2026.06.03
Slackでタスク管理を自動化した話 ― Claude Codeで社内Botを作るまで
目次

「あのタスク、どうなった?」
これが一番コストのかかる質問だと気づいたのは、チームが10人を超えてからでした。誰かが誰かに聞く。聞かれた人が確認する。確認した人が答える。1回あたり数分でも、1日に何度も繰り返されると、チーム全体の集中力がじわじわと削られていきます。
しかも厄介なのは、その質問をした時点で「管理できていない」という事実が露呈することです。マネージャーとして、それが一番しんどかった。
そこで当社が選んだ答えは、タスク管理ツールを乗り換えることでも、運用ルールを厳しくすることでもありませんでした。Slackの中に、タスクを自動で管理してくれるBotを作ることでした。
1. よくある「Slackでタスク管理」の限界
「Slackでタスク管理する方法」を調べると、だいたい同じ答えが返ってきます。
Slack単体であればリマインダー機能・スター機能・タスクチャンネルの活用。外部連携であればAsanaやTrello、Notionなどのプロジェクト管理ツールと連携して、Slackに通知を流す運用です。
当社も一通り試しました。正直に言うと、どれも「うまく機能した」とは言えませんでした。
Slack単体の運用は、誰がどのタスクを持っているのかが見えません。リマインダーは個人の管理ツールであって、チームで共有するには向いていないのです。
外部ツールとの連携は機能が豊富ですが、「Slackで話したことを別ツールに手で登録する」という手間が必ず発生します。その一手間が、想像以上に大きな壁でした。
2. 本当の問題は「ツールが増えること」だった
ある日、当社のSlackにこんなメッセージが流れていました。
「この件、タスクに入れておいてもらえますか?」
入れる先はNotion。ところが確認してみると、そのタスクが登録されていない。担当者に聞くと「後でやろうと思ってたんですが、忘れてました」。
これは個人の問題ではありません。「登録するひと手間」が発生している時点で、構造的に漏れが起きやすい仕組みになっているということです。
ツールを乗り換えても同じ問題が起きます。Slack→Asanaでも、Slack→Notionでも、「Slackの外に出てタスクを登録する」という動作が必要である限り、話の流れの中で生まれたタスクは取りこぼされ続けます。
チームが増えれば増えるほど、この問題は深刻になりました。3人なら感覚でカバーできていた管理が、10人になると完全に破綻しました。「誰が何を持っているのか」を把握するために、マネージャーが朝夕に声がけする運用が当たり前になっていたのです。
それは管理しているのではなく、管理のためだけに時間を使っているということでした。
3. だから、Slackの中にBotを作った
発想の転換
「もっといいツールを探す」という発想をやめたとき、答えが見えてきました。
問題はツールの良し悪しではなく、「Slackの外に出なければならない」という構造そのものでした。であれば、Slackの中にタスク管理の仕組みを持ち込めばいい。
外部ツールと連携するのではなく、Slack自体をタスク管理ツールにする。これが「やりきり先輩」を作ることにした理由です。
Claude Codeでゼロから構築した
当社にはエンジニアが専任でいるわけではありません。それでも、Claude Codeというツールを使うことで、Slack Botをゼロから作れました。
Claude Codeはターミナルで動くAIのコーディングツールです。「絵文字でリアクションしたらタスクが登録される仕組みがほしい」「コマンド一発で自分のタスク一覧が見たい」という要件を日本語で伝えながら、コードの設計と実装を一緒に進められます。
実際に作ってみると、壁はいくつかありました。Slack APIには「モーダルを開くためのトリガーIDが3秒で失効する」という制約があり、タイミングの設計を間違えると何も起きないまま終わります。こういう細かい仕様上の制約を、試行錯誤しながら対処していくのが一番時間がかかりました。
それでも、集中して取り組んだ時間で換算するとおよそ1週間でプロトタイプが動き始めました。コードを書くスキルがなくても、「何を作りたいか」が明確であれば、今の時代は実現できます。
名前は「やりきり先輩」。タスクをやりきることを応援してくれる、頼れる先輩のイメージです。
4. やりきり先輩でできること
絵文字を押すだけでタスクが生まれる
Slackのメッセージに特定の絵文字でリアクションをつけると、そのメッセージ内容がそのままタスクとして登録されます。
会話の流れの中で「これ、対応しなきゃ」と思ったとき、ツールを開かずにその場でリアクションをつけるだけで済みます。Slackから離れる必要がないため、会話の文脈が途切れません。
そしてこれが重要なのですが、「このメッセージから生まれたタスク」という文脈がそのまま残ります。後から「なぜこのタスクが発生したのか」を確認したいとき、元の会話に戻れます。
/yarikiri で今日やるべきことが一目でわかる
/yarikiri とSlackに打つと、自分が担当しているタスクが一覧で表示されます。
表示される順番は優先度順です。期限を超えているもの、今日中のもの、今週中のもの、という形で並んでいるので、「今日何から手をつければいいか」を考える手間がなくなります。
/yarikiri all と打てばチーム全体のタスクが見渡せます。マネージャーが朝の確認に使うのに向いています。
ボタン操作でタスクを完結させる
タスクの担当者変更、期限の更新、ステータスの変更、完了報告——これらをすべてSlack上のボタン操作で完結できます。ブラウザで別のアプリを開く必要はありません。
「完了しました」と報告するのも、ボタンを1回押すだけです。
期限が近くなると自動でリマインドが来る
締め切りが迫ったタスクは、担当者にSlack DMで自動的に通知が届きます。
マネージャーが「あれどうなった?」と声がけしなくても、メンバーが自分で期限を認識して動ける状態になります。
5. 使い始めてから変わったこと

正直に言うと、劇的な変化を期待していたわけではありませんでした。それでも、使い始めてから確実に変わったことがあります。
一つは、「確認のためのSlack」が減ったことです。
以前は進捗確認のメッセージを送ることが、マネージャーの日課になっていました。それが自分の仕事だと思っていたのですが、振り返るとそれは管理コストを全員で分担していただけでした。/yarikiri all で状況が見渡せるようになってから、「声がけ」が仕事ではなくなりました。
もう一つは、タスクが「発生した文脈」とともに残るようになったことです。
以前は別ツールに登録されたタスクを見ても、「これはなんのためのタスクだっけ」と思うことがありました。Slackのメッセージから直接タスクが生まれる今の仕組みでは、そのタスクがどの会話から来たのかがわかります。背景を理解した上で動けるのは、思っていたより大きな違いでした。
6. 自社にも欲しいという方へ
「うちにも同じ仕組みがあったら」と感じていただけたなら、その感覚は正しいと思います。
ただ、当社が「やりきり先輩」を作るのに使ったのは、外注費でも大きな開発リソースでもありません。Claude Codeを使い、自分たちの業務フローに合わせながら、自分たちで作りました。
このアプローチ——「市販ツールに業務を合わせるのではなく、業務に合ったツールを自分たちで作る」——は、AI活用の本質だと当社は考えています。
当社では、Slack Botに限らず「自社の業務に合った自動化の仕組みを作りたい」というご相談をお受けしています。「こういうことができたらいい」という段階からお声がけいただき、業務フローの整理から設計・実装まで一緒に取り組んでいます。
まずは当社サイトのお問い合わせフォームから、気軽にご連絡ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「タスク管理に時間をかけない」ための仕組みが、少しでも参考になれば幸いです。
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