2026.04.16
Claude Codeで広告分析と施策提案を自動化する方法【実務者向け】
毎週月曜の朝、Google広告の管理画面を開き、次にMeta広告の広告マネージャ、さらにLINEヤフー広告(旧Yahoo!広告)のレポート画面へ—。数値をスプレッドシートに転記し、前月比を計算し、悪化している指標を探す。そして悪化している指標を元に、再度管理画面に戻り、どのキーワード、どのクリエイティブで数値が悪化しているのか、どのターゲットからの反応が悪化したのかを分析し、改善策をまとめる。広告運用者にとって、この「データ集計→分析→施策出し」の一連の流れは避けて通れない定例業務です。
この作業に毎回2〜3時間を費やしている方も多いのではないでしょうか。その時間を、クリエイティブの企画や戦略の見直しに使えたら、施策の実行スピードや成果は大きく変わるのではないでしょうか。
malna株式会社では、このような悩みを解決するためにAIエージェントツール「Claude Code」を使い、広告データの自動取得から分析、改善施策の提案、Slackへのレポート投稿までを一気通貫で自動化しています。その具体的な仕組みと導入のステップ、Google広告・Meta広告それぞれの接続経路、そして実際のクライアント案件での活用事例をお伝えします。
目次
そもそもClaude Codeとは?
Claude Codeは、Anthropic社が提供するAIエージェントツールです。公式ドキュメントでは、ファイルを編集し、コマンドを実行し、ツールと連携するエージェント型のツールと説明されており、ターミナル・IDE拡張・デスクトップアプリ・ブラウザの4つの環境で動きます。広告運用の文脈では、この「コマンドを実行できる」という性質が効いてきます。
ChatGPTやClaude.aiといったチャットAIを使ったことがある方は多いと思います。あれは「質問すると答えてくれる」ツールです。しかし、実際の広告運用業務では「答えてもらう」だけでは足りません。管理画面からデータをダウンロードしたり、レポートファイルを作ったり、Slackに報告を投稿したり、手を動かす作業が大半です。
Claude Codeは、この「手を動かす部分」までAIが自動でやってくれるツールです。PCの中にいるアシスタントのような存在で、日本語で「先月のGoogle広告のキャンペーン別レポートを取得して、CPAが悪化しているものを特定し、改善案をまとめて」と指示すると、Claude Codeがその一連の作業を自分で実行してくれます。
参考:Claude Code Overview(Anthropic公式ドキュメント)
普通のチャットAIと何が違うの?

チャットAIとClaude Codeの差は「情報を取りに行けるか」と「結果を書き出せるか」の2点に集約されます。広告運用では、管理画面・スプレッドシート・Slackという3つの場所をまたいで作業するため、この2点が揃っているかどうかで自動化できる範囲が大きく変わります。
| やりたいこと | 普通のチャットAI(ChatGPT等) | Claude Code |
| 広告データを取得したい | 自分で管理画面からコピペして貼り付ける必要がある | 広告媒体から直接データを自動で引っ張ってくる |
| レポートを作りたい | 自分でデータを整形して貼り付けないといけない | PC内のファイルを自分で読み書きできる |
| 分析プログラムを動かしたい | 不可(チャットの中だけで完結) | 分析に必要なプログラムを自動で作成し実行する |
| Slackに結果を送りたい | 自分でコピペして投稿する | SlackやGoogleスプレッドシートに直接連携して自動投稿する |
| 毎日同じ分析をしたい | 毎回ゼロから同じ指示を書く | 一度やり方を登録すれば、次からは一言で再現できる |
つまり、普通のチャットAIは「考える」だけです。Claude Codeは「考える」に加えて「手を動かす」ことができます。この違いが、広告運用の自動化において決定的な差になります。
Claudeで広告運用を進める場合との使い分け
Claude(claude.ai)とClaude Codeは同じモデルを使いますが、広告運用で任せられる範囲が違います。判断や文章生成だけならClaudeで足り、データの取得・集計・投稿まで一続きで回したい場合にClaude Codeが必要になります。どちらか一方を選ぶというより、工程によって使い分けるのが実務的です。
| 広告運用でやりたいこと | Claude(claude.ai) | Claude Code |
| 広告文・訴求軸のたたき台を作る | 向いている | 可能だが過剰 |
| 管理画面のスクリーンショットを読んで所感をもらう | 向いている | 可能 |
| 数値を貼り付けて原因の仮説を出してもらう | 向いている | 可能 |
| 媒体APIから数値を取得して集計する | 不可 | 向いている |
| レポートファイルを生成して保存する | 不可 | 向いている |
| Slackへ定時投稿する | 不可 | 向いている |
まずはClaudeで判断の型を作り、それが固まってからClaude Codeで実行を自動化する、という順番が実務では回しやすくなります。分析の観点が定まらないうちに自動化すると、間違った基準のまま毎日レポートが出続けてしまいます。
Claude Codeで広告分析を自動化する3つのメリット
Claude Codeを広告分析に活用する最大の利点は、単なる時短ではありません。「データ収集の幅が広がる」「原因分析が深くなる」「施策の質が上がる」。つまり、分析そのもののレベルが変わります。ここでは、実際に運用して実感した3つのメリットを具体的にお伝えします。
メリット1:管理画面の数値だけでなく、競合・市場データまで一括取得できる
Google広告、Meta広告、LINEヤフー広告——複数媒体を運用していると、それぞれの管理画面にログインしてレポートをダウンロードするだけで30分以上かかります。
Claude Codeなら、各広告媒体のデータを直接取得する仕組みをあらかじめ用意しておけば、「今月の広告データを取得して」と一言伝えるだけで、全媒体のデータを一括で取得してくれます。
しかも、取得できるのはキャンペーン別・キーワード別といった通常のパフォーマンスデータだけではありません。インプレッションシェアや損失率、検索語句レポート、品質スコアなど、普段は管理画面の奥にあって見落としがちなデータも一緒に引っ張ってくることができます。
ただし、媒体側のAPIで公開されていないデータは自動取得できません。代表例がGoogle広告のオークション分析(Auction Insights)で、管理画面から書き出したファイルをClaude Codeに渡す形になります(詳細は後述します)。
これらを揃えると、「自社のCPAが上がったのは自社の問題なのか、それとも競合の出稿強化による市場全体の変化なのか」を切り分けるところから分析を始められます。
メリット2:「数値の悪化」ではなく「構造的な原因」を自動で特定できる
広告代理店として複数のクライアントを運用していると、各案件のKPIを毎日追いかけるだけでも相当な工数になります。そのうえで「なぜこの数値が動いたのか」の原因分析まで丁寧に行おうとすると、どうしても対応が後手に回りがちです。
特に難しいのが、数値変動の原因が広告アカウント内部にあるのか、外部要因なのかの切り分けです。CPAが悪化したとき、それがクリエイティブの疲弊なのか、競合のインプレッションシェア拡大なのか、あるいはLP側のCVR低下なのか。複数の仮説を同時に検証する必要があります。
そこで有効なのが、Claude Codeにあらかじめ分析のチェックリストを登録しておくことです。ファネルの上流から順にスキャンしつつ、前年同月比も横断的に参照して、最初に大きく崩れたステップとその要因を自動で特定してくれます。
| 観測された変化 | 疑うべき原因 | 検証に使うデータ |
| インプレッションシェアが低下した | 競合の出稿強化、または入札負け | 予算損失率・ランク損失率、オークション分析(管理画面から書き出し) |
| クリック数が減った | 予算と入札のどちらが効いているかの切り分け | インプレッションシェア損失率と予算損失率 |
| CTRが下がった | クリエイティブの疲弊、配信比率の偏り | 広告別・クリエイティブ別の配信比率の変化 |
| CVRが低下した | LP側の変更、特定セグメントの悪化 | デバイス別・時間帯別のCVR推移、LPの更新履歴 |
| 商談設定率が低下した | 広告側ではなくクライアントのオペレーション側 | 商談化データ、リード品質のフィードバック |
単なるKPIの上下ではなく、「なぜそうなったのか」「広告側で対処できる問題なのか」を構造的に示してくれるため、クライアントへの報告や施策提案の精度が格段に上がります。
メリット3:改善施策が「根拠付き」で自動生成される
もう一つ大きいのが、分析結果をもとにした施策提案まで自動化できる点です。しかも、「なんとなくこうした方がいい」ではなく、データの変化を根拠にした具体的な提案が出てきます。
例えば以下のような形式です。

施策には「今週中に実行するべきこと」と「来週までに実施するべきこと」などの優先度が付くため、チームの行動指針を決めやすく、施策実行も進めやすくなっています。
自動化の全体像—なぜ「一言」で分析が完了するのか
Claude Codeによる広告分析の自動化は、手順書・接続・判断基準という3つの部品を先に用意しておくことで成立します。一言の指示で分析が終わるのは、Claude Codeが賢いからではなく、毎回同じことを書かなくて済むように準備してあるからです。ここからは、その仕組みをできるだけ噛み砕いて解説します。
Claude Codeを支える3つの仕掛け

3つの仕掛けは、それぞれ「手順」「接続」「判断基準」を担当します。普段の業務に置き換えると、業務マニュアル・各ツールのアカウント・チームの運用ルールに対応すると考えるとイメージしやすくなります。
| 仕掛け | 役割 | 実体 |
| スキル | 作業手順を再利用できる形で保存する | SKILL.md というファイル |
| MCP | 外部のツールやAPIとClaude Codeをつなぐ | 接続設定(.mcp.json など) |
| CLAUDE.md | チーム固有の判断基準を毎回読み込ませる | プロジェクト直下のテキストファイル |
やり方の手順書(スキル)
「データを取得して→分析して→レポートにまとめて→Slackに投稿する」という一連の手順を、あらかじめテキストファイルに書いておきます。いわば、Claude Code専用の業務マニュアルです。公式ドキュメントによれば、SKILL.md というファイルに手順を書いておくと「/スキル名」で呼び出せ、関連する場面ではClaude Codeが自動的に読み込みます。
参考:Extend Claude with skills(Anthropic公式ドキュメント)
外部ツールとの接続(MCP)
Claude Codeは単体では広告データを取ってきたり、Slackに投稿したりできません。そこで「MCP(Model Context Protocol)」という仕組みを使って、SlackやGoogleスプレッドシート、各広告媒体とClaude Codeをつなぎます。人間でいえば、各ツールへのアクセス権をClaude Codeに渡してあげるようなイメージです。設定の保存先は「自分だけ」「プロジェクト共有」「全プロジェクト」の3段階から選べ、チームで同じ設定を使う場合はプロジェクト直下の .mcp.json に置く形が基本です。
参考:Connect Claude Code to tools via MCP(Anthropic公式ドキュメント)
分析のルールブック(CLAUDE.md)
「CPAの目標値はいくらか」「どの指標をどの順番でチェックするか」「悪化の基準は何%からか」——こうしたチーム固有の判断基準を、テキストファイルに書いておきます。公式ドキュメントによれば、CLAUDE.md はプロジェクト直下に置くとセッションの開始時に毎回読み込まれます。毎回同じ基準でブレなく分析させるための土台です。
ただし公式ドキュメントは、CLAUDE.md を「文脈として渡される情報であり、強制力のある設定ではない」とも説明しています。絶対に守らせたいルールは、CLAUDE.mdではなくフック(Hooks)や権限設定で縛るのが正しい設計です。予算の変更や広告の停止など、間違うと損害が出る操作ではこの違いが効いてきます。
参考:How Claude remembers your project(Anthropic公式ドキュメント)
実際にはどう動くの?——実行の流れ
指示を出してからレポートが届くまで、Claude Codeは6つのステップを自分で進めます。実際に「今日の広告レポートを出して」と指示したときの裏側の流れを、ステップごとに示します。
- 人間が「広告レポートを出して」と一言指示する
- Claude Codeが手順書(スキル)を読み、やるべきことを把握する
- 各広告媒体からデータを自動で取得する(キャンペーン別、キーワード別、年齢×性別などの基本レポートに加え、検索語句、品質スコア、インプレッションシェア損失率などの競合・市場データも含める)
- 取得したデータを、ルールブックの基準に照らし合わせて分析する(チェックリストで順にスキャンし、ボトルネックを特定し、施策の優先度を判定する)
- 分析結果と改善施策をレポート形式に整える
- Slackの指定チャンネルに自動で投稿する
様々なレポートを自動取得し、分析・施策提案・Slack投稿まで、すべてが自動で完結します。人間が動くのは「最初の一言」と「最後の確認」だけです。
malnaが実際に行っている広告分析の自動化
malnaでは、Google広告・Meta広告・LINEヤフー広告の3媒体を横断した広告運用を複数のクライアントに対して行っています。ここでは、実際のクライアント案件でClaude Codeをどのように活用しているかをご紹介します。
自動化している業務の全体像
Claude Codeの導入によって自動化したのは、データ取得・分析・施策生成・共有の4工程です。それぞれ独立して動かすのではなく、1回の実行で最後までつながる形にしています。
3媒体のデータ一括取得
毎朝、指示せずとも同じ時間に3媒体のデータを自動取得しています。取得しているレポートは以下の通りです。
| 媒体 | 取得レポート |
| Google広告 | キャンペーン別、広告グループ別、キーワード別(品質スコア含む)、検索語句、広告別、デバイス別、インプレッションシェアと損失率 |
| Meta広告 | キャンペーン別(フリークエンシー含む)、広告セット別、広告別(クリエイティブ別)、年齢×性別、配置面別、デバイス別 |
| LINEヤフー広告 | 検索キャンペーン別、検索キーワード別、検索クエリ、検索デバイス別、ディスプレイキャンペーン別、ディスプレイデバイス別、インプレッションシェア損失率 |
管理画面の基本数値だけでなく、インプレッションシェア損失率など「手動では毎日確認しきれないデータ」まで含めて一括取得しているのがポイントです。オークション分析やブランドリフト調査のように、API経由では取得できない、あるいは実施した案件でしか存在しないデータは、管理画面から書き出したファイルを同じフォルダに置いて読み込ませています。
複数観点からの自動分析
取得したデータに対して、あらかじめ登録しておいたチェックリストで自動分析を実行しています。具体的には以下のような観点です(下記はほんの一部です)。
- CV未発生のまま費用が大きく消化されているキャンペーンやキーワードの検出
- CPAが目標値から大きく乖離している箇所の特定
- 検索クエリレポートから意図しないクエリの洗い出し
- 品質スコアが低下しているキーワードのフラグ立て
- Meta広告のフリークエンシー過多の検出
- インプレッションシェア損失率をもとにした配信機会損失の検知
- 前週比・前年同月比・直近3ヶ月トレンドとの比較
これらを人手で毎日全案件チェックするのは現実的ではありませんが、Claude Codeなら一声かけるだけで網羅的に実行してくれます。
改善施策の自動生成
分析結果をもとに、改善施策が優先度付きで自動生成されます。出力される施策に含まれる情報は次のとおりです。
- 対象: どのキャンペーン・キーワード・クリエイティブに対する施策か
- 現状: データが示している事実(どの指標がどう悪化しているか)
- 原因: データから推定される悪化要因
- 改善案: 具体的にどうアクションすべきか
- 期待効果: 施策実行によるCPA改善やコスト削減の見込み
施策は「今週中に実行すべきもの」と「来週以降に実施するもの」に優先度分けされるため、チーム内でそのまま行動に落とし込めます。
Slackへの自動投稿
生成されたレポートは、Slackの指定チャンネルに自動で投稿されます。運用担当者は朝Slackを開くだけで、各案件のパフォーマンス状況と改善アクションを確認できます。
自動化による変化
導入前後で最も変わったのは、レポートを作る時間ではなく、レポートを見てから動き出すまでの時間でした。Claude Code導入により、以下のような変化がありました。
- 日次のデータ確認: 管理画面の巡回が不要になり、Slackで確認するだけに
- 週次レポート作成: 自動生成されたレポートを微調整するだけで完成するように
- 施策の網羅性: 人手では見落としがちだった損失率やフリークエンシーの異常値も自動検出されるように
- 属人化の解消: 分析基準がルールとして明文化されているため、担当者が変わっても同じ品質でチェックが回る
「自社の広告運用でも同じ仕組みを作れないか」と感じた方は、malnaのお問い合わせフォームからご相談ください。現在の運用体制と媒体構成をうかがったうえで、どこから自動化すべきかを整理してお伝えします。
Claude CodeでGoogle広告につなぐ経路と、その制約
Claude CodeからGoogle広告のデータを扱う経路は、Googleが公式に公開しているMCPサーバーを使う方法と、Google Ads APIを直接叩く仕組みを作る方法の2つです。まず押さえておきたいのは、公式MCPサーバーは読み取り専用であり、入札変更やキャンペーンの停止はできないという点です。この制約を理解しておくと、どこまで自動化を任せるかの線引きが最初から明確になります。
公式MCPサーバーで使えるのは3つのツールです
Googleは、Google Ads API向けのMCPサーバーをオープンソースとして公開しています(GitHubのリポジトリ作成は2025年10月)。公式ドキュメントによれば、提供されているツールは次の3つです。
| ツール名 | できること |
| list_accessible_customers | 認証したユーザーがアクセスできるGoogle Ads顧客IDとアカウント名を返す |
| search | GAQL(Google Ads Query Language)でキャンペーン・広告グループ・キーワードと各指標を取得する |
| get_resource_metadata | Google Ads APIのリソース構造(取得できる項目)のメタデータを返す |
公式ドキュメントには「This implementation is strictly read-only. It cannot modify bids, pause campaigns, or create new assets.」と明記されています。認証はOAuth 2.0またはサービスアカウントで、実装はPythonです。日々のレポート取得と分析という用途であれば、この読み取り専用の範囲で十分にカバーできます。
参考:Google Ads API MCP server(Google公式ドキュメント)
書き込みが必要な場合は別の手段を組み合わせます
キーワードの追加や入札の変更まで自動化したい場合は、公式MCPサーバーの外側で仕組みを用意する必要があります。選択肢は、Google Ads APIを直接呼び出すスクリプトをClaude Codeに書かせる方法と、Google広告の管理画面に組み込まれている広告スクリプトを使う方法です。
ただし、書き込みを伴う自動化は、読み取りとは別の慎重さが必要です。予算や入札に触れる処理は、実行前に差分を人が確認する運用にするか、変更幅の上限をコード側で固定しておくことをおすすめします。
参考:googleads/google-ads-mcp(GitHub)
オークション分析(Auction Insights)はAPIでは取得できません
Google広告のオークション分析レポートは、インプレッションシェア・重複率・上位掲載率など、競合との相対的な位置関係がわかる貴重なデータです。しかしこのデータは、Google Ads APIでは一般提供されていません。
Google Ads APIの公式フォーラムでは、Googleの担当者が「オークション分析の指標は許可制のアカウントでのみ利用可能であり、その許可プログラムは現在受付を停止している」と回答しています。代替手段として案内されているのは、管理画面の「インサイトとレポート > オークション分析」からレポートを生成し、定期的にダウンロードする方法です。
したがって、オークション分析まで含めて分析させたい場合の現実的な進め方は次のようになります。
- 管理画面からオークション分析レポートをCSVで書き出す
- Claude Codeが読み込む作業フォルダに置く
- API経由で取得した数値と突き合わせて分析させる
「自動取得できるデータ」と「手で置きに行くデータ」を最初に仕分けておくと、あとから「なぜこの数字だけ入っていないのか」と混乱せずに済みます。
参考:Auction Insights API(Google Ads API公式フォーラム)
Claude CodeでMeta広告につなぐ経路と設計の違い
Meta広告については、Meta自身が公式のMCPサーバーを提供しています。2026年4月29日に「Meta Ads AI Connectors」としてオープンベータで公開されたもので、MCPサーバーのアドレスは mcp.facebook.com/ads です。Google広告の公式MCPサーバーが読み取り専用なのに対し、Meta側は広告の作成・編集まで自然言語で行える点が大きな違いです。
提供されているツールは7つの領域に分かれています
Metaの開発者向けドキュメントによれば、Ads MCPサーバーが提供するツールは7つの領域に整理されています。日々の広告分析で主に使うのは「詳細レポーティング」と「シグナル・データセット」の2領域で、残りは配信設定やカタログの運用に関わる領域です。
| 領域 | 主な内容 |
| 詳細レポーティング | パフォーマンスの取得とインサイトの抽出 |
| 広告作成・管理 | 広告・広告セット・キャンペーンの作成と編集 |
| カタログ作成・管理 | 商品カタログの作成、商品データの追加、フィードの不具合対応 |
| シグナル・データセット | シグナルの健全性とデータ品質の確認 |
| ヘルプ・トラブルシューティング | 設定や配信の問題の切り分け |
| A/Bテスト・コンバージョンリフト調査 | テストの設定と結果の確認 |
| アクティビティログ | 変更履歴の確認 |
Meta for Businessの発表ページには「For MCP, no developer credentials, API setup, or coding required」と記載されており、開発者アカウントの申請やAPIキーの発行なしで接続できます。広告運用担当者が自分で接続を試せる点は、導入のハードルを大きく下げます。
参考:Ads MCP Server Overview(Meta for Developers)
Google広告との設計の違いは「キーワードがない」ことです
Meta広告の分析設計をGoogle広告と同じ形にすると、見るべき指標がずれます。Google広告は検索クエリとキーワードが分析の軸ですが、Meta広告にはその軸がありません。代わりに、オーディエンスとクリエイティブ、そして配信面が軸になります。
| 分析の軸 | Google広告(検索) | Meta広告 |
| 需要のとらえ方 | 検索キーワード・検索語句 | オーディエンスとシグナル |
| 疲弊の見つけ方 | 品質スコア、インプレッションシェアの推移 | フリークエンシー、クリエイティブ別のCTR推移 |
| 配信の偏りの見方 | デバイス・地域・時間帯 | 配置面、年齢×性別、クリエイティブ別の配信比率 |
| 検証の進め方 | 入札とキーワードの調整 | A/Bテストとクリエイティブの入れ替え |
CLAUDE.mdに書く判断基準も、媒体ごとに分けて書いておくのが実務的です。「CPAが目標比◯%を超えたら」という共通ルールに加えて、Meta広告側には「フリークエンシーが◯を超えたらクリエイティブ疲弊を疑う」といった媒体固有の基準を持たせます。
権限の設計を先に決めておきます
書き込みができるということは、間違えば配信が止まったり、意図しない予算で走ったりする可能性があるということです。Metaは2026年7月16日の更新で、ビジネスポートフォリオの管理権限を持つユーザーが、AIエージェントに許可する操作の範囲をルールとして設定できる機能を追加しました。
接続する前に、レポート取得だけを許可するのか、作成・編集まで許可するのかを決める。この一手間で、あとから運用ルールを作り直す必要がなくなります。malnaでは、クライアントアカウントに対しては原則として取得と分析までに範囲を絞り、配信設定の変更は人の操作として残しています。
参考:Introducing Meta Ads AI Connectors(Meta for Business)
広告レポート自動化を設計する|3媒体を1つにまとめて定期実行する
広告レポートの自動化とは、データの取得・集計・所見の作成・共有という4つの工程を、決まった時刻に人手を介さず走らせる仕組みのことです。媒体ごとに接続経路が違っても、出口を1つのレポートに揃えてしまえば、確認する場所は1箇所で済みます。ここでは、LINEヤフー広告を含めた3媒体の束ね方と、定期実行の選択肢を整理します。
LINEヤフー広告(旧Yahoo!広告)はAPI経由で取り込みます
LINEヤフー広告には、Google広告やMeta広告のような公式MCPサーバーは公開されていません(2026年8月時点で公開情報からは確認できません)。そのため、LINEヤフー広告 APIを呼び出す仕組みをClaude Codeに作らせて取り込むことになります。
なお名称の扱いには注意が必要です。2026年4月1日に「Yahoo!広告 検索広告」は「LINEヤフー広告 検索広告」へ、「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」とLINE広告は統合されて「LINEヤフー広告 ディスプレイ広告」へと変わりました。社内のスキルやCLAUDE.mdにYSA・YDAといった旧略称が残っていると、レポートの見出しが古い名称のまま出力され続けます。自動化の仕組みを作るタイミングで表記も揃えておくことをおすすめします。
参考:LINEヤフー広告 検索広告(LINEヤフー for Business)
参考:サービス名称変更のお知らせ(LINEヤフー for Business)
参考:LINEヤフー広告 API Developer Center
定期実行には3つの選択肢があります
「毎朝9時にレポートを出す」を実現する方法は、Claude Code側に3種類用意されています。公式ドキュメントの比較表をもとに、広告レポートの用途で押さえるべき違いをまとめます。
| 方式 | 実行場所 | PCの電源 | ローカルファイル | 最短間隔 |
| Routines(クラウド) | Anthropic管理のクラウド | 不要 | 使えない(リポジトリを複製して実行) | 1時間 |
| デスクトップの定期実行タスク | 自分のPC | 必要(アプリ起動中・スリープ不可) | 使える | 1分 |
| /loop | 自分のPC | 必要(セッションを開いたまま) | 使える | 1分 |
広告レポートの自動化では、手元のCSVや認証情報を使う前提ならデスクトップの定期実行タスク、PCの状態に左右されず確実に回したいならRoutines、という選び分けになります。Routinesは執筆時点でリサーチプレビュー段階であり、仕様や上限が変わる可能性は織り込んでおく必要があります。デスクトップ側はPCがスリープしていると実行が飛ばされるため、朝一番に届いてほしいレポートでは注意が必要です。
参考:Automate work with routines(Anthropic公式ドキュメント)
参考:Schedule recurring tasks in Claude Code Desktop(Anthropic公式ドキュメント)
無人化してよい範囲と、人が見る範囲を分けます
レポート自動化で失敗しやすいのは、無人化の範囲を広げすぎることです。取得と集計は無人でよくても、所見と意思決定まで無人にすると、誤った前提のレポートがそのままクライアントに渡ります。
| 工程 | 無人化の可否 | 理由 |
| データ取得 | 無人でよい | 手順が固定されており、成否も機械的に判定できる |
| 集計・前期比較 | 無人でよい | 計算ルールを明文化できる |
| 異常値の検出 | 無人でよい | しきい値を事前に決められる |
| 原因の断定 | 人が確認する | 外部要因や案件固有の事情が絡む |
| クライアントへの提出 | 人が確認する | 数値の解釈と表現に責任が伴う |
malnaでは、Slackに投稿されたレポートを運用担当者が朝に確認し、原因の推定が妥当かどうかだけを判断する形にしています。自動化の目的は「人が確認しなくてよくすること」ではなく、「人が確認すべき箇所を絞ること」です。
導入のハードルは?——プログラミング経験がなくても大丈夫な理由
「便利そうだけど、うちにはエンジニアがいないし……」と感じた方もいるかもしれません。プログラミングの経験がなくても導入は可能です。その理由は、Claude Code自身が「プログラムを書ける」からです。
例えば、「Google広告のキャンペーン別レポートを取得する仕組みを作って」と日本語で伝えると、Claude Codeが必要なプログラムを自分で作成し、動作確認まで行ってくれます。人間がコードを書く必要はありません。ただし、いくつかの準備は必要です。
最低限必要な準備
準備は大きく4つです。難しいのは技術そのものではなく、権限まわりの手続きと、自社の判断基準を言葉にする作業になります。前者は媒体ごとの手順に従えば進みますが、後者は自社で決めるしかないため、ここに時間を配分しておくと立ち上がりが早くなります。
| 必要なこと | 内容 | 難易度 |
| Claude Codeのインストール | 公式サイトの手順に沿って導入(ターミナル・IDE拡張・デスクトップアプリ・ブラウザから選ぶ) | 低(手順通りでOK) |
| 広告媒体との接続 | Google広告は公式MCPサーバー、Meta広告はAds MCPサーバー、LINEヤフー広告はAPIを利用 | 中(媒体ごとに手順が異なる) |
| 分析ルールの言語化 | 「CPAの目標値」「悪化の判断基準」をCLAUDE.mdに書く | 低(普段の判断基準をそのまま書くだけ) |
| SlackやSheetsとの接続設定 | MCPで接続先を登録する | 中(初回のみ) |
以前は「広告媒体のAPI認証情報の取得」が最も手間のかかる工程でした。現在はGoogle広告・Meta広告ともに公式のMCPサーバーが用意され、特にMeta広告は開発者アカウントの申請が不要になっています。一方でLINEヤフー広告のようにAPI利用の申請が必要な媒体は残るため、接続の準備は媒体ごとに難易度が違うと考えておくのが実態に近いです。
分析基盤の作り込みは別記事にまとめています
環境構築やスキルの書き方、複数ツールをつないだ分析基盤の設計まで踏み込むと、それだけで1本の手順書になります。この記事は広告運用の実務に絞っているため、基盤づくりの詳細は別記事に譲ります。
関連記事:Claude CodeでSEO分析基盤をゼロから構築する全手順【実務者向け】
広告の成果とサイト内の行動を突き合わせるとき、媒体側とGA4で数字が合わない理由を先に把握しておくと、レポートの説明が楽になるはずです。
関連記事:Claude CodeでGA4分析|公式MCPの接続手順と数字がずれる6つの原因
Claude Codeがどこまでデータを扱えて、何が苦手なのかを先に知っておきたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:Claude Codeでデータ分析|何ができて何が苦手か
導入時のよくある疑問と注意点
「AIに広告運用を任せて大丈夫?」「コストはどれくらい?」導入を検討する際に多くの方が気になるポイントをまとめました。実際にクライアント案件で運用してきた経験と、公式ドキュメントで確認できる事実をもとにお答えします。
Q. 分析の精度は信頼できる?
Claude Codeの分析は、事前に登録したルール(チェック基準)に基づいて実行されます。人間が「何を見るべきか」を決め、Claude Codeが「漏れなく素早く見る」という役割分担です。
AIが勝手に判断して広告を止めることはありません。Google広告の公式MCPサーバーはそもそも読み取り専用で、入札変更やキャンペーンの停止ができない仕様です。Meta広告のAds MCPサーバーは作成・編集も可能なため、権限の設計で範囲を絞ります。最終的な判断はあくまで運用者が行い、Claude Codeは判断材料の整理と提示を担います。
Q. コストはどのくらいかかる?
料金の考え方は2通りあります。Claudeのサブスクリプションで使う方法と、APIの従量課金で使う方法です。公式の料金ページでは、Free・Pro・Max・Team・EnterpriseのすべてにClaude Codeが含まれると案内されています。
| 使い方 | 料金 | 補足 |
| Proプラン | 月額$17(年払い)/$20(月払い) | Claude Codeを含む |
| Maxプラン | 月額$100から | Claude Codeを含む |
| Teamプラン | 1席あたり月額$20(年払い)/$25(月払い) | Claude Codeを含む |
| API従量課金 | モデルごとのトークン単価 | 例:Claude Sonnet 5は入力$2/出力$10(100万トークンあたり) |
サブスクリプションなら定額に収まるため、費用の見通しは立てやすくなります。API従量課金は扱うデータ量によって変動します。malnaの運用では、広告データの分析1回あたり数百円〜1,000円程度、毎日実行しても月額1〜2万円程度で収まるケースが多い、というのが実測の目安です(データ量や案件数で変わるため、自社で数回試して実測することをおすすめします)。いずれにしても、レポート作成に費やしていた人件費と比べれば合理的な水準です。
参考:Claude Pricing(Anthropic公式)
参考:Pricing(Claude Platform公式ドキュメント)
Q. セキュリティ面は大丈夫?
「ローカルで動くから外部にデータが出ない」という理解は正確ではありません。公式ドキュメントには「Claude Code runs locally. To interact with the LLM, Claude Code sends data over the network. This data includes all user prompts and model outputs, encrypted in transit via TLS 1.2+.」と記載されています。処理そのものは手元のPCで動きますが、やり取りする内容はモデル提供元へ送信されます。
クライアントの広告データを扱う場合、押さえるべきポイントは次の3点です。
| 確認項目 | 内容 |
| 学習への利用 | Team・Enterprise・APIなどの商用契約では、送信されたコードやプロンプトを生成モデルの学習に利用しないと明記されています。Free・Pro・Maxの個人向けプランは設定次第で学習に使われます |
| データ保持期間 | 商用契約は標準で30日間です。要件を満たす組織向けにゼロデータ保持(Zero Data Retention)の選択肢があります |
| ローカルの保存 | セッションの記録は既定で30日間、ローカルのプロジェクトフォルダに平文で保存されます。保持期間は設定で変更できます |
クライアント案件で使う場合は、個人向けプランではなく商用契約(Team・Enterprise・API)を選ぶのが前提になります。加えて、広告媒体への接続に使うキー情報の管理方法もあわせて決めておく必要があります。
参考:Data usage(Anthropic公式ドキュメント)
Q. 途中でルールを変えたくなったら?
いつでも変更できます。ルールブックはただのテキストファイルなので、「CPAの目標値を¥15,000から¥12,000に変更」のように書き換えるだけです。次回の分析からすぐに反映されます。
ただし、CLAUDE.mdは長くなるほど守られにくくなります。公式ドキュメントでは1ファイル200行以内を目安とし、手順が長くなったものはスキルに切り出すことが推奨されています。媒体ごとの細かい基準は、CLAUDE.mdではなくスキル側に持たせるほうが管理しやすくなります。
Q. 広告の入稿や停止まで任せられますか?
媒体によって可否が分かれます。Google広告の公式MCPサーバーは読み取り専用のため、入稿も停止もできません。Meta広告のAds MCPサーバーは広告・広告セット・キャンペーンの作成と編集に対応しているため、技術的には可能です。
とはいえ、可能であることと任せてよいことは別です。予算や配信状態に触れる操作は、実行前に人が差分を確認する運用にするか、そもそも権限を与えない設計にすることをおすすめします。分析と提案までを自動化し、実行は人が行う。この線引きが、現時点では最も事故が起きにくい形だと考えています。
まとめ—広告運用者の「分析作業の時間」を「施策実行の時間」に変える
広告運用において、データ集計や定型的な分析に時間を取られるのは、もったいないことです。Claude Codeを活用すれば、複数媒体のデータ取得から分析、改善施策の提案、チームへの共有までを自動化できます。Google広告とMeta広告はそれぞれ公式のMCPサーバーが公開されており、以前より接続の負担は下がっています。
特に以下のような課題を感じている方には、導入の価値が大きいと考えています。
- 複数の広告媒体を運用しており、データ集計に毎回時間がかかる
- 改善施策の洗い出しが担当者に属人化している
- レポート作成が定型業務化しているが、なかなか効率化できない
- AIに興味はあるが、プログラミングの知識がなく踏み出せない
もちろん、Claude Codeは万能ではありません。オークション分析のようにAPIで取得できないデータは手で用意する必要がありますし、クリエイティブの方向性を決める、新しい訴求軸を考える、クライアントとの合意形成を図る——こうした「人間にしかできない仕事」は変わらず残ります。
大切なのは、AIに任せられる作業はAIに任せ、人間は戦略的な判断に集中することです。Claude Codeは、その第一歩として実用的なツールだといえます。
malnaでは、AI × マーケティングの実践ノウハウを活かし、広告運用の改善から戦略設計まで一貫してご支援しています。「自社の広告運用にAIを導入したい」「Claude Codeの活用について相談したい」という方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
AIを使える人材が社内にいない場合
「仕組みの価値はわかった。でも、これを立ち上げる人が社内にいない」
こう感じた方もいるかもしれません。プログラミングは不要とはいえ、最初の設定と分析ルールの言語化を担う人がひとりいるかどうかで、着手できるかが変わります。当社では、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。
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