2023.05.22

業務・組織・風土改革

プロジェクトごとの生産性を可視化できるようにした話

こんにちは

今回は社内の各プロジェクトごとの生産性を可視化できるようにした話をできればと思っています。

弊社は主にマーケティング支援やWEB制作業務と自社事業として高齢者・介護領域での事業を行う会社で、企業規模としては社員、インターン、業務委託などを含めて約20名ほどの組織です。

企業規模はまだまだ大きくはないため、生産性の可視化などに注力する前に手を動かしてプロジェクトを前に進めようとも考えたくはなるのですが、今後人数やプロジェクト数が増えていくことも踏まえて、最低限のプロジェクト単位での生産性管理ができた方が良いという前提のもと、今回の取り組みが始まりました。

そもそも「生産性」とはという話ですが、言い換えれば利益率とほぼ同義と捉えてもらえればと思います。

会社である以上全体での売上及び利益率は出していると思いますが、個人が関わるプロジェクト単位での可視化というのはどれくらいできているでしょうか?弊社では元々プロジェクトごとの売上に対してのコスト感は大まかには把握していましたが、ジリジリとコストが増えていくことを問題視していました。

そのため、より正確にそれぞれのプロジェクトごと状況を記録し、必要に応じて利益率の改善のためにコストカットや業務の効率化等の見直しを行うことに繋げたいという背景があります。(また直接売上のない例えば採用業務なども、どれくらいの時間やコストをかけているのか可視化する必要性も感じています。)

ただし利益率と言っても一般的な営業利益とは異なり、オフィス代等は考慮せずに、今回の場合は人件費およびプロジェクトごとに必要な経費の2点に絞って考えていきます。そして事業内容の特性上、コストのほとんどを人件費が占めることから、話の中心としては個人ごとの生産性をいかに可視化し効率化していくかというのが主題になるわけです。

そして、本来こういった生産性の管理は勤怠および給与とも結びついて行うものです。ある程度の企業規模になれば専用のソフトウェアを導入して管理する方が良いとも考えています。

実際、ITツール活用により業務効率に繋がった事例は数多くあります。詳しくはこちらを参考にしてみてください。

参考:

勤怠管理の必要性とは?効率よく管理する方法も紹介 | SES業務管理の統合ツール Fairgrit®公式サイト

DXが業務効率化につながるのはなぜ?事例と併せて解説!

ただ、弊社くらいの規模であえて新規ツールを導入するのは以下のような観点から時期尚早と判断しています。

・代替するのが難しい機能がない限り、月額数千円でもあってもコストをあえてかけることはしない
・必要なのは時間とコストの可視化のため、機能としては必要最小限で構わない
・新しいツールは社内に浸透するのにも時間がかかるため既存のツールの組み合わせで解決できるならその方が良い

企業フェーズ的、社員/メンバーが5~数十名くらいまでの規模の企業にとっては参考になる内容として捉えてもらうのが良いのではないでしょうか。

さて、だいぶ前置きが長くなりましたが、このような前提で実際にどう運用していくかをお話ししていきます。

前提と方針

前述の通り、プロジェクトごとの生産性というのは、言い換えればプロジェクトごとの利益率とほぼ同義の捉え方をしています。

弊社の場合は社員及びインターンの人件費と、業務委託やツール導入費用などの経費の2点をデータとして蓄積して可視化するイメージです。

前提として、弊社は1メンバーが複数のプロジェクトに関わることが多く、かつクライアントとのやり取りなどから突発的な業務等も発生するため、時間の使い方が流動的に変わっていきます。

そのため稼働時間の内訳に関しては事前に計画を立てづらく、結果的に1日ごとの業務時間を記録していくことが必要になります。(ちなみに、元々の把握方法としては個人ごとのプロジェクトの時間の掛け方の内訳を大まかに割り振って計算していましたが稼働時間の増加がどのプロジェクトで発生しているか等を月毎に比較して見ることなどができない体制になっていました。)

改めて今回の課題と全体像をまとめると以下のようになります。

課題:会社全体の利益率の改善(背景:コストがジリジリと増えている)

課題:プロジェクトごとの利益率の改善(背景:大まかに把握してものの、増加の内訳や背景が見えにくい)

課題:プロジェクトごとのコスト状況の把握

・稼働時間の把握・使っている経費

(上記のうち特に重要度の高い、個人ごとの生産性の改善に繋げたい)

実際このデータ記録を導入していく上でもっとも懸念すべきことは運用のコストが高すぎて誰もやらなくなり形骸化していくことでした。

そのために目をつけたのが弊社で元々行っていた日報との紐付けです。

その日の業務、振り返り等を記載してslackで報告することにしていたのですが、すでに習慣化されている日報に紐づけることが一番効率的だと判断をしました。

より厳密に行う場合はタスクレベルまで落とし込む場合はToDo管理のツールと連動するといったところまで落とし込むことになりますが、

・初期の導入としてそこまで厳密にやると運用コストが上がる

・タスク自体が流動的に発生しがちな状況のため、タスクレベルまで計画して評価することはオーバースペック

という判断をしています。タスクごとの適切な時間管理自体は重要なため、その点はプロジェクトごとの管理者に一任して、必要に応じて個別に声をかけるという運用にしています。

実際にやってみる

さて、それでは実際に取り組んだ内容をそれぞれ説明していきます。

大まかに分けると以下の3つになります。

①メンバーごとの稼働時間の可視化
②経費生産の管理準備
③データの集約

そこで最終的には以下のツールの組み合わせで実現することにしました。

稼働時間スプレッドシート管理(Aシート)
記載内容をslack通知
日報にて1日の全体の動きを報告
経費Googleフォーム入力→スプレッドシート管理(Bシート)
AシートとBシート、及び売上シートを連結して全体の可視化
集約のためサブ的に、以下のシートを作成・プロジェクトごとにかけている時間の月次推移・プロジェクトごとにかけている時間のメンバーごとの内訳・プロジェクトごとにかけている経費の月次推移

基本的にslack + google関連のフォームやスプレッドシートで完結するという最小限のツールで運用していく前提で作っています。

メンバーごとの稼働時間の可視化

メンバーごとの稼働時間ですが、基本的に添付のような項目で作成をしています。

・開始時間
・終了時間
・業務カテゴリ
・業務詳細

開始時間と終了時間を記載することで、実際にかかった時間が自動で計算されるようになっています。

個人ごとのシートタブを用意した上で、記載をしていってもらいます。

入力自体は若干手間がかかるものでもありますが、一方でタスクごとのかかっている時間をそもそも意識するようになる、という効果も大きいと考えています。

余談ですが、上記のように記載したものをslackに自動で通知を飛ばしてくれるGASを、弊社のインターンメンバーが用意してくれました。

こんな感じでslackには通知がされて、それぞれの人が今何をしているのかがわかるようになっています。

そして稼働内容のスプレッドシートをコピーしてそのままslackに貼れば、以下のような日報形式になります。

経費精算との連動

経費精算については特に特別な方法はとっていませんが、以下のような流れで管理をしています。

  • googleフォームに記入
  • スプレッドシートに蓄積
  • 記入内容が経費精算の担当者をメンションしてslack通知

(内容に不備や確認事項があればslackでやり取り)

というシンプルな作りです。

些細ですが重要な点として、経費生産の項目と日報の項目がずれたりすることが運用上は考えられるため、項目はマスターを作って参照しています。

全体の可視化

さて、下準備が整ったところで、以下のように計算をしています。

稼働内訳のシートをシートとしては以下の3つを準備しました。

・プロジェクトごとの総稼働時間(月次)
・メンバーごとのプロジェクトにかけた稼働時間(期間指定でスイッチ)
・プロジェクトごとの経費(月次)

それぞれ以下のようにしています。

・プロジェクトごとの総稼働時間(月次)

・メンバーごとのプロジェクトにかけた稼働時間(期間指定でスイッチ)

・プロジェクトごとの経費(月次)

そして、上記の3シートを連結して以下のようにまとめています。

やってみた結論と今後

結論から言うと、当初の意図通りには動いており、やってみた効果は実感できています。

より詳細に分けて以下の3点に基づいて評価してみます。

・記入、運用上のメンバー管理してくれるか
・プロジェクト全体の運用状況は結局可視化できたのか
・記入内容に基づいた適切なフィードバックがされているか

記入、運用はきちんとされているか

この部分は懸念もしていましたが、意外にもすんなりと全員が記入してくれています。

最終的に全員がみている場として日報に紐づけたことは大きく、それぞれ記入する体制になっていると感じています。

プロジェクト全体の運用状況は結局可視化できたのか

数値の可視化という意味では非常に効果を感じています。

また、月末の集約を待たずに日次で状況がわかるようになった点も効果を感じているポイントです。

記入内容に基づいた適切なフィードバックがされているか

意識として効率を意識するきっかけにはなるものの、運用上はまだできることが多く課題を感じている点でもあります。

現状のフィードバックはプロジェクトごとに任されており、客観的な評価だけとも言えます。

冒頭でも若干言及しましたが、本来はプロジェクトごとのタスクまで落とし込み、タスク単位で計画、実際の時間、評価が回っていることが理想的ではあります。

最後に進め方の点で、弊社のインターンメンバーが日報の体制などを整えてくれました。

実際運用する機会が多いからこそ、こうした方が使いやすいなど、シートの改善を積極的に行ってもらった点はかなり大きかったと思っています。

今後また運用も変わってくるとは思いますが、現在の一つの運用方法として参考になることがあれば幸いです。

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著者情報

writermalnaブログ編集部webマーケター / データアナリスト
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