く出力の例
段階0 下書きのみAIの出力を人が書き直して使う記事の構成案、広告文の案
段階1 承認して配信人が読んで承認したものだけが配信されるメールマガジン、問い合わせへの返信
段階2 例外だけ人が見る決めた条件に合うものは自動で流し、外れたものだけ人が見る問い合わせの振り分け、社内通知
段階3 事後に確認する自動で流し、人は記録を定期的に見直す社内向けの定型レポート

段階2と段階3に置くのは、社外に届かない出力か、届いても影響が小さい出力にとどめておくのが安全です。社外に届く出力を段階2以上に上げるのは、段階1の記録が十分にたまってからにしましょう。

業務別に見る自動化の設計例

マーケティングの定型業務を5つの工程に当てはめると、自動で流す範囲と人が承認する位置が業務ごとに具体的に決まります。週次の広告レポート、メールの下書きと配信、問い合わせの一次振り分け、記事の構成案づくりの4つについて、設計の形を見ていきます。

週次の広告レポート

週次の広告レポートは社内向けで、誤りがあっても直せるため、自動化の最初の1件に向いています。数字の集計は広告管理画面の機能に任せ、AIには前週との違いの要約と、確かめるべき点の洗い出しを受け持たせます。

工程中身担い手
きっかけ毎週月曜の朝広告管理画面のスケジュール設定
データの取得前週と前々週のキャンペーン別の数値広告管理画面のレポート
AIの処理前週との差の要約、大きく動いた項目の列挙AI
人の確認数字が元のレポートと合っているか、要約の解釈運用担当者
配信と記録社内チャットへの共有、レポートの保存自動

気をつけたいのは、AIが要約の途中で数字を書き換えてしまうことです。指示文には「数値は元のレポートの値をそのまま使う」「理由の分からない変化は推測で書かず、確認が必要な項目として並べる」と書いておきます。最初の数週間は人が数字の突き合わせまで行い、ずれが出なくなったら要約の解釈だけを見る形に絞ります。

Google広告の数値をClaude Codeで取得して要約する場合の接続手順とプロンプト例は、Claude CodeでGoogle広告を分析する方法で解説しています。

メール文面の下書きと配信

メールは送ったあとに取り消せないので、配信の直前に人の承認を置きます。AIに任せるのは文面の下書きと件名の案までにとどめ、配信リストの抽出と配信の実行はMAの機能で動かします。

工程中身担い手
きっかけ配信予定日の数日前担当者またはMAのスケジュール
データの取得配信の目的、伝える内容、過去の配信文担当者
AIの処理文面の下書き、件名の案を複数AI
人の確認内容の事実確認、表現、配信対象、配信停止の案内の有無担当者と承認者
配信と記録承認された文面の配信、開封やクリックの記録MA

メール配信には、送信の同意や表示についての決まりがあります。配信対象が同意を得た人に限られているか、送信者の名称や配信停止の方法が書かれているかは、AIではなく人の確認とMAの設定で守る部分です。詳しくは後の節で取り上げます。

問い合わせの一次振り分け

問い合わせの一次振り分けは、届いた問い合わせの内容をAIが分類し、担当部署や対応の優先度を決める流れです。分類の結果は社内で閉じるので、段階2の「例外だけ人が見る」まで進めやすい業務といえます。

工程中身担い手
きっかけフォームの送信フォームまたはMA
データの取得問い合わせの本文と選択項目フォームまたはMA
AIの処理内容の分類(資料請求、見積もり、不具合、採用など)と返信文の下書きAI
人の確認分類に自信がないもの、決めた分類に当てはまらないもの担当者
配信と記録担当部署への通知、分類結果の記録自動

返信文まで自動で送るかどうかは、分類とは切り離して判断します。受け付けたことを知らせるだけの定型の返信なら、今あるフォームの機能で足ります。内容に踏み込んだ返信をAIに下書きさせる場合は、送る前に人が読む段階1のままにしておきます。問い合わせの本文には氏名や連絡先が入っているので、AIに渡す範囲もあらかじめ決めておきます。

記事の構成案づくり

記事の構成案づくりは、AIの出力を人が大きく書き直すことを前提にした業務なので、段階0の「下書きのみ」から動かしません。社外に公開されるのは完成した記事ですが、構成の段階で事実や主張の方向が固まるため、人の判断が占める割合が大きくなります。

工程中身担い手
きっかけ記事の企画が決まったとき担当者
データの取得対象のキーワード、読者像、社内の資料担当者
AIの処理見出しの案、各見出しで扱う論点の案AI
人の確認読者の疑問に答えているか、自社の記事と重ならないか、根拠の取れる主張か編集担当者
配信と記録確定した構成案の保存、修正した点の記録担当者

構成案には自動で配信する先がないため、効果は白紙から考える時間が減るという形で表れます。AIの案のうちどの見出しを残し、どれを直したかを記録しておけば、次の指示文を直す材料になります。業務ごとのメリットとデメリット、人が持つ判断の分け方は、次の記事で業務別に整理しています。

関連記事:AIマーケティングのメリット・デメリット!業務別の活用ポイント

MAや広告管理画面の自動化機能とAIの分担

マーケティングの自動化では、配信の実行や定時の処理はMAや広告管理画面にある自動化機能に任せ、AIには文章の要約・分類・下書きのように読み書きを伴う処理を任せるのが分担の基本です。社内で使っているツールの機能を先に洗い出しておくと、AIで新たに組む部分は小さく済みます。

既存ツールに任せる処理

広告管理画面やMAには、決めた条件やスケジュールで処理を動かす機能がそろっています。Google広告の自動化ルールは、選んだ設定と条件にもとづいて広告のステータスや予算、入札単価などを自動で変更でき、条件が発生したときに自動でメールを送ることもできます。レポートも、送信する頻度と形式を選んでメール送信のスケジュールを組めます。

MAの例として、HubSpotのワークフローは、手動、スケジュール、フィルター条件のほか、フォームの送信などのイベントを登録トリガーにして処理を始められます。ワークフローの対象は、Marketing HubなどのProfessionalとEnterpriseのエディションです。

こうした機能は、きっかけの工程と配信の工程を受け持つのに向いています。決まった時刻に動かす、決まった条件で通知する、承認済みの文面を配信するといった処理を、AIで作り直す必要はありません。

参考:自動化ルールを作成する(Google 広告 ヘルプ)

参考:掲載結果データからレポートを作成、保存、スケジュール設定する(Google 広告 ヘルプ)

参考:ワークフローをゼロから作成(HubSpot ナレッジベース)

AIに任せる処理

AIに任せるのは、条件の組み合わせでは書き表しにくい処理です。前週との違いを文章にまとめる、問い合わせの本文を読んで分類する、配信の目的から文面を下書きする、といった作業がこれにあたります。

ツールの条件分岐で書ける処理を、あえてAIに回す理由はありません。条件で書ける処理はツールへ、文章を読み書きする処理はAIへと分けておけば、出力がぶれる場所はAIの工程に限られ、人の確認もそこに集められます。

分担を表にする

既存ツールとAIの分担は、業務ごとに1枚の表にしておくと迷わずに済みます。ここまでの4つの設計例を担い手で分けると、次のとおりです。

業務既存ツールに任せる処理AIに任せる処理
週次の広告レポート定時のレポート作成と送信前週との差の要約、確認すべき項目の列挙
メールの下書きと配信配信リストの抽出、配信の実行、開封の記録文面と件名の下書き
問い合わせの一次振り分けフォームの受付、受付完了の定型返信、担当部署への通知本文の分類、返信文の下書き
記事の構成案づくりなし(社内の資料置き場の整理)見出しと論点の案

左の列に入る処理は、自社で使っているMAやツールの種類によって変わります。マーケティングツールの種類と組み合わせ方は、次の記事で整理しています。

関連記事:マーケティングツールを種類別に比較!主な機能と選び方を解説

既存ツールに任せる処理とAIに任せる処理を左右に分けて比べた図
AIエージェント導入支援

配信の同意・個人情報・広告表示は、自動化しても人が持ちます

メール配信の同意、AIに渡す個人情報の範囲、広告や記事の表示の根拠は法令にかかわるので、流れを自動化しても判断は人が持ちます。設計の段階で、これらの確認をどの工程に置くかを決めておきます。

メール配信は同意の記録と表示を流れに組み込む

広告や宣伝を目的とするメールには、特定電子メール法の決まりがかかります。送信できるのは原則として、あらかじめ送信に同意した人などに限られ、同意を受けた側は、同意があったことを証する記録を保存しなければなりません。

同意を得て送る場合も、本文に送信者の氏名または名称と、受信拒否の通知を受けるためのメールアドレスまたはURLを表示するといった表示義務があります。送信を拒否した人へ送ることも禁じられています。

自動化の設計では、配信リストの抽出条件に「同意あり」を入れる、配信停止の申し出をMAに反映する、テンプレートに表示事項を固定で入れておく、といった処理を既存ツールの側で組みます。AIが下書きした文面から表示事項が抜けていないかは、承認の工程で人が確かめます。

参考:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)

参考:特定電子メール法(迷惑メール相談センター)

AIに渡すデータは利用目的の範囲で決める

問い合わせの本文や顧客の情報をAIに渡すときは、個人情報の扱いに注意が要ります。個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合、特定された利用目的の達成に必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。

同じ注意喚起では、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、そのデータが応答結果の出力以外の目的で扱われると、個人情報保護法の規定に違反する可能性があるとも述べています。使うAIサービスが入力データを機械学習に使うかどうかは、契約やサービスの条件で確かめておきましょう。

設計の上では、データの取得の工程で「AIに渡す項目」を決めておきます。問い合わせの分類に氏名やメールアドレスは要らないので、本文と選択項目だけを渡す、という絞り方ができます。

参考:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(個人情報保護委員会)

広告文や記事は表示の根拠を人が確かめる

AIが下書きした広告文や記事には、根拠のない効果の表現が紛れ込むことがあります。景品表示法では、商品やサービスの品質などを実際よりも著しく優良であると示す表示を優良誤認表示として禁止しており、誤って表示した場合でも規制の対象になります。

消費者庁は、優良誤認表示にあたるかを判断するため、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。AIの出力に「効果が出る」「業界で選ばれている」といった表現があれば、承認の工程で根拠の資料があるかを確かめ、なければ削ります。

依頼した第三者の投稿をAIで下書きするなら、広告であることを隠すステルスマーケティングの規制にも気を配ります。広告であることの表記を入れる前提で指示を組み、その表記が入っているかを承認の工程で確かめます。

参考:優良誤認とは(消費者庁)

参考:ステルスマーケティングは景品表示法違反となります(消費者庁)

設計シートで、広げる時期と止める基準を決めます

設計シートとは、自動化する業務ごとに5つの工程の中身、今の段階、段階を上げる条件、止める基準を1行にまとめた表のことです。このシートがあれば、半自動から自動へ広げる判断も、問題が起きたときに止める判断も、担当者の感覚ではなく前もって決めた条件で下せます。

設計シートの項目

設計シートには、業務1件ごとに次の項目を書き込みます。表計算ソフトで1業務を1行にしておくと、業務を縦に並べて見比べられます。

項目書く内容の例(週次の広告レポート)
業務名週次の広告レポート
きっかけ毎週月曜の朝、広告管理画面のスケジュール送信
取得するデータ前週と前々週のキャンペーン別の数値
AIの処理前週との差の要約、確認すべき項目の列挙
確認する人と観点運用担当者。数字が元のレポートと合っているか
配信先と記録社内チャット、レポートの保存場所
今の段階段階1 承認して配信
段階を上げる条件数字の修正が一定期間なかったら段階3へ
止める基準数字の誤りが社内の会議資料に載った

シートの中心になるのは、表の下の3行です。段階を上げる条件と止める基準は、動かし始める前に書き込んでおきます。

段階を上げる条件

段階を上げる条件は、承認の工程で人がどれだけ手を入れたかの記録から決めます。承認のたびに「そのまま承認」「一部を修正」「作り直し」のどれだったかを残しておけば、条件を数字で書けるようになります。

書き方は「4週続けてそのまま承認だったら、段階1から段階2へ上げる」のように、期間と修正の有無を組み合わせます。期間の長さは業務の頻度と影響の大きさで変え、社外に届く業務ほど長めにとるのが安全です。ここで挙げた数字は例にすぎないので、自社で決めた値を設計シートに書いておきましょう。

段階は1つずつ上げます。段階1から段階3へ一度に飛ばすと、問題が起きたときに、どこで見落としたのかをたどれなくなります。

止める基準と戻し方

止める基準とは、起きたら自動の流れを止め、1つ前の段階に戻す出来事のことです。業務ごとに、たとえば次のような出来事を書いておきます。

  • 社外に誤った内容が届いた
  • 配信停止を申し出た人に配信された
  • 数字の誤りが社内の資料に載った
  • 問い合わせの分類の誤りで対応が遅れた
  • 元にしているツールの仕様が変わり、データの取得が失敗した

止めたら1つ前の段階に戻し、原因を直したうえで、段階を上げる条件を最初から数え直します。指示文を直したのか、取得するデータを変えたのかを設計シートに残しておけば、同じ問題を繰り返さずに済みます。

1業務を設計する手順

設計シートの1行目は、次の順で埋めていきます。最初の1業務には、社内向けで取り消しの効くものを選びます。

  • 手順1 毎週同じ形で発生し、社内で閉じている業務を1つ選ぶ
  • 手順2 5つの工程に分け、既存ツールで動かせる工程から埋める
  • 手順3 4つの問いで承認の位置を決め、今の段階を決める
  • 手順4 確認する人、観点、期限と、承認の記録の残し方を決める
  • 手順5 段階を上げる条件と止める基準を書いてから動かし始める

1つ目の業務で段階を1つ上げられたら、2つ目の業務を設計シートに足します。社外に届く業務は、社内向けの業務で記録の残し方に慣れてから加えるほうが、承認の工程が形だけになるのを防げます。

段階を上げる目安と止めて1つ前に戻す目安を左右に分けて比べた図

よくある質問

マーケティング業務のAI自動化は、どの業務から始めればよいですか?

毎週同じ形で発生し、出力が社内で閉じていて、誤りがあっても後から直せる業務から始めると進めやすくなります。週次の広告レポートや問い合わせの一次振り分けが候補です。メール配信のように社外に届く業務は、社内向けの業務で承認の記録を残すことに慣れてから加えます。

AIの出力を人が確認せずに配信してもよいですか?

社内で閉じていて、誤りがあっても後から直せる出力なら、決めた条件に合うものを自動で流す設計にできます。メールや広告のように社外に届いて取り消せない出力は、人が読んで承認してから配信する形にしておきます。確認を外すのは、修正のない期間の記録がたまってからにします。

MAを使っていても、AIで自動化する意味はありますか?

あります。MAは決めた条件やスケジュールで配信や通知を動かすのに向いていますが、文章を読んで分類したり文面を下書きしたりする処理は、条件では書きにくいからです。配信の実行はMAに、要約・分類・下書きはAIにと分ければ、それぞれの得意な部分を生かせます。

自動化した流れを止めるのはどんなときですか?

社外に誤った内容が届いた、配信停止を申し出た人に配信された、数字の誤りが社内資料に載った、といった出来事が起きたときです。止める基準は動かし始める前に業務ごとに書いておき、起きたら1つ前の段階に戻して原因を直します。段階を上げる条件は、直したあとに最初から数え直します。

まとめ

AIによるマーケティング自動化は、ツールを入れることではなく、定型業務を、きっかけ、データの取得、AIの処理、人の確認、配信と記録の5つの工程の流れとして組むことです。人が承認する位置は、出力が社外に届くか、取り消せるか、個人情報や法令の表示にかかわるかで決まります。

配信の実行や定時の処理はMAや広告管理画面の機能に、要約・分類・下書きはAIに任せます。メール配信の同意、AIに渡すデータの範囲、広告表示の根拠は、自動化したあとも人が持つ判断です。

まずは社内向けで取り消しの効く業務を1つ選び、設計シートの1行目を、段階を上げる条件と止める基準まで書き込んでから動かし始めてください。

その1行目を実際のツールにつないで動かす作業は、お問い合わせから依頼できます。承認の位置が先に決まっていれば、試行の結果も読み取りやすくなるはずです。

AIを使える人材が社内にいない場合

流れの設計図は描けた。でも、承認の記録を毎週読んで段階を一つずつ上げていく人が社内にいない。

自動で流す範囲を広げるかどうかは、記録を読み続ける役がいて初めて決められるのではないでしょうか。malnaでは、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。

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執筆者情報

malnaブログ編集部

writer malnaブログ編集部 webマーケター / データアナリスト
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