SFAの導入事例10選!営業課題を解決した取り組みを紹介

SFAを入れるかどうか考えるとき、ほかの会社がどんな課題からSFAを選び、どうやって定着させたのかは参考になります。ただし事例に並ぶ成果には、SFA以外のツールや研修の効き目が混ざっていることがあります。

マーケティング支援

目次

ここでは、SFAのベンダーや導入企業が公開している事例から10社を選び、導入前の課題ごとに分けて紹介します。各社の取り組みと成果を並べたうえで、定着のさせ方の共通点と、研修や連携の仕組みを組み合わせた事例から見える支援の使いどころを解説します。

想定している読者は、SFAの導入を検討している営業部門の責任者や営業企画の担当者の方です。

10社のうち自社の課題に近いのはどれか、そこから考えたい場合は、malnaのSFA/MA導入支援にお声がけください。

SFAの事例を読むときの注意

SFAの事例は、成果がSFAだけによるものか、何と比べた数字か、いつの数字か、の3点を押さえて読みます。

確かめる点理由
SFA以外の要因MAや企業データベース、研修を同時に入れている事例がある
比較の起点導入前と比べたのか、年間目標と比べたのかで意味が違う
数字の時点掲載日の記載がない事例や、数年前の数字の事例がある

取り上げる10社の事例は、いずれもベンダーか導入企業が自ら公開しているもので、第三者が検証した数字ではない点も頭に置いておきましょう。

SFAの事例を読むときに確かめる3つの点を並べたチェックリストの図

情報が担当者の手元にとどまっていた事例

顧客や商談の情報が、担当者の頭の中、メール、表計算ソフトに散らばっていた。それがSFAを入れるきっかけになった4社です。

株式会社みどり財産コンサルタンツ

税財務コンサルティングの同社では、顧客や商談、活動の詳細が担当者の頭の中にしかなく、売上の報告も紙で経理が手入力していました。

Salesforceの事例ページによると、Sales Cloudで顧客、商談、活動を一元管理し、クラウド会計サービスとの連携で請求や仕訳を自動化しました。導入後4年間の累計で社員17名、計2,770時間の工数を削減したとしています。MAやBI、会計連携を含む導入の成果で、本文中の情報は2022年1月時点です。

参考:みどり財産コンサルタンツの事例(Salesforce)

ひまわりネットワーク株式会社

情報・通信業の同社は、管理ツールが増えて情報が散らばり、確認の手間がふくらんでいました。

ソフトブレーンの事例ページによると、eセールスマネージャーで管理ツールを一元化し、営業部隊を中心に25名で利用しています。事務工数は月60.5時間削減され、年間の売上予算を達成したとしています。

参考:ひまわりネットワークの事例(eセールスマネージャー)

三田理化工業株式会社

製造業の同社では、顧客情報や営業履歴、修理履歴がメールや表計算ソフトで担当者ごとに管理され、引き継ぎの資料はA3用紙1枚でした。

サイボウズの事例ページによると、kintoneで顧客議事録や営業案件進捗のアプリを作り、日報をメールから移しました。1件あたり1.5時間かかっていた商談の準備が5分もかからなくなり、5年ほど前まで28%だった点検比率は50%を超えるようになったとしています。kintoneは業務アプリを作る基盤で、SFAを自社で組み立てた例です。

参考:三田理化工業の事例(kintone)

株式会社ファンケル 流通営業本部

化粧品と健康食品を扱う同社の流通営業本部は、紙や表計算ソフトでの管理が多く、同じ商品でも人によって営業資料が異なることに課題を感じていました。

マツリカのプレスリリース(2023年6月20日)によると、Senses(現在のMazrica Sales)を導入し、営業資料と商談の成功事例を蓄積して横展開するとしています。導入を発表した時点のリリースで、成果の数値はありません。

参考:ファンケルのSenses導入のお知らせ(PR TIMES)

4社から読み取れること

4社に共通するのは、SFAを入れる前に、情報がメールや表計算ソフト、担当者の記憶に分かれていたことです。情報が分かれていると、案件の状況を知るたびに担当者に聞く必要があり、担当者が不在なら判断が止まります。成果も、工数の削減や商談の準備の時間の短縮といった、情報を探す手間が減ったことによるものが目立ちます。

三田理化工業は、サイボウズの事例ページによると、後継者の入社のタイミングでkintoneを導入し、営業だけでなく修理や製造の部門も含めた全社の情報の基盤を整えています。営業の情報だけを切り出さず、顧客にかかわる情報を1か所に集めたことが、商談の準備の時間の短縮につながったと読めます。

営業のやり方にばらつきがあった事例

担当者ごとに営業の進め方や成果に差があり、手順をそろえるためにSFAを使った2社です。

株式会社プレコフーズ

食品卸の同社では、営業所ごとに営業の進め方がばらばらで、案件の担当と進み具合を知るには担当者に個別に確かめる必要がありました。

ソフトブレーンの事例ページによると、eセールスマネージャーで営業の手順を見えるようにし、案件のリストに残りの折衝回数などの指標を置いて管理しました。西東京センターの8人のチームは、年間目標の約2.2倍となる1,300件の新規顧客を開拓したとしています。1拠点のチームの成果で、数字は2016年度前後のものです。

参考:プレコフーズの事例(eセールスマネージャー)

ミカド電装商事株式会社

蓄電池の販売や施工を手がける同社は、売れる社員と売れない社員の差と、労働時間の長さに悩んでいました。

ソフトブレーンの事例ページによると、営業の手順を細かく分解してそろえ、eセールスマネージャーの上で見えるようにしました。売上高は5年間で2倍、営業利益は3年で5倍になったとしています。ソフトブレーンの研修(プロセスマネジメント大学)と組み合わせた成果です。

参考:ミカド電装商事の事例(eセールスマネージャー)

2社から読み取れること

2社は、SFAを記録の置き場としてだけでなく、営業の手順をそろえ、管理職が指示を出す道具として使っています。

プレコフーズは、ソフトブレーンの事例ページによると、ITの得意不得意に差がある営業の担当者でも使えることを重視してeセールスマネージャーを選び、地図の機能で登録されていない見込み客を見つけてその場で登録する使い方もしています。案件のリストを見て助言する形でマネージャーの育成にも使い、2016年度には3人の若手マネージャーが誕生したとしています。ミカド電装商事は、ソフトブレーンの研修を受けた後に、営業の手順を分解してそろえる取り組みをSFAの上で進めています。

どちらも、SFAを入れることと、営業の手順をそろえることを同時に進めている点が共通しています。手順がそろっていない状態で記録だけを集めても、記録の中身が担当者ごとにばらつき、比べたり助言したりする材料になりにくいからです。

販売の進め方が複数あった事例

扱う商材が増えて販売の進め方が何通りも並ぶなか、SFAを少しずつ合わせていった1社です。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社

同社の大手企業向けの直販営業では、商材の増加で販売の進め方が複数並び、部門ごとに表計算ソフトで管理していました。大規模な開発を伴う従来のやり方では、市場の変化にシステムが追いつかないことも課題でした。

同社の公式ページによると、2006年からまず使ってみて、使いながら合わせていく形でSalesforce Sales Cloudを段階的に導入しました。商談受注率は20%向上し、1,000名近いユーザーで使い続けているとしています。比較の起点と期間は記載されていません。同社はSalesforceの導入支援サービスを販売しており、ページはそのサービスの紹介の一部です。

参考:キヤノンMJの社内活用事例

キヤノンMJの事例から読み取れること

キヤノンMJの事例は、最初から完全な設計を目指さず、使いながら合わせていく進め方の例です。販売の進め方が何通りもある会社では、すべての進め方を最初に設計しきるのは難しいため、使い始めてから直していく形のほうが現実的です。1,000名近いユーザーで使い続けている点からも、少しずつ広げる進め方が定着につながったと考えられます。

マーケティングと営業が分断されていた事例

マーケティングで集めた見込み客の情報と、営業の情報がつながっていなかった2社です。

ピー・シー・エー株式会社

ソフトウェアの同社は、資料請求の後のフォローが十分でなく、マーケティングとインサイドセールスの間でデータが分かれていました。商談の管理も表計算ソフトでした。

HubSpotの事例ページによると、Sales HubとMarketing Hubを導入し、部門をまたいだ顧客像の設計や、週ごとのリードの振り返り、メールの開封通知を使った連絡のタイミングの調整を行いました。クラウド製品の月間の継続収益が導入前と比べて5倍以上になったとしています。MAとの同時導入で、事業のクラウドへの切り替えの時期とも重なります。

参考:ピー・シー・エーの事例(HubSpot)

TIS株式会社

システムインテグレーターの同社は、マーケティングの施策から営業の成果へのつながりが見えにくいことを課題にしていました。

マツリカのプレスリリース(2021年1月14日)によると、営業の現場の入力の負担と運用の手間の少なさを選定の軸にSensesを選び、ほかのシステムとデータを連携させるとしています。成果の数値はなく、選定の基準の例として紹介します。

参考:TISのSenses導入のお知らせ(PR TIMES)

2社から読み取れること

2社は、マーケティングで集めた見込み客の情報を、営業の動きにつなげることを目的にしています。ピー・シー・エーの事例ページでは、担当者がHubSpotのメールの開封の通知が届き次第すぐに電話をかけるようにしていると語っており、見込み客が関心を持った瞬間に営業が動ける仕組みが成果を支えていると読めます。

TISは、入力の負担と運用の手間の少なさを選定の軸にしています。マーケティングと営業をつなぐには、営業の側が毎日入力を続けられることが前提になるためです。マーケティングの側だけが熱心でも、営業の記録が途切れれば、どの施策が受注につながったのかは見えません。

提案の準備に時間がかかっていた事例

案件の情報を何か所にも入力する手間と、提案の準備にかかる時間が課題だった1社です。

キンコーズ・ジャパン株式会社

同社は、案件の情報を複数の場所に分けて入力する必要があり、営業活動について共通の認識を持ちにくい状況でした。

マツリカのプレスリリース(2026年9月10日)によると、Mazrica Salesで案件の情報を一元管理し、営業に特化した企業データベースのMazrica Targetの提案生成の機能を使いました。提案の準備にかかる時間は従来の1時間から25分と約50%短くなったとしています。この短縮は、企業データベース側の機能によるものです。

参考:キンコーズ・ジャパンの導入のお知らせ(マツリカ)

キンコーズ・ジャパンの事例から読み取れること

キンコーズ・ジャパンの事例は、SFAと、企業の情報を集めたデータベースを組み合わせた例です。発表は2026年9月と新しく、営業に特化したAIの企業データベースを組み合わせている点も特徴です。案件の情報を1か所にまとめることと、提案の準備に使う情報を集める手間を減らすことを、別々の道具で受け持たせています。SFAだけで何もかも解決しようとせず、ほかの道具と役割を分けることも選択肢になります。

事例に見る選定の決め手

10社の事例には、なぜその製品を選んだのかが書かれているものがあります。選定の決め手は、使う人が使えるか、入力の負担が少ないか、ほかの仕組みとつなげるか、の3つに集まっています。

使う人が使えるか

プレコフーズは、ITの得意不得意に差がある営業の担当者でも使えることを重視して選んでいます。どれだけ機能が多くても、使う人が使えなければ記録はたまりません。

入力の負担が少ないか

TISは、営業の現場の入力の負担と運用の手間の少なさを選定の軸にしています。毎日入力する人の負担は、定着を左右する条件です。

ほかの仕組みとつなげるか

TISは連携の基盤を通じて社内の仕組みとつなぎ、みどり財産コンサルタンツは会計のサービスとつないでいます。すでに使っている仕組みとつなげるかどうかも、選ぶ段階で確かめられています。

成果の数字の種類

10社の成果の数字は、時間、件数、率、業績の4種類に分けられます。自社で成果を測るときに、どの種類の数字を目標にするかの参考になります。

数字の種類事例での例読むときの注意
時間ひまわりネットワークの事務工数の月60.5時間の削減人数あたりか合計かを確かめる
件数プレコフーズの8人で1,300件の新規顧客の開拓1拠点のチームの数字である
率キヤノンMJの商談受注率20%の向上比較の起点と期間が書かれていない
業績ミカド電装商事の売上高が5年間で2倍研修と組み合わせた成果である

時間の数字は、SFAの効果として読みやすい一方、業績の数字は、SFA以外の取り組みも重なっていることが多くなります。業績の数字が大きい事例ほど、何と組み合わせた成果なのかを確かめてから読みましょう。自社で目標を置くなら、まずは時間や件数のように、SFAとの結びつきが分かりやすい数字から始めると、効果を確かめやすくなります。

事例を自社に当てはめる手順

事例を自社に当てはめるときは、自社の課題を事例の5つの区分に当てはめる、近い事例の取り組みを書き出す、自社の数字で目標を置く、の順に進めます。

課題を5つの区分に当てはめる

この記事の事例は、情報が担当者の手元にとどまっていた、営業のやり方にばらつきがあった、販売の進め方が複数あった、マーケティングと営業が分断されていた、提案の準備に時間がかかっていた、の5つに分けています。自社の課題がどれに近いかを決めます。

近い事例の取り組みを書き出す

同じ区分の事例から、SFAで何をしたかを書き出し、自社でもできそうなものに印をつけます。事例の会社と同じ規模で取り組む必要はありません。印をつけた取り組みのうち、費用や人手がほとんど要らないものから始めると、早い段階で効果を確かめられます。

自社の数字で目標を置く

最後に、自社の今の数字を測り、どこまで変えたいかを置きます。事例の数字をそのまま目標にすると、前提の違いから達成できるかの見通しを誤ります。

事例の時点と規模を読む

事例を読むときは、いつの事例か、どのくらいの規模の会社や部署の事例かにも目を向けます。今回の10社にも、2016年度前後の数字の事例や、1つの拠点のチームの成果の事例が含まれています。

時点の古い事例は、取り組みの考え方は参考になりますが、使われている製品の機能は今と違う可能性があります。同じ製品でも、当時は無かった機能で今なら手間を減らせることもあります。規模の違う事例は、取り組みの順番は参考になりますが、成果の数字はそのまま比べられません。事例の時点と規模を書き添えてから社内で共有すると、誤解を防げます。

業務アプリの基盤で組み立てる選択肢

三田理化工業のように、SFA専用の製品ではなく、業務アプリを組み立てる基盤で案件の管理を作る会社もあります。営業の流れが独自で、既製の製品の項目や画面が合いにくい場合や、営業以外の部門と同じ基盤で情報を共有したい場合に向いています。

一方で、項目や画面を自社で設計して作る手間がかかります。既製のSFAなら初めから用意されている集計の画面なども、自社で作る必要があります。社内にアプリを作れる人がいるか、作った後の手直しを誰が担うかを決めてから選ぶと、作りっぱなしになるのを防げます。

事例をもとに社内で導入を提案するとき

事例をもとにSFAの導入を社内で提案するときは、自社の課題に近い事例を2、3社選び、課題、取り組み、成果、注意点を同じ形で並べます。

注意点には、成果にSFA以外の要因が含まれているか、事例の時点、事例の規模を書きます。事例の出典がベンダーの事例ページなのか、企業の発表なのかも書き添えておくと、数字の重みを判断しやすくなります。これを書いておくと、決裁する人が事例の数字をそのまま期待することを防げます。あわせて、自社で同じ取り組みをするなら何が必要か、つまり項目の設計、使い方の研修、管理職が記録を使う場の3つを添えると、提案が具体的になります。

マーケティング支援

SFAとほかの道具の組み合わせ

10社のうち半数ほどは、SFAを単独で使うのではなく、ほかの道具や取り組みと組み合わせています。組み合わせの相手によって、SFAに期待する役割も変わります。

組み合わせた相手事例SFAの役割
MAピー・シー・エーマーケティングで集めた見込み客を営業が追う
会計のサービスやBIみどり財産コンサルタンツ顧客と商談の情報を請求や分析につなぐ
企業のデータベースキンコーズ・ジャパン案件の情報をまとめ、提案の準備はデータベースで補う
営業の研修ミカド電装商事研修でそろえた手順を日々の記録で回す
連携の基盤TIS社内のほかの仕組みと情報をやり取りする

組み合わせた事例の成果は、SFAだけの効果としては読めません。ただ、組み合わせ方そのものは参考になります。反対に言えば、SFAの効果を引き出すには、何と組み合わせるかを導入の段階で考えておく価値があります。

成果が出るまでの時間

事例の成果は、導入から時間をかけて出たものが多くあります。みどり財産コンサルタンツの工数の削減は導入後4年間の累計、ピー・シー・エーの成果は導入から約2年の時点、ミカド電装商事の売上高は5年間で2倍、という数字です。

自社で導入するときも、成果を判断する時期を先に決めておきます。判断の時期を決めずに始めると、入力の手間ばかりが目立つ導入の直後に、続けるかどうかの議論が始まってしまいます。導入の直後は入力に慣れる時間が必要で、時間や件数の成果が見え始めるのはその後です。業績のような大きな数字の変化は、さらに長い期間で見る必要があります。

メールや電話の記録を取り込む

入力の負担を減らすために、メールや電話の記録をSFAに取り込む使い方をしている事例もあります。みどり財産コンサルタンツは、Salesforceの事例ページによると、メールやコールの記録を取り込む機能を使っています。

担当者が手で入力する量が減れば、記録が続きやすくなります。ピー・シー・エーのように、見込み客がメールを開いたという通知をきっかけに電話をかける使い方も、記録と営業の動きを結びつける工夫の1つです。記録を残すことそのものを目的にせず、記録が次の行動のきっかけになる使い方を考えると、入力する意味が担当者にも伝わります。

マネージャーの育成に使う

SFAは、管理職が担当者に助言するための道具としても使えます。プレコフーズは、案件のリストのどこを見て助言すれば後輩が自分で改善を回せるようになるかを考え、マネージャーの育成を設計しやすくなったとしています。

記録が残っていれば、管理職は担当者の案件の進め方を具体的に見て助言できます。口頭の報告だけでは見えなかった、次の約束が決まっていない案件や、長く動いていない案件にも気づけます。若手の管理職にとっても、記録をもとにした助言の型ができれば、経験の浅さを補えます。

ベンダーの事例を探すときのこつ

自社に近い事例を探すときは、ベンダーの事例の一覧を、業種、企業の規模、課題で絞り込みます。たとえばeセールスマネージャーの事例の一覧には、業種別や企業の規模別の区分が用意されています。

業種で絞って見つからないときは、課題で探し直します。同じ会社の規模の区分で探すと、体制や予算が近い事例に当たりやすくなります。営業のやり方のばらつき、引き継ぎ、マーケティングとの連携といった課題が同じなら、業種が違っても取り組みは参考になります。

定着の工夫を具体的に見る

定着の工夫が詳しく書かれている事例として、みどり財産コンサルタンツの事例があります。Salesforceの事例ページによると、同社は利用を定着させるために、全社員向けの説明会、自分で解決するためのマニュアルの作成、機能の追加の依頼や相談の窓口の設置といった工夫を重ねました。

経営の関与と専任の担当者

同社の社長は、定着が成功したポイントとして、トップが関わったことと、専任の担当者を置いたことの2つを挙げています。社長自身が社員の活動の記録を毎朝確かめてコメントすることで、社員の側も利用が習慣になったとしています。この2つは、以前にCRMの定着に失敗した経験から学んだことだと語られています。

入力の手間を減らす工夫

同社は、名刺の情報を名刺管理のサービス経由で登録し、メールでのやり取りやインサイドセールスの通話の内容も記録として管理しています。顧客への贈り物や送付物のような紙の接触も記録の対象にしていると書かれており、顧客との接点をできるだけ1か所に集めようとしていることが分かります。担当者が一から入力する量を減らしたことも、定着を支えた工夫の1つと読めます。

経営の関与、専任の担当者、入力の手間の削減は、後の見出しで取り上げる定着のさせ方とも重なります。自社で導入するときに、誰がこの役割を担うのかを先に決めておきましょう。

事例から考える導入前の準備

事例を並べると、成果を出した会社が導入の前後に整えていたものが見えてきます。自社で導入する前に、次の4つを準備しておくと、事例の取り組みを取り入れやすくなります。

準備すること事例での例
導入の目的を言葉にする情報の一元化(みどり財産コンサルタンツ)、管理ツールの一元化(ひまわりネットワーク)
営業の手順をそろえる手順の分解と標準化(ミカド電装商事)
定着を担う人を決める専任の担当者(みどり財産コンサルタンツ)
記録を使う場を決める案件のリストを見た助言(プレコフーズ)

導入の目的を言葉にする

目的が言葉になっていないと、入力の項目が増え続け、成果も測れません。事例の会社は、情報の一元化や管理ツールの整理のように、解決したいことをはっきりさせてから導入しています。

定着を担う人を決める

導入した後に、使い方の質問に答え、項目を見直す人がいないと、使われないまま放置されがちです。専任でなくても、担当を決めておくことが大切です。

事例を読んだ後の最初の一歩

事例を読んで自社でもSFAを検討するなら、最初に、今の営業の管理で困っていることを3つまで書き出し、それぞれが10社のどの区分に近いかを当てはめてみます。当てはまる事例が多い区分が、自社でSFAを入れる目的の候補です。

目的の候補が決まったら、その区分の事例で使われていた機能や取り組みを、トライアルや提供会社への質問で確かめます。事例の会社が何をしたかを具体的に知っていれば、製品の説明を受けるときに、自社に必要な機能かどうかを見分けやすくなります。

事例に共通する定着のさせ方

10社を並べると、使いながら合わせていく、入力の負担を減らす、記録を管理や指示に使う、という3つの定着のさせ方が浮かび上がります。

使いながら合わせていく

キヤノンMJは、まず使ってみて、使いながら合わせていく形で段階的に導入しました。最初から隙のない設計を目指すより、使いながら直していくほうが、商材や組織の変化に追いつけます。

入力の負担を減らす

TISは入力の負担と運用の手間の少なさを選定の軸に置きました。みどり財産コンサルタンツはメールや電話の記録を取り込み、ひまわりネットワークは管理ツールを1つにまとめています。いずれも、入力の手間を増やさない工夫から始めています。

記録を管理や指示に使う

プレコフーズは、案件のリストに指標を置いてマネージャーが管理し、タイムラインで営業に指示を出しました。記録が日々の指示に使われていれば、担当者にとって入力する理由ははっきりします。

SFAの事例に共通する3つの定着のさせ方を番号付きのカードで並べた図

事例から見える支援の使いどころ

10社のなかには、研修や連携の仕組みをSFAと組み合わせている事例があります。そこから、外部の支援が効きやすい場面が読み取れます。

場面当てはまる事例支援の例
営業の手順をそろえるミカド電装商事研修と組み合わせて手順を分解し、SFAで見えるようにした
ほかのシステムとつなぐTIS、みどり財産コンサルタンツ連携の仕組みや会計サービスとの連携を組み合わせた
マーケティングとつなぐピー・シー・エーMAと同時に導入し、部門をまたいだ運用を作った

手順の標準化、システムの連携、部門をまたいだ運用の設計は、SFAの設定だけでは片づかない作業です。社内で抱えきれないと感じたら、この部分から外部の支援を検討するのが現実的です。

SFAの運用で外部の支援が効きやすい3つの場面を並べたチェックリストの図

よくある質問

SFAの事例についてよく挙がる疑問をまとめます。

SFAの事例の成果は自社でも出せますか

同じ成果が出るとは限りません。事例の成果には、MAや研修といったSFA以外の要因が含まれていることもあります。数字より、自社の課題に近い事例の進め方を参考にしましょう。

少人数の会社のSFAの事例はありますか

あります。ミカド電装商事は社員25名の会社で、ひまわりネットワークは営業部隊を中心に25名で利用しています。

SFA専用の製品でなくても事例はありますか

あります。三田理化工業は、業務アプリを作る基盤のkintoneで案件や顧客の管理を組み立てています。

まとめ

SFAの事例は、成果がSFAだけによるものか、何と比べた数字か、いつの数字かを確かめて読みます。今回の10社は、情報の散在、営業のばらつき、販売の進め方の並存、部門の分断、提案の準備の時間といった課題からSFAを入れていました。

定着のさせ方には、使いながら合わせていく、入力の負担を減らす、記録を管理や指示に使う、という共通点があります。手順の標準化やシステムの連携は、外部の支援が効きやすい場面です。

手始めに、自社の課題が10社のどれに近いかを照らし合わせてみてください。

近い事例が見つかり、自社に当てはめた進め方を詰めたくなったら、お問い合わせで導入の段取りを相談できます。

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malnaブログ編集部

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