2025.03.13
対話型AIの選び方・活用法|導入ステップとおすすめサービスを比較

ChatGPTの登場以降、企業における対話型AIの活用が急速に進んでいます。
この記事では、対話型AIの基礎から最新サービスの比較、具体的な導入手順まで、実務で役立つ情報を解説します。
チャットボットとの違いや最新のAIサービス比較、導入企業の成功事例など、対話型AIの導入を検討している企業担当者向けに役立つ情報をまとめました。
目次
対話型AIとは?基本知識とチャットボットとの違い
チャットボットとの違い
従来のチャットボットと対話型AIには、大きな技術的な違いがあります。
チャットボットは事前に用意された応答パターンに基づいて対話を行う一方、対話型AIは自然言語処理と機械学習を活用して、ユーザーの意図を理解し、柔軟な対話が可能です。
AIの種類(ルールベース型 vs. 機械学習型)
ルールベース型と機械学習型AIの主な特徴の比較については以下の表にまとめています。
この2つのタイプはどちらかを選ぶのではなく、業務の要件に応じて組み合わせて使用することも効果的です。
例えば、基本的な対応はルールベース型で実行し、複雑な質問は機械学習型に振り分けるというハイブリッドアプローチも可能です。
最新の対話型AI技術の進化
近年の人工知能(AI)技術の中で、特に注目を集めているのが対話型AI(会話AI)の進化です。
2022年以降、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)の発展により、この分野は劇的な変革を遂げました。
主な進化のポイント
- ・数千億のパラメータを持つ大規模モデルの実用化により、より自然で文脈に即した対話が可能
- ・機械学習の手法の改良により、より効率的な学習と推論が実現
- ・マルチモーダル機能の実装により、テキストだけでなく画像や音声なども理解・処理が可能
実用面での進展
- ・ビジネス領域での活用(カスタマーサポート、業務効率化)
- ・教育分野での応用(個別学習支援、言語学習)
- ・研究開発支援(文献調査、データ分析)
対話型AIは、単純な質問応答システムから、より深い理解と専門知識を備えた対話パートナーへと進化しています。
今後も技術の発展により、さらに多くの活用分野が広がることが期待されています。
なぜ今、対話型AIが必要なのか?
企業の人材不足、デジタル化の加速、そして変化する顧客ニーズへの対応が求められています。
これらの課題を解決するために、対話型AIは単なる革新的な技術ではなく、ビジネスの持続可能性を維持する重要なソリューションとなっています。
人手不足の深刻化
日本の労働人口が減少することに伴い、特にカスタマーサービス分野での人材確保が困難になっています。
対話型AIの導入により、基本的な問い合わせ対応を自動化し、人材不足を補完することが可能です。
カスタマーサポート業務の負担増
デジタルサービスの普及により、問い合わせ件数は年々増加傾向にあります。
対話型AIを活用することで、24時間365日の問い合わせ対応が可能になり、オペレーターの業務負担を大幅に軽減できます。
ユーザーの即時対応ニーズの対応
現代の消費者は、質問や問題に対して即座の解決を求めています。
対話型AIを導入することで、手間なしでの初期対応が可能となり、顧客満足度の向上につながります。
競争力強化のためのDX推進
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、現代の企業にとって避けて通れない課題です。
対話型AIの導入は、業務効率化とユーザー体験の向上を同時に実現する有効な手段となっています。
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対話型AI導入の成功事例
ここでは、対話型AIを導入した際の成功事例について、「BtoB」と「BtoC」の2つの事例を紹介します。
BtoBの事業成長
製造業A社 – 技術サポートの効率化 導入背景
- ・技術的な問い合わせが年々増加
- ・専門スタッフの負担が限界に
- ・簡単な質問でも専門家が対応する非効率な状況
導入成果
- ・対応時間60%削減(1件30分→12分)
- ・基本的な技術相談はAIが24時間対応
- ・専門スタッフは複雑な案件に集中できる可能性
- ・顧客満足度20%向上
成功のポイント
- ・過去10年間の技術相談データを活用
- ・製品マニュアルと技術資料をAIで学習させます
- ・段階的な導入と精度向上
製造業A社の事例は、対話型AIが技術サポート分野でも高い効果を発揮できることを示しています。
特に、蓄積された技術データを効果的に活用し、基本的な問い合わせをAIに任せることで、専門スタッフの業務効率と顧客満足度の両方を向上させることに成功しました。
BtoCの事業成長
EC事業者C社 – 商品推奨システム 導入背景
- ・カスタマーサポート体制の強化
- ・商品選びに悩む顧客の増加
- ・返品率が課題
導入成果
- ・売上25%増加
- ・お問い合わせ対応時間50%削減
- ・商品返品率15%低下
- ・カスタマーサービス満足度30%向上
成功のポイント
- ・購入履歴データの活用
- ・顧客の好みを学ぶ推奨エンジン
- ・24時間即時対応体制
EC事業者C社の事例は、対話型AIがカスタマーサポートを超えて、販売促進ツール機能としても役立つことを証明しています。
AIによる個別化された商品の推奨と迅速な対応により、顧客満足度の向上だけでなく、具体的な売上増加と返品率低下という事業KPIの改善にも成功しました。
主要な対話型AIサービス12選
主要な対話型AIサービス12選を紹介します。
それぞれのサービスの特徴を理解して、導入する際の参考にしてください。
サービス名 | 特徴 | 料金 | 対応言語 | 活用用途 |
ChatGPT | 高精度な自 然言語処理 |
無料 / 有料 プランあり |
多言語対応 |
お問い合わせ対応・社内FAQ |
Gemini | Google検索 と連携 |
無料 | 英語メイン | 情報検索・アイデア出し |
NottaAI | 音声認識特化 | 有料 | 多言語対応 | 会話の文字起こし・議事録 |
Claude | 高度な分析 ・文章生成 |
有料 | 多言語対応 | ビジネス文書作成・分析 |
Microsoft Copilot | オフィスツ ール連携 |
有料 | 多言語対応 | 業務効率化・文書作成 |
IBM watsonx | エンタープ ライズ向け |
従量課金制 | 多言語対応 | 大規模カスタマーサポート |
Amazon Lex | AWSサービ ス連携 |
従量課金制 | 英語メイン | チャットボット開発 |
rinna | 日本語特化 | 有料 | 日本語・英語 | カスタマーサポート |
COTOHA® | NTT開発の 日本語AI |
有料 | 日本語 | 業務自動化 |
Yellow.ai | マルチチャ ネル対応 |
有料 | 多言語対応 | 統合型カスタマーサービス |
Ada | カスタマー サービス特化 |
有料 | 英語メイン | カスタマーサポート |
Kore.ai | 業務プロセ ス自動化 |
従量課金制 | 多言語対応 | 企業向けプロセス自動化 |
自社に最適な対話型AIを選ぶポイント
対話型AIの導入は、企業のデジタル化における重要な一歩です。
しかし、市場には多様な製品やサービスが存在し、選択を誤って期待した効果が得られないばかりか、貴重な資源を無駄にし、事業に悪影響を与える可能性があります。
以下のポイントを押さえて、自社に最適な解決策を選びましょう。
業務用途を明確にする
対話型AIの導入前に、具体的にどの業務で活用するのかを明確にする必要があります。
- ▢ カスタマーサポートでのお問い合わせ対応
- ▢ 社内向けFAQシステム
- ▢ 営業サポートと商品推奨
- ▢ 予約管理と受付業務
精度・学習能力について求めるレベルを明確にする
業務の複雑さや重要性に応じて、必要な精度と学習能力を検討します。
- ▢ 単純な定型対応であればルールベース型で十分
- ▢ 複雑な理解が必要な場合は機械学習型を選択
- ▢ 継続的な学習機能の必要性を評価
費用感が合うか確認する
予算に応じた適切なサービスを選択するために、以下の点を考慮してください。
- ▢ 初期導入費用
- ▢ 単独利用料やAPI利用料
- ▢ スケールアップに伴う追加コスト
- ▢ 保守・運用にかかる人件費
カスタマイズする必要があるか
独自の要件に対応できるかどうかを確認しましょう。
- ▢ 独自の回答データベースの構築
- ▢ 既存システムとのAPI連携
- ▢ UIのカスタマイズの可能性
- ▢ 多言語対応の必要性
セキュリティ管理が万全か
データセキュリティに関する以下の項目を確認しましょう。
- ▢ 個人情報の取り扱い方針
- ▢ データの暗号化状況
- ▢ アクセス権限の管理体制
- ▢ セキュリティ認証の取得状況
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先ほど、自社に最適な対話型AIを選ぶポイントを紹介しましたが、「どのAIを選べばいいのか」「導入に何が必要なのか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか?
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対話型AIを導入する5つの手順
対話型AIの導入は、単なるツールの実装ではなく、組織全体のデジタル変革プロジェクトとして認識する必要があります。
成功の鍵は、明確な計画と段階的なアプローチを取ることです。 以下の5つのステップに従って、効果的な導入を実現しましょう。
目的を明確にする
導入成功には、明確な目標設定が必要です。
具体的なKPIの種類と測定方法
KPIには以下のような指標があります。
◆対応時間の削減
例:カスタマーサポート業務において、AI導入前はオペレーター1人あたり1日50件の対応をしていたが、対話型AIを導入することで30%削減し、1日35件にすることを目標にする。
◆定量的なKPIの設定
例:AIの回答精度を導入3ヶ月後に90%以上に向上させる(初期段階では70%)。
例:チャットボット経由での自己解決率を50%以上にする。
例:ユーザーの問い合わせ対応時間を平均30%短縮する。
KPIを設定する際の注意点
KPIを適切に設定することで、対話型AIの導入効果を正しく評価できますが、設定の際には以下の点に注意が必要です。
- 測定可能な指標を選ぶ 「AIがうまく対応できるようになったか」という曖昧な目標ではなく、「正答率90%以上」「自己解決率50%以上」など、具体的な数値で測れる指標を設定する。
- 業務目標と一致しているか確認する 例えば、「オペレーターの業務負担を軽減する」ことが目的なら、「対応時間の短縮」や「問い合わせ対応件数の削減」が適切なKPIとなる。 AIの導入が目的にならないよう、「企業全体の業務改善」と関連づける。
- ユーザー視点でのKPIも含める AIが企業にとって効率的でも、ユーザーにとって不満が増えるようでは意味がない。ユーザー満足度や利便性も考慮した指標を取り入れる。
- 定期的な見直しを行う 初期設定のKPIが常に最適とは限らない。半年ごとに評価し、より適切な指標に調整する。
KPIを設定するメリット
KPIを設定すると、次のようなメリットがあります。
- 導入効果を数値で可視化できる 「AIを導入してよかったのか?」という疑問に対し、数値で効果を示せる。
- 改善すべきポイントが明確になる 例:自己解決率が低い場合、ユーザーのAI活用不足か、回答の質の問題かを特定できる。
- 組織内での合意形成がスムーズになる 部門ごとに目的が異なる場合でも、共通のKPIを設定することで方向性を統一できる。
- 継続的な運用改善が可能になる KPIを定期的に見直すことで、AIのパフォーマンスを向上させる施策を適切に実行できる。
◆部門間での目的の共有と合意形成
例:カスタマーサポートチームは問い合わせ対応の効率化、営業部門はFAQの自動化、IT部門はシステムとの連携を目的とする。各部門の目的を共有し、全体としての目標を決定する。
適切なツールを検討する
以下の観点から最適なツールを選びましょう。
◆要件定義に基づく製品比較
例:「Zendesk AI」「IBM Watson Assistant」「ChatGPT API」など複数の対話型AIを比較し、業務に最適なものを選定。
◆無料トライアルを活用して検証
例:例:3つの対話型AIツールを2週間ずつ試用し、応答精度・カスタマイズ性・導入の容易さを比較。
◆サポート技術体制の確認
例:ベンダーのカスタマーサポートの対応時間、障害発生時の対応スピードを事前に確認。
◆社内ITリソースとの適合性評価 例:既存のCRM(SalesforceやHubSpot)とAPI連携ができるかをチェック。
例:クラウド型とオンプレミス型のどちらが社内のセキュリティポリシーに適しているかを検討。
データ学習を可能にする
効果的な運用のために必要な準備を行います。
◆過去の対応データの収集と整理
例:過去1年間の問い合わせ履歴から、よくある質問(FAQ)をリスト化し、対話型AIの学習データに活用。
◆FAQデータベースの構築
例:「返品・交換のルール」「営業時間」「よくある技術的な問題」などの質問をカテゴリ分けし、100問以上のFAQデータを作成。
◆初期学習の実施と精度検証
例:AIがユーザーの質問に対して適切な回答を返せるか社内テストを実施し、30%の回答が的確でない場合は、追加学習を行う。
◆応答ルールの設定とチューニング
例:「AIが対応できない質問が来た場合、オペレーターにエスカレーションする」というルールを設定。
運用開始とモニタリングを実施する
段階的な展開とモニタリングを行います。
◆パイロット運用による検証
例:まずは特定の部署(カスタマーサポートチーム)で3ヶ月間試験運用し、問題点を洗い出す。
◆運用体制の確立
例:AIの回答が間違っていた場合の対応フローを明確化し、オペレーターが適宜修正できる体制を作る。
◆定期的な精度検査
例:毎月1回、AIの回答を抜き取り検査し、正答率が一定基準(90%以上)を満たしているかをチェック。
◆ユーザーフィードバックの収集
例:AIの回答後に『この回答は役に立ちましたか?』というアンケートを表示し、ユーザーの満足度を定量的に分析する。
効果測定の実施(KPIの設定と運用改善)
導入効果の検証と改善を行います。
◆KPIの達成度評価
例:3ヶ月後に「問い合わせ対応時間が30%短縮」「自己解決率50%達成」「オペレーター対応件数が20%減少」などの目標達成度を確認。
例:月ごとのKPIレポートを作成し、達成状況を可視化。
◆コスト削減効果の測定
例:1件の問い合わせ対応コストがAI導入前は500円だったが、AI導入後は300円に削減。年間コスト削減額を算出。
例:AI導入後の人的コスト削減額を算出し、ROI(投資対効果)を分析。
◆ユーザー満足度調査
例:ユーザーへのアンケートを実施し、『AI対応の満足度が70%以上』を達成した場合、導入は成功と判断できる。
例:ポジティブなフィードバックと改善点を整理し、次の運用改善に活かす。
◆改善点の特定と対応
※KPI未達成の場合
例:回答精度が低い場合は、学習データを再強化し、FAQの見直しを行う。
例:自己解決率が目標に届かない場合、ユーザーの質問の傾向を分析し、回答の充実化を図る。
例:AIが適切なエスカレーションを行っているか、オペレーター対応の連携精度を向上させる。
新たな改善策の導入
例:ユーザーからのフィードバックをもとに、新機能の追加や回答のブラッシュアップを実施。
例:定期的なアップデートスケジュールを設定し、AIのパフォーマンスを維持・向上させる。
これらのステップをうまく実行することで、対話型AIの効果的な導入と運用が実現できます。
特に重要なのは、各段階での丁寧な検証と改善のサイクルを確立することです。
また、導入後も継続的な改善を行うことで、より高い効果が期待できます。
企業の目的に合わせたAI導入を進め、業務効率化・コスト削減・顧客満足度向上を実現しましょう。
まとめ
対話型AIは、企業のデジタル革新を支える重要なソリューションとして注目を集めています。
従来のルールベース型チャットボットとは異なり、現代の対話型AIは機械学習を活用し、高度な理解力と柔軟な対話が可能です。
導入の主な目的は、強化する人材不足への対応、サポート業務の効率化、即時対応ニーズへの対応、そしてDX推進による競争力強化です。
製造業やEC事業での導入事例では、対応時間の大幅削減や顧客満足度の向上など、具体的な成果が報告されています。
まず、業務用途の明確化、適切なツールの選定、データ学習環境の整備、段階運用開始、効果測定という5つの手順が重要です。
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