2024.12.09

その他

マーケターが”最低限”押さえておくべき競合調査方法

マーケティング戦略を練る上で、競合分析は避けて通れない重要なステップです。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という孫子の言葉が示すように、市場で成功するためには自社の強みを理解するだけでなく、競合を深く知ることが欠かせません。実際、私たちがお客様と話していると、「競合分析は必要だと分かっているが、何から手をつければいいか分からない」「情報を集めても、それをどう活用すればいいのか悩む」という声をよく耳にします。特に最近では、ChatGPTをはじめとした生成AIツールの台頭により、マーケティング施策のコモディティ化が進み、より深い競合理解の重要性が増しています。

ご存知の通り、私たちの商品やサービスは、常に顧客による比較にさらされています。競合が成功している施策からは新たな可能性のヒントが得られますし、うまくいかなかった取り組みからは貴重な教訓を学ぶことができます。マーケターにこのような競合分析のスキルが必須であることはいうまでもないでしょう。

しかし、「競合分析」と聞くと、何から始めれば良いのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。本記事では、マーケターが押さえておきたい最低限の競合調査の基本的な考え方と、実践的な手法をご紹介します。

malna(マルナ)では、施策の一部だけではなく、競合分析など上流から包括的なマーケティング支援を一緒にできる仲間を探しています。

1.競合分析をする目的を整理する

私たちがクライアントと競合分析を始める際に、必ず最初に確認するのが「なぜ競合を分析するのか」という点です。実際、ある企業では、この目的設定が曖昧だったために、3ヶ月もの分析期間を経て得られた情報が、現場で全く活用されないという事態が起きたことがあったとご相談いただいたことがあります。

あくまで例ですが、競合分析には、以下のような目的が挙げられます。

■ 収益性の向上

  • 売上を伸ばしたい(新規顧客の獲得)
  • 利益率を改善したい(コスト構造の最適化)
  • 顧客単価を上げたい(製品・サービスの付加価値向上)
  • 解約率を下げたい(顧客満足度の向上)

■ 新規事業の展開

  • 新市場への参入可否を判断したい
  • 新製品・サービスの開発方針を定めたい
  • 市場ニーズを把握したい
  • 参入障壁を理解したい

■ 既存事業の防衛

  • 市場シェアを維持したい
  • 新規参入企業への対応を検討したい
  • 価格競争への備えを固めたい
  • 製品・サービスの優位性を保ちたい

■ 組織力の強化

  • 営業力を高めたい
  • 商品開発力を向上させたい
  • マーケティング施策を改善したい
  • 顧客サポート品質を向上させたい

ただし、ここで注意したいのは「競合分析をする」ということ自体は目的ではなく、あくまでも手段だということです。例えば「競合の価格を調べる」というのは手段であり、その先にある「適切な価格戦略を立て、売上向上を実現する」というのが本来の目的です。

競合分析は、自社のビジネス課題を解決するための重要なツールです。しかし、効果的な分析を行うためには、まず「競合」とは何か、その定義を明確にする必要があります。多くの企業では、目の前の直接的な競合企業のみに注目しがちですが、それでは市場の本質的な機会や脅威を見逃してしまう可能性があります。

2.まず”競合”の定義を明確にする

競合分析を始める前に、まず「競合」の定義を明確にする必要があります。多くの企業が「直接的な競合」のみに目を向けがちですが、それでは重要な市場機会や潜在的な脅威を見逃してしまう可能性があります。効果的な競合分析のためには、市場を三つの視点から見る必要があります。

2-1. 直接競合

直接競合とは、同じ市場で、同様の製品やサービスを提供している企業を指します。例えば、弊社のようなデジタルマーケティング支援企業であれば、同様にウェブマーケティングやITツール導入支援を行っている企業が該当します。

直接競合の分析が重要な理由は、まさに市場での直接的な競争関係にあるためです。顧客が自社と競合を比較する際の基準を理解し、効果的な差別化戦略を立てるために不可欠な情報源となります。また、価格設定やサービス内容を検討する際の重要な参考指標にもなります。

2-2. 間接競合

間接競合は、異なるアプローチで同じ顧客の課題を解決している企業です。たとえば、業務効率化という課題に対して、ITツール導入支援ではなく、業務代行サービスを提供している企業が該当します。

一見すると直接の競争相手ではない間接競合の分析が重要なのは、顧客ニーズに対する異なるソリューションを理解できるためです。これにより、新たな市場機会やサービス展開のヒントが得られ、また市場の変化や新たなトレンドを早期に把握することができます。

例えば、マーケティングオートメーションツールを提供する企業にとって、マーケティング代行サービスを提供する企業は間接競合となります。両者は異なるアプローチですが、「マーケティング活動の効率化・最適化」という同じ顧客ニーズに応えようとしているためです。

2-3. 潜在的競合

潜在的競合とは、現時点では競合ではないものの、将来的に市場に参入する可能性がある企業を指します。特に、技術革新が早いデジタル領域では、この視点が極めて重要です。

例えば、AIを活用した自動化ツールを開発している企業や、海外で類似サービスを展開している企業などが潜在的競合となり得ます。これらの企業の動向を把握することで、将来的な市場参入の可能性や、それに伴う自社への影響を予測することができます。

実際の例として、かつてはオフィスソフトウェア市場でMicrosoftの独壇場だった領域に、GoogleがGoogle Workspaceで参入し、市場構造を大きく変えたケースがあります。このような事例からも、潜在的競合の動向把握の重要性が理解できます。

3. 競合の製品・サービスの理解をする

競合の製品・サービスを理解することは、単なる機能比較表の作成以上の意味があります。それは市場ニーズの本質的な理解や、自社製品の改善点の発見につながる重要な過程です。

3-1. 直接競合の製品・サービス分析

3-1-1. 製品・サービスの特徴

競合製品の特徴を理解する際は、表面的な機能比較に留まらず、なぜその機能が提供されているのか、どのような顧客ニーズに応えようとしているのかを深く理解することが重要です。

例えば、ある会議録画ツールが自動文字起こし機能を提供している場合、単にその機能の有無を記録するだけでなく、その精度、対応言語、編集機能の使いやすさ、データのエクスポート形式など、実際の使用シーンを想定した詳細な分析が必要です。

また、提供形態についても注目が必要です。クラウドサービスなのか、オンプレミス型なのか、あるいはハイブリッド型なのか。これらの選択の背景には、セキュリティ要件やコスト構造、導入のしやすさなど、様々な要因が関係しています。

3-1-2. 価格設定の分析

価格設定の分析は、単純な価格の比較ではありません。競合がどのような価値提供に対してどのような対価を求めているのか、その背景にある戦略を理解することが重要です。

例えば、フリーミアムモデルを採用している競合がいれば、そのフリープランと有料プランの機能差分から、どの機能に最も価値を見出しているかを推測することができます。また、エンタープライズプランを用意している場合、その対象となる顧客層や、カスタマイズ対応の範囲なども重要な分析ポイントとなります。

実際の価格分析では、基本料金だけでなく、以下のような要素も含めて包括的に見ていく必要があります。初期費用の有無や金額設定、月額料金の課金体系(ユーザー数ベースか使用量ベースか)、支払い条件(年払いの場合の割引率など)、これらすべてが競合の価格戦略を理解する重要な要素となります。

例えば、Zoomのような会議ツールの場合、無料プラン、プロプラン、ビジネスプランといった段階的な価格設定を採用していますが、各プランの価格差や機能差から、どの顧客層をメインターゲットとしているかが見えてきます。

https://zoom.us/ja/pricing

3-1-3. 顧客ターゲットの理解

競合の顧客ターゲットを理解することは、市場セグメンテーションを把握する上で非常に重要です。これは公開されている導入事例や、ウェブサイト上での訴求内容、提供している機能セットなどから推測することができます。

例えば、大手企業の導入事例が多い競合は、エンタープライズ向けの機能(シングルサインオン、詳細な権限管理、監査ログなど)を重視している可能性が高く、一方でスタートアップの事例が多い競合は、導入の容易さやコストパフォーマンスを重視している傾向があると考察できます。

3-1-4. 強み・弱みの分析

競合の強み・弱みを分析する際は、客観的なデータに基づいて行うことが重要です。例えば、ITreviewCapterraなどのレビューサイトが非常に有用です。特に、最近1年間の評価の推移を見ることで、競合の製品開発の方向性が見えてきます。

具体的にはあるチャットボットを提供する競合企業の分析では、レビューの詳細な分析から以下のような傾向が見えてきました:

  • 「使いやすい」「導入が簡単」という評価が増加 → UIの改善に注力
  • 「カスタマイズ性が低い」という指摘が継続 → 技術的な制約の可能性
  • 「サポートの質が向上」というコメントの増加 → サポート体制の強化

4. 競合事業を運営する企業について理解する

競合企業そのものを理解することは、その企業の戦略的な方向性や、今後の展開を予測する上で重要です。

4-1. 企業情報の包括的な分析

4-1-1. 企業概要の理解

企業の基本情報(設立年、本社所在地、事業内容など)は、その企業の成長段階や市場での位置づけを理解する上で重要な指標となります。例えば、創業間もない企業と老舗企業では、リソースの規模や意思決定のスピード、組織文化が大きく異なることが多く、それぞれの強み・弱みも自ずと異なってきます。

4-1-2. 売上高・利益の分析

上場企業の場合、有価証券報告書やIR資料から詳細な財務情報を入手できます。非上場企業の場合でも、帝国データバンクバフェットコードなどの企業データベースから、ある程度の規模感を把握することは可能です。

重要なのは、単純な数値の大小ではなく、その推移や内訳です。例えば、売上が急成長している企業は積極的な投資や価格競争を仕掛けてくる可能性が高く、一方で利益率が低下傾向にある企業は、価格戦略の見直しや新規事業への参入を検討している可能性があります。

https://www.buffett-code.com/

4-2. マーケットシェアの分析

マーケットシェアは、市場での影響力を測る重要な指標です。ただし、デジタルサービスの場合、正確なシェアの把握は難しいケースが多いため、複数の指標を組み合わせて推測する必要があります。

例えば、以下のような指標を総合的に見ることで、おおよそのシェアを推測することができます:

  • SimilarWebなどのツールによるウェブトラフィック比較
  • App StoreやGoogle Playでのダウンロード数
  • 公表されている契約社数や契約金額
  • 業界レポートでの言及度

4-3. 経営陣・組織体制の理解

この分析が特に重要なのは、経営陣の過去の実績から今後の戦略を予測できるためです。例えば、ある競合企業では、グローバル展開の経験が豊富な役員の就任後、実際に海外展開を開始するというケースがありました。

  • LinkedIn、Wantedlyのプロフィール
  • 経営者のSNSや登壇情報インタビュー記事
  • 採用動向(特に注目職種や報酬の変化)
  • PR TIMESなどプレスリリースの変化

5. 競合事業のマーケティング手法について分析する

マーケティング手法の分析は、効果的なチャネルの特定や未開拓の市場機会の発見につながります。現代のデジタルマーケティングでは、様々なツールを活用することで、競合の戦略をより詳細に把握することが可能です。

5-1. 広告分析の実践的アプローチ

5-1-1. AhrefsとSEMrushを活用した広告分析

これらのツールを使用することで、競合の広告戦略をかなり詳細に把握することができます。例えば、Ahrefsを使用した分析では、競合がどのキーワードに予算を投じているか、そのキーワードのトレンド、季節変動などを確認することができます。

具体的な分析手順としては:

  1. Site Explorerで競合ドメインを入力
  2. Paid Searchセクションで広告キーワードを確認
  3. キーワードの傾向(検索ボリューム、競合度、季節性)を分析
  4. 広告文面のパターンを収集・分析

SEMrushでは、さらにディスプレイ広告のクリエイティブも確認できるため、競合のビジュアル戦略まで把握することが可能です。

https://app.ahrefs.com/

実際にあるSaaS企業の競合分析では、特定の業界用語に関する広告出稿が急増していることから、業界特化型の新サービス展開を事前に予測することができました。

5-1-2. Meta広告ライブラリの活用

Meta広告ライブラリは、競合のソーシャルメディア広告戦略を理解する上で非常に有用なツールです。広告ライブラリでは、競合が実際に出稿している広告クリエイティブをすべて確認することができ、以下のような分析が可能です。

まず、広告の出稿パターンから、競合のターゲット層や重視しているユーザー属性が見えてきます。例えば、若手ビジネスパーソンをターゲットにしている場合は、カジュアルな口調や、成長・キャリアに関連するメッセージが多用される傾向があります。

また、広告の出稿頻度や時期からは、競合の予算配分や重点施策の時期を推測することができます。特に季節性のある商材の場合、この情報は自社の施策立案に直接活用できます。

https://www.facebook.com/ads/library/

実際に競合の広告クリエイティブの変遷を追うことで、競合への理解が深まります。例えば、あるHRテック企業の分析では、以下のような気づきがありました。

  • 訴求内容の変化: 「業務効率化」から「人材育成」へシフト
  • ターゲット層の変更: 人事部門から経営層へ訴求対象を拡大
  • クリエイティブの傾向: 動画コンテンツの増加、成功事例の強調

具体的な分析のポイント:

  • 広告の出稿パターン(季節性、キャンペーン期)
  • 使用している写真やイラストのトーン
  • コピーライティングの特徴
  • CTAの設計方法

5-1-3. TikTok広告の分析

TikTokの台頭により、多くの企業がTikTok広告に注目しています。TikTok広告ライブラリでは、競合がどのような動画コンテンツで広告を展開しているかを確認できます。

特に注目すべき点は、動画の長さ、使用しているBGM、ナレーションの有無、字幕の使い方です。これらの要素は、広告のパフォーマンスに大きく影響します。例えば、最初の3秒で視聴者の注目を集められるかどうかが、広告の成否を分けることが多いため、競合がどのようなオープニングを使用しているかは重要な分析ポイントとなります。

https://ads.tiktok.com/business/creativecenter/inspiration/topads/pc/ja?period=30&region=JP

2023年に入り、BtoBマーケティングにおいてもTikTokの重要性が増しています。私たちのクライアント企業でも、特に若手経営者や新規事業担当者へのリーチ手段として、TikTokの活用を検討するケースが増えています。

実際の分析事例では、以下のようなポイントに注目するのがおすすめです。

  • 競合の動画の長さ(15秒か、60秒か)
  • トーン&マナー(かしこまった印象か、カジュアルか)
  • 訴求内容(機能訴求か、世界観訴求か)
  • コメント欄でのユーザーとのやり取り

5-2. SEO戦略の分析

5-2-1. Ahrefsを使った包括的なSEO分析

SEO戦略の分析では、競合がどのようなキーワードで上位表示を獲得しているかを理解することが重要です。Ahrefsを使用すると、以下のような詳細な分析が可能です:

オーガニックキーワードの分析では、競合が上位表示を獲得している検索キーワードとその検索ボリュームが確認できます。特に注目すべきは、競合が最近順位を上げているキーワードです。これは、競合が注力している領域を示す重要な指標となります。

また、バックリンク(被リンク)の分析も重要です。どのようなサイトからリンクを獲得しているか、その獲得方法(PR記事、ゲスト投稿、自然リンクなど)を理解することで、効果的なリンクビルディング戦略を立てることができます。

5-2-2. コンテンツ戦略の分析

競合のコンテンツ戦略を理解するには、以下の点に着目して分析を行います:

まず、コンテンツの種類とその比率です。例えば、ハウツー記事が多いのか、事例紹介が中心なのか、あるいは業界動向の解説記事が多いのかを確認します。これにより、競合がどのような情報ニーズに応えようとしているかが分かります。

次に、コンテンツの更新頻度です。毎日更新しているのか、週次なのか、それともイベントドリブンなのか。この情報は、競合のコンテンツマーケティングへの投資規模を推測する手がかりとなります。

5-3. SNSマーケティングの詳細分析

5-3-1. X(旧Twitter)の活用状況

Xでの展開を分析する際は、単なる投稿内容だけでなく、以下のような要素に注目します:

エンゲージメントパターンの分析では、どのような投稿が高いエンゲージメントを獲得しているかを見ます。例えば、製品アップデートの告知なのか、ハウツー情報なのか、あるいはユーザー事例の紹介なのか。これにより、フォロワーがどのような情報に関心を持っているかが分かります。

また、返信対応の方法も重要な分析ポイントです。カスタマーサポート的な使い方をしているのか、それともコミュニティ形成を重視しているのか。これは、競合のSNS運用の目的を理解する手がかりとなります。

5-3-2. Instagramの活用分析

Instagramでは、ビジュアルコミュニケーションの戦略を理解することが重要です。フィード投稿、ストーリーズ、Reelsなど、各フォーマットをどのように使い分けているかを分析します。

特に、Reelsの活用は近年重要性を増しています。競合がReelsでどのようなコンテンツを展開しているか、その再生数やエンゲージメント率を分析することで、効果的なコンテンツ戦略のヒントを得ることができます。

5-4. その他のマーケティング施策

5-4-1. プレスリリース

プレスリリースは、競合の事業展開や注力領域を理解する上で重要な情報源です。PR TIMESなどのプラットフォームで、以下のような点に着目して分析を行います:

発表の頻度と内容から、競合の事業展開のスピードや方向性が見えてきます。例えば、新機能のリリースが多い時期は、プロダクト開発に注力している段階であり、導入事例の発表が増える時期は、営業活動に力を入れている段階だと推測できます。

https://prtimes.jp/

5-4-2. レビュー・口コミの分析

ITreviewやCapterraなどのレビューサイトでは、実際のユーザーの声を確認することができます。ここでの分析では、単純な評価スコアだけでなく、以下のような点に注目するとよいです。/

  • 評価の詳細な内容(特に具体的な不満点や改善要望)
  • 競合の返信内容と対応姿勢
  • 評価の時系列での変化
  • 特定の機能やサービスに対する評価の傾向

6. 得た競合の情報の活用方法

収集した情報を効果的に活用するためには、単なるデータの蓄積ではなく、実践的なアクションにつなげることが重要です。

6-1. 自社の強み・弱みの特定

競合分析で得た情報を基に、自社のポジショニングを客観的に評価します。例えば、競合が提供していない機能や、より優れたサービス品質を持つ領域を特定することで、差別化ポイントを明確にすることができます。

6-2. 差別化要因の発見

市場での差別化要因は、必ずしも機能や価格だけではありません。例えば、以下のような要素も重要な差別化ポイントとなり得ます:

  • カスタマーサポートの質
  • 導入支援の充実度
  • コミュニティの活性度
  • ブランドイメージ

6-3. マーケティング施策の改善

競合分析から得た知見の「実行可能な施策への落とし込み」です。例えば、以下のような具体的な改善案としては下記のイメージです。

例えば

  • 機能紹介中心のコンテンツ
  • 属人的な分析と施策立案
  • 場当たり的な価格設定
  • 感覚に基づいたSEO施策の展開

After:

  • 顧客の課題解決に焦点を当てたストーリー作り
  • データに基づく定期的な競合チェックと施策更新
  • 市場ポジションを意識した戦略的な価格設定
  • 比較した際に未対応のキーワードでのSEO施策の展開

6-4. 新規事業や製品開発への示唆

競合分析から得られる示唆を以下の3つの観点で整理することがおすすめです。

  • 市場機会の発見
    • 競合が対応していない顧客セグメント
    • 未充足のカスタマーニーズ
    • 新たな技術トレンドへの対応
  • リスク予測
    • 競合の価格戦略変更の可能性
    • 新規参入の予兆
    • 技術革新による破壊的イノベーション
  • 開発優先順位の決定
    • 必須機能の特定
    • 差別化機能の選定
    • 投資対効果の予測

7. さいごに

ここまで最低限おさえておくべき競合分析の手法について解説してきましたが、これらはマーケターとして押さえておきたい本当に基本的なアプローチです。実際のビジネスシーンでは、業界特性や市場環境に応じて、より深い分析が必要になることもあれば、ユーザーとして使ってみるなど、当然、別の視点からのアプローチが有効な場合もあります。

競合分析で重要なのは、得られた情報を単純に模倣することではありません。競合の動向を理解した上で、そこから得られた示唆を自社の強みや特徴と組み合わせ、独自の価値提供へとつなげていくことが大切です。また、競合分析は「一度やって終わり」ではなく、継続的な取り組みとして捉えることが重要です。市場は常に変化しており、競合の動きも日々変わっているため、チーム全体で定期的に情報をアップデートし、共有していくことが大切です。

本記事で紹介した分析手法を基本として、そこに自身の経験や知見を重ねながら、より効果的な競合分析と戦略立案を実践していただければと思います。

malna(マルナ)では、このような競合分析を含む、包括的なマーケティング支援を提供しております。クライアントの事業成長のために伴走したい、一緒に働きたいという方はぜひカジュアル面談をさせてください。

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著者情報

高橋 一志

writer高橋 一志 consultant
Web開発やデジタルマーケティングの総合支援を担当。戦略的なWebサイト企画・設計からSEO対策、SNS運用、広告運用(リスティング、ディスプレイ、SNS広告)に至るまで、プロジェクトの企画から実行まで幅広く携わる。SalesforceやHubSpotを活用したCRM/MA導入・運用やGoogle Analyticsを基にしたデータ分析を通じて、施策の成果向上を実現。ウェビナーやメールマーケティングの運営でも豊富な実績を持つ。
2018年にmalna株式会社を創業し、デジタル分野における幅広い支援を展開。

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