2026.09.21
Google AI Studioとは?似た4製品の違いと無料枠のデータ扱いを公式で確認
GoogleのAI関連プロダクトは名前が近すぎます。Gemini、Gemini API、Google AI Studio、Vertex AI、Gemini for Google Workspace。社内で「Geminiを試そう」という話になったとき、どれを指しているのか噛み合わないまま議論が進む場面は珍しくありません。
目次
厄介なのはその先です。無料で試せると聞いた担当者が使い始めたあと、顧客名や未公表の数値を貼っていいのかの判断が誰にも付かない。気づけば各自の裁量で使われている状態になります。
本記事では、Google AI Studioの定義を公式情報で確認できた範囲に整理し、混同されやすい4製品との違い、無料の範囲での入力データの扱い、本番環境へ移す境目までを扱います。仕様の確認日は2026年8月13日で、確認できなかった項目はそのまま書いています。生成AIの社内利用やルール整備を任されている、情報システム部門やDX推進、事業企画の担当者の方に向けた内容です。
どのプロダクトから触るかを決める段階で止まっているなら、この論点を先に通ってきた立場から判断軸をお渡しできます。
Google AI Studioとは、Geminiをブラウザで試して開発に移すための開発者向け環境です
Google AI Studioとは、GoogleのAIモデルGeminiをブラウザ上で試し、Gemini APIを呼び出すためのAPIキーや使用量をまとめて管理する開発者向けの環境です。公式ドキュメントはGeminiで作り始める最短の入口だと説明しています。画面はチャットに似ていますが、位置づけは業務アプリではなく開発の作業台に近いものです。
公式が示す役割は、試す、鍵を管理する、使用量を見るの3点です
Gemini APIのドキュメントは、Google AI Studioを「Test prompts, manage your API keys, monitor usage, and build prototypes」と紹介しています。プロンプトを試し、APIキーを管理し、使用量を監視し、試作を作る場所という説明です。
管理画面としての性質は他のページからも読み取れます。レート制限のページは現在の制限をAI Studioで確認するよう案内し、請求のページは使用量をダッシュボードで見ると書いています。プロンプトを試す場所と鍵を管理する場所が同じ画面に載っている構造が、あとで扱う統制の話に直結します。
入口はaistudio.google.comで、使える条件は18歳以上と対応地域です
現在の入口はaistudio.google.comです。以前使われていたmakersuite.google.comにアクセスすると、2026年8月13日の実測では302で転送され、aistudio.google.com/welcomeに着地しました。仕様のドキュメントはai.google.dev、Google Cloud側の文書はdocs.cloud.google.comに移っており、社内資料に古いURLが残っていると別の製品の説明に着地します。
利用条件は年齢と地域で決まります。公式の対応地域のページは、アクセスできない理由として地域制限、18歳未満であること、Googleアカウントで年齢確認が済んでいないことの3つを挙げています。リストには日本が含まれ、リストにない国や地域からはAgent Platform側のGemini APIを試すよう案内されるため、海外拠点がある場合は所在地ごとの確認が必要です。
規約上は業務目的の開発者向けで、消費者向けの利用は想定されていません
Gemini APIの追加利用規約には、用途をはっきり限定した一文があります。「Use of Google AI Studio and Gemini API is for developers building with Google AI models for professional or business purposes, not for consumer use」という記述です。
業務上の目的で開発する人向けであり、消費者としての利用は対象外だと書かれています。18歳未満がアクセスする可能性の高いサービスの一部としては使えないという制限も付きます。日常のアシスタントとして社員に配るツールではない、という線がここで引かれます。
参考:Available regions for Google AI Studio and Gemini API(公式ドキュメント)
関連記事:生成AIとは?仕組み・活用事例・リスク対策まで徹底解説【2025年版】
混同しやすい4つのGoogle製品は、想定利用者と契約の系統で見分けられます
Google AI Studioと名前が近い製品は、Geminiアプリ、Gemini API、Gemini Enterprise Agent Platform、Gemini for Google Workspaceの4つです。見分ける軸は機能ではなく、誰が使うために作られたものかと、どの契約の下に入るかの2点になります。
| 製品 | 想定される利用者 | 主な用途 | 入力データの扱い |
|---|---|---|---|
| Geminiアプリ | 個人 | 日常のアシスタント | 設定によりサービス改良に使われ、人によるレビューもあり得る |
| Google AI StudioとGemini API | 開発者 | 試作と自社アプリへの組み込み | 無償の範囲では製品改善に使われる。条件を満たすと有料サービス扱いになる |
| Gemini Enterprise Agent Platform | 企業の技術チーム | 本番運用とエージェントの統制 | 事前の許可なくモデルの学習に使わないと明記 |
| Gemini for Google Workspace | 業務アプリの利用者 | 文書やメールの中での支援 | 学習に使わず人のレビューもないと明記 |
GeminiアプリとWorkspace版は、学習に使うかどうかの記述が正反対です
同じGeminiという名前でも、個人向けのアプリとWorkspaceの契約下で動く機能では、入力データの扱いの書き方が逆になっています。片方は機密情報を入れないよう求め、もう片方は学習に使わないと約束しています。社内で許可の話をするときに、まず切り分けたい2つです。
Geminiアプリのプライバシーハブの日本語ページは、収集したデータの一部を人間のレビュアーがレビューすることがあると説明し、「レビュアーに見られたくない機密情報や、Google のサービス(機械学習技術など)の改良のために使用されたくない機密情報は入力しないでください」と明記しています。アクティビティの保存をオフにしても、応答の生成や保護の目的では人によるレビューを含めてチャットが使われると書かれています。
一方でGemini for Google Workspaceは、GmailやドキュメントなどWorkspaceのアプリの中で動くAI機能です。管理者向けヘルプのGeminiアプリの項目には「Includes enterprise-grade data Protection– your submissions aren’t used to train models and are not reviewed by humans」と記載され、送信した内容はモデルの学習に使われず人によるレビューも行われないと説明されています。
Gemini APIは自社アプリに組み込むためのAPIで、AI Studioはその管理画面を兼ねます
Gemini APIは、Geminiのモデルを自社のアプリケーションから呼び出すためのAPIです。公式ドキュメントはプロンプトから本番までの最短経路だと説明しています。
AI StudioとGemini APIは別物ですが、実務ではほぼ一体で使われます。AI Studioの画面でキーを発行し、同じ画面で使用量を見て、コードからはそのキーでAPIを呼ぶ流れです。画面操作とAPI経由の呼び出しは、規約上の扱いが別々に定義されています。
Gemini Enterprise Agent Platformは、旧Vertex AIが名前を変えた本番運用側のプラットフォームです
Vertex AIは2026年に名称が変わりました。2026年4月23日のGoogle Cloudブログは、新しいプラットフォームとしてGemini Enterprise Agent Platformを発表し、Vertex AIの進化版だと説明しています。同じ記事には「Moving forward, all Vertex AI services and roadmap evolutions will be delivered exclusively through the Agent Platform」とあり、今後Vertex AIのサービスとロードマップはこのプラットフォーム経由でのみ提供されると書かれています。
| 旧名称 | 新名称 |
|---|---|
| Vertex AI Platform | Gemini Enterprise Agent Platform |
| Vertex AI Studio | Agent Studio on Gemini Enterprise Agent Platform |
| Vertex AI API | Gemini Enterprise Agent Platform API |
| Vertex AI Search | Agent Search on Gemini Enterprise Agent Platform |
| Generative AI on Vertex AI | Generative AI on Gemini Enterprise Agent Platform |
URLの側でも移行が進んでいます。2026年8月13日の実測では、cloud.google.com/vertex-aiは301で製品ページへ、その配下のドキュメントはdocs.cloud.google.comへ転送されました。社内の稟議資料や比較表がVertex AI表記のままだと、公式ドキュメントを検索しても現行のページに当たりません。
参考:Gemini アプリのプライバシー ハブ(公式ヘルプ)
参考:Google Workspace with Gemini(公式ヘルプ)
参考:Introducing Gemini Enterprise Agent Platform(Google Cloud 公式ブログ)
参考:Gemini Enterprise Agent Platform name changes(公式ドキュメント)

入力したデータが学習に使われるかは、無料か有料かではなくアカウントの状態で決まります
Gemini APIの追加利用規約は、提供されるサービスを無償のUnpaid Servicesと有償のPaid Servicesに分け、無償の側では入力した内容と生成された応答をGoogleの製品改善に使うと明記しています。分かれ目は料金を払ったかどうかではなく、AI Studioについては使っているアカウントがどの状態にあるかで判定されます。規約の発効日は2026年3月23日です。
無償の範囲では製品改善に使われ、人によるレビューも行われます
無償で使う場合の扱いは規約に具体的に書かれています。提出したコンテンツと生成された応答を、Googleの製品、サービス、機械学習技術の提供と改善、開発に使うという記述で、企業向けの機能や製品も含まれると明示されています。
人によるレビューについても記載があります。人間のレビュアーがAPIの入力と出力を読み、注釈を付け、処理することがあるという内容です。レビュアーが見る前にGoogleアカウント、APIキー、Cloudプロジェクトからデータを切り離すとされ、そのうえで「Do not submit sensitive, confidential, or personal information to the Unpaid Services」と続きます。機密情報を無償の側に送らないよう規約本文で直接求められている形です。
AI Studioは無償でも、請求先アカウントかWorkspaceの法人契約があれば有料サービス扱いになります
ここが最も誤解されやすい部分です。規約のPaid Servicesの節には、AI Studioに限った条件が置かれています。「Your access to Google AI Studio is a “Paid Service” even when it is offered free of charge, as long as the account you are using to access Google AI Studio has access to a Cloud Project with an associated and active Cloud Billing account or is a Workspace enterprise account」という記述です。
| 利用の形 | 有料サービス扱いになる条件 |
|---|---|
| Google AI Studioの画面操作 | 有効なCloud請求先アカウントに紐づくプロジェクトにアクセスできるアカウント、またはWorkspaceのエンタープライズアカウントで使っている |
| Gemini APIの呼び出し | 有効な請求先アカウントに紐づいたCloudプロジェクトを通してアクセスしている |
つまり無料で使っているから学習に使われるという説明は、AI Studioについては正確ではありません。同じ画面でも、どのGoogleアカウントで入っているかで扱いが変わります。許可を出すなら、どのアカウントで入るかまで指定しないと意味を持ちません。
有料サービスの側は製品改善に使わず、欧州には例外規定があります
有料サービスの扱いも規約に書かれています。プロンプト、システム指示、キャッシュされたコンテンツ、画像や動画などのファイル、そして応答を製品改善には使わず、Googleがデータ処理者となる製品のデータ処理条項に従って処理するという記述です。ログは禁止利用ポリシーの違反の検出や法令上の開示のために限られた期間だけ記録され、Googleまたはその代理人が施設を持つ国で一時的に保存されたりキャッシュされたりする場合があると書かれています。国内保存を要件にするならここが出発点です。
地域による例外も2つあります。欧州経済領域、スイス、英国にいる利用者については、有料サービスのデータ利用の条項がAI Studioと無償枠を含むすべてのサービスに適用されます。さらにこれらの地域の利用者に向けてサービスを提供する場合は、有料サービスしか使えないと書かれています。欧州に拠点や顧客がある事業では、試作の段階から有料側を前提に設計するほうが手戻りが少なくなります。
社内ルールに落とすときは、入れてよい情報とアカウントを一緒に決めます
公式の記述をそのまま社内ルールに移すと、線引きは2段になります。公開情報と架空のデータだけで試すなら無償のまま触ってよく、顧客データや未公表の数値を入れるなら請求先アカウントを紐づけたプロジェクトを使う、という並びです。
線引きは文書を配るだけでは機能せず、誰のアカウントで入るかを確認できないと、規約上どちらの扱いなのかを誰も判断できないままです。AI導入とIT・DXで累計40社以上を支援してきた経験から、設定と規程の対応づけまで一緒に組み立てます。

料金は無料枠から段階的に上がり、公開されている数値とされていない数値があります
Google AI Studio自体の利用は、対応地域内では無償だと料金ページに明記されています。費用が発生するのはGemini APIの利用量で、請求履歴に応じた4段階の利用階層で上限とレート制限が変わります。以下の数値は2026年8月13日に確認したもので、料金ページの最終更新は2026年8月11日です。料金とレート制限は変更される場合があります。
AI Studioの利用は無償で、利用階層は請求履歴で4段階に分かれます
料金ページの注記には「Google AI Studio usage is free of charge in all available regions」という一文があります。プランの欄はFree、Paid、Enterpriseの3つで、Enterpriseは「powered by Gemini Enterprise Agent Platform」と説明され、専用のサポート窓口や高度なセキュリティとコンプライアンス、プロビジョンドスループットが含まれます。料金ページの構造自体が、法人の本番導線をAgent Platform側に置いています。
Gemini APIの利用階層はプロジェクト単位で決まり、支出と経過日数で自動的に上がります。
| 利用階層 | 条件 | 請求上限 |
|---|---|---|
| Free | 有効なプロジェクトまたは無料トライアル | 該当なし |
| Tier 1 | 有効な請求先アカウントを設定して紐づける | 250ドル |
| Tier 2 | 100ドル支払い済みで、初回決済から3日経過 | 2,000ドル |
| Tier 3 | 1,000ドル支払い済みで、初回決済から30日経過 | 20,000ドルから100,000ドル以上 |
注意したいのは判定の対象です。Tier 2とTier 3の条件は、Gemini APIだけでなく、そのプロジェクトに紐づいた請求先アカウントでのGoogle Cloudサービス全体の累計支出で判定されると書かれています。他の用途でGoogle Cloudを使っている組織なら、Gemini APIをほとんど使わなくても階層が上がります。
レート制限の具体値は公開されておらず、AI Studioの画面で見る前提になっています
レート制限のページには、無料枠の1分あたりのリクエスト数を示す表がありません。書かれているのは「Rate limits depend on a variety of factors (such as your usage tier) and can be viewed in Google AI Studio」という案内で、さらに「Specified rate limits are not guaranteed and actual capacity may vary」と、示された制限は保証されず実際の容量は変動しうると明記されています。無料枠の制限として1分あたり60リクエストという数値を挙げている解説を見かけますが、2026年8月13日時点の公式ドキュメントでは確認できませんでした。
制限は1分あたりのリクエスト数、1分あたりの入力トークン数、1日あたりのリクエスト数の3軸で測られ、どれか1つでも超えるとエラーになります。レート制限はプロジェクト単位で適用され、APIキー単位ではありません。同じプロジェクトのキーを複数の担当者に配ると、枠を分け合う形になります。
支出額に基づく別のレート制限と、モデルごとの単価があります
予想外の請求を防ぐため、10分間のローリングウィンドウで評価される支出額の制限も設けられています。この制限に達すると429のRESOURCE_EXHAUSTEDが返ります。あわせて主要モデルの単価を並べます。いずれもPaid Tierの100万トークンあたりの価格です。
| 利用階層 | 10分あたりの支出制限 |
|---|---|
| Free | 該当なし |
| Tier 1 | 10ドル |
| Tier 2 | 200ドル |
| Tier 3 | 200ドル |
主要モデルの単価は次のとおりです。いずれもPaid Tierの100万トークンあたりの価格です。
| モデル | 入力 | 出力(思考トークンを含む) | Free Tier |
|---|---|---|---|
| Gemini 3.5 Flash | 1.50ドル | 9.00ドル | 無償 |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | 0.30ドル | 2.50ドル | 無償 |
| Gemini 3.1 Pro Preview | 2.00ドル(20万トークン超は4.00ドル) | 12.00ドル(20万トークン超は18.00ドル) | 利用不可 |
Tier 1の10ドルという幅は、動画や画像の生成を含む処理では意外に早く届く水準です。単価の側では、Gemini 3.1 Pro PreviewのFree Tierが利用不可と書かれています。最上位のモデルは無料枠では試せないため、無料で触った印象だけで本番の性能を見積もると判断がずれます。価格の変更は掲載から30日後に有効になり、Agent Platform側の価格は異なる場合があるとも書かれています。
関連記事:Gemini APIの料金を徹底解説|他ツールの料金比較や導入方法まで徹底解説
プリペイド残高が0になると、同じ請求先の全プロジェクトのAPIキーが同時に止まります
有料への切り替えは、請求先アカウントを紐づけて最低10ドル分のクレジットを前払いする形が基本です。購入したクレジットは12か月で失効し、返金されないと書かれています。
運用上いちばん重い記述はここです。「When your Prepay credit balance on the billing account hits $0, all API keys in all projects linked to that billing account will stop working simultaneously」と明記されています。プリペイド残高が0になると、その請求先に紐づくすべてのプロジェクトのAPIキーが一斉に動かなくなります。請求処理には約10分の遅れがあるため超過が起こりうるとされ、バッチモードやエージェントのような長時間の処理は残高を超えて消費し続けることがあるとも書かれています。自動リロードの設定と、残高を見る担当を決める話が本番前に必要になります。
参考:Gemini Developer API pricing(公式ドキュメント)
商用利用はできますが、規約側にいくつかの制限が付きます
Gemini APIの追加利用規約は、生成された内容の所有権をGoogleが主張しないと明記した上で、用途と扱いに複数の制限を置いています。無償か有償かとは別の軸なので、社内で使い始める前に一度通して読む価値があります。
生成物の所有権は主張されませんが、同じ内容が他者に出る前提があります
生成物の扱いは短くまとまっています。オリジナルのコンテンツについてGoogleは所有権を主張しない、という記述が起点です。ここだけを読むと制約がないように見えますが、直後に置かれた一文が使い方を左右します。
ただし続きに条件が付きます。Googleが同一または類似のコンテンツを他者に対して生成する場合があり、その権利をすべて留保するという内容です。生成した文章や画像を自社固有の資産として扱う前提で設計すると、この一文と衝突します。
用途と安全設定の制限は、モデル開発と医療の2点で特に明確です
禁止されている用途も具体的に書かれています。サービスと競合するモデルを開発するために使ってはならないとされ、基礎になっているデータやモデル、パラメータの重みを含めたリバースエンジニアリングや抽出、複製も禁止です。自社でモデルを持つ計画があるなら、出力を学習データに使う設計がこの条項に触れないかを先に確認する必要があります。
もう1つは医療です。臨床実務での使用、医療上の助言の提供、医療機器の規制当局による承認を必要とする形での使用は認められません。あわせて、必要かつ適切な安全設定と事実確認のツールを決めるのは利用者側であり、制限の緩い安全設定のアプリケーションはGoogleによるレビューと承認の対象になる場合があると書かれています。
Google検索のグラウンディングには保存と再利用の制限が付きます
検索結果を根拠にした回答を返すGrounding with Google Searchには、独立した条項が置かれています。返される回答と検索候補について、キャッシュ、フレーム表示、シンジケート、再販、分析、学習が禁止され、プログラムでリンクを収集したりインデックスを作ったりする行為も違反として例示されています。保存が認められるのは、表示の評価と最適化のために回答のテキストを最長2年残す場合などに限られます。
料金の側にも違いがあります。料金ページではこの機能が多くのモデルのFree Tierで利用不可と書かれ、注記にAI Studioでは試せるとあります。Paid Tierでは月5,000件の検索リクエストまで無償で、超過分は1,000リクエストあたり14ドルです。検索を根拠にした回答を機能の中心に置くなら、無料枠での検証と本番の条件が一致しない点を織り込む必要があります。
エージェント機能は人の確認を自動で飛ばさないことが条件です
エージェント型のサービスについても条項があります。Computer Use APIを含むエージェント機能について、そのサービスが実行する動作とタスクの責任は利用者側にあるという内容です。
用途に対して適切かの判断、データやシステムへの接続の承認、本番環境で使う場合の監督が挙げられています。そして「You will not automatically bypass any requests for human confirmation」と、人の確認を求める要求を自動的に回避してはならないと明記されています。承認を挟まないエージェントを組む設計は、規約の側から止められている形です。
参考:Gemini API Additional Terms of Service(公式)

情報システム部門が許可を出すときに見るのは、APIキーとプロジェクトの管理です
Gemini APIのAPIキーは必ずGoogle Cloudプロジェクトに紐づくため、Google AI Studioの利用はGoogle Cloudのプロジェクト管理の外側では成立しません。この構造を押さえると、許可の条件はAI Studioを使わせるかどうかではなく、どのプロジェクトでキーを作らせるかの話に落ちます。
APIキーは必ずGoogle Cloudプロジェクトに紐づきます
公式ドキュメントは「Every Gemini API key is associated with a Google Cloud project」と書いています。プロジェクトが請求、共同編集者、権限を管理し、AI Studioはそれらのプロジェクトにアクセスする軽量なインターフェースを提供するという説明です。新規利用者には規約に同意した時点で既定のプロジェクトとキーが自動で作られ、既にGoogle Cloudのアカウントを持っている場合は自動で作られず、使いたいプロジェクトを取り込む操作が必要になります。
2026年9月に標準キーが拒否されるため、移行期限があります
APIキーには標準キーと認可キーの2種類があり、Gemini APIは認可キーへの移行を進めています。標準キーは請求とクォータのためにリクエストをプロジェクトに結びつけますが、呼び出し元を識別しないため権限とアクセス制御の細かさに限りがあります。認可キーはGoogle Cloudのサービスアカウントに直接ひも付き、その識別情報でリクエストが処理されます。
移行のスケジュールも明記されています。AI Studioで新しく作るキーはすべて認可キーになり、制限のない標準キーからのリクエストは既に拒否されます。そして「On September 2026: the Gemini API will reject requests from Standard keys」と、2026年9月に標準キーからのリクエストが拒否されると書かれています。認可キーでのリクエストはサービスアカウントの使用状況の指標に記録されないという注記も付きます。
キーの作成にはIAM権限が必要で、権限がない場合の抜け道も案内されています
キーの作成には権限が必要です。権限がないという表示が出る場合、プロジェクトまたは組織の管理者に次の権限を含むロールの付与を依頼するよう案内されています。
- resourcemanager.projects.get でプロジェクトの検証を許可する
- apikeys.keys.create でキーの生成を許可する
- serviceusage.services.enable でGenerative Language APIを有効化する
- iam.serviceAccounts.create でサービスアカウントを作成する
- iam.serviceAccountApiKeyBindings.create でキーとの紐づけを行う
統制の観点で見落とせないのは、この直後に書かれている一文です。管理者のアクセス権が得られない場合は、組織に属さない新しいGoogle Cloudプロジェクトを作ってキーを発行できると案内されています。組織側のプロジェクトを締めても、個人のアカウントで組織外のプロジェクトを作れば利用できてしまいます。キーの発行場所を指定するルールと、どのGoogleアカウントで入るかの管理を組み合わせる必要があります。
公式に見つけられなかった項目は、契約前に確かめる項目にします
公開情報では埋まらなかった点も残りました。次の5項目は2026年8月13日時点で一次情報にたどり着けなかったもので、いずれも社内の許可を出すかどうかに直接関わります。空欄のまま進めず、確認先を決めておく対象です。
| 確認したかった項目 | 確認できた範囲 |
|---|---|
| AI Studioの画面利用だけを組織単位で止める管理者向け設定 | 記載を確認できない |
| 無料枠の1分あたりのリクエスト数などの具体値 | 公式ドキュメントは数値を示さず、AI Studioの画面で確認する案内のみ |
| Gemini Developer APIの稼働率を保証するSLA | Gemini Developer APIを対象としたSLAの記載を確認できない |
| 組織の管理者が誰のどのプロンプトかを確認する手段 | 記載を確認できない |
| AI Studioでの利用が有料サービス扱いになっているかを画面上で確認する方法 | 記載を確認できない |
確認できないと書いた欄は、その仕組みが存在しないという意味ではなく、公開情報では裏が取れなかったという意味です。導入前の質問リストに入れて、営業窓口やサポートに直接確かめてください。
参考:Using Gemini API keys(公式ドキュメント)
関連記事:Claude Code企業導入の全手順:成果を出し続ける組織運用の設計とは?
規約側の制限を読み違えると、作ったものを後から差し替えることになります。用途と安全設定の線引きをどう置くか、malnaと詰められます。
試作をAI Studioで止め、本番をAgent Platformに移す境目は、契約要件で決まります
Google AI StudioからGemini Enterprise Agent Platformへ移る判断は、処理量や機能の不足ではなく、データの扱い、対象地域、稼働保証、監査の要件で決まります。Gemini APIのドキュメントは、企業向けの統制が必要でない限り多くの開発者はGemini Developer APIを使うべきだと書いています。裏を返せば、統制が必要になった時点が移る時期です。
移行の引き金になるのは、機能ではなく要件です
引き金になる条件は次のように並びます。処理量が増えたからではなく、要件が1つ増えたときに移る形です。試作の規模を基準にすると判断が遅れるため、要件の側で線を引いておくほうが動きやすくなります。
| 満たしたい要件 | 置き場所 |
|---|---|
| 公開情報と架空データだけで試す | AI Studioの無償の範囲で足りる |
| 顧客データや未公表の数値を入れる | 請求先アカウントを紐づけて有料サービス扱いにする |
| 欧州経済領域、スイス、英国の利用者に提供する | 規約上、有料サービスが前提になる |
| データを保存させないことを要件にする | Agent Platform側でゼロデータ保持の条件を満たす設計にする |
| 稼働率の保証と財務クレジットを要件にする | Google CloudのSLAが付く側に移す |
| 監査ログとアクセス制御を要件にする | Agent Platformの統制機能を使う |
Agent Platform側の統制機能としては、エージェントごとに固有の識別情報を与えるAgent Identity、ツール呼び出しを統制するAgent Gateway、組織内のエージェントを一覧するAgent Registryなどが挙げられています。
学習に使わない約束の書き方が変わります
Agent Platform側のデータの扱いは、AI Studioの有料サービスとは別の文書で定義されています。ゼロデータ保持のページには、事前の許可または指示なしにモデルの学習やファインチューニングにデータを使わないと書かれ、正式版になる前のモデルも対象に含まれるとされています。
ただしデータが一切残らないわけではありません。ゼロデータ保持を達成するには利用者側の操作が必要だと明記され、対象になる場面が挙げられています。
- 不正利用の監視のためのプロンプトのログは、例外の申請が必要になる
- Google検索のグラウンディングは最長3日のログ保存が発生し、無効にする手段はない。ゼロデータ保持が要件ならWeb Grounding for Enterpriseの利用が推奨されている
- リクエストとレスポンスのログはモデルとプロジェクト単位で既定は無効。有効にするとBigQueryのテーブルに書き込まれる
- Interactions APIはstoreを指定しないと既定がtrueになるため、明示的にfalseにする必要がある
データを残さないと要件に書くだけでは足りず、どの機能を使うかまで含めて設計する話になります。
書き換えるのは認証で、SDKとコードはほぼそのまま使えます
移行時に変わるものの1つが認証です。公式の移行ガイドは、Google Cloudのサービスアカウントを使って認証する必要があると書いています。一方でコードの変更は小さく、両者はどちらも統合されたGoogle Gen AI SDKからアクセスでき、違いはクライアントを初期化するときの指定だけです。
作り直しが必要になるものもあります。Google AI Studioで作成したチューニング済みモデルは移行先で再度学習させる必要があると明記され、サポートされるリージョンが両者で異なる場合があるという注意も付きます。試作は素のモデルとプロンプトの範囲にとどめるほうが、乗り換えの負担が軽くなります。移行の重さはコードではなく、権限設計、監査の要件、リージョンの選定といった周辺の作業に出ます。
SLAで公式に確認できたのは、対象サービスと稼働率の一覧です
稼働保証はGoogle Cloud側にあります。2026年8月13日時点でSLAページのタイトルはVertex AI Platform Service Level Agreementの表記のままで、対象サービスと月間稼働率は次のように記載されています。
| 対象サービス | 月間稼働率 |
|---|---|
| Training、Deployment、Batch Prediction | 99.9%以上 |
| AutoML TabularとAutoML Imageのオンライン予測(2ノード以上に配置) | 99.9%以上 |
| AutoML Text Languageのオンライン予測 | 99.9%以上 |
| カスタムモデルのオンライン予測(2ノード以上に配置) | 99.5%以上 |
| Vertex Pipelines | 99.5%以上 |
| トレーニングクラスタのコントロールプレーンAPI | 99%以上 |
ダウンタイムはエラー率が5%を超えた状態として定義され、稼働率と財務クレジットは暦月単位でプロジェクトごとに判定されます。生成AIのオンライン推論を名指しした行は、この表では確認できませんでした。稼働保証を要件に置くなら、対象範囲を契約の段階で個別に確かめる必要があります。
参考:Gemini Developer API vs. Gemini Enterprise Agent Platform(公式ドキュメント)
参考:Agent Platform overview(公式ドキュメント)
参考:Gemini Enterprise Agent Platform and zero data retention(公式ドキュメント)
参考:Vertex AI Service Level Agreement(公式)
関連記事:Claude APIとは何か?使い方・導入手順・料金比較をわかりやすく解説!
よくある質問
Google AI Studioを調べたあとに残りやすい疑問を5つ整理しました。料金、データの扱い、Geminiアプリとの違い、Vertex AIの現在の名称、無料枠のレート制限の順に扱います。回答は公式情報で確認できた範囲にとどめています。
Google AI Studioは無料で使えますか
使えます。Gemini APIの料金ページには、対応しているすべての地域でGoogle AI Studioの利用は無償だと記載されています。費用が発生するのはGemini APIの利用量です。利用には18歳以上であることと、対応地域からのアクセスが条件になります。
Google AI Studioに入力したデータはAIの学習に使われますか
無償で使う場合は使われます。追加利用規約は、無償のサービスでは提出した内容と生成された応答を製品や機械学習技術の改善に使うと明記し、機密情報を送らないよう求めています。ただし有効なCloud請求先アカウントに紐づくプロジェクトを使えるアカウント、またはWorkspaceのエンタープライズアカウントで使う場合は有料サービス扱いになります。
Google AI StudioとGeminiアプリは何が違いますか
想定されている利用者が違います。追加利用規約は、Google AI StudioとGemini APIの利用が業務上の目的で開発する人向けであり、消費者としての利用は対象外だと明記しています。個人向けのAIアシスタントであるGeminiアプリのほうは、プライバシーハブが機密情報の入力を控えるよう案内する立場です。
Vertex AIは今どういう名前になっていますか
Gemini Enterprise Agent Platformです。2026年4月23日のGoogle Cloudブログは、Vertex AIの進化版として同プラットフォームを発表し、今後Vertex AIのサービスとロードマップはAgent Platform経由でのみ提供されると書いています。公式ドキュメントには旧名称と新名称の対応表が用意されています。
無料枠のレート制限は1分あたり何回までですか
2026年8月13日時点の公式ドキュメントでは、具体的な数値を確認できませんでした。レート制限のページは、制限が利用階層などの要因で変わるためGoogle AI Studioで確認するよう案内し、示された制限は保証されず実際の容量は変動しうると明記しています。制限はプロジェクト単位で適用されます。
まとめ
Google AI Studioとは、GoogleのAIモデルGeminiをブラウザ上で試し、Gemini APIのキーと使用量を管理する開発者向けの環境です。対応地域内では無償で使え、規約上は業務目的の開発者向けとされています。
法人で使うなら、押さえる順番は3つです。名前が近い4製品のうちどれの話をしているかを揃えること。入力データが学習に使われるかが料金ではなくアカウントの状態で決まる点を理解すること。そして、データの扱いや対象地域、稼働保証、監査の要件が1つでも立った時点でGemini Enterprise Agent Platformへ移す設計にしておくことです。
許可を出す側から見れば、AI Studioを使わせるかどうかより、どのGoogleアカウントとどのプロジェクトでキーを作らせるかを決めるほうが実効性があります。2026年9月に標準キーが拒否される点も、移行計画に入れておく項目です。判断軸の整理から社内規程への落とし込みまで含めて進めたい段階でしたら、戦略の立案から実行、内製化までを伴走する形でご一緒できます。進め方を相談するところから始められます。
関連記事:Claude Code徹底活用:非エンジニアのためのAI入門ガイド
AIを使える人材が社内にいない場合
無料で試せることはわかった。でも、その先の本番に載せ替える段取りを引ける人が社内にいない。
データの扱いや対象地域の要件が1つ立った時点で置き場所を移す設計は、決めた人が手を動かして初めて形になるのではないでしょうか。malnaでは、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。
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