LINE運用代行とは?業務範囲と費用構造、依頼前に決める6項目【2026年】

LINE公式アカウントを開設したものの、配信が月1回で止まっている。友だちは増えないのにブロックだけが積み上がっていく。社内でそんな話が出はじめると、運用代行という選択肢が候補に上がります。

目次

ところが代行会社を探しはじめると、比較サイトに並ぶのは会社名と料金の一覧ばかりで、自社が何を任せるべきかは書かれていません。LINEの運用は他のSNSと違い、配信するたびに媒体費が動きます。任せる範囲を決めないまま見積もりを取れば、金額の高低しか判断材料が残りません。

本記事では、LINE運用代行に任せられる業務範囲、LINEヤフーの公式料金プランを踏まえた費用構造、内製と代行の分岐点、依頼前に社内で決めておく6項目を整理します。

LINE公式アカウントの担当を任されたものの、何をどこまで外に出せるのか判断がつかない方に向けた内容です。

配信の設計から数字の読み方までを社内に残しながら進めたい段階でしたら、進め方から相談することもできます。

LINE運用代行とは、LINE公式アカウントの運用業務を外部に委託する形態です

LINE運用代行とは、LINE公式アカウントの開設や初期設計、メッセージ配信、友だち追加の獲得、効果測定といった運用業務を外部の事業者に委託する形態です。委託する範囲は会社ごとに異なり、全部を任せる契約もあれば、初期構築だけ、配信制作だけを切り出す契約もあります。

前提として、LINEは他のチャネルと母数が違います。LINEヤフーの発表によると、LINEの国内月間利用者数は2025年12月末時点で1億ユーザーに達しました。日本国内で連絡手段として日常的に使われている場所に、企業が直接メッセージを届けられるのがLINE公式アカウントの立ち位置です。

だからこそ、運用の失敗も直接的に表れます。届く確実性が高いぶん、内容が合わなければブロックという形で接点そのものが失われていきます。代行を検討する動機の多くは、この一方通行になりかけた運用をどう立て直すかという問題意識から生まれます。

参考:LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破

SNS運用代行との違いは、配信するたびに媒体費が動くことです

LINE運用代行が他のSNS運用代行と最も違うのは、配信そのものにコストがかかる点です。InstagramやXの投稿は無料で何度でも出せますが、LINE公式アカウントは無料メッセージ通数を超えた分が従量課金になります。友だちが増えるほど、1回の配信で消費する通数も膨らんでいく構造です。

もう一つの違いは届き方にあります。タイムラインに流れる投稿と違い、LINEのメッセージは個人のトーク画面に届きます。フォロワー数を増やして接触機会を広げる設計とは前提が違い、送る回数と内容を絞る判断が必要です。

つまりLINEの運用代行では、投稿本数を増やす提案が必ずしも改善にならない場面があります。SNS全般の運用代行の業務内容や選び方は、別の記事で整理しています。

関連記事:SNS運用代行とは?仕事内容とメリット、おすすめ代行会社を紹介

代行の対象はLINE公式アカウントで、Lステップは別会社の拡張ツールです

代行会社の提案書で頻出するLステップは、LINEヤフーが提供する機能ではありません。Lステップはソーシャルデータバンク株式会社(旧 株式会社Maneql)が提供するサードパーティ製のツールで、公式サイトにも「LINE公式アカウントのAPIを拡張したツールであり、弊社とLINEヤフー株式会社との関係はございません」と明記されています。

ここを混同すると、費用の見立てを誤ります。Lステップを使う場合、LINE公式アカウントの利用料とLステップの利用料は別建てです。Lステップの利用にはLINE公式アカウントの開設が前提で、配信数は両者が連動し、少ない側が実際の上限になります。

見積もりにツール費が含まれているかどうかは、この構造を知らないと読み取れません。Lステップ自体の機能や、LINE公式アカウント単体との機能差については別記事で詳しく扱っています。

参考:【公式】Lステップとは?主な機能や料金・導入事例を徹底解説

関連記事:【2025年度版】Lステップとは?┃LINE公式との違いから、できること、運用時の注意点まで徹底解説!

LINE運用代行に任せられる業務範囲

LINE運用代行に任せられる業務は、初期構築、配信の企画と制作、友だち追加の獲得、接客導線の設計、効果測定、拡張ツールの実装という6つの領域に分かれます。すべてをひとまとめに運用代行と呼ぶ会社が多いため、見積もりを読むときはどの領域が含まれているかを分解して確認する必要があります。

領域 主な作業 発生頻度
アカウント開設と初期設計 プラン選定、認証済アカウント申請、あいさつメッセージ、応答モード設定 立ち上げ時のみ
メッセージ配信の企画と制作 配信内容の企画、テキストと画像の制作、配信対象の絞り込み、配信予約 毎月
友だち追加の獲得施策 QRコードの掲出設計、Webサイトへの導線設置、友だち追加広告の運用 毎月または随時
リッチメニューとチャット対応 リッチメニューの設計と更新、問い合わせの一次対応 随時
効果測定と改善提案 友だち追加数とブロック数の確認、配信結果の分析、次月の提案 毎月
拡張ツールやMessaging APIの実装 拡張ツールの設定、社内システムとの連携開発、保守 立ち上げ時と改修時

このうち毎月発生する領域と、立ち上げ時にしか発生しない領域を分けて見ることが大切です。初期構築だけを外に出す判断も、毎月の配信だけを外に出す判断も、ここを分けておけば検討できます。

アカウント開設と初期設計

初期設計は、アカウントを作った後の運用がうまくいくかどうかを左右する工程です。開設そのものは自社でもできますが、実務で差が出るのは開設後の設定にあります。

LINE公式アカウントは開設時にコミュニケーションプランが設定され、ライトプランやスタンダードプランを使う場合は開設後にプラン変更が必要になります。あわせて認証済アカウントの申請、あいさつメッセージの内容、応答モードの選び方、リッチメニューの初期構成といった設定が並びます。代行会社に任せる場合は、この初期設計をどこまで含むかを最初に確認してください。

メッセージ配信の企画と制作

配信の企画と制作は、代行費用の大半を占める業務です。月間の配信本数、1本あたりの吹き出し数、テキストと画像の制作、配信対象の絞り込み条件、配信日時の設計までが含まれます。

見積もりで本数だけを比べると実態を見誤ります。LINE公式アカウントは1回の配信で最大3吹き出しまで送れる仕様で、画像制作が必要な吹き出しが何枚あるかで工数が変わる点に注意が必要です。月4本という条件が同じでも、全文テキストの会社と毎回バナー制作が入る会社では作業量が違います。

制作の質を見たいときは、過去の配信物を見せてもらうのが早い方法です。業種が近い事例であれば、文章の長さや画像の作り込みの水準がそのまま自社の成果物の想像につながります。

友だち追加の獲得施策

友だち追加の獲得は、配信の成果を決める土台です。友だちがいなければ配信の質を上げても届く先がありません。

獲得の手段は、店頭やチラシでのQRコード掲出、Webサイトへの追加ボタン設置、LINE広告の友だち追加広告、既存顧客への案内といった経路に分かれます。認証済アカウントになるとLINEアプリ内の検索対象に表示され、友だち集め用のポスターやノベルティのデータが使えるようになります。申請と利用に費用はかからないため、獲得を狙うなら初期段階で申請しておきたい設定です。

参考:LINE公式アカウントの「認証済アカウント」とは?

リッチメニューとチャット対応の設計

リッチメニューとチャットは、配信していない時間帯の接点を作る機能です。配信だけがLINE運用ではありません。

リッチメニューはトーク画面の下部に固定表示されるメニューで、テンプレートを選んで領域を分割し、領域ごとにURLやクーポン、キーワード送信のアクションを設定できます。表示期間の指定や、トークルームに入った際の自動表示の設定も可能です。ただしパソコン版とChrome版のLINEでは表示されないため、来訪がスマートフォン中心かどうかで重みが変わります。

チャット対応は、代行に含めるかどうかで運用の性質が変わる領域です。問い合わせの一次対応を外に出すなら、返答の判断基準と、社内にエスカレーションする条件を文書にしておく必要があります。

参考:リッチメニューを作成する

効果測定と改善提案

効果測定は、次の配信で何を変えるかを決めるための工程です。LINE公式アカウントの分析画面では、日々の友だち追加数やブロック数を確認できます。

代行会社のレポートで見るべきは、数字が並んでいるかではなく次の打ち手が書かれているかです。友だちが増えた月に何をしたのか、ブロックが増えた配信は何が違ったのか。この因果の見立てを毎月出せる会社と、管理画面のスクリーンショットを貼るだけの会社では、半年後の状態が変わります。

契約前にレポートのサンプルを見せてもらってください。書式が整っているかではなく、前月と比べて何を変えるという記述があるかを確認する材料になります。

参考:分析 – ダッシュボード

拡張ツールやMessaging APIを使った構築

拡張ツールとMessaging APIの実装は、標準機能では届かない要件を満たすための領域です。代行会社の技術力の差が最も出る部分でもあります。

LINE公式アカウントの標準機能にもステップ配信があり、友だち追加やオーディエンスを開始条件にして、次のステップまでの待ち時間を1日から30日の範囲で設定できます。性別や年齢、OS、エリアといった属性で分岐させることも可能です。1ルートあたりのステップは最大10個までという制限があります。

これを超える条件分岐や、社内システムとの連携が必要な場合に、LステップのようなツールやMessaging APIの実装が候補になります。Messaging APIはLINEプラットフォームとボットサーバーを連携させる仕組みで、利用にはLINE公式アカウントの開設とMessaging APIチャネルの作成が必要です。任せる場合は、実装したものを誰が保守するのかを契約時に決めておいてください。

参考:ステップ配信

参考:Messaging APIの概要

LINE公式アカウントの料金プランが、代行費用の前提になります

LINE公式アカウントの料金は月額固定費と追加メッセージの従量課金で構成され、この媒体費は代行費用とは別に自社が負担します。代行会社に払う金額だけを見て予算を組むと、配信量が増えた月に想定外の請求が乗ります。

以下は2026年8月13日時点でLINEヤフー for Businessの公式ページに掲載されている内容です。追加メッセージ料金の改定が予定されているため、発注前には必ず公式ページで最新の条件を確認してください。

3つの料金プランと無料メッセージ通数

料金プランは3種類で、違いは月額固定費と無料メッセージ通数、追加メッセージの可否です。公式ページのFAQには、料金プランによって利用できる機能に差はないと明記されています。

プラン 月額固定費(税別) 無料メッセージ通数 追加メッセージ
コミュニケーションプラン 0円 200通 不可
ライトプラン 5,000円 5,000通 不可
スタンダードプラン 15,000円 30,000通 可(従量課金)

初期費用はかかりません。開設時はコミュニケーションプランに設定されるため、ライトプランやスタンダードプランを使うには開設後の変更が必要です。支払い方法はクレジットカードで、請求書払いを希望する場合は認証済アカウントの申請が必要になります。年払いには対応しておらず、見積書の発行もできないと公式ページに記載されています。

社内の稟議で見積書が必要な場合、LINE公式アカウントの利用料は代行会社の見積もりに媒体費として立ててもらうか、実費精算にするかを事前に決めておいてください。ここを決めずに進めると、稟議の段階で予算の根拠が作れず着手が遅れます。

課金される通数の数え方

通数はメッセージを送った回数に送った友だちの数を掛けた数でカウントされます。1回の配信で送れるのは最大3吹き出しまでで、この3吹き出しが1通としてカウントされる仕組みです。

すべての機能が課金対象になるわけではありません。公式ページでは、カウントされるものとされないものが次のように整理されています。

区分 対象
カウントされる メッセージ配信(絞り込み配信・ステップ配信を含む)、Messaging APIのPush API・Multicast API・Broadcast API・Narrowcast API
カウントされない LINEチャットの送受信、応答メッセージ、あいさつメッセージ、Messaging APIのReply API

この仕組みは、代行に何を任せるかの判断に直結します。一斉配信を増やす設計は通数を線形に押し上げますが、チャットでの個別対応やあいさつメッセージ、キーワードへの応答メッセージは通数を消費しません。友だち数が伸びている段階では、配信本数を増やす前に応答とリッチメニューで受け止める設計のほうが媒体費を抑えられます。

代行会社に改善案を出してもらうときは、通数を増やす案と増やさない案の両方を求めてください。増やす案だけが並ぶ提案は、媒体費の増加を前提にした設計になっています。

追加メッセージの単価と2026年10月1日の料金改定

追加メッセージはスタンダードプランのみ従量課金で配信でき、単価は配信数によって変わります。公式ページには200,000通を配信した場合の計算例として、50,000通×3円と50,000通×2.8円と100,000通×2.6円を合計した550,000円が示されています。

さらにLINEヤフーは2026年2月16日のお知らせで、2026年10月1日に追加メッセージ料金を改定すると発表しました。改定後は20万通/月までが1通3円、20万通を超えた利用分からが1通2.5円になります。金額は税別で、適用対象は日本のみです。

時点 追加メッセージの単価(税別)
2026年8月13日時点 配信数に応じた段階制。公式の計算例では50,000通まで3円、50,001通から100,000通まで2.8円、100,001通から2.6円
2026年10月1日以降 20万通/月までは1通3円、20万通超過分から1通2.5円

月間配信が数万通の規模なら改定の影響はほぼ出ません。影響が及ぶのは、無料通数を大きく超えて配信している事業者です。年単位の契約に入る前に、改定後の単価で試算した数字を代行会社に出してもらってください。

参考:LINE公式アカウントの料金プラン

参考:【重要】LINE公式アカウント 追加メッセージ料金改定のお知らせ

配信設計と媒体費の見立てを同時に組み立てたい場面では、実行と内製化の両方を前提にした支援もあります。malnaでは戦略立案から実行、社内への引き継ぎまでを伴走する形で支援しており、AI導入・コンサルティングおよびIT・DX分野では累計40社以上の導入事例があります。支援内容を問い合わせることができます。

LINE運用代行の費用の考え方

LINE運用代行の費用は、LINEヤフーに払う媒体費、代行会社に払う運用費、拡張ツールの利用料という3つの層に分かれます。この3層を分けずに総額だけで比較すると、中身が大きく違う見積もりを同じ土俵に置いてしまいかねません。

費用は媒体費、代行費、ツール費の3層に分かれます

3層のうち自社の意思で動かせる幅が最も大きいのは代行費です。媒体費は配信量で決まり、ツール費は選んだツールのプランで決まるため、削減の余地は限られます。

費用の層 支払先 決まり方
媒体費 LINEヤフー 選んだ料金プランの月額固定費と、無料通数を超えた分の従量課金
代行費 代行会社 任せる業務範囲と月間の作業量
ツール費 ツール提供会社 拡張ツールを使う場合の月額利用料

見積もりを受け取ったら、まずこの3層のどこまでが金額に含まれているかを確認してください。媒体費を代行会社が立て替える契約か、自社が直接払う契約かで、月々の請求書の意味が変わります。ツールの契約名義も同じで、代行会社の名義になっていると解約時に扱いが問題になります。

相場と呼ばれる数値は一次情報では確認できません

LINE運用代行の費用相場について、公開情報からは業界横断の調査データを確認できません。比較サイトには月額数万円から数十万円という幅が並びますが、その多くは調査手法や母数が示されていない記述です。

代行会社ごとの料金は各社が公開しているものを参照できます。一方で相場がいくらかという問いに一次情報で答えることはできません。相場を根拠に交渉するより、任せる作業量から必要な工数を積み上げるほうが、金額の妥当性を検証できます。

具体的には、月間の配信本数、画像制作の枚数、チャット対応の想定件数、レポートの提出頻度を数字で出し、それぞれに何時間かかる想定かを代行会社に聞いてください。工数の見立てが出てこない会社は、作業内容そのものが固まっていない可能性があります。

見積もりを比べるときに揃える3つの前提

見積もりの比較は、条件を揃えなければ成立しません。同じ条件を提示していないのに金額だけを並べるのが、発注でつまずく典型的な入口です。

揃えるべき前提は次の3つです。

  • 月間の配信本数と、1本あたりの吹き出し数と画像制作の枚数
  • チャット対応と友だち追加施策を含むかどうか
  • LINE公式アカウントの利用料と拡張ツール費を見積もりに含むかどうか

この3つを書面で渡してから見積もりを依頼すると、金額の差が作業量の差なのか、含む範囲の差なのかが判別できます。安い見積もりが実は配信制作だけで、測定と改善提案を含んでいなかったという結果も避けられます。

内製と代行の分岐点

内製と代行の分かれ目は、配信量ではなく設計を担える人が社内にいるかどうかです。配信作業そのものは管理画面で完結しますが、誰に何を送るかを決めて結果から次を判断する工程は、担当者の時間と経験を必要とします。

判断軸 内製が成立しやすい 代行が向く
配信内容 型が決まっていて毎回ほぼ同じ 何を送るかから設計が必要
担当者の時間 毎月一定時間を確保できる 兼務で確保が難しい
制作物 テキスト中心で画像が少ない 画像やリッチメニューの制作が毎月発生
必要な機能 標準機能で足りる 拡張ツールやMessaging APIの実装が必要
成果の測り方 見る数字が決まっている 指標の設計から必要

この表で右側に寄る項目が多いほど、外に出す価値が大きくなります。すべてが右側でなくても構いません。項目ごとに内製と代行を分ける進め方が、実務では最も選ばれます。

内製で回るのは、配信の型が決まっていて担当者を固定できる場合

内製が成立する条件は、配信の型が固まっていて担当者の時間を毎月確保できることです。この2つが揃っているなら、外に出す理由は薄くなります。

たとえば月2回のクーポン配信を続けている店舗で、配信内容がほぼ定型なら、管理画面の操作を覚えた担当者1人で回ります。あいさつメッセージと応答メッセージ、リッチメニューを一度作り込めば、日々の運用は配信のセットが中心です。この状態で代行費を払っても、成果の増分が費用を上回りにくくなります。

代行が向くのは、設計と制作が同時に必要な立ち上げ期

代行が効くのは、決めることと作ることが同時に発生する立ち上げの局面です。何を送るかも決まっていない状態で、画像制作とシナリオ設計とツール実装を並行させるのは、兼務の担当者には荷が重い作業量になります。

もう一つ代行が向くのは、標準機能を超える実装が必要な場合です。属性による分岐が複雑だったり、社内の予約システムと連携させたい場合には、Messaging APIや拡張ツールの実装が必要になります。この領域を社内で持つには開発の体制が要り、単発の要件のために採用するのは現実的ではありません。

部分委託という選び方

部分委託は、設計と制作を外に出しながら判断を社内に残す進め方です。全部を任せるか全部を自社でやるかの二択で考える必要はありません。

現場でよく成立する分け方は、初期構築と設計を代行に任せ、日々の配信と数字の確認は社内で持つ形です。逆に配信内容の判断は社内で行い、画像制作とツール設定だけを外に出す形もあります。分け方を決める基準は、その作業が毎月発生するかと、判断を伴うかの2つです。

毎月発生して判断を伴わない作業は外に出しやすく、頻度が低くて判断を伴う作業は社内に残したほうが後の運用が続きます。この線引きは契約更新のたびに見直せるため、初回は外に出す範囲を広く取り、社内に知見が溜まった段階で戻していく進め方もできます。

依頼前に社内で決めておく6項目

依頼前に社内で決めておくべきことは、目的、友だちの獲得目標、月間配信通数の上限、アカウント管理権限、チャットの一次対応、判断の期限の6つです。この6つが決まっていないと代行会社の提案を評価する基準が持てず、提案書の見た目で選ぶことになります。

1 LINEで達成したいことを一つに絞る

目的は一つに絞ってください。来店促進と採用広報と問い合わせ獲得を同じアカウントで同時に狙うと、配信内容もリッチメニューの構成も定まりません。

絞り方の目安は、その成果が既存の指標で測れるかどうかです。来店を狙うならクーポンの使用数、問い合わせを狙うならフォーム送信数と、すでに社内で見ている数字に接続できる目的から選んでください。目的が決まると、代行会社に評価してもらう指標も自動的に決まります。

2 友だちを何人集める必要があるのか

友だちの獲得目標は、配信で狙う成果から逆算して置きます。目標がないまま始めると、代行会社の報告が友だちが増えたという事実だけで終わります。

逆算の考え方はシンプルです。1回の配信でクーポンを使ってもらえる割合を仮に置き、目標の来店数を割れば必要な友だち数が出ます。この仮の割合は初回は当たりませんが、置いておけば3か月後に実測値で更新できます。数字を置かずに始めると、更新する対象そのものがありません。

3 月間の配信通数の上限を決める

配信通数の上限は、予算の管理単位として先に決めておく項目です。通数は友だち数の増加に連動して増えるため、上限を決めずに走ると媒体費が予算を超えます

計算式は、月間の配信回数に友だち数を掛けるだけです。友だち5,000人に月4回配信すれば20,000通で、スタンダードプランの無料通数30,000通に収まります。友だちが10,000人に増えれば同じ月4回で40,000通となり、10,000通分が追加メッセージになります。スタンダードプランでは追加メッセージ数の上限目安を設定する必要があり、この設定を超えると配信が停止します。

4 アカウントの管理権限を誰が持つか

管理権限の所有者は、契約前に社内で決めておくべき項目です。代行会社のアカウントで開設してしまうと、契約終了時にアカウントごと引き継げない事態が起こります。

決めておくのは、自社のアカウントで開設して代行会社に権限を付与する形にするか、既存アカウントの権限を追加するかです。あわせて社内の誰が管理者権限を持ち続けるかも決めてください。担当者の異動で管理者が不在になると、プラン変更や支払い情報の更新すらできなくなります。

5 チャットの一次対応を誰がやるか

チャットの一次対応は、代行に含めるかどうかで契約の性質が変わる項目です。配信は計画的に進められますが、チャットは相手のタイミングで発生します。

代行に含めるなら、対応時間帯、返答の判断基準、社内にエスカレーションする条件を文書にしておく必要があります。社内で持つなら、誰が管理画面を見るのか、見られない時間帯にどう案内するのかを決めてください。どちらにも決めないまま始めると、届いた問い合わせに誰も答えない状態が生まれます。

6 いつまでに何を判断するか

判断の期限は、契約前に決めておくと後の議論が楽になります。3か月で友だち数、6か月で配信からの成果と、見る指標と時期をセットで置いてください。

期限を決めない契約は、成果が出ないまま更新が続きます。逆に短すぎる期限も現実的ではありません。友だちを集めて配信の反応を測り、内容を変えて再度測る工程には最低でも3か月程度の期間が必要です。契約期間の設計は、この検証サイクルが1周する長さを目安にしてください。

契約前に確認する項目と、LINE運用代行が空回りする場面

LINE運用代行がうまくいかない原因は、契約書に書かれていない領域に集まります。業務範囲、権限とデータの帰属、成果指標、配信頻度、解約時の引き継ぎの5点は、始める前に文書で決めておく項目です。

業務範囲と成果物を数量で定義する

業務範囲は、作業の名前ではなく数量で定義してください。メッセージ配信の運用という記載だけでは、月に何本作るのかが決まりません。

契約書に入れるべきは、月間の配信本数、画像制作の枚数、リッチメニューの更新回数、レポートの提出頻度と形式です。数量を入れておくと、追加作業が発生したときに追加費用の話ができます。数量が書かれていない契約は、依頼するたびに範囲外だと言われるか、逆に何を頼めるのか分からないまま月額を払い続けることになります。

アカウント管理権限とデータの帰属を決める

管理権限とデータの帰属は、解約時に最も揉める論点です。契約中は問題が起きないため、始める段階では見落とされます。

決めておくのは、LINE公式アカウントの管理権限を自社が保持すること、拡張ツールで蓄積した友だちの属性情報やタグの扱い、制作した画像やリッチメニューの素材データの受け渡しです。拡張ツールを代行会社の契約で使っている場合、解約するとツール内のデータにアクセスできなくなります。ツールの契約名義を自社にするかどうかは、最初に決めてください。

友だち数だけを成果指標にしない

友だち数だけを追う設計は、運用が空回りする典型的な原因です。友だちは増えているのに売上が動かないという報告が続くのは、指標の置き方に原因があります。

友だち数は入口の数字で、その後にメッセージが読まれ、リンクが押され、来店や購入につながる段階があります。分析画面ではブロック数も確認できるため、追加数とブロック数を並べて見る運用にしてください。プレゼントキャンペーンで友だちを集めた場合、目的が達成された時点でブロックされる動きが起きます。追加数だけを見ていると、この動きが数字に表れません。

配信頻度を決めずに始めるとブロックが増える

配信頻度を決めないまま運用を始めると、ブロックの増加として結果が出ます。頻度は配信量と媒体費に直結する一方で、決めるための基準が社内で共有されにくい項目です。

頻度の設計は、送る側の都合ではなく友だちにとっての情報価値から決めてください。毎週送る前提を置くと、内容がない週にも何かを送ることになります。月2回でも、受け取る側にとって使える内容が届くほうがブロックは起きにくくなります。代行会社に頻度を提案させるときは、その頻度を維持するために毎回どんな内容を用意するのかまで出してもらってください。

ガイドライン違反のリスクを代行任せにしない

配信内容の責任は、代行に出してもアカウント運営者に残ります。LINEヤフーはLINE公式アカウントガイドラインで配信コンテンツの禁止事項を定めており、違法行為の助長、知的財産権や名誉権の侵害、なりすましや虚偽情報の流布、アカウントの業種運営と無関係な内容の配信、利用者が不快または迷惑と思う内容の配信、個人情報の不正な収集や提供、反社会的な内容が挙げられています。

あわせて、プレゼントキャンペーンを装って不正に友だち追加や個人情報を収集する行為も禁止されています。友だち獲得のキャンペーンを代行会社に企画させる場合は、この線を社内で確認してから出してください。景品表示法や薬機法に関わる表現が入る業種では、社内の法務確認をどの段階で通すかも運用フローに組み込む必要があります。

参考:LINE公式アカウントガイドライン

参考:【LINE公式アカウント】配信コンテンツに関する禁止事項

よくある質問

LINE運用代行の検討で多い疑問は、費用相場、媒体費の扱い、拡張ツールの必要性、内製との比較、契約時の決めごとの5つです。いずれも見積もりを取る前に社内で聞かれる論点で、答えを用意しておくと稟議が進みます。回答はLINEヤフーの公式情報で確認できた範囲にとどめています。

LINE運用代行の費用相場はいくらですか

業界横断の調査データは公開情報からは確認できません。比較サイトには月額数万円から数十万円という幅が並びますが、調査手法や母数が示されていない記述が多くあります。相場から入るより、月間の配信本数や画像制作の枚数といった作業量を数字で示し、そこから工数を積み上げて妥当性を検証してください。

LINE公式アカウントの利用料は代行費用に含まれますか

会社によって異なるため、見積もりで必ず確認してください。LINE公式アカウントの月額固定費と追加メッセージ料金はLINEヤフーへの支払いで、代行会社が立て替える契約と自社が直接払う契約があります。2026年8月13日時点の月額固定費は税別で0円、5,000円、15,000円の3種類です。

LINE運用代行を頼むとLステップの契約も必要ですか

必要とは限りません。LステップはLINE公式アカウントのAPIを拡張するサードパーティ製ツールで、LINEヤフーが提供する機能ではありません。標準機能にもステップ配信や絞り込み配信があるため、まず標準機能で足りるかを確認してください。使う場合は契約名義を自社にするか決めておいてください。

内製と代行はどちらを選ぶべきですか

配信の型が固まっていて担当者の時間を毎月確保できるなら内製で回ります。決めることと作ることが同時に発生する立ち上げ期や、Messaging APIによる社内システム連携が必要な場合は代行が向きます。初期構築だけを任せて日々の配信は社内で持つ、という部分委託も選択肢です。

契約時に必ず決めておくことは何ですか

業務範囲の数量、アカウント管理権限とデータの帰属、成果指標、配信頻度、解約時の引き継ぎ範囲の5点です。特に管理権限とデータの帰属は解約時に揉めやすい論点で、契約中は問題が起きないため見落とされます。LINE公式アカウントの管理権限は自社で保持する形にしてください。

まとめ

LINE運用代行とは、LINE公式アカウントの初期設計から配信、友だち獲得、効果測定までを外部に委託する形態です。他のSNS運用代行と違うのは、配信するたびに媒体費が動く点にあります。LINEヤフーの公式プランでは無料メッセージ通数が200通から30,000通の範囲で分かれ、超過分はスタンダードプランのみ従量課金になります。

費用は媒体費、代行費、ツール費の3層に分かれ、この3層のどこまでが見積もりに含まれているかで金額の意味が変わります。相場と呼ばれる数値は一次情報では確認できないため、作業量から工数を積み上げて検証するほうが確実です。2026年10月1日には追加メッセージ料金の改定が予定されており、大量配信を前提にした設計では試算をやり直す必要があります。

依頼前に決めておくのは、目的、友だちの獲得目標、月間配信通数の上限、アカウント管理権限、チャットの一次対応、判断の期限の6項目です。この6つを書面にしてから見積もりを依頼すると、金額の差が作業量の差なのか含む範囲の差なのかが判別できます。

次の一手として、現在の友だち数に月間の想定配信回数を掛けた通数を出してください。その数字が無料通数の範囲に収まるかどうかで、選ぶプランと媒体費の見立てが決まります。社内に残す範囲と外に出す範囲の線引きから整理したい段階でしたら、線引きの相談から始めることもできます。

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執筆者情報

malnaブログ編集部

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