2025.05.01
画像生成AIで素早く意図したものを生成する方法

画像生成AIは私たちの業務を劇的に変えつつありますが、思い通りの画像を生成するのは意外と難しいと感じていませんか?プロンプト(AIへの指示文)を入力しても、期待した結果と実際の出力にはしばしば大きな隔たりがあります。
画像生成AIの技術は日進月歩で進化しています。MidjourneyやStable Diffusion、DALL-Eといった主要なAIツールは、わずか数年の間に驚くべき進化を遂げました。かつては「AIが書いた」と一目でわかる画像が、今では人間が何時間もかけて描いたかのような精緻な作品を数秒で生み出せるようになっています。
しかし、この革命的な技術を最大限に活用できている人は、実はそれほど多くありません。多くの人が「なんとなく指示を出して、なんとなく画像を生成する」という状態から抜け出せていないのです。
本記事では、画像生成AIを「素早く」「意図した通りに」活用するための実践的な方法を解説します。プロンプト開発の基本から応用、さらにはmalnaで作成したプロンプト生成GPTsの活用法まで、段階的に理解を深めていただける内容となっています。
特に、日々の業務でコンテンツ制作に携わるクリエイターやデジタルマーケティング担当者、そしてチームを率いる管理職の方々を対象にしています。「明日からすぐに使える」実践的なテクニックと、「なぜそれが効果的なのか」という原理原則の両方を押さえることで、画像生成AIを自在に操るスキルを身につけていただけるでしょう。
目次
画像生成AIの基礎知識
画像生成AIを効果的に活用するためには、まず各ツールの特徴と違いを理解することが重要です。ここでは、主要な画像生成AIの特徴を比較しながら、それぞれの得意分野と使い分けのポイントを解説します。
主要な画像生成AIの特徴と違い
画像生成AIにはそれぞれ異なる強みや特性があり、目的や使い方に応じて最適なツールが変わってきます。
ここでは、人気の高い「Midjourney」「Stable Diffusion」「DALL-E 3」の3つを取り上げ、機能や使いやすさ、料金、適しているユーザー層などを一覧表にまとめました。
自分に合った画像生成ツールを見つけるための比較検討材料として、ぜひご活用ください。
項目 | Midjourney | Stable Diffusion | DALL-E 3 |
提供形態 | Discord上で動作 | オープンソース(ローカル実行可) | ChatGPTに統合(Web上) |
操作環境 | Discord(PC・スマホ) | PCローカル環境 or クラウド | ChatGPT / Bing などのWeb |
得意な表現 | 芸術的・美しい画像 | アニメ風・イラスト系 | 自然言語の解釈が得意、テキスト入り画像も可 |
拡張性・カスタマイズ | △(バリエーション生成あり) | ◎(LoRA、ControlNetなど豊富) | △(ほぼプロンプト依存) |
日本語対応 | ○(プロンプト次第) | ○(拡張設定次第) | ◎(自然な日本語対応) |
画像生成枚数 | 月300枚目安(基本プラン) | 無制限(PCスペック依存) | 使用上限あり(ChatGPT経由) |
料金体系 | 月額10ドル〜(追加課金あり) | 無料(高性能PCが必要)クラウド利用は月額制 | ChatGPT Plus(月額20ドル)一部無料(Bing等) |
向いているユーザー | ・短時間で高品質画像が欲しい人・美術的なビジュアル重視の職種 | ・大量生成したい人・スタイルを定義したい上級者 | ・とにかく簡単に使いたい初心者・ChatGPTユーザー |
画像生成AIの選び方と使い分け
どの画像生成AIを選ぶべきかは、目的やスキル、予算によって異なります。以下の表では、ツールごとの得意領域や向いている利用シーンを整理しています。「何を重視するか」によって選択の軸が見えてくるので、AI画像生成の導入に迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

複数のAIを組み合わせて運用する
画像生成AIは「ひとつのツールを極める」のも良いですが、実際に使いこなしている人ほど複数のAIを使い分けています。私もクライアントワークでは、場面に応じてDALL-E 3やMidjourney、Stable Diffusionなどを組み合わせて使うことがほとんどです。下記はその一例として、段階ごとのツールの使い分け方をまとめたものです。
フェーズ | 使用ツール | 目的・内容 |
① アイデア出し・初期生成 | DALL-E 3 | 手軽にコンセプトをビジュアル化。自然言語でラフを作成 |
② クオリティ向上 | Midjourney / Stable Diffusion | より美しく、リアルな表現にブラッシュアップ |
③ 細部の調整 | Stable Diffusion(img2img / inpainting) | 特定の箇所を修正・部分生成 |
④ 最終仕上げ | Photoshopなど画像編集ソフト | 解像度アップ、文字入れ、構図調整など |
このように段階的にツールを使い分けることで、それぞれのAIの長所を活かした効率的なワークフローを構築できます。特にクライアントから修正依頼がきた際、同じAIでは限界がある場合も、別のAIで生成し直すことで打開できることが多々あります。
次のセクションでは、どの画像生成AIでも共通して重要となる「プロンプトエンジニアリングの基本」について解説します。プロンプトの書き方を工夫するだけで、生成結果は劇的に向上します。
プロンプト開発の基本
画像生成AIの種類を理解したところで、次に重要なのはプロンプト開発の基本です。プロンプトとは、AIに対して「何を」「どのように」生成してほしいかを伝える指示文のことです。適切なプロンプトを書けるかどうかが、生成結果の質を大きく左右します。
プロンプトとは何か
さまざまな記事や書籍で、プロンプト開発に関する解説がされていますが、筆者が思うに、AIとコミュニケーションを取ることであり、自分の頭の中にあるイメージをAIに正確に伝えるための「翻訳作業」であると考えています。
人間同士のコミュニケーションでは、曖昧な表現でも相手が推測して理解してくれることがありますが、AIはそうはいきません。「かっこいい風景」と入力しても、「かっこいい風景」と入力しても、「かっこいい」の定義は人それぞれで、AIは自分なりの解釈で画像を生成するからです。
私が最初にMidjourneyを使った際は、なぜか毎回イメージと違う画像しか生成されませんでしたが、そこから細かい指示の仕方を学び、今では意図したものを生成するために、具体的かつ正確に指示できるようになりました。この学びから、効果的なプロンプトを書くには、以下の点を意識するようにしています。
ポイント | 内容 |
1. 具体性 | 抽象語(例:「かっこいい」)ではなく、具体的な描写(例:「夕日に照らされた近未来の高層ビル群」)を使う |
2. 構造化 | 情報を箇条書きや順序立てて整理し、AIが理解しやすい形式にする |
3. 優先順位 | 一番重視したい要素を最初に書くことで、AIの注目度を高める |
4. 文脈提供 | 画像の用途(例:SNS投稿、商品イメージ)や背景を共有することで、意図がより明確になる |
基本的なプロンプトの構造と要素
効果的なプロンプトには、以下の要素が含まれていることが理想的です。

効果的なプロンプト作成の5つの原則
ただ単にキーワードを並べるだけでは、期待とは異なる結果になることも少なくありません。ここでは、実践的かつ再現性のあるプロンプトを作るための5つの基本原則を紹介します。

1. 具体性の原則:抽象語はAIに伝わらない
プロンプトにおいてもっとも基本かつ重要なのが「具体性」です。
たとえば「きれいな風景」といった曖昧な表現は、人間には伝わってもAIには不十分です。AIは「きれい」の定義を自分で推測することはできません。
悪い例:「きれいな風景」
良い例:「雪をかぶった富士山を背景に、朝日に照らされた桜の木々と清流が流れる春の風景」
このように、目に見えるもの・光・場所・季節などを具体的に記述することで、生成される画像の精度が一気に高まります。
2. 階層性の原則:優先度の高い情報から伝える
プロンプトは単なる情報の羅列ではなく、「構造」が重要です。特に最初の数語はAIの生成判断に強く影響するため、優先順位を意識しましょう。
悪い例:「高解像度で、8Kの品質で、プロが撮影したような、青い空と、夕暮れの、海辺の灯台」
良い例:「夕暮れの海辺の灯台、青い空、プロフェッショナルな写真、高解像度、8K品質」
重要な被写体やシーンを冒頭に置くことで、AIが正しく注目すべきポイントを認識しやすくなります。
3. 明確性の原則:「なんとなく」の言葉は避ける
「良い感じ」「可愛い系」「オシャレ」などの曖昧な表現は、生成される画像の精度を下げる原因になります。具体的な人物像、構図、表情、ライティングなどを明確にしましょう。
- 悪い例:「良い感じの女性の肖像画」
良い例:「30代の女性の肖像画、自信に満ちた表情、プロフェッショナルな照明、スタジオ撮影、高コントラスト」
言葉のニュアンスをAIに任せるのではなく、自分のイメージを“翻訳”して伝える意識が大切です。
4. バランスの原則:情報量は「ちょうどよく」
プロンプトが短すぎると情報が不足し、長すぎると要点がぼやけてしまいます。最小限の言葉で、最大限の意味を伝える意識が必要です。
短すぎる例:「猫」
長すぎる例:「茶色と白のまだら模様の、長毛種の、大きな緑の目をした、右耳に小さな切れ込みがある、3歳くらいの、やや太り気味の…」
ちょうどいい例:「茶色と白のまだら模様の長毛種の猫、大きな緑の目、リビングの赤いソファで日向ぼっこしている」
「情報を削ぎ落としながら、核心を伝える」──この意識が、洗練されたプロンプトには不可欠です。
5. 反復実験の原則:一発で決めようとしない
プロンプトは、一回で完璧にする必要はありません。というよりも、最初から完璧なプロンプトは存在しないと考えた方がいいでしょう。
以下のように、生成・修正・再生成のサイクルを繰り返すことが、最終的に納得のいく画像につながります。
- 基本的なプロンプトで生成してみる
- 結果を見て評価
- 足りない要素を追加/余計な要素を削除
- 再度生成して調整
- 目的のビジュアルに近づけていく
「生成 → 修正 → 再生成」のサイクルを回すクセをつけることで、プロンプト作成力は確実に磨かれていきます。
よくある間違いと5つの改善方法
プロンプトの書き方には“正解”がある一方で、ついやってしまいがちな“間違い”も存在します。特に初心者がやりがちな落とし穴を回避することは、生成結果の品質を高める近道でもあります。
ここでは、実際によくあるミスを5つ取り上げ、それぞれに対する具体的な対処法を紹介します。「思ったような画像が出てこない」と感じたときは、まずこれらを見直してみるのがおすすめです。
1. 抽象的な表現に頼りすぎる
「美しい」「かっこいい」などの抽象語だけでは、AIは正確なイメージを理解できません。人間には伝わっても、AIにとっては解釈が分かれる言葉です。何がどう美しいのか、色・構図・雰囲気などを具体的に描写することで、より精度の高い画像が得られます。
項目 | 内容 |
間違い例 | 「美しい」「素晴らしい」「かっこいい」など、感覚的な言葉だけでAIに指示する。 |
問題点 | AIは文脈や主観を理解できず、抽象語だけでは意図が曖昧になる。 |
回避方法 | 「何がどう美しいのか?」を明確にし、色合いや構図、雰囲気を具体的に言語化する。 |
置き換えのコツ | 「美しい風景」→「朝日に照らされた桜並木と霧がかった山々の景色」 |
2. 矛盾する指示を出す
「モノクロの赤いドレス」など、物理的・論理的に矛盾する指示を出すと、AIは混乱し予期しない画像を出力することがあります。生成前に一度プロンプト全体を見直し、情報の整合性が取れているか確認する習慣をつけましょう。
項目 | 内容 |
間違い例 | 「モノクロの赤いドレス」「夜の太陽が輝く森」など、論理的に矛盾する指示。 |
問題点 | AIはすべての単語を忠実に解釈しようとするため、矛盾があると混乱し、意図と異なる画像が生成されやすくなる。 |
回避方法 | プロンプトを一度音読し、破綻や矛盾がないかチェックする。必要に応じて、要素を削除・言い換えして整合性を保つ。 |
3. 重要度を考慮しない
プロンプトの序列は、生成結果に大きく影響します。伝えたい主題よりも細部や装飾的な要素を先に書いてしまうと、AIは重要でない部分に注目してしまいます。最も表現したい要素から順に記述するのがコツです。
項目 | 内容 |
間違い例 | 補足的なディテールや装飾を先に書いてしまい、本当に描きたい主題が後ろに埋もれる。 |
問題点 | AIはプロンプトの前半に強く影響を受けるため、主題が後回しになると意図とずれた画像になる。 |
回避方法 | 「何を最も伝えたいか?」を明確にし、最も重要な要素を最初に記述。補足情報は後ろに配置することで、意図が正しく反映されやすくなる。 |
一度に多くを求めすぎる
1つのプロンプトに複数の主題や状況を詰め込みすぎると、どれも中途半端な仕上がりになる傾向があります。「これは本当に1枚の画像で表現すべき内容か?」を問い直し、テーマは可能な限り絞り込むようにしましょう。
項目 | 内容 |
間違い例 | 「公園で犬と猫と子どもが遊び、空には飛行機、奥には花火、そして全体は浮世絵風で…」など。 |
問題点 | 要素を詰め込みすぎると、AIが焦点を定められず、どれも中途半端な仕上がりになってしまう。 |
回避方法 | プロンプトごとにテーマを1つに絞る。複数要素を入れたい場合は、構図・前景/背景などを明示し、整理された指示にするのが効果的。 |
専門用語の誤用
「ボケ味」「構図」「印象派風」などの専門用語を曖昧な理解のまま使うと、意図と異なる結果になることがあります。正確な意味や用例を確認し、AIが認識しやすい形で用語を活用することが大切です。
項目 | 内容 |
間違い例 | 「ボケ味を強調して」「ルネサンス風でモダンな構成に」など、曖昧な用語の併用や意味の誤解による使用。 |
問題点 | 用語の意味を誤って使うと、AIが想定と異なる方向に解釈し、期待外れの画像が生成される可能性がある。 |
回避方法 | 使用する専門用語の定義や使用例を事前に確認する習慣をつける。特に芸術スタイルや写真技術に関する用語は慎重に選ぶことが重要。 |
これらのミスを避けるだけでも、プロンプトの精度は格段に上がります。
「なぜこの画像が出てきたのか?」を分析するクセをつけることで、プロンプト作成の技術は自然と洗練されていくはずです。
次のセクションでは、実際に使えるプロンプトのテンプレート例や、目的別の書き分け方をご紹介します。より実践的な応用に興味がある方は、そちらもチェックしてみてください。
意図した画像を素早く生成する4つのテクニック
ここからは一歩踏み込み、実際の生成効率やクオリティを大きく左右する実践的テクニックを紹介します。
プロンプトを構造的に書くだけでなく、形容詞やネガティブプロンプト、さらには参照画像まで活用することで、AIとのやりとりが格段にスムーズになります。
再現性の高いプロンプト設計を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
1. 具体的な指示の重要性:抽象から具体へ
画像生成AIは、抽象的な言葉よりも、具体的な描写や条件に対してより正確に応答します。以下は、シンプルなプロンプトと詳細なプロンプトを比較した例です。
■ 基本的な指示
プロンプト例
海辺の風景
→ AIは曖昧な「海辺の風景」を多様に解釈してしまい、期待と異なる結果が返ってくる可能性があります。
■ 具体的な指示
プロンプト例
夕暮れ時の静かな海辺の風景、オレンジ色の空、水平線に沈む太陽、砂浜に並ぶヤシの木、穏やかな波、広角レンズ構図、写実的スタイル、高解像度
→ 明確な条件を指定することで、AIが意図に近い画像を生成しやすくなります。ポイント:「いつ・どこで・どんな雰囲気で・どう写すか」まで含めることで、プロンプトの完成度が一気に上がります。
2. 修飾語と形容詞の効果的な使い方
修飾語や形容詞は、画像の雰囲気・質感・光・構図などをコントロールするための非常に強力なツールです。ここでは代表的なカテゴリごとに使える語彙を紹介します。
■ 質感を表す形容詞
- つやつやした / マット / 光沢のある
- ざらざらした / 滑らかな / 柔らかい
- 金属的な / 木製の / ガラス質の
■ 光の状態を表す形容詞
- 明るい / 暗い / 薄暗い
- キラキラした / 輝く / ぼんやりとした
- 逆光の / サイドライトの / リムライトの
■ 雰囲気を表す形容詞
- 穏やかな / 荒々しい / 神秘的な
- 活気のある / 静かな / 孤独な
- 未来的な / 古風な / エレガントな
■ 技術的な質を表す形容詞
- 高解像度の / シャープな / 詳細な
- プロフェッショナルな / 映画のような / 雑誌の表紙のような
- 8K / フォトリアリスティック / スタジオ品質の
■ 実例

■ プロンプト
プロンプト例
柔らかな白砂が広がる静かな海辺の入り江。波は穏やかに打ち寄せ、温かみのある黄金色とピンクが混ざり合った夕焼け空の下で輝いている。薄くたなびく雲が水平線に広がり、日の最後の光を受けて淡く光っている。海の表面はオレンジやラベンダーの繊細な色を映し出し、濡れた砂浜では波と砂が触れ合う場所にさりげない輝きがきらめく。全体として、風景は人の気配が一切なく、自然のリズムだけが静かに流れる、手つかずで穏やかな世界。フォトリアルな質感で、映画のようなライティング、ソフトフォーカス、自然光、8K解像度、最高傑作クオリティで描かれる。
3. ネガティブプロンプトの活用法
プロンプトに「含めたい要素」を書くのと同様に、「含めたくない要素」を排除するネガティブプロンプトも非常に有効です。意図しない要素やAI特有のエラーを抑制するため、特にStable DiffusionやMidjourneyで重宝されています。
よく使われるネガティブ要素
- 技術的欠陥:ぼやけた、低解像度、ノイズ、歪み、不自然な影
- 解剖学的エラー:歪んだ手、奇妙な指、不自然な顔や関節
- 不要な要素:テキスト、ウォーターマーク、署名、人物
- Stable Diffusionの例
- ポジティブプロンプト
- 美しい日本庭園、桜の木、石灯籠、小川、晴れた日、自然光、高解像度
- ポジティブプロンプト
- ネガティブプロンプト
- ぼやけた、低解像度、歪み、不自然な影、テキスト、ウォーターマーク、人物
- Midjourneyの例(/imagine コマンド)
- 美しい日本庭園、桜の木、小川、自然光、高解像度 –no ぼやけた、低解像度、歪み、テキスト、人物
参照画像を活用する:img2img & ControlNet
言葉では伝えにくい構図やスタイルを伝える場合、参照画像を使うのが効果的です。
■ img2img(画像から画像へ)
- ラフスケッチや写真をベースに、新しい画像を生成
- 元画像の構図を維持しつつ、スタイルや質感をAIで補完
使用例
- 自分で構図スケッチを用意
- img2imgにアップロード
- プロンプトで描画スタイルや雰囲気を指示
- AIが新たな完成画像を生成
■ ControlNet(より高度な参照)
Stable Diffusionの拡張機能で、線画・ポーズ・深度マップ・セグメント情報を元に正確な画像を生成できます。
用途 | 概要 |
ポーズ制御 | 人物の骨格や姿勢を指定可能 |
線画生成 | イラストの下描きに使える |
深度マップ | 3D的な空間構成を指定 |
セグメンテーション | 背景・前景などの役割を分けて制御可能 |
4.2 参照画像を使いこなす4つのコツ
参照画像は、AIに意図を視覚的に伝える強力なツールですが、使い方を誤ると逆効果になることもあります。以下の4つのポイントを意識することで、参照画像を効果的に活用できるようになります。
1. できるだけシンプルな画像を使う
構図やポーズ、雰囲気など、伝えたい要素が明確に伝わる画像を選ぶことが基本です。複雑すぎる画像はAIがどの部分を参照すべきか判断しづらくなるため、余計な情報を含まないシンプルなビジュアルが理想的です。
2. 何を参照するのかを明確にする
構図なのか、色調なのか、スタイルなのかなどの要素を参考にしてもらいたいのかを明確にすることが重要です。たとえば「構図は画像A、色は画像B」といったように、目的に応じて参照画像を使い分けると、狙った出力が得られやすくなります。
3. 影響度(強度)を調整する
多くのツールでは、参照画像の影響度(ガイダンス強度)を数値で調整できます。「画像に忠実な結果がほしい」場合は強度を上げ、「あくまで参考程度にしたい」場合は強度を下げることで、プロンプトとのバランスを取りやすくなります。4. 複数の画像を組み合わせる
上級者向けのテクニックとして、複数の参照画像を組み合わせる方法があります。たとえば、構図は画像A、色彩は画像B、質感は画像Cから抽出することで、より複雑で洗練されたビジュアルをAIに生成させることが可能になります。
画像生成AIごとの最適化テクニック
前のセクションでは、どの画像生成AIにも共通するテクニックを紹介しました。
しかし、ツールごとに特性が大きく異なるため、それぞれに合ったプロンプトの設計・操作方法を理解することで、より精度の高い画像生成が可能になります。
このセクションでは、MidjourneyとStable Diffusionという2大ツールを中心に、それぞれの最適な使い方やプロンプト設計のコツを紹介します。
Midjourneyで効果的なプロンプト
Midjourneyは芸術性に優れた出力を得意とするツールです。少ない情報からでも印象的なビジュアルを生成できる反面、スタイル調整や細部指定には特有の工夫が必要です。プロンプトの末尾にさまざまなパラメータを追加して、画像のスタイルや品質をコントロールできます。以下はよく使われる主なパラメータです。
パラメータ | 説明 |
–v 5 / –v 6 | バージョン指定(6が現在の最新。高品質) |
–ar 16:9 | アスペクト比(1:1, 4:5, 3:2なども可) |
–q 2 | 品質設定(0.25〜2.0。高いほど品質UP・生成時間もUP) |
–s 750 | スタイライズ度。高いと芸術的、低いと写実的に |
–c 0 | カオス度。数値が高いほどランダム性が増す |
–no | ネガティブプロンプト(除外したい要素を明記) |
- 短く効果的に:Midjourneyは比較的短いプロンプトでも良い結果を出せます。
- アーティスト名や芸術様式の参照:「Monet風」「浮世絵スタイル」など
- スタイライズパラメーの活用:目的に応じてスタイライズ度を調整
- バリエーション機能の活用:生成された画像のバリエーションを作成し、徐々に理想に近づける
Midjourney向けプロンプトの例
シンプルで効果的な和風建築の表現
プロンプト例
/imagine prompt: 日本の伝統的な茶室、和風、自然光、詳細な木工細工、わびさび、高品質写真 –ar 3:2 –v 6 –q 2
芸術スタイルを意識した風景画風
プロンプト例
/imagine prompt: 水彩画風の富士山、桜の木、朝霧、繊細なブラシストローク、芸術的表現 –s 900 –ar 16:9 –v 6
リアルな人物ポートレート
プロンプト例
/imagine prompt: 40代の日本人ビジネスマン、スーツ姿、自信に満ちた表情、スタジオライティング、高解像度ポートレート –s 250 –ar 4:5 –v 6 –no 歪んだ顔、不自然な手
主要なパラメータとその効果
項目 | 説明 |
---|---|
Sampling Steps | 生成ステップ数(20〜50が一般的。多いほど画像が詳細になる) |
Sampling Method | サンプリング方法(DPM++ 2M Karrasなどが人気) |
CFG Scale | プロンプト遵守度(7〜12が一般的。高いほどプロンプトに忠実) |
Seed | 乱数シード(同じシードを使うと類似した画像が得られる) |
Width/Height | 画像サイズ(512×512、768×768などが一般的) |
Stable Diffusionでのプロンプト最適化のコツ
項目 | 説明 |
---|---|
重み付けの活用 | プロンプト内で特に強調したい要素に対して、(重要な要素:1.2) のように重みを加える |
LoRAの活用 | 特定のスタイルや被写体に特化した軽量学習済みモデルを追加して精度を高める |
パラメータの一貫性 | 良い結果を生んだ設定(SeedやCFGなど)を記録・再利用して再現性を高める |
img2imgの活用 | ラフなスケッチや元画像を元に、画像を段階的にブラッシュアップしていく手法 |
DALL-Eの特性を活かしたプロンプト設計
DALL-E 3は自然言語理解に優れており、日本語でも詳細な指示が可能です。
DALL-Eの特徴とは?
DALL-Eは、OpenAIが開発した画像生成AIで、日本語を含む自然言語から高精度な画像を生成できる点が大きな特長です。特に以下のような機能が注目されています。
- 日本語を含む自然言語での詳細な指示に強い
- テキストの描画が比較的得意 ChatGPTと連携して使用可能
- センシティブコンテンツの制限が厳しい
DALL-Eでのプロンプト最適化のコツ
良い画像を得るためには、ただ指示を与えるだけでなく、プロンプトの工夫が重要です。以下のポイントを意識することで、生成結果のクオリティが向上します。
- 自然な文章で指示
- 箇条書きよりも自然な文章の方が良い結果に
- .ChatGPTとの連携
- ChatGPTにプロンプトの改善を依頼
- 具体的な視覚的詳細を含める
- 色、照明、視点などを明確に
- 複数回の生成
- 同じプロンプトでも複数回生成して最適な結果を選ぶ
AIごとの特殊コマンドやパラメータの活用法
各AIには独自の特殊コマンドやパラメータがあり、これらを活用することで生成結果を大きく改善できます。
Midjourneyの特殊コマンド
/blend
: 複数の画像やコンセプトを混合/describe
: アップロードした画像からプロンプトを生成/shorten
: 長いプロンプトを短縮/prefer
: 個人的な好みを設定
Stable Diffusionの拡張機能
- ControlNet: ポーズ、線画、深度マップなどによる制御
- Ultimate SD Upscale: 低解像度画像を高品質に拡大
- Dynamic Prompts: テンプレートを使った複数プロンプトの自動生成
- Regional Prompter: 画像の特定領域ごとに異なるプロンプトを適用
DALL-Eの特殊テクニック
- 段階的な指示: 最初に基本的な画像を生成し、その後で「同じ画像だが〜を変更して」と指示
- スタイルの明示: 「写真のような」「油絵風の」など明示的なスタイル指定
- 視点の指定: 「俯瞰視点で」「クローズアップで」など視点の明示
これらの特殊コマンドやパラメータを使いこなすことで、各AIの能力を最大限に引き出すことができます。次のセクションでは、malnaで作成したプロンプト生成GPTsの活用法について解説します。
malnaで作成したプロンプト生成GPTsで楽に画像生成できる
これまで、DALL·Eなどの画像生成AIにおけるプロンプト設計の基礎から応用までをご紹介してきました。しかし実際は、「毎回プロンプトをゼロから考えるのが面倒」「そもそもどんな表現が良いかわからない」といった課題に直面する方も少なくありません。
こうした悩みを解決するために、私たちmalnaでは、誰でも簡単に高品質なプロンプトを作成できるプロンプト生成GPTsの「プロンプト洗練アシスタント」を社内向けに開発しました。
このツールの特徴と活用法について以下に解説しますので、ぜひ 以下のURLから直接アクセスして、活用してみてください。
malnaのプロンプト生成GPTsの特徴と機能
「プロンプト洗練アシスタント」は、ChatGPTの会話機能を活用して、画像生成に最適化されたプロンプトを自動生成するツールです。これまでの知見をもとに、「自然な文章表現」「視覚的ディテールの具体化」「用途別テンプレート」といった構造を反映し、誰でも短時間で効果的なプロンプトを出力できます。操作はとてもシンプルで、指示やキーワードを入力するだけで、AIが自動的に最適な構成を提案してくれます。
主な特徴
このツールの大きな特徴は、日本語での自然な表現に対応しながら、Midjourney、DALL·E、Stable Diffusionなどの画像生成AIに最適化された形式で出力できます。
さらに、用途別に「風景」「人物」「ファンタジー」「商品イメージ」などのテンプレートが用意されており、初心者でも迷わずプロンプトを作成できます。
生成されたプロンプトは、そのままAIツールにコピーして使える仕様となっており、業務スピードと成果物の品質を維持しつつ運用できます。
基本的な使い方と設定方法
malnaのプロンプト洗練アシスタントは、直感的に使えるように設計されています。以下に基本的な使い方を紹介します。基本的な使い方は以下の通りです。
- GPTsに登録されたメッセージをそのまま送付する
- 生成したい画像のイメージを、どんな粒度でも良いので送る
- プロンプト洗練アシスタントが改善案を提案してくれるので、それに回答する
- 運用している画像生成AIに生成されたプロンプトをそのまま張り付ける
使用例
人物ポートレート系の生成例

プロンプト例
A beautiful 50-year-old Japanese woman with long black hair and a soft smile, dressed in a modest and elegant outfit. She is positioned on the left side of the frame, with a soft, natural lighting coming from the right side. The background features a room with soft pastel colors and subtle interior details, creating a warm, serene atmosphere. The sunlight filters gently through the room, highlighting her features while maintaining a translucent, ethereal quality in the image. The overall vibe is peaceful and natural, as if in a real-life setting during a bright afternoon. The image should have a sense of clarity and elegance, with a subtle transparency effect for a dreamy look.
ジブリ風な画像の生成

プロンプト例
The hand-drawn style illustrations are rendered in warm pastel colors and soft lighting. The background, characterized by detailed and realistic depictions of the landscape, is a harmonious blend of Japanese countryside and European-style buildings, full of life-like details that blend into the natural surroundings.
In the midst of this landscape, a lone Japanese woman stands looking back. She wears a pure white one-piece dress, her skirt and bobbed hair dancing lightly in the sea breeze. In her turned-around posture, she flashes a bursting smile, giving the impression of freshness, as if she had become one with the Neapolitan landscape.
In the background, the iconic landscape of Naples spreads out, with the shimmering blue sea, warm late afternoon sunlight, fluffy clouds floating in the bright blue sky, and seagulls flying lazily in the distance. The wind blows across her cheeks, her dress and hair fluttering naturally. The streets are decorated with colorful flowers, laundry is rustling in the wind, and the locals are walking slowly and peacefully.
The characters have friendly faces, rounded outlines and soft lines, and are not too realistic, but have a deformed feel. The design emphasizes ordinary moments in daily life, such as a meadow with a breeze blowing, sunlight filtering through the trees, and a dining table with steamy water, creating a nostalgic and warm atmosphere.
The overall color palette is soft, fantastic, and warm in tone, like a Ghibli film. Light and shadows gently blend together with a painterly touch, creating a worldview with a mysterious atmosphere where reality and fantasy seem to naturally blend together.
まとめ
この記事では、画像生成AIを素早く、かつ意図したものを的確に生成するための方法について詳しく解説してきました。基本的な知識から高度なテクニック、そしてmalnaのプロンプト生成GPTsの活用法まで、幅広く紹介しました。
この記事で紹介した技術やテクニックは、あくまでも出発点です。画像生成AIの世界は日々進化しており、新しいモデルや機能が次々と登場しています。
まずは、この記事で紹介したテンプレートを使って、自分のプロジェクトに役立つ画像を生成してみる。malnaのプロンプト生成GPTsを試してみる。そして、生成された画像を見て「こうしたらもっと良くなるかも」と考え、プロンプトを改良してみる。
その繰り返しの中で、あなた自身のクリエイティビティも、AIとの関係性も、少しずつ進化していくことでしょう。
malna(マルナ)では、このようなAI活用のご提案を含め、包括的なマーケティング支援を提供しております。クライアントの事業成長のために伴走したい、一緒に働きたいという方はぜひ、私とカジュアルに面談のお時間をいただけますと幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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