2025.12.29

不動産賃貸仲介の集客方法7選|予算別(月30万〜1億円超)の施策配分と運用の考え方【2026年版】

不動産賃貸仲介の集客について、「何をやるか」ではなく「どう設計するか」で悩んでいる経営者・責任者の方は少なくありません。

反響は取れているが成約が伸びない。広告費は増えているが利益が残らない。施策が増え、現場の運用が追いつかない。次にどこにマーケティング費を投資すべきか判断できない。

こうした状態に陥る原因の多くは、施策の不足ではなく、予算規模に対して集客の設計が合っていないことにあります。

本記事では、不動産賃貸仲介の集客を、予算別(月30万円〜1億円超)にどう設計し、何を判断軸にすべきかに焦点を当てています。

「今の集客が適切かどうか判断できない」
「次にどこに投資すべきか整理したい」

そう感じている方にとって、本記事が判断の補助線になれば幸いです。

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【脱・ポータル依存】不動産集客の本質は「選ばれる理由」9割|反響減・広告費高騰に勝つ戦略マップ

目次

0. まず前提:賃貸仲介の「集客」を数字で捉える

施策を比較する前に、賃貸仲介では最低限この3つを揃えないと、意思決定がブレます。

0-1. まず“反響単価(CPA)”のレンジを置く

賃貸仲介のCPAは、エリア・物件帯・媒体で大きく振れます。目安としては、

  • CPA(反響1件あたり):1.5万〜4万円
  • 来店率(反響→来店):20〜40%
  • 成約率(来店→成約):25〜45%
  • 成約率(反響→成約):概ね5〜15%(運用で大きく差が出る)

この前提だと、広告費だけで見た1成約あたりの広告費はざっくりこうなります。

「月数万円で十分」という表現が危険なのは、この構造と矛盾するからです。

0-2. “運用コスト”をゼロ扱いしない

MEO、LINE、SNS、SEOは「広告費が安い/無料」と言われがちですが、賃貸仲介では運用が弱いと成約率が落ち、結果としてCPAが上がることが多いです。

本記事では費用感を次の2つで整理します。

  • 広告費(媒体に払う費用)
  • 運用コスト(人件費・外注費・制作費)

両方を含めた「現実的な投資額」で比較します。

0-3. 施策の役割を分ける(集客=反響だけではない)

賃貸仲介では、施策の役割は大きく3つに分かれます。

  • 反響獲得(数を作る):ポータル、広告
  • 来店・成約率を上げる(取り切る):LINE、追客設計
  • 中長期の反響資産(広告費を下げる):MEO、SEO、コンテンツ

この役割分担がないと、「SNS頑張ってるのに反響が増えない」など、ズレた期待が生まれます。

1. 不動産賃貸仲介の集客方法7選【比較表】

賃貸仲介でよく使われる施策を7つに整理します。
費用感は“広告費+運用コスト”の合算目安です。
(小規模〜中規模の賃貸仲介を想定。都心・激戦区は上振れします)

2. 集客方法①:ポータルサイト(SUUMO/HOME’S等)

優先度:★★★★☆(外せないが、依存は危険)

賃貸仲介においてポータルは、今も反響の柱です。やる/やらないではなく、「どう使うか」の話になります。

メリット

  • 顕在層が多く、短期で反響が出やすい
  • 新規エリアでも立ち上げが早い
  • 数字管理がしやすい(反響数・CPAが見えやすい)

デメリット

  • 掲載費・オプションの上昇で、CPAが悪化しやすい
  • 物件横並びで、価格・初期費用競争に寄りやすい
  • “掲載して終わり”だと、反響の質が落ちる

費用感(月)

  • 掲載費+オプション:15万〜70万円(店舗数・エリアで変動)
  • 運用(写真・原稿・即レス体制):5万〜10万円相当
    → 合算 20万〜80万円 が現実ライン

賃貸仲介での実務ポイント

  • 「全物件掲載」から脱却(反響を取りたい物件に寄せる)
  • 写真・コメントは「スペック説明」ではなく「生活解像度」を上げる
  • 初回返信は“テンプレ”ではなく、次アクションを固定(内見候補日時/必要書類/初期費用概算)

このように、ポータルサイトは集客として今も反響の柱ですが、コスト高騰や価格競争を勝ち抜くには、自社の専門性を打ち出し「指名」を生む仕組み作りが欠かせません。

独自の強みをどう可視化し、顧客の信頼を勝ち取るか。その成功事例として、株式会社ファミリーアセットコンサルティングが運営する「アパート投資専門サイト」が参考になりますので、ぜひ参考にしてください。

参考:アパート投資専門サイト

3. 集客方法②:MEO(Googleマップ)

優先度:★★★★★(賃貸仲介で最優先クラス)

賃貸仲介でMEOが強い理由は明確です。ユーザーが「近くの不動産屋」「〇〇駅 不動産」で探す時点で、来店意欲が高いからです。MEOは広告よりも、地域で“選ばれる入口”になります。

メリット

  • うまく回るとCPAが安定しやすい
  • 口コミ・写真が資産になり、広告費の上昇耐性がつく
  • 来店前提のユーザーが多い

デメリット

  • 立ち上がりに時間がかかる(即日改善は難しい)
  • 口コミ対応・投稿など、運用が必要
  • スタッフ運用が弱いと放置になりやすい

費用感(月)

  • 運用(投稿・写真・口コミ導線整備):5万〜10万円相当
  • 外部支援を入れる場合:5万〜15万円
    → 5万〜15万円が現実的

具体事例(URL)

goodroom(グッドルーム)
(写真・体験価値の見せ方が上手く、比較検討の段階で選ばれやすい設計)

4. 集客方法③:LINE公式アカウント/拡張(Lステップ等)

優先度:★★★★★(成約率を作る“主戦場”)

賃貸仲介の集客は、反響を増やすだけでは安定しません。現場が詰まると成約率が落ち、結果としてCPAが悪化します。そこで効くのが、LINEを中心にした“追客・来店設計”です。
https://www.lycbiz.com/jp/login/

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メリット

  • 返信速度が上がり、取りこぼしが減る
  • 来店前の不安(初期費用・審査・必要書類)を潰せる
  • スタッフ間の対応品質が揃いやすい(テンプレ・タグ管理)

デメリット

  • 設計が甘いと「ただの配信ツール」になり、ブロックされる
  • 運用が属人化すると、成約率にムラが出る
  • “導入しただけ”では効果が出ない

費用感(月)

  • 運用設計・テンプレ整備・タグ設計・リッチメニュー:5万〜15万円相当
  • Lステップ等の拡張+設計:10万〜20万円相当
    → 5万〜20万円が現実ライン

賃貸仲介で効く運用の型(例)

  • 友だち追加直後:条件ヒアリング(エリア/家賃/入居時期/こだわり)
  • 24時間以内:候補物件3つ+内見候補日時提示
  • 審査不安が強い層:必要書類・初期費用・審査目安を先出し
  • 来店前日:リマインド+集合場所+所要時間
  • 来店後:比較ポイント整理(メリデメ)+次の一手を提示

LINEは「集客」そのものというより、集客した反響を“成約に変える装置”として捉えるのが正解です。

5. 集客方法④:自社サイトSEO(賃貸仲介)

優先度:★★★☆☆(中長期で広告費を下げる投資)

賃貸仲介のSEOは、ポータルを置き換えるものではありません。目的は、広告費の上昇に耐える反響資産を作ることです。

メリット

  • 広告費に依存しない反響が積み上がる
  • 指名検索・相談につながりやすい
  • エリア特化が効く(地域情報・生活情報)

デメリット

  • 効果が出るまで時間がかかる
  • 継続できないと意味がない
  • “物件情報の焼き直し”では勝てない

費用感(月)

  • 記事制作(企画・構成・編集・校正・入稿):10万〜30万円
  • 内部対策・導線改善:5万〜10万円
    → 10万〜35万円が現実的

具体事例(URL)

I’s room(アイズルーム)

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6. 集客方法⑤:Instagram(+ショート動画)

優先度:★★★☆☆(“比較の最終局面”で効く)

賃貸ユーザーは、ポータルで物件を見た後に「会社の雰囲気」を確認しにきます。Instagramの役割は、反響獲得よりも不安解消・比較対策です。ショート動画はそのまま別プラットフォームへの転用も可能です。

メリット

  • 若年層(単身・カップル)に刺さりやすい
  • “人”の温度感が伝わり、問い合わせの心理障壁が下がる
  • リールで疑似内見ができる

デメリット

  • 直接反響のCPAで測りづらい
  • 継続できないと積み上がらない
  • 投稿品質が低いと逆効果(安っぽく見える)

費用感(月)

・企画・撮影・編集・投稿運用:10万〜30万円

具体事例(URL)

goodroom


mitaina

集客方法⑥:リスティング広告(検索連動型)

優先度:★★☆☆☆(一般ワード)/★★★★☆(指名検索)

リスティング広告は、賃貸仲介において「全力で拡張する施策」ではありません。
一方で、使いどころを間違えなければ、必須になるケースもあります。

ここで重要なのは、
「何のキーワードを狙うリスティングか」を分けて考えることです。

指名検索リスティング(自社名・店舗名)

優先度:★★★★☆(防衛目的として必須級)

自社名や店舗名で検索されたユーザーを、確実に取り切るためのリスティングです。

エリアによっては、

  • ポータル
  • 競合他社
  • 比較サイト

が指名検索枠に広告を出してくるケースもあり、
対策していないと、自社を探しているユーザーを他社に流すことになります。

この用途のリスティングは、

  • CPAが比較的安定しやすい
  • 成約率が高い
  • 費用対効果が読みやすい

という特徴があり、
防衛コストとして前提に置くべき施策です。

一般ワードリスティング(例:賃貸 〇〇駅)

優先度:★★☆☆☆(条件付き)

「賃貸 〇〇駅」「〇〇区 賃貸」などの一般ワードは、
競合が多く、クリック単価が上がりやすいため、
多くのエリアでCPAが悪化しやすい傾向があります。

このため、

  • 指名検索の取りこぼし防止
  • 繁忙期の短期的な反響補完
  • 地域×条件など、ニッチに絞った検証

といった限定的な使い方が前提になります。

費用感(月)

区分 月額目安
指名検索リスティング 5万〜15万円
一般ワードリスティング 15万〜60万円
運用費 5万〜10万円
合計 20万〜70万円

設計上の注意点

  • 指名検索は「やる/やらない」ではなく前提として組み込む
  • 一般ワードは、CPAと成約率を見ながら短期検証で使う
  • 反響数だけで判断せず、来店率・成約率まで必ず分解する

リスティング広告は、
「集客の主軸」ではなく、他施策を補完する調整弁として位置づけるのが現実的です。

8. 集客方法⑦:チラシ・看板(オフライン)

優先度:★★☆☆☆(局所的に効く)

オンラインが強い時代でも、地域と客層によってはオフラインが刺さります。ただし「なんとなく撒く」は効きません。

使いどころ

  • ファミリー・地場層が多いエリア
  • 店舗前の認知が弱い場合
  • LINE追加(QR)に目的を絞る場合

費用感(月)

・デザイン・印刷・配布:10万〜40万円

https://raksul.com

9. 予算別に見る不動産賃貸仲介の集客設計例

ここからは、不動産賃貸仲介の集客を
予算規模ごとにどのように設計すべきかを整理します。

同じ集客施策でも、
月30万円と月1億円以上では、
役割、KPI、運用粒度はまったく異なります。

9-1. 小規模予算帯(月30万〜100万円)

この予算帯では、反響数を増やすことよりも、既存反響を安定して取り切る設計が重要になります。

9-1-1. 月30万円規模の集客設計

想定される状況

  • 少人数運用(1〜3名)
  • 反響数より、取りこぼしの方が課題になりやすい
  • 初動対応の遅れが成約率に直結する

このレンジでは、
反響数を増やすよりも、既存反響を安定して取り切る設計が優先されます。

設計のポイント

  • 初回返信を10分以内に固定できるか
  • 来店前に初期費用、審査、必要書類を整理できているか
  • 口コミ依頼が属人化していないか

この規模で施策を増やすと、運用が崩れやすくなります。

9-1-2. 月50万円規模の集客設計

想定される状況

  • ポータル反響は一定数ある
  • 競合が多く、CPAが上がりやすい
  • 成約率の安定が課題

設計のポイント

  • LINEでの追客内容をテンプレ化できているか
  • MEOの口コミ数と返信品質が担保されているか
  • Instagramを反響獲得ではなく比較対策として使っているか

このレンジでは、
反響数よりも「反響→成約」の安定が成果を左右します。

9-1-3. 月100万円規模の集客設計

想定される状況

  • 反響数を複線化したい
  • ポータル依存度を下げたい
  • 運用を属人化させず回したい

設計のポイント

  • LINEを単なる連絡手段で終わらせていないか
  • SEOを記事数ではなく導線で設計しているか
  • MEOの運用がルーティン化されているか

この規模になると、施策間の役割分担が曖昧だと成果が伸びません。

9-2. 大規模予算帯(月1,000万円以上)

この予算帯では、集客は単体施策の積み上げではなく、運用設計と意思決定の精度が成果を左右します。

9-2-1. 月1,000万円〜1億円の集客設計

このレンジでは、集客は単発施策の積み上げではなく、月次・四半期単位での投資判断と運用精度が成果を左右します。

施策自体はすでに一通り導入済みであることが多く、差が出るのは次の点です。

  • どの粒度で数値を把握しているか
  • どの単位で意思決定しているか
  • 運用ルールがどこまで揃っているか

想定される企業像

  • 複数店舗(5〜30店舗)
  • 月間反響数300〜2,000件
  • 広告費がPL上の主要コスト

参考:月1,000万円〜1億円規模で見られる集客設計の実例(企業例)

この予算帯では、「どの施策をやるか」よりも
集客全体をどう構造として設計しているかが成果を分けます。

実際に、以下のような企業は
集客を単発施策ではなく、事業運営の一部として組み込んでいます。

アパマンショップ(全国展開・賃貸仲介)

出典:アパマンショップ

全国規模でポータル・広告を使いながらも、
反響対応・来店導線・成約率を前提にした運用設計がされています。

  • ポータルは「反響の柱」として明確に位置付け
  • LINE等の接点で来店前の情報整理を行う
  • 店舗や担当者ごとの数値差を前提に管理指標を設計
    → 広告費を増やす前に、オペレーションの再現性を担保している点が参考になります。

goodroom(リノベーション賃貸特化)

出典:goodroom

goodroomは、MEO・自社サイト・SNSを
「比較検討フェーズの入口」として一貫して設計しています。

  • Googleマップ上の写真・情報量が非常に整理されている
  • 物件スペックではなく「暮らしの体験」を前面に出す
  • 問い合わせ前に信頼を作る設計

→ 集客を「数を取る施策」ではなく、
選ばれる前提条件を作る投資として扱っている好例です。

UR賃貸住宅(大規模事業体)

出典:UR賃貸住宅

URは広告色を強く出さず、SEO・コンテンツ・情報設計によって検討層を集めています。

  • 住まいに関する判断材料を丁寧に提供
  • 問い合わせ前の自己選別を促す構造
  • 結果として、無駄な反響を増やさない

→ この規模になると、
集客=反響最大化ではないという考え方が明確に表れています。

 

月次で把握しておきたい指標

  • 媒体別CPA
  • 店舗別 反響→来店率
  • 店舗別 来店→成約率
  • 担当者別 初回対応時間
  • 1成約あたりの広告費
  • LTV(管理、更新、紹介含む)

この規模では、
運用ルールのばらつきが、そのままCPAのばらつきになります。

参考:月1億円以上の予算帯で前提とされている集客構造(企業例)

月間1億円以上の予算帯では、
集客は「強い担当者」や「一部の施策」に依存しません。

この考え方は、不動産業界に限らず、
事業スケールを前提とする企業に共通しています。

SUUMO(リクルート)

出典:SUUMO

SUUMOは、広告・SEO・データを
完全に分業・統合した構造で運用しています。

  • 流入経路ごとに役割が明確
  • 施策単位ではなく、事業貢献度で評価
  • 短期CPAと中長期LTVを分けて管理

→ 集客が「施策」ではなく、事業インフラとして扱われている代表例です。

HOME’S(LIFULL)

出典:HOME’S

HOME’Sも同様に、単一チャネルへの依存を避け、全体最適で設計されています。

  • 検索、広告、コンテンツの役割分担が明確
  • ユーザー行動データを前提に改善を回す
  • KPIは反響数ではなく、質と継続性

→ 月1億円以上の集客では、「取れたかどうか」より「どう回収するか」が重要になります。

他業界の参考例(構造の話として)

他業界ですが、これらの企業も、集客を個別施策の集合ではなく、需要・供給・オペレーションをつなぐ構造として設計しています。
→ 月1億円超の集客では、業界固有ノウハウより、構造設計の精度が差になることを示しています。

9-2-2. 月1億円以上の集客設計

このレンジでは、集客は事業運営を支える仕組みとして設計されます。

論点は明確です。

  • 店舗数が増えてもCPAを維持できるか
  • 人員の入れ替わりがあっても成約率が落ちないか
  • エリアが広がっても投資効率を比較できるか

想定される企業像

  • 全国/広域展開
  • 月間反響数2,000件以上
  • 広告費を投資として管理

この規模では、
初動対応や追客品質のわずかな差が、月次利益に直結します。

賃貸仲介の集客は、
「どの施策を使うか」よりも
「予算規模に合った設計になっているか」で成果が決まります。

予算が小さいほど、やらないことを決める。
予算が大きいほど、運用を揃える。

この前提を外さないことが、最も重要です。

10. どれから着手すべきか|賃貸仲介における集客施策の優先順位

賃貸仲介の集客では、「できること」より「先にやるべきこと」を誤るケースが最も多く見られます。
特に、反響数が一定以上ある会社ほど、優先順位のズレがそのままCPA悪化につながります。

ここでは、規模を問わず共通する優先順位を整理します。

集客施策の優先順位(結論)

  1. MEO(地域での入口を押さえる)
  2. LINE/CRM(反響を来店・成約につなげる)
  3. ポータル(反響の柱として回す)
  4. SEO(中長期でCPAを下げる)
  5. Instagram(比較検討時の不安解消)
  6. 広告の追加施策(条件付きでテスト)
  7. オフライン施策(エリア・客層次第)

この順番は、「重要度」ではなく「先に整えないと後が効かない順」です。

なぜこの順番になるのか

  • MEOは来店意欲の高いユーザーの入口になる
  • LINEが弱いと、反響が増えるほど成約率が落ちる
  • ポータルは今も反響の柱だが、依存度は下げたい
  • SEOやSNSは、入口と追客が整って初めて効く

逆に、この順番を無視すると、

  • 広告費だけが増える
  • 現場が詰まる
  • 成約率が落ちる
  • CPAが悪化する

という流れに入りやすくなります。

規模別に見た「着手の目安」

規模感 最優先
小〜中規模 MEO、LINE
中規模 MEO、LINE、ポータル最適化
多店舗 LINE/CRM統合、運用ルール統一
大規模 KPI設計、運用の標準化

「新しい施策をやるかどうか」よりも、
「今の施策が、設計通り機能しているか」を先に確認すべきです。

11. 失敗(心配)しやすいパターン|賃貸仲介で実際によく起きている状態

ここでは、現場で頻繁に見られる失敗パターンを整理します。
抽象論ではなく、「この状態になっていたら見直すべき」というチェック視点でまとめます。

パターン① 反響数のみをKPIにしている

最も多いケースです。

  • 反響数は前年同月比で増えている
  • 一方で成約数は横ばい、もしくは減少
  • 広告費だけが増え、利益が残らない

この状態では、
反響の増加に対して、初動対応と追客が追いついていません。

反響が増えると、次のことが起きやすくなります。

  • 初回返信が遅くなる
  • ヒアリングが浅くなる
  • 候補提示が雑になる
  • 来店前フォローが薄くなる

結果として、成約率が下がり、CPAが上がります。

危険サイン(チェック)

  • 反響数は増えているが、来店率が下がっている
  • 反響→成約率が月ごとに大きくブレる
  • 初回返信が「資料送付だけ」で終わっている
  • 広告費の増加が先行している

パターン② LINEを連絡手段としてしか使っていない

LINE公式アカウントは導入しているが、成果が出ていない会社に共通する状態です。

  • 友だち追加後の動きが決まっていない
  • 担当者ごとに対応内容が違う
  • 来店までの導線が設計されていない

この状態では、LINEはメールの代替に過ぎません。

本来、賃貸仲介におけるLINEは、

  • 条件ヒアリング
  • 物件候補の整理
  • 初期費用・審査不安の解消
  • 来店前リマインド
  • 来店後の比較整理

を、一定のルールで回すためのツールです。

危険サイン(チェック)

  • 友だち追加後、24時間以内に次の行動が決まらない
  • 返信内容が担当者依存
  • 来店前に初期費用や審査の説明がされていない
  • 来店後の追客が電話中心

パターン③ MEO・SEOを「やっている状態」で止めている

MEOやSEOは、最も放置されやすい施策です。

  • Googleビジネスプロフィールを作っただけ
  • 写真が更新されていない
  • 口コミ返信が形だけ
  • SEO記事が数本で止まっている

この状態では、反響が出ないのは当然です。

MEOやSEOは、

  • 運用を前提に
  • 半年〜1年単位で
  • CPAを下げるための投資

として設計しないと意味を持ちません。

危険サイン(チェック)

  • 口コミ依頼が仕組み化されていない
  • 口コミ返信のトーンが雑
  • 写真にスタッフや店内の情報が少ない
  • SEO記事が物件情報の焼き直し

パターン④ 月額予算に対して施策を詰め込みすぎている

特に月30万〜50万レンジで多い失敗です。

  • ポータル
  • MEO
  • SEO
  • Instagram
  • LINE
  • 広告

を、すべて少しずつやろうとする。

結果として、

  • どの施策も中途半端
  • 運用が回らない
  • 良し悪しを数字で判断できない

という状態になります。

危険サイン(チェック)

  • 施策は多いが、誰が何をやるか曖昧
  • 月次で見ている数字が反響数だけ
  • 施策ごとの役割が整理されていない

12. さいごに

ここまで、不動産賃貸仲介の集客について、
月予算30万円から1億円以上まで、予算別に設計の考え方を整理してきました。

改めて強調したいのは、
成果の差は「どの施策を使っているか」ではなく、
「その予算規模に合った設計になっているか」で決まるという点です。

実際、多くの会社が次のような状態で悩んでいます。

  • 反響は取れているが、成約が伸びない
  • 広告費は増えているが、利益が残らない
  • 施策が増え、現場が回らない
  • 次に何を判断すべきか分からない

このとき問題になるのは、
集客手法の知識不足ではありません。

多くの場合、

  • 予算に対する期待値が曖昧
  • KPIの粒度が合っていない
  • 入口と追客の設計が分断されている
  • 運用ルールが属人化している

こうした設計上のズレが、
広告費の増加や成果の不安定さにつながっています。

本記事の結論を、あらためて整理すると次の通りです。

  • 予算規模ごとに、集客の重心は変わる
  • 小さい予算ほど、やらないことを決める必要がある
  • 予算が大きくなるほど、運用を揃えることが重要になる
  • 施策を増やす前に、入口と追客の整合性を取る
  • 数値は反響数ではなく、来店率と成約率まで分解して見る

これらが整理されていない状態で、
新しい施策を足しても、成果は安定しません。

malnaの支援について

malnaでは、不動産賃貸仲介会社向けに、
集客施策そのものではなく、集客の設計と運用の整理を支援しています。

多くの場合、最初にやるべきことは、何かを始めることではなく、今の状態を整理し、判断軸を揃えることです。

malnaでは、現状の反響数・CPA・成約率をもとに、貴社に最適な集客設計を一緒に整理します。

「今の集客が適切か判断できない」

「次にどこに投資すべきか分からない」

そう感じている方は、まずは現状の課題をお聞かせください。

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執筆者情報

malnaブログ編集部

writer malnaブログ編集部 webマーケター / データアナリスト
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