BtoCマーケティングの成功事例14件|IRと公式事例で確かめた成果の単位

BtoCの成功事例をまとめた記事を10本ほど並べて読むと、同じ企業名が繰り返し出てきて、そのどれにも数字が付いていないことに気づきます。検索上位の1本を開いて数えてみたところ、15の事例のうち具体的な数値が書かれていたのは1件だけでした。出典URLは1本も掲載されていません。

目次

数字がないまま事例を社内に持ち帰ると、会議で必ず同じ質問が出ます。それは何をどう数えた結果なのか、という問いです。ここで答えられないと、事例は雑談で終わります。

そこで今回は、企業自身が出した資料だけを開き直しました。上場企業の決算説明資料と、LINEヤフーやMetaがビジネス向けサイトに掲載している事例ページです。本記事では、14件を読み込んで見えた構造をそのまま示します。成功と呼ばれている状態は企業ごとに別の単位で測られていて、その単位が施策の中身をほぼ決めていました。会員数を数えている企業と来店回数を数えている企業では、打ち手も撤退の判断もまるで違います。

他社の数値を社内で共有したところ、うちの数え方だとその数字にはならないと指摘されて話が止まる。そんな場面はよくあります。指標の定義をそろえる工程から実行までを、malnaが一緒に進めています。数え方の統一について問い合わせるところから着手できます。

マーケティング活動の課題 まずはプロに相談しませんか?

BtoCマーケティングの成功事例とは、企業自身が単位を決めて公表した成果の記録です

BtoCマーケティングの成功事例とは、企業が個人の消費者に向けて実施した施策と、その企業自身が単位を決めて公表した数値が対応づけられている記録です。単位の決め方が公表されていない事例は、成果の大小を判断できません。この記事で扱うのは、出どころと単位の両方を確認できた14件だけです。

14件が使っていた成果の単位は4系統に分かれました

14件の資料を突き合わせると、公表されている数値の単位は4つの系統に整理できました。系統ごとに、施策の設計も判断の速さも変わります。

成果の単位 数えているもの 単位が引き寄せる施策 該当件数
会員基盤の大きさ 登録した人の総数と稼働している人数 会員証のデジタル化、アプリ、ランク制度 4件
継続と1人あたり売上 同じ人が戻る回数と単価 定期購入、休眠への再接触、登録の簡略化 3件
来店と注文の回数 店に来た人数と注文された品数 クーポン配信、モバイルオーダー、既存店の改装 4件
到達と認知の変化 届いた人数と覚えられた度合い 媒体配分の検証、動画配信、スタッフの発信 3件

4系統のうち、社内の会議で一番もめやすいのは会員基盤の大きさです。同じ資料の中に総会員数とアクティブ会員数が並んでいて、両方が会員数と呼ばれているためです。数え方の違いは記事の後半で詳しく扱います。

14件と成果の単位の対応一覧

14件がそれぞれ何を数えていたかを、公表されている数値と時点とあわせて並べます。資料に書かれた表現をそのまま引いており、こちらで丸めたり単位を統一したりはしていません。

企業・ブランド 成果の単位 公表されている数値と時点
アンドエスティHD(and ST) 会員基盤の大きさ 総会員数約2,170万人、アクティブ会員数約780万人(2026年2月28日時点)
良品計画(MUJI passport) 会員基盤の大きさ 年間アクティブユーザー数1,569万超(2024年8月期)
パン・パシフィック・インターナショナルHD(majica) 会員基盤の大きさ 会員数2,000万人突破(2026年3月作成の資料)
亀屋万年堂 会員基盤の大きさ 会員登録数約10万人(2026年7月現在)
オイシックス・ラ・大地(Oisix) 継続と1人あたり売上 期末会員数35.1万人(2026年3月期末)
アルペン 継続と1人あたり売上 本会員登録数が前年同期比200パーセント超(2026年2月の施策後)
B-first(Agu.) 継続と1人あたり売上 休眠約2万人への配信で21パーセントが2週間以内に再予約
サンマルクカフェ 来店と注文の回数 開封ユーザーの約40パーセントが開封当日に来店
大髙商事(じげもんちゃんぽん) 来店と注文の回数 友だち数が9カ月で1万4,000人から3万人超へ
國屋 来店と注文の回数 フード注文数が平均約12パーセント増加
ワークマン 来店と注文の回数 既存店客数プラス3.9パーセント、1日平均客数175人(2026年3月期)
サントリーホールディングス 到達と認知の変化 予算を10パーセント増やしたエリアでリーチとフリークエンシーが113パーセント
パルグループHD(PAL CLOSET Online Store) 到達と認知の変化 顧客獲得単価50パーセント削減、広告費用対効果2.1倍(検証期間・比較対象は非公表)
アンドエスティHD(レプシィム) 到達と認知の変化 ブランドスタッフのフォロワー数が1年で1.4倍

14件は13社分です。アンドエスティHDだけは、ECプラットフォームのand STとブランドのレプシィムで単位が違うため、2件に分けて数えました。会員数が2,000万人の企業と10万人の企業が同じ表に並んでいますが、比べたいのは規模ではありません。自社が何を数えると決めたのか、その決め方だけを見てください。

数値の出どころは、決算資料とプラットフォーム公式事例の2系統に限りました

引用元は、企業自身の決算説明資料と、プラットフォーム運営会社が自社サイトに載せている事例ページの2系統に限定しました。まとめ記事や代理店ブログからの転記は使っていません。

出どころ 件数 強み 読むときの注意
決算説明資料・事業説明資料 5件 期末時点が明記され、前年との比較条件も揃う 施策の記述は要点だけで、手順は書かれない
プラットフォーム公式事例ページ 9件 担当者の判断や運用の手順まで語られる 取材先調べの数値で、試算が混じる場合がある

決算資料を使う利点は、期の区切りが決まっていることです。同じ会社の去年と今年を同じ物差しで比べられます。プラットフォームの事例ページのほうは、なぜその施策を選んだのかという判断の理由が読めます。両方を並べたのは、数値の厳密さと再現の手がかりが別々の資料に載っているためでした。

上位記事では数値と出典が省かれていました

検索上位の記事を開くと、事例の紹介が定性的な説明にとどまっている状態が共通していました。BtoC向けのコンテンツ事例15件を扱う1本では、月間300万PVという数値が1件に書かれているだけで、残り14件には数値も出典URLもありません。

もう1点気づいたのは、検索の入口がずれている記事が多いことです。BtoCの成功事例を探しているのに、開くとコンテンツマーケティングの事例集で、BtoBの事例が半分を占めている。BtoCのSNS事例で調べた場合はさらに顕著でした。

自社メディアの事例を軸にした整理は別の記事で扱っているため、ここでは企業が公表した数値と単位に絞って進めます。

関連記事:成功するコンテンツマーケティング事例15選|最新トレンドと戦略

成果の単位は4系統に分かれた

会員基盤の大きさを成果の単位に置いたBtoCマーケティングの成功事例4件

会員基盤の大きさを成果の単位に置く企業は、登録した人の数と、そのうち実際に動いている人の数を分けて公表します。4件はいずれも、紙の会員証やスタンプカードをデジタルへ移した過程を持っています。数値は各社が公表した時点のものであり、他社に当てはめて同じ結果になる保証はありません。

株式会社アンドエスティHD(and ST)

アンドエスティHDは、自社のECプラットフォームであるand STの会員数を、総会員数とアクティブ会員数の2本立てで公表しています。2026年2月期通期の決算説明会資料によれば、2026年2月28日時点の総会員数は約2,170万人で前期末比プラス200万人、アクティブ会員数は約780万人で前期末比プラス30万人でした。同社は2025年9月1日に株式会社アダストリアから商号を変更しています。

同じ資料には、and STの流通総額が462億円で前年同期比114.8パーセント、うちグループ外ブランドの販売が45億円で前年同期比401.6パーセントと記載されています。中期経営計画の進捗としては、会員数プラス150万人、購買頻度プラス0.4回という項目が並んでいました。

打ち手として明記されているのは、プラットフォームの認知度向上と出店ブランドの拡大促進を目的としたテレビCMの放映です。広告宣伝費は売上比3.0パーセントで前年同期差プラス0.1ポイント、金額では6億8千万円の増加でした。総会員数とアクティブ会員数を分けて出している点が、この事例のいちばん実務的な部分です。

株式会社良品計画(MUJI passport)

良品計画は、アプリの成果を年間アクティブユーザー数という単位で公表しています。2025年5月28日のニュースリリースによれば、MUJI passportの日本国内における年間アクティブユーザー数は1,569万を超えており、集計期間は2024年8月期、つまり2023年9月1日から2024年8月末までと明記されています。

同社は2025年9月初旬に、このアプリをMUJI アプリへ全面リニューアルしました。会員プログラムもMUJI GOOD PROGRAMへ切り替わり、ためたポイントを買い物に使うだけでなく、地域活動の支援や災害復興支援などの寄付に使える仕組みが加わっています。

注目したいのは、単位に累計ダウンロード数を選んでいないことです。年間アクティブユーザー数は集計期間を書かないと意味をなさない数値で、リリースにはその期間が併記されています。集計期間まで書かれた数値は、翌年の同じ期間と比較できるという点で扱いやすくなります。

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(majica)

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、自社アプリmajicaの会員数を公表しつつ、そのアプリを価格の決め方そのものに組み込んでいます。2026年3月作成の事業説明資料には、国内のドン・キホーテ、アピタ、ピアゴを含むmajica加盟店で使える公式アプリとして、会員数は2,000万人を突破したと記載されています。

アプリ内にはマジボイスというサービスがあり、悪い点まで可視化する正直レビューと、利用者同士がつながる教えて掲示板の2つが主要コンテンツとして挙げられています。ここで高評価を得た商品を安く提供する取り組みがマジ価格で、企業が売りたい商品ではなくレビューで評価された商品を値下げする運用だと説明されています。

同じ資料のUNY事業のページには、消耗雑貨品をmajica会員限定価格で提供することで既存顧客の来店頻度の改善につなげる、という記述もありました。会員基盤を配信の宛先ではなく値付けの判断材料に使っている点が、他の3件と分かれるところです。

参考:パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 事業説明資料

株式会社亀屋万年堂

亀屋万年堂は、LINEミニアプリに移した会員証の登録数と、施策ごとの利用回数を単位に置いています。LINEヤフーが2026年7月27日に掲載した事例ページによれば、会員登録数は2026年7月現在で約10万人に達しています。

同社は2023年に紙の会員証を廃止し、LINEミニアプリへ移行しました。2025年10月にはレギュラー、ブロンズ、シルバー、ゴールドの4段階のランク制度を導入し、100円ごとに1ポイントを付与する仕組みに変えています。事例ページには、ブロンズ会員以上に配信する誕生日クーポンの利用率が40パーセントを超えた月があること、毎月20日に実施しているスクラッチの月間利用回数が2026年2月に約1万3,000回だったことが記載されています。

30代から50代の会員登録が進んだという記述も添えられていました。ランク制度と誕生日クーポンが、それぞれ別の数値で評価されている構造です。施策ごとに数える対象を変えているため、どの打ち手が効いたのかを後から切り分けられます。

参考:会員証を紙からLINEミニアプリへ|会員数10万人目前、亀屋万年堂の顧客接点改革

同じ人が戻る量を成果の単位に置いたBtoCマーケティングの成功事例3件

同じ人が戻る量を成果の単位に置く企業は、新規の獲得数ではなく継続の回数や1人あたりの売上を先に見ます。3件はいずれも、初回の獲得を増やす方向とは逆の判断を公表資料の中で示していました。

オイシックス・ラ・大地株式会社(Oisix)

オイシックス・ラ・大地は、会員数と1人あたり売上を並べて公表しており、両者が逆方向に動いた期を資料に残しています。2026年5月14日発表の2026年3月期決算説明資料によれば、Oisixの期末会員数は35.1万人でした。同じグラフに載っている期末会員数の推移は、23年3月期上期の35.6万人から24年3月期上期に39.9万人まで伸び、そこから26年3月期下期の35.1万人まで下がる形です。

1人あたりの平均売上は、25年3月期上期の1万1,500円から26年3月期下期の1万2,300円へ動いています。同じページに並ぶOisixのEBITDAマージンも、その区間で14.3パーセントから15.3パーセントへ改善しました。会員数を単位に置けば減少、1人あたり売上と収益性を単位に置けば改善という、正反対の読み方ができる状態です。

施策として資料に挙がっているのは、2026年3月時点で250メニューを突破した超ラクKit、ボリューム不足などのミスマッチを解消するたすだけシリーズ、2026年1月に累計販売食数300万食を突破したデリOisixです。あわせて、LTVを基準にした投資判断で新規獲得コストを適正化する方針も明記されていました。会員数の減少とARPUの上昇が同時に起きた期を、1枚のグラフに残している点が資料としての価値です。

株式会社アルペン

アルペンは、会員の種類ごとに2年目の1人あたり売上を比べ、その差を根拠に会員登録の設計を組み替えました。2026年6月30日掲載のLINEヤフーの事例ページによれば、本会員と仮会員の2年目LTVの差は約3倍とされています。

同社はこの差を踏まえて、仮会員中心の運用から本会員中心の運用へ切り替えました。2026年2月にLINEミニアプリによる会員証を実装し、全店舗にLINEタッチを導入したところ、本会員登録数は前年同期比200パーセント超に伸びています。クイック入力機能で入力の負担を減らした結果、本会員登録の所要時間は123秒から79秒へと36パーセント短縮されました。

配信面では、2026年3月の実績としてLINE公式アカウントの1配信あたりのクリック率がメールマガジン比316パーセントと記載されています。LINEタッチは専用のNFCタグにスマートフォンをかざす仕組みで、既存のQRコードに代わる導線として全店舗のレジ横に設置されました。登録画面の秒数を成果の指標に含めている事例は多くありません。

B-first株式会社(Agu.)

B-firstは、休眠していた顧客が戻った割合と、ブロック率の差を成果の単位に置いています。2026年7月3日掲載の事例ページによれば、来店間隔が空いた顧客約2万人への配信で、21パーセントが2週間以内に再予約しました。

LINEミニアプリ経由の予約比率は、2024年12月から2026年5月の比較で約1.5年のあいだに5.5倍へ増えています。年間約1.7億円の売上増加に貢献したという記述もありました。ここで注意したいのは、この売上の数値が2024年の顧客数に2026年2月の顧客単価を掛け合わせて計算した推計だと事例ページ自身に書かれている点です。

ブロック率の扱い方も参考になります。グループ全体のブロック率は13.6パーセントですが、LINEミニアプリ経由で予約するアクティブユーザーに限ると1パーセント台まで下がると記載されています。同じ配信でも、届く相手の状態によって解除の起こり方が変わるという事実が数値で示されています。

参考:LINE公式アカウント×LINEミニアプリで予約比率5.5倍、売り上げ1.7億円増|美容室Agu.が進めた顧客接点改革

配信基盤の設計から運用まで、社内で誰が何を持つかが決まらないまま止まっている段階でしたら、LINEを軸にした運用の考え方を整理した記事も参考になります。

関連記事:【2025年度版】Lステップとは?┃LINE公式との違いから、できること、運用時の注意点まで徹底解説!

どの単位を自社の成果に据えるかは、扱う商材と購買の間隔で変わります。選び方の当たりをつける段から、malnaが加わることもできます。

マーケティング活動の課題 まずはプロに相談しませんか?

来店と注文の回数を成果の単位に置いたBtoCマーケティングの成功事例4件

来店と注文の回数を成果の単位に置く企業は、配信の反応ではなく店で起きた行動まで追いかけます。4件のうち3件は飲食と小売の現場で、配信を開いた人がその日に来たかどうかまで見ていました。

株式会社サンマルクカフェ

サンマルクカフェは、メッセージを開いた人が来店したかどうかを成果の単位にしています。2026年7月10日掲載のLINEヤフーの事例ページによれば、メッセージ開封ユーザーの約40パーセントが開封当日に来店し、開封ユーザーは未開封ユーザーより1.5倍来店数が高いという結果が示されています。

同社は2025年10月に店舗ごとのLINE公式アカウントを開設し、友だち追加クーポンの配信とSNSでの告知を行いました。クーポンの獲得率は89パーセント、使用率は52.7パーセントで、友だち数はクーポン配信前の14倍に増えたとされています。2026年2月には21店舗でLINEタッチを試験的に導入し、導入店舗の友だち数は229パーセント増加しました。

来店の把握には、Yahoo! JAPANの位置情報データを使った分析が用いられています。開封率、ブロック率、友だち数をKPIとして配信内容を検証する運用も併記されていました。開封という配信側の数値と、来店という店側の数値を突き合わせている点が、この事例の核心です。

参考:メッセージ開封者の約40%が当日来店!サンマルクカフェに学ぶ集客術

株式会社大髙商事(じげもんちゃんぽん)

大髙商事は、友だち数の積み上がる速さと、アンケートの回答件数を成果の単位に置いています。2026年7月29日掲載の事例ページによれば、友だち数は2025年8月時点の1万4,000人から2026年5月時点で3万人を超え、1年で3万人という目標を9カ月で達成しました。

クーポンは野菜増し無料を友だち限定でいつでも使える形にし、毎週月曜日に配信しています。使用期限を2週間に設定し、選べるクーポンが常時3つある状態を保つ運用です。友だち追加は店頭での案内が中心で、注文タブレットでの告知と名刺サイズの案内紙により、約7割から8割の来店客が追加していると語られています。

もう1つの単位はアンケートの回答件数です。最大で月600件の回答が集まり、店の活気、清潔感、料理のクオリティー、再来店意向、友人・知人への推奨意向という5項目を5点満点で評価する形式でした。結果は現場の改善施策と人事評価に反映されています。配信の道具を評価制度の入力に使っている点は、他の事例に見られない使い方です。

参考:友だち数が9カ月で3万人超!クーポンとリサーチを有効活用した「じげもんちゃんぽん」流集客術

株式会社國屋

國屋は、注文数と顧客単価を成果の単位に置き、モバイルオーダーに載せた商品と載せない商品を分けて運用しています。2026年7月8日掲載の事例ページによれば、LINEレストランプラスの導入後にフード注文数が平均約12パーセント増加し、モバイルオーダーに掲載した商品の注文割合は約15パーセント増加しました。

運用の判断が具体的です。日本酒の立ち飲みバーであるSake stanD 凛ではドリンクをスタッフ対応のまま残し、フードだけをモバイルオーダーに載せる形にしています。おすすめ商品は写真を大きく掲載するなど、メニューの見せ方も調整されていました。

顧客単価は5年で約5倍に伸長したとされ、原点となる店舗のろばた翔では平均坪売り上げ73万円、最高91万円という数値が記載されています。ただし記事内の数値や役職はすべて取材時点のもので、実績は取材先調べによる数値だと注記されています。掲載する商品と掲載しない商品を分けたうえで注文割合を見ているため、施策の効き方を商品単位で読めます。

参考:LINEレストランプラスで効率化とおもてなしを両立する、國屋の店舗体験づくり

株式会社ワークマン

ワークマンは、既存店の客数と客単価を成果の単位に置き、そのために投じた販促費の内訳まで公表しています。2026年3月期の決算説明会資料によれば、既存店売上高は前期比プラス9.0パーセント、既存店客数はプラス3.9パーセント、1日平均客数は175人で8人増、既存店の客単価は3,190円で4.9パーセント増でした。

売上を牽引したのはリカバリーウエアです。商材別ではメディカルの分類が前年同期比808.2パーセントとなり、MEDiHEALシリーズの販売実績は2025年9月から2026年3月で約684万着、約115億円と記載されています。第4四半期の既存店売上高はプラス17.7パーセントで、チラシやCM放映の効果もありリカバリーウエアが全社売上を牽引したと説明されています。

販管費の内訳も具体的です。販売費の増加要因として、販促チラシが3億6,000万円、ラッピングストアやパネルなどの販促媒体が3億600万円、テレビCMが4億800万円、製品発表会が1億4,000万円と個別に挙げられていました。販促費の項目ごとの増加額まで開示しているため、客数の伸びと投資の対応関係を追える資料になっています。

地域に根ざした店舗や小規模な事業者が同じ考え方を使う場合の進め方については、次の記事が近い内容を扱っています。

関連記事:地方企業に向けたマーケティングとは|おすすめ3つの手法を具体例付きで解説

到達と認知の変化を成果の単位に置いたBtoC SNSの成功事例3件

到達と認知の変化を成果の単位に置く企業は、売上に届く手前の段階を切り出して測ります。SNSや動画を使う施策では購入までの経路が長くなるため、届いた人数や覚えられた度合いを単独の指標として扱う判断が取られていました。

サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングスは、エリアを分けたA/Bテストで媒体配分を検証し、到達量と認知度を成果の単位に置いています。2026年2月17日掲載のLINEヤフーの事例ページによれば、従来どおりの出稿比率だったエリアAに比べ、デジタル広告の予算を10パーセント増やしたエリアBでは、リーチとフリークエンシーが113パーセント、広告の認知度が0.5ポイント向上しました。

同社は、この検証を経て年間で数億円規模の広告費の改善が期待できると説明しています。背景として挙げられているのは若年層のテレビ離れです。テレビ、デジタル広告、屋外広告や交通広告を含めてどの媒体で生活者に届けるのが最善かを検討する統合プランニングという枠組みが語られていました。

CRM側の施策も併記されています。LINE公式アカウントとLINEミニアプリを使ったノンデネや春のBINGO祭といった企画に加え、2025年11月には登美の丘ワイナリーの園内散策でLINEタッチを併用する実証実験を行いました。予算を10パーセントだけ動かして差分を測るという設計が、単位の取り方として参考になります。

参考:LINEを“メディアの軸”に!サントリーが実践する「統合プランニング」×「サントリー流CRM」戦略とは?

株式会社パルグループホールディングス(PAL CLOSET Online Store)

パルグループホールディングスは、獲得単価と広告費用対効果を成果の単位に置いて公表しています。施策を担ったAIQの2024年11月15日付リリースによれば、顧客獲得単価は50パーセント削減、広告費用対効果は従来の2.1倍という結果でした。

施策の内容は、Meta Advantage+ ショッピングキャンペーンにパートナーシップ広告を組み合わせる構成です。配信する動画はオーガニックのリールから選んでおり、選定と最適化はAIQのAIソリューションが担ったと記載されています。

押さえておきたいのは、この2つの数値には検証期間も比較の相手も書かれていない点です。「従来の2.1倍」としか示されていないため、何と比べた倍率なのかは読み取れません。期間と比較対象が書かれていない倍率は、そのままでは自社の見込みに置き換えられません。なお、売上高そのものは公表されていません。

参考:AIQとPAL、Instagram広告施策がMeta公式サイトに成功事例として掲載(AIQ株式会社・2024年11月15日)

株式会社アンドエスティHD(レプシィム)

アンドエスティHDは、ブランド単位のSNS施策について、スタッフのフォロワー数の伸びと既存顧客の購買頻度を成果の単位に置いています。2026年2月期通期の決算説明会資料によれば、レプシィムは人気スタッフを中心としたSNS活用によって既存顧客の購買頻度を高め、ブランドスタッフのフォロワー数が1年で1.4倍に増加しました。

資料には、トレンドを取り入れた商品企画とEC戦略の改善が前期から続いていることも記載されています。SNSで人気のスタッフがプロデュースした商品を展開する取り組みも挙がっており、発信と商品開発が同じ担当者に紐づく構造です。

同じ資料の別ブランドの記述と並べると差がはっきりします。主力ブランドのグローバルワークは上期に成長が停滞し、秋冬からはエントリープライス商品の投入や店頭のスタイリング訴求により徐々に改善したと書かれていました。同じ会社の中でも、ブランドによって成果の単位と打ち手が違うという事実が1つの資料に収まっています。

企業アカウントの立ち上げから運用の型づくりまでを扱った記事も用意しています。

関連記事:Instagram企業アカウントの作り方とポイントを解説!

公表資料に残っていた、伸びが止まった局面と方針の切り替え

成功事例として紹介される企業の公表資料には、伸びが止まった局面と、そこで方針を切り替えた記録が同時に載っています。撤退や抑制の判断は成功事例の記事から抜け落ちやすい部分ですが、単位の取り方を理解するうえではむしろこちらが手がかりになります。

オイシックスは上期の販促を下期に絞り込みました

オイシックス・ラ・大地は、2026年3月期の上期に積極的なプロモーションを行い、下期にマーケティング費用を抑制しました。前掲の決算説明資料には、原材料の高騰と上期の積極的なプロモーションによりB2C事業のEBITDAマージンが12.0パーセントとなって前年比0.7ポイント低下し、下期のマーケティング費用抑制を経てOisix会員数が35.1万人で着地したと書かれています。

期の途中で方針を反転させた記録がそのまま残っている点に価値があります。会員数は26年3月期上期末の36.1万人から下期末の35.1万人へ減りましたが、同じ区間でEBITDAマージンは12.5パーセントから15.3パーセントへ改善しました。会員数だけを単位に置いていれば失敗、収益性を単位に置けば意図どおりという読み方になります。

参考:2026年3月期 決算説明資料|オイシックス・ラ・大地株式会社

ワークマンは扱う品目を減らす方向へ切り替えました

ワークマンは、売れ筋商品の欠品とアイテム過多という課題を挙げ、品目を絞って重点商品にリソースを集中させる方向へ転換しました。前掲の決算説明会資料には、売れ筋商品の欠品による顧客満足度の低下と、アイテム過多による管理コストの増加および店舗運営の複雑化が課題として明記されています。

転換後の方針は、重点商品に在庫、販促、売場のリソースを集中投下し、アイテム数を削減する形です。中期の進捗総括には、リカバリーウエアで欠品が継続したことも記載されていました。品目を増やす方向とは逆の判断です。

参考:2026年3月期 決算説明会資料|株式会社ワークマン

アルペンは仮会員中心の運用を本会員中心に組み替えました

アルペンは、仮会員を集める運用から本会員を増やす運用へ、会員の設計そのものを組み替えました。判断の根拠は、本会員と仮会員で2年目のLTVに約3倍の差があるという自社の分析結果です。

登録の手続きを軽くする方向で手を打っている点も特徴です。個人情報の入力負担を減らすクイック入力と、QRコードの読み取りを不要にするLINEタッチによって、登録の秒数を短くしました。会員を増やす施策と、会員の質を上げる施策は同じものではないという整理が、数値に基づいて行われています。

参考:仮会員から本会員へ|本会員登録数200%超、アルペンがLINEミニアプリとLINEタッチで進めた会員戦略

良品計画はアプリそのものを作り替えました

良品計画は、年間アクティブユーザー数が1,569万を超える状態のアプリを、全面リニューアルするという判断を公表しました。前掲のニュースリリースには、2025年9月初旬にMUJI passportをMUJI アプリへ全面リニューアルすることと、会員プログラムをMUJI GOOD PROGRAMへ切り替えることが記載されています。

規模が伸びている状態で作り替える判断は、単位の取り方と関係します。年間アクティブユーザー数という単位は稼働している人数を測る指標であって、その人たちの体験が良いかどうかは測っていません。リニューアルの説明に地域社会を身近に感じられるようなサービスという表現が入っているのは、測っていない側を動かそうとしているためだと考えられます。

参考:無印良品 スマートフォンアプリ「MUJI passport」を「MUJI アプリ」へ全面リニューアル

アンドエスティHDは米国事業から撤退しました

アンドエスティHDは、2025年7月に米国事業からの撤退を完了しました。前掲の決算説明会資料には、米国は2025年7月に撤退が完了したこと、グローバル事業で米国の撤退により赤字が縮小したこと、特別損失にのれんと無形資産の減損25億円と店舗減損11億円などを計上したことが記載されています。

会員基盤が2,170万人まで積み上がっている企業でも、地域単位では撤退の判断が並行して起きています。全社の会員数という単位では見えない部分が、セグメント別の記述に残っている形です。事例を読むときに全社の数値だけを取り出すと、この種の判断が視界から消えます。

参考:2026年2月期 通期 決算説明会資料|株式会社アンドエスティHD

決算資料と公式事例の違い

ここまでの単位の違いを自社の商材に当てはめる作業には、経理と店舗とマーケティングの数字を並べる工程が入ります。この突合の設計から、月次で回る形への落とし込みまでをmalnaが引き受けた例もありました。どの工程にどれだけかかるかは、こちらの窓口でお答えします。

マーケティング活動の課題 まずはプロに相談しませんか?

14件の数値を自社に持ち込むと、社内で数字が合わなくなります

14件の数値を自社の会議に持ち込むと、同じ言葉が別の意味で使われていることが原因で議論が止まります。会員数、来店、売上のいずれも、社内の部署ごとに数え方が違うためです。持ち込む前に、言葉と数え方の対応を決めておく必要があります。

総会員数とアクティブ会員数は、同じ資料の中で3倍近く開きます

会員数という言葉は、同じ資料の中でも2つ以上の数え方を指します。アンドエスティHDの資料では総会員数が約2,170万人、アクティブ会員数が約780万人で、その差は約1,390万人でした。良品計画が公表しているのは年間アクティブユーザー数で、集計期間が明記されています。

数え方 定義 14件での例
総会員数 登録したことのある人の累計 アンドエスティHD 約2,170万人
アクティブ会員数 一定期間に動いた人の数 アンドエスティHD 約780万人
年間アクティブユーザー数 集計期間を明示した稼働人数 良品計画 1,569万超
登録会員数 特定の仕組みに登録した人数 亀屋万年堂 約10万人

社内で会員数の目標を立てるときは、どの数え方で立てるのかを先に決めてください。総会員数で目標を立てると、退会しない限り数値が減らないため、施策の良し悪しが表に出なくなります。数え方を決めないまま設定した会員数の目標は、達成しても意味が読めません

来店の数え方は、店舗側とマーケティング側で一致しません

来店という言葉も、部署によって数える対象が変わります。サンマルクカフェの事例では、メッセージを開封した人のうち約40パーセントが当日に来店したという形で、配信側の数値と来店を突き合わせていました。位置情報データを使う分析が入っています。

一方でワークマンの資料は、既存店の1日平均客数175人という形で、店側のレジ通過を数えています。同じ来店という言葉でも、配信を開いた人を起点に数えるのか、店に入った人を全部数えるのかで母数がまったく違います。両方を並べて増減を比べると、数字が合わない状態が生まれます。

実務では、配信側と店側の数値をどこで接続するかを先に決める形になります。クーポンの利用、会員証の提示、アプリの起動といった行動のうち、どれを来店の証拠にするかという取り決めです。これがないまま両方の数値を報告に載せると、合計が実際の客数と合いません。

公式の事例ページにも、試算で出した数値が混ざります

プラットフォームの公式事例ページに載っている数値でも、実測値と試算値が混在します。B-firstの事例では、年間約1.7億円の売上増加という数値について、2024年の顧客数に2026年2月の顧客単価を掛け合わせて計算したものだと事例ページ自身が説明していました。

この種の注記は本文の下に小さく置かれることが多く、見落とすと実測値として扱ってしまいます。國屋の事例ページにも、実績は取材先調べによる数値だという注記がありました。取材先調べという表現は、プラットフォーム側が検証した数値ではないという意味です。

確認する項目 見つかった記述の例
時点 2026年7月現在、2026年2月28日時点、取材時点
集計期間 2024年8月期、2025年9月から2026年3月
比較の相手 通常の広告のみ、前年同期、前期末、メールマガジン
算出方法 顧客数に顧客単価を掛け合わせた推計
検証の主体 取材先調べによる数値

社内に共有する資料をつくるときは、この5項目を数値の横に添えてください。項目が埋まらない数値は、根拠の確認が済んでいない状態として扱うほうが安全です。景品表示法の観点からも、他社の成果を自社の見込みとして提示する形は避ける必要があります。

数値が一切公表されていない公式事例もあります

プラットフォームの公式事例ページであっても、数値が載っていないものがあります。ファミリーマートの事例ページは、LINE公式アカウント、LINEクーポン、LINEチラシの3つを統合的に運用して来店促進に貢献したと説明していますが、友だち数や来店数といった具体的な数値は掲載されていませんでした。

同社の記述で参考になるのは、同じキャンペーンを3つの角度から提示するという設計の考え方です。瞬間的な告知をLINE公式アカウント、お得な参加導線をLINEクーポン、継続的な露出をLINEチラシが担う形で役割を分けています。数値がなくても、施策の組み立て方は持ち帰れます。

数値のない事例を数値のある事例と同じ扱いで並べると、記事全体の信頼が落ちます。逆に、数値がないことを理由に有用な設計の記録を捨てるのも損です。数値の有無と、設計の参考になるかどうかは別の軸として分けて扱ってください。

参考:来店動機の最大化を目指すファミリーマートのLINE活用戦略

媒体別に成功事例を横並びで確認したい場合は、SNS広告に絞って整理した記事もあります。

関連記事:SNS広告の成功事例12選!成果を生むポイントを徹底解説

数値を自社に持ち込む前に

よくある質問

事例を読み終えたあとに残るのは、どこで探すか、目標の根拠に使えるか、SNS事例で何を見るか、古い数値をどう扱うか、失敗の記録はどこにあるか、という5つの疑問でした。順に答えます。

BtoCマーケティングの成功事例はどこで探すのが確実ですか

上場企業の決算説明資料と、プラットフォーム運営会社が自社サイトに載せている事例ページの2系統です。決算資料は期末時点と比較条件が明記され、事例ページには担当者の判断や運用の手順が載ります。まとめ記事は数値と出典が省かれていることが多く、社内での説明には使いにくくなります。

他社の会員数が伸びた事例は、自社の会員数目標の根拠になりますか

そのままでは根拠になりません。会員数という言葉が総会員数、アクティブ会員数、年間アクティブユーザー数、登録会員数のどれを指すかで母数が変わるためです。アンドエスティHDの資料では総会員数とアクティブ会員数の差が約1,390万人あります。まず自社の数え方を1つに決めてください。

BtoCのSNS事例では、どの数値を見ればよいですか

到達した人数と、その先で起きた行動の両方を見てください。フォロワー数や表示回数だけでは購入との関係が読めません。サンマルクカフェは開封と当日来店を突き合わせ、アルペンは登録数とLTVの差を並べています。到達側と行動側の2つが揃っている事例が、自社に移しやすくなります。

事例の数値が数年前のものだった場合はどう扱えばよいですか

時点を落とさずに引用し、現在の値として扱わないでください。事例ページの数値には2026年7月現在や取材時点といった注記が付いており、決算資料には期末の区切りがあります。時点を書かずに社内へ回すと、古い数値が最新の実績として共有される事故が起こります。

成功事例に失敗や撤退の記録が載っていないのはなぜですか

紹介記事が成果の部分だけを切り出すためです。企業自身の資料には、課題と方針転換が併記されています。ワークマンは欠品による機会損失とアイテム削減の方針を、アンドエスティHDは米国事業の撤退と減損の計上を同じ資料に記載しています。一次資料まで戻れば失敗の記録も読めます。

まとめ

他社の数値をそのまま自社に持ち込めるものは、今回の14件の中に1つもありませんでした。理由は成果が出ていないからではなく、企業ごとに数えている単位が違い、比較の前提が揃わないためです。

14件が使っていた単位は、会員基盤の大きさ、継続と1人あたり売上、来店と注文の回数、到達と認知の変化という4系統に分かれました。会員数を単位に置けば減少と読めるオイシックスの期でも、1人あたり売上と収益性を単位に置けば改善と読めます。同じ事実に2つの評価が成り立つのは、単位が判断そのものを決めているからです。

公表資料には、伸びが止まった局面も残っていました。販促を期の途中で絞り込んだ記録、扱う品目を減らす方向への転換、会員の集め方の組み替え、規模が伸びている状態でのアプリ刷新、地域単位の撤退です。事例から借りられるのは数値ではなく、何を数えると決めたかという判断のほうだと考えられます。

自社が成果として数えている単位を1行で書き出せるかどうかが、この記事の内容を使えるかどうかの分かれ目になります。書き出した結果が部署ごとに食い違っていた場合の整え方は、問い合わせフォームからお伝えできます。

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malnaブログ編集部

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