広告運用の提案書にAIを活用した運用と書かれていても、その中身が媒体の標準機能なのか、代理店が独自に積み上げた仕組みなのかは、資料を読むだけでは判別できません。P-MAXもスマート自動入札もAdvantage+も、アカウントを持っていれば誰でも使えるものです。
目次
しかし発注側が知りたいのは、そこではありません。同じ機能を使ったときに成果が分かれる理由と、その差を生んでいる作業に手数料を払う価値があるかどうかです。機能名の列挙では、この問いに答えられません。
そこでこの記事では、各媒体の公式ドキュメントで確認できる自動化の範囲を先に固定したうえで、そこから外に残る代理店の役務を4つに整理し、商談で使える7つの質問、レポートの要件、料金体系の見方、内製との分岐点までをまとめます。
広告予算の配分を決める立場にあり、複数社の提案を並べて比較している方に向けた内容です。
AI広告運用代行とは何を指すのか
AI広告運用代行とは、広告媒体が備えるAI機能の設定と、運用業務そのもののAI化を組み合わせて、広告アカウントの管理を外部に委託する形態を指します。ただしこの言葉に業界共通の定義はなく、どこまでをAI活用と呼ぶかは会社ごとに異なるのが実情です。まずは呼び名ではなく、実際に何が自動化されているのかを分解するところから始めましょう。
媒体のAI機能は誰が使っても同じ土俵にある
Google広告のP-MAXやスマート自動入札、MetaのAdvantage+は、広告アカウントを開設すれば利用できる標準機能です。特定の代理店だけが使える裏メニューではありません。提案書に機能名が並んでいること自体は、その会社の実力を示す情報にはならないと考えてよいでしょう。
P-MAXは目標ベースのキャンペーンタイプで、1つのキャンペーンから検索、YouTube、ディスプレイ、Discover、Gmail、マップといったチャネルに配信されます。スマート自動入札は、オークションごとにコンバージョン数またはコンバージョン値の最適化を行う入札の仕組みです。どちらも媒体側が提供しているものであり、導入の可否で代理店を選別する意味は薄いといえます。
代理店側のAI活用は主に社内業務の効率化を指す
もう一方のAI活用は、代理店の社内でどの作業を機械に任せているかという話です。クリエイティブ案の生成、レポートの下書き、アカウント診断の一次スクリーニング、検索語句の分類などが代表例として挙げられます。
この領域は媒体機能と違って外から見えません。だからこそ、提案時に具体的な工程名を挙げて説明できるかどうかが、そのまま情報の解像度の差になります。工程を言語化できない場合、AIは営業上の言葉として使われているだけの可能性があります。
2つの意味が混ざると比較ができなくなる
同じAI活用という表現でも、媒体機能を指す会社と社内業務を指す会社が混在しているため、そのまま並べても比較になりません。商談の最初に、どちらの意味で使っているかを確認しておくと、その後の議論が噛み合いやすくなります。
比較の土台をそろえる作業は地味ですが、ここを飛ばすとA社は自動入札に強い、B社はクリエイティブを量産できるといった、次元の違う特徴が横並びになります。判断の質は、この整理をどれだけ丁寧にやったかでほぼ決まります。
呼び名より先に確認したい3点
社名や機能名の前に、委託の輪郭を決める3点を先に固めておくと選定が進みます。どれも提案を受ける前に社内で決められる内容であり、決めておくだけで各社の提案を同じ物差しに載せられるはずです。逆にここが空欄のまま商談に入ると、最初に会った会社の提案が事実上の比較基準になってしまいます。
任せたい媒体とキャンペーンの範囲、社内に残したい判断の種類、そして成果を測る指標と評価期間の3つです。これが決まっていないまま提案を受けると、各社が得意な切り口で話を組み立ててくるため、比較軸が提案側に握られます。
関連記事:広告運用にAIを導入すべき理由とは?成功事例と導入の注意点を徹底解説
広告アカウントの状態を整理したうえで外注範囲を決めたい場合は、malnaの問い合わせ窓口からご相談ください。同じ論点で判断に迷う企業を支援してきました。
媒体のAI機能で自動化される範囲と、発注側に残る判断
媒体のAI機能が引き受けるのは主に配信面と入札の最適化であり、目標の定義とインプットの用意は発注側に残ります。公式ドキュメントには、自動化の対象と前提条件がはっきり書かれています。ここを押さえておけば、代理店の提案がどこまで踏み込んでいるかを測れるようになるでしょう。
P-MAXが自動で決める部分と、人が渡す部分
P-MAXは配信先とクリエイティブの組み合わせを自動で決めますが、材料そのものは人が用意します。Google広告ヘルプでは、テキスト、画像、動画といったクリエイティブアセット、オーディエンスシグナル、コンバージョン目標、アクション単価または広告費用対効果の目標値が入力として挙げられています。なおデータフィードは省略可とされる項目です。
つまりP-MAXの成果は、渡した材料の質に強く依存します。アセットの本数と切り口、オーディエンスシグナルに何を入れるか、コンバージョン目標をどう定義するかは、いずれも自動化されない領域です。なおヘルプには、利用可能なすべての掲載先で配信できるようクリエイティブアセットを提供することが推奨事項として記載されており、1つのアカウントで作成できるP-MAXキャンペーンは最大100件とされています。
キャンペーンを細かく割るか統合するかも人が決める設計判断です。ヘルプでは可能な限りP-MAXキャンペーンを統合することがパフォーマンス最大化の方針として示されているため、分割の理由を説明できる提案かどうかは確認したいところです。
スマート自動入札が前提とするデータ量
スマート自動入札は、コンバージョントラッキングを有効にしていることが利用の前提です。Google広告ヘルプには、掲載結果を正確に評価するには1か月以上の長い期間に30回以上のコンバージョンを獲得していることが推奨され、目標広告費用対効果の場合は50回以上とする記述があります。
この数字は、コンバージョン数が少ないアカウントでは自動入札の評価そのものが難しくなることを意味します。月間のコンバージョンが一桁で止まっている状態なら、入札戦略の巧拙より前に、何をコンバージョンとして計測するかの設計を見直す必要があるでしょう。提案の中でこの点に触れているかどうかは、実務経験を測る手がかりになります。
入札戦略は目標アクション単価、目標広告費用対効果、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化に分かれます。どれを選ぶかは事業目標の写し取り方の問題であり、機械が決める部分ではありません。
Meta Advantage+ オーディエンスで拡張されない制約
MetaのAdvantage+ オーディエンスは、配信システムが探索できるオーディエンスの範囲を広げる機能です。Meta for DevelopersのマーケティングAPIドキュメントでは、広告主が指定した制約のうち地域、最低年齢、言語、カスタムオーディエンスの除外は拡張されないと説明されています。
年齢の指定にも仕様があり、下限は18から25の範囲で指定でき、上限は65に固定されると記載されています。またAPIのバージョン23.0以降、オーディエンス拡張のパラメータは既定でオンになるか、明示的な指定が必要になるとされています。除外条件をどこで担保するかは、運用を任せる際に必ず確認したい設定です。
配信先を広く探索させる設定は、母集団の少ない商材では有利に働くこともあります。ただし既存顧客や取引対象外の層を外す指定が抜けていると、獲得単価の見え方が歪みます。拡張のオンとオフを何を根拠に切り替えているかを聞いてください。
自動化の範囲を一覧で確認する
3つの機能について、自動化される部分と発注側に残る判断を並べると、任せられる範囲の輪郭がはっきりします。以下は各媒体の公式ドキュメントに記載されている内容をもとに整理したものです。
| 機能 | 媒体側が自動で行うこと | 発注側または代理店に残る判断 |
|---|---|---|
| P-MAX | 検索、YouTube、ディスプレイ、Discover、Gmail、マップへの配信とクリエイティブの組み合わせ | アセットの制作、オーディエンスシグナルの設定、コンバージョン目標と目標値の定義 |
| スマート自動入札 | オークションごとのコンバージョン数またはコンバージョン値の最適化 | コンバージョントラッキングの実装、計測対象の定義、入札戦略の選択 |
| Advantage+ オーディエンス | 探索するオーディエンスプールの拡張 | 地域や言語などの制約設定、カスタムオーディエンスの除外指定 |
表の右列が、手数料を払って任せる対象の中心です。左列に書かれた処理そのものは、どの会社に依頼しても同じ仕組みが動きます。提案書を読むときは、右列に関する記述の量と具体性を見てください。
参考:P-MAX キャンペーンについて(Google 広告 ヘルプ)
参考:スマート自動入札について(Google 広告 ヘルプ)
参考:Advantage+ Audience(Meta for Developers マーケティング API)
AI活用をうたう代理店で価値が残る4つの領域
自動化が進んだ結果、代理店の価値は入札調整からインプットの設計と検証設計に移りました。媒体AIが処理するのは与えられた条件下の最適化であり、条件そのものを決める仕事は残ります。ここでは公式ドキュメントから逆算できる4つの領域を取り上げます。
計測設計をどこまで引き受けるか
計測の精度が入札の精度を決めるため、コンバージョン定義の設計は最も影響の大きい役務です。何をコンバージョンとして送るか、重複をどう排除するか、オフラインの成果をどう戻すかは、媒体のAIが決めてくれる領域ではありません。
Google広告には拡張コンバージョンという機能があり、ヘルプでは、メールアドレスや氏名などの顧客提供データをSHA256のハッシュアルゴリズムで変換してから送信する仕組みだと説明されています。実装にはタグやデータ連携の作業が伴うため、この工程を提案に含めているかどうかで、任せられる範囲が変わります。
計測は一度組んで終わりではありません。サイト改修やフォーム変更のたびに壊れる可能性があるため、定期的に計測が生きているかを確認する運用が組み込まれているかまで確認してください。
アトリビューションの前提をそろえる
成果の見え方はアトリビューションモデルで変わるため、どのモデルで評価するかの合意は運用開始前に必要です。モデルを決めずに数字だけを比べると、媒体をまたいだ議論が成立しません。
データドリブンアトリビューションについて、Google広告ヘルプは、すべてのコンバージョンアクションが対象になるとしたうえで、モデルが正確に分析できるようにするには30日間に200件以上のコンバージョンと2,000回以上の広告インタラクションが発生していることを推奨しています。この水準に届かないアカウントでは、モデルの選択より計測対象の見直しが先になります。
社内の報告資料と媒体の管理画面で数字が合わない原因の多くは、モデルと集計期間の違いです。どの数値を正とするかを決めておくと、月次の議論が成果の話に集中します。
インプットの質を上げる制作と設計
P-MAXの成果はアセットの質に左右されるため、クリエイティブの企画と量産は代理店の主要な役務として残ります。Google広告ヘルプのベストプラクティスでは、アセットグループはクリエイティブを組み合わせて配信先のチャネルに応じた広告を作る単位であり、共通のテーマや商品、サービス別に整理できると説明されています。
ここで問われるのは、単に本数を出せるかではなく、訴求の切り口を意図的に散らして検証できるかどうかです。生成AIで枚数を増やす提案は多く見られますが、増えた枚数から何を学ぶかの設計まで示されている提案は多くありません。
切り口を散らすには、商材の理解と顧客の言葉の蓄積が要ります。ヒアリングの深さがそのまま制作物の幅に出るため、初回商談での質問の質も判断材料になります。
関連記事:【プロンプト付き】生成AIを用いた効率的なWeb広告運用方法とは?
体制と引き継ぎの設計
運用体制の設計は、成果が出た後に効いてくる役務です。誰がどの権限でアカウントを触るか、変更履歴をどう残すか、担当が替わったときに何が引き継がれるかは、契約期間の途中で問題になりやすい部分です。
AIによる自動化が進むほど、変更の履歴と判断の根拠が残っているかどうかが後任の作業効率を左右します。属人的な勘に頼らない運用を標榜する会社ほど、この点の説明が具体的になる傾向があります。
4つの領域を並べると、確認すべき対象が整理できます。
| 領域 | 主な役務 | 確認したい成果物 |
|---|---|---|
| 計測設計 | コンバージョン定義、タグ実装、拡張コンバージョン | 計測仕様書、実装後の検証記録 |
| 評価の前提 | アトリビューションモデルの選定と合意 | モデルの設定内容と変更履歴 |
| インプットの質 | アセット企画、アセットグループ設計 | 訴求軸の一覧と検証計画 |
| 体制と引き継ぎ | 権限設計、変更履歴、ドキュメント | 権限一覧、運用ドキュメントの雛形 |
参考:拡張コンバージョンについて(Google 広告 ヘルプ)
参考:データドリブン アトリビューションについて(Google 広告 ヘルプ)
参考:P-MAX キャンペーンのアセット グループに関するベスト プラクティス(Google 広告 ヘルプ)
AI活用の中身を見極める7つの質問
提案書の記述だけでは判断できないため、商談の場で工程を聞き出す質問を用意しておくと精度が上がります。以下の7問は、いずれも公式ドキュメントで確認できる仕様を土台にしており、実務を担っている担当者なら具体的に答えられる内容です。回答の中身よりも、抽象論に逃げずに答えられるかどうかを見てください。
質問1 AIはどの工程に入っているのか
最初に確認するのは、AIが入っている工程の名前です。媒体機能の設定なのか、社内の作業なのか、あるいは両方なのかを分けて答えてもらいます。抽象的な言葉のまま話が進むと、あとから期待値のずれが表面化するため、最初の質問として置くのが有効です。
工程名が出てこない場合や、成果の話にすり替わる場合は、実態が伴っていない可能性を疑ってよいでしょう。逆に、キーワードの分類、アセットの一次案作成、レポートの草稿といった具体的な工程が挙がれば、その部分については検証の余地があります。あわせて、その工程で人が確認する箇所も聞いておくと運用の輪郭が見えます。
質問2 媒体のAI機能の設定を誰が何を根拠に決めているか
設定値の決め方を聞くと、運用の思考プロセスが見えます。入札戦略の選択、目標値の設定、アセットグループの分け方について、なぜその形にしたのかを説明してもらいます。
AIが最適化するので任せていますという回答が返ってきた場合、発注側に残るはずの判断まで媒体側に委ねている状態です。目標値を動かした履歴と、その前後で何が変わったかを説明できる会社を選ぶほうが、後の議論が進みやすくなります。過去の担当案件で目標値を変えた理由を1つ挙げてもらうと、判断の癖が見えます。
質問3 最適化スコアをどう扱っているか
最適化スコアの扱い方は、代理店の姿勢が出やすい論点です。Google広告ヘルプによれば、最適化スコアはアカウントの設定がどの程度最適化されているかを示す推定値で、0から100%で表示されます。
注意したいのは、同じヘルプに、すべての最適化案を適用または非表示にすることでスコアが100%に達する可能性があると書かれている点です。つまり提案を却下してもスコアは上がります。スコアが高いこと自体は運用の質を保証しないため、どの案を適用し、どの案をなぜ非表示にしたのかを説明できるかを聞いてください。
質問4 P-MAXの検索語句とアセットの状況を出せるか
レポートの粒度を測るには、P-MAXの中身をどこまで開示できるかを聞くのが早道です。Google広告には検索語句レポートとアセットレポートが用意されており、配信の中身を確認する手段が存在します。
ここでP-MAXは中身が見えない仕様ですという回答が返ってきたら、認識が古い可能性があります。存在する機能を使っていないのか、使ったうえで開示していないのかは、意味がまったく別です。直近の運用でこれらのレポートを見て何を変えたかを聞くと、実際に使っているかが判別できます。
質問5 計測の実装はどこまで見てくれるか
計測の担当範囲は、契約前に文書で確定させておきたい項目です。タグの設置、コンバージョンの定義、拡張コンバージョンの実装、アナリティクスとの連携のうち、どこまでが役務に含まれるかを確認します。
タグ設置済みを前提とした見積もりは珍しくありません。前提条件が満たされていないまま運用が始まると、初月から数字が読めない状態になります。前提の確認は、金額の比較よりも先に行ってください。自社側に作業が残る場合は、誰がいつ対応するかまで決めておくと立ち上がりが遅れません。
質問6 AI生成クリエイティブの権利と表示をどう扱うか
生成AIで制作物を作る場合、権利関係と表示の扱いを取り決めておく必要があります。学習データの取り扱い、第三者の権利との関係、素材の再利用可否、広告表現としての適正確認の責任範囲が主な論点です。
広告表現には景品表示法や各業界の規制が関わるため、生成されたコピーをそのまま入稿しない運用になっているかも確認したいところです。制作フローに人の確認工程が組み込まれているかを聞くと、体制の実態が見えます。表現の適正確認については、最終的な判断を法務や専門家に確認する前提で進めるほうが安全です。
関連記事:画像生成AIを活用した広告制作は可能か?メリットとリスク面を解説
質問7 認定やパートナーステータスは何を保証しているか
パートナーステータスは実力の証明ではなく、公開された要件を満たしているという事実です。何を保証するものかを理解したうえで参考にすると、過大評価も過小評価も避けられます。
Google広告ヘルプによれば、Google Partnerのステータスには実績、ご利用額、認定資格の3つのカテゴリの要件があります。実績の要件はプログラムに登録したクライアントセンターアカウントで最低70%の最適化スコアを達成すること、ご利用額の要件は子アカウント全体の過去90日間の広告費が常に10,000米ドルを超えていること、認定資格の要件はアカウントマネージャーの50%以上が認定資格を取得していることとされています。認定資格そのものは、理解度テストに80%以上正解すると取得でき、有効期間は1年間です。
なお実績の要件に最適化スコアが含まれる点は、質問3と合わせて理解しておくと役立ちます。スコアを上げる動機が代理店側にも存在することを踏まえたうえで、適用と非表示の判断基準を聞いてください。ブランドの登録やブランドの除外といった設定も、公式に用意された制御手段として何を使っているかを確認する対象になります。
参考:Google Partner または Premier Partner のステータスを得る方法(Google 広告 ヘルプ)
参考:Google 広告の認定資格について(Google 広告 ヘルプ)
参考:検索と P-MAX のブランド設定について(Google 広告 ヘルプ)
レポートで出させる項目とAI運用の検証設計
AI運用のレポートは、成果の数字よりも判断の根拠が残っているかで評価します。自動化された領域が広がるほど、何が起きたかの説明責任は数値の羅列では果たせません。ここでは媒体側に実在する機能から逆算して、要求できるレポート項目を整理します。
媒体に存在するレポートを起点に要求する
要求する項目は、媒体が提供しているレポート機能から選ぶと現実的です。存在しないデータを求めても実現しませんが、存在するのに出てこないデータには理由を聞けます。
Google広告のP-MAXでは、検索語句レポートで広告表示につながった検索語句を確認できます。ヘルプには、キャンペーンメニューの検索語句レポートからP-MAXの検索語句とランディングページのビューを選ぶ手順が記載されています。対象データは2023年3月以降で、来店コンバージョンと店舗販売コンバージョンは確認できないという制約も明示されている点に注意してください。
アセットレポートは、単一のアセット、アセットグループ、キャンペーン、複数のキャンペーンといった単位でアセットの成果を比較でき、どのアセットを削除、改善、ローテーションで使うかの判断に使うものだと説明されています。
除外の運用状況を確認する
除外設定の履歴は、配信の無駄をどう抑えているかを示す資料になります。P-MAXの除外キーワードはキャンペーン単位でもアカウント単位でも追加でき、アカウント単位の除外はP-MAXを含むすべての検索広告枠とショッピング広告枠に自動で適用されるとされています。
ただしP-MAXの除外キーワードが適用されるのは検索広告枠とショッピング広告枠に限られる点は押さえておく必要があります。ディスプレイや動画の面に対しては別の仕組みで対応することになるため、どの面をどう制御しているかまで説明を求めてください。
レポートに含めたい項目を整理する
レポートに求める項目は、媒体の公式機能から要求できる範囲に絞ると交渉が成立します。以下は、その範囲で挙げられる項目をまとめたものです。会社によって様式は異なりますが、項目の有無は比較の材料になります。
| 項目 | 何がわかるか | 根拠となる媒体機能 |
|---|---|---|
| 検索語句とランディングページの対応 | 想定外の流入が発生していないか | P-MAX の検索語句レポート |
| アセット別の成果 | どの訴求が効いているか、差し替えの根拠 | P-MAX のアセット レポート |
| 除外設定の追加履歴 | 無駄な配信をどう抑えているか | P-MAX とアカウント単位の除外キーワード |
| 適用した最適化案と却下した最適化案 | 自動提案をどう取捨選択したか | 最適化スコアと最適化案 |
| アトリビューションモデルと変更履歴 | 数値の前提が途中で変わっていないか | アトリビューション モデルの設定 |
| 目標値の変更履歴 | 入札の前提をいつどう動かしたか | スマート自動入札の目標設定 |
これらは月次で全項目を求める必要はありません。立ち上げ期は検索語句とアセット、安定期は変更履歴と最適化案の取捨選択に重心を置くと、読む側の負担も抑えられます。
検証設計がないレポートは判断に使えない
数字の報告だけで改善案が付いてこないレポートは、意思決定の材料になりません。何を仮説として、どの期間で、何を変えて検証したのかが書かれているかどうかを見てください。
スマート自動入札のような機械学習を伴う仕組みでは、変更直後の数値がぶれることがあります。だからこそ、いつ何を変えたかの記録と、評価に使う期間の取り決めが必要です。この設計を最初の提案に含めている会社は、運用の再現性を意識していると考えられます。
参考:P-MAX の検索語句レポートについて(Google 広告 ヘルプ)
参考:P-MAX のアセット レポートについて(Google 広告 ヘルプ)
参考:P-MAX キャンペーンの除外キーワード(Google 広告 ヘルプ)
参考:アトリビューション モデルについて(Google 広告 ヘルプ)
参考:スマート自動入札の効果的な運用(Google 広告 ヘルプ)
料金体系はAI活用で変わるのか
料金体系そのものは、AI活用の有無で構造が変わるわけではありません。広告費に対する料率、月額固定、成果連動という枠組みは従来どおり存在し、AIはその内訳のうち作業工数の部分に影響します。なお業界横断で成立する相場については、公開情報からは確認できないため、金額の目安はここでは示しません。
料金体系の3つの型を分けて理解する
料金の型は大きく3つに分かれ、それぞれ発注側が負うリスクの位置が異なります。どの型が優れているかではなく、自社の予算規模と検証段階に合うかで選ぶ問題です。
広告費に対する料率型は、予算が増えるほど手数料も増える構造です。月額固定型は、予算の増減にかかわらず費用が読めます。成果連動型は、成果指標の定義次第で解釈が割れやすく、何をもって成果とするかの合意が前提になります。いずれの型でも、契約書に役務範囲が書かれていなければ比較はできません。
料率型では手数料が広告費に含まれるのか上乗せされるのかで支払総額が変わります。見積書のどちらの前提で書かれているかは、初回に確認しておきたい項目です。
AIが影響する部分と、影響しない部分
AI活用が費用構造に効くのは、繰り返しの作業を機械に置き換えられる範囲に限られます。レポートの下書き、アセットの一次案、データの整形といった工程は工数が下がる余地があります。
一方で、計測の実装、目標の定義、検証の設計、社内外の合意形成は、いまのところ人が担う工程です。ここを削って安く見せている見積もりは、運用が始まってから追加費用が発生しやすくなります。安さの理由がどの工程の削減によるものかを聞いておくと、後の齟齬を防げます。
見積もりで確認する範囲の切り分け
見積書を比べるときは、金額の前に役務範囲の粒度をそろえます。同じ金額でも、含まれる作業が違えば比較になりません。金額の差が安さの証明なのか、単に含まれる工程が少ないだけなのかは、範囲をそろえてはじめて判別できます。
確認しておきたいのは以下の範囲です。運用対象の媒体とキャンペーン数、クリエイティブ制作の本数と改稿回数、計測実装の担当範囲、レポートの頻度と項目、定例会の回数、そして解約時の引き継ぎ作業です。この6点をそろえてから金額を並べると、実質的な単価の差が見えてきます。
契約期間の縛りと中途解約の条件も、比較の対象に入れてください。運用の立ち上がりに数か月かかる前提であれば、短期解約が可能な条件は必ずしも有利とは限りません。
関連記事:リスティング広告の運用代行おすすめ15社|選び方や依頼までの流れを解説
見積もりの前提をそろえる作業でつまずいている場合は、malnaの問い合わせ窓口へお知らせください。malnaは戦略立案から実行、内製化までを含めた伴走型の支援を行っており、AI導入とIT・DXの分野で累計40社以上の支援に携わってきました。
内製と代行の分岐点
内製と代行の選択は、広告予算の大きさではなく、社内に残したい判断の種類で決まります。媒体のAI機能が入札や配信面の調整を引き受けるようになった分、判断の対象は計測設計と検証設計に移りました。この2つを社内に置くかどうかが分岐点になります。
内製に向く条件
内製が機能するのは、計測と検証を回し続ける担当者を社内に確保できる場合です。広告の設定作業だけなら媒体の管理画面で完結しますが、続けるには別の条件が要ります。
具体的には、コンバージョンの定義を事業側と決められること、タグやデータ連携の実装に手を出せること、数値のぶれを許容して検証期間を待てることの3つです。Google広告にはAPIも公開されており、レポートの自動化や大量のアカウント操作を自前で組む選択肢もあります。ただし開発と保守の体制が前提になります。
代行に向く条件
代行が向くのは、媒体をまたいだ運用の経験値を短期間で借りたい場合です。自社で試行錯誤する時間を買う判断であり、社内に人がいないから任せるという消極的な理由だけでは成果につながりにくくなります。
複数媒体を同時に立ち上げる局面、季節性が強く短期で仕上げる必要がある局面、担当者の退職で運用が止まる局面などが該当します。いずれも、社内に判断の記録が残る形で契約できるかが条件です。
併用する場合の線の引き方
内製と代行は二者択一ではなく、工程ごとに分担する形も選べます。判断を社内に残し、実行を外に出す組み立てが現実的な落としどころになりやすい構成です。
たとえば計測設計と目標定義を社内に置き、日々の配信調整とクリエイティブ制作を外部に任せる分担です。この形にする場合、アカウントの所有と権限の設計が重要になります。
判断軸を並べると、どちらに寄せるかの見当が付きます。
| 判断軸 | 内製に寄せる目安 | 代行に寄せる目安 |
|---|---|---|
| 計測設計 | 事業側とコンバージョン定義を決められる | 定義づくりから相談したい |
| 実装体制 | タグやデータ連携に手を出せる | 実装を任せたい |
| 媒体の広さ | 主力媒体が1つに絞れている | 複数媒体を同時に動かす |
| 立ち上げ速度 | 検証期間を待てる | 短期で立ち上げたい |
| 記録の残し方 | 社内に運用履歴が蓄積している | 引き継ぎ資料の整備から依頼する |
アカウント権限と引き継ぎを先に決める
アカウントの所有権と権限設計は、契約開始前に確定させておくべき項目です。ここを曖昧にしたまま進めると、解約時にデータも設定履歴も手元に残りません。
Google広告のアクセス権にはメール専用、お支払いとご請求、読み取り専用、標準、管理者の区分があり、できる操作が段階的に異なります。他のユーザーへのアクセス許可やアナリティクスとのリンクは管理者の権限に含まれる操作です。ヘルプには、アカウントに管理者が1人しかいない場合、そのユーザーが対応できなくなるとタグにアクセスできなくなる可能性があるという注意も記載されています。発注側で管理者権限を保持し、代理店には必要な範囲の権限を付与する形が安全です。
関連記事:PPC広告運用代行おすすめ15選!失敗しない代理店の選び方
参考:Google 広告アカウントのアクセス権の概要(Google 広告 ヘルプ)
参考:Google 広告アカウントへのアクセス権を管理する(Google 広告 ヘルプ)
参考:Google Ads API はじめに(Google for Developers)
よくある質問
AI広告運用代行の検討でよく挙がる疑問をまとめました。いずれも商談前に整理しておくと、提案内容の読み解きが早くなります。回答の根拠として使っているのは各媒体の公式ドキュメントの記述であり、料金のように公開情報で確認できない論点はその旨を明記しています。
AI広告運用代行と従来の広告運用代行は何が違いますか
役務の中心が入札調整からインプットの設計と検証設計に移っている点が違います。媒体のAI機能は誰が使っても同じものが動くため、コンバージョンの定義、アセットの企画、検証の組み立てをどこまで引き受けるかが差になります。機能名の有無では区別できません。
AIを使えば広告運用の費用は安くなりますか
作業工数が下がる工程はありますが、費用全体が下がるとは限りません。レポートの下書きやアセットの一次案は効率化の余地がある一方、計測実装や目標定義は人が担う工程として残ります。安い見積もりを見たときは、どの工程を削っているかを確認してください。
P-MAXは中身が見えないと聞きましたが本当ですか
検索語句レポートとアセットレポートが用意されているため、確認できる範囲があります。検索語句レポートは2023年3月以降のデータが対象で、来店コンバージョンと店舗販売コンバージョンは確認できないという制約が公式ヘルプに記載されています。制約はありますが、まったく見えないわけではありません。
広告運用代行の手数料の相場はいくらですか
業界横断で成立する相場は、公開情報からは確認できません。広告費に対する料率型、月額固定型、成果連動型という料金体系の型は共通しているため、金額を比べる前に役務範囲をそろえてください。同じ金額でも含まれる作業が異なると比較になりません。
代理店に任せるとアカウントは自社に残りますか
契約前に所有と権限を決めておけば残せます。Google広告のアクセス権は管理者、標準、読み取り専用などに分かれており、発注側が管理者権限を保持したまま代理店に必要な権限を付与できます。管理者が代理店側だけの状態は避けてください。
まとめ
AI広告運用代行の評価は、媒体のAI機能と代理店の役務を切り離すところから始まります。P-MAXやスマート自動入札、Advantage+はアカウントを持っていれば使える標準機能であり、導入の有無で会社を選別する意味はありません。
判断の対象になるのは、コンバージョンをどう定義するか、アセットにどんな切り口を用意するか、レポートで何を開示するか、そしてアカウントの権限をどう設計するかです。いずれも公式ドキュメントに書かれた仕様から逆算して質問を組み立てられます。
次に商談を設定するときは、ここで挙げた7つの質問のうち質問2と質問3を最初に投げてみてください。設定値を決めた根拠と、最適化案の取捨選択の基準を説明できるかどうかで、その先の議論の深さがおおよそ見当がつきます。
広告アカウントの現状を棚卸ししたうえで、内製と代行の線引きから設計し直したい場合は、malnaの問い合わせ窓口からご相談ください。運用の引き継ぎと社内定着まで含めて設計をお手伝いします。
無料相談はこちら 記事一覧はこちら- malnaのマーケティングについて
-
弊社ではメディアやSNSなど総合的な支援が可能です。
媒体ごとに違うパートナーが入ることもなくスピーディな意思決定が可能です。
ご不明点や不安な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。 - サービス資料はこちら 詳しく見る


