2026.09.28

AI

林業のAI活用方法!届出や報告書・安全教育資料の作成を効率化

林業の事業体では、山での作業と同じくらい、届出や報告、日報、補助事業の申請といった書類の仕事が積み重なっていきます。人手が限られるなか、現場の責任者が日が暮れてから事務所で書類をまとめている事業体も少なくありません。

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伐採や造林をどう進めるかという判断は人が持ったまま、その前後で発生する書類の下書きと整理をAIに任せれば、現場に戻る時間を増やせます。

本記事では、林業で書類の仕事が重くなっている理由と、伐採の前後で求められる届出を確認したうえで、時期別にAIに任せやすい書類と、安全に関わる資料の扱い方、始める前に決めておくことを解説します。森林組合や林業事業体の経営者、事務担当者、現場の責任者の方に向けた内容です。

どの時期の書類から手を付けるかは、年間の作業の組み方で変わります。malnaへの問い合わせで、今いちばん締め切りに追われている書類を教えていただければ、そこから整理を始められます。

林業で書類の仕事が重くなっている理由

林業で書類の仕事が重く感じられる背景には、担い手の少なさと、新しく入った人に仕事を引き継ぐ手間の大きさがあります。

少ない人数で現場と事務を回している

林野庁の令和7年度森林・林業白書によると、令和2年の林業従事者数は4.4万人です。令和6年度に「緑の雇用」事業を活用して新たに就業した人は708人で、令和4年度にこの事業を活用して就業した人の3年後の定着率は73.2%と示されています。

限られた人数で山の作業と書類の仕事をこなす事業体では、ベテランが覚えている書類の書き方や手続きの流れを、新しく入った人に伝える時間すら取りにくいのが実情です。

安全に関わる記録と教育が欠かせない

同じ白書では、令和6年の林業の死傷年千人率は23.3で、全産業平均の2.3の約10倍と示されています。死傷年千人率は、働く人1,000人あたり、1年間に労働災害で亡くなったり4日以上仕事を休んだりした人の数です。林業の事業体にとって、安全作業の手順を伝える教育や、日々の作業の記録は欠かせない仕事です。

こうした資料は、現場を知る人にしか中身を書けません。その一方で、文章の形に整える作業には時間がかかります。AIが入り込めるのは、この「整える」部分です。

参考:令和7年度 森林・林業白書 第1部 第2章 第1節 林業の動向(3)

伐採の前後で必要になる届出と報告

森林の立木を伐採する場合、森林法にもとづく「伐採及び伐採後の造林の届出」が求められます。AIに書類を任せる前に、どの時期に何を出すのかを並べておくと、手を付ける順番が決めやすくなります。

林野庁の案内では、伐採を始める90日前から30日前までの間に、伐採及び伐採後の造林の計画を、森林が所在する市町村の長に届け出るとされています。伐採を完了した日から30日以内に伐採に係る森林の状況を、造林を完了した日から30日以内に伐採後の造林に係る森林の状況を報告することも示されています。

時期 必要になる手続き 提出先
伐採を始める90日前から30日前まで 伐採及び伐採後の造林の計画の届出 森林が所在する市町村の長
伐採を完了した日から30日以内 伐採に係る森林の状況の報告 同上
造林を完了した日から30日以内 伐採後の造林に係る森林の状況の報告 同上

様式や記載の細かな決まりは市町村によって運用が異なる場合があるため、実際の提出は届出先の市町村の案内に従ってください。

参考:伐採および伐採後の造林の届出等の制度(林野庁)

時期別に見たAIに任せやすい書類

AIに任せやすいのは、中身を決めるのは人でも、形を整えるのに時間がかかる書類です。伐採の前、作業期間中、伐採・造林の後、通年の4つの時期に分けて整理します。

時期別に見たAIに任せやすい書類

伐採の前 届出書と計画の下書き

伐採の計画が固まった段階で、森林の所在、伐採の方法や時期、伐採後の造林の計画といった情報を渡せば、届出書の記載項目に沿った下書きを作らせることができます。過去に提出した届出書を参考として渡しておくと、事業体ごとの書き方にも合わせやすくなります。

伐採の方法や造林の計画といった届出の中身は、現場の責任者が決める事項です。AIが担うのは、決めた内容を様式の形に並べるところまでにとどめます。

作業期間中 作業日報と関係者への連絡

作業期間中は、日ごとの作業内容、人数、進み具合を記録する作業日報や、森林所有者・発注者・木材の出荷先への連絡が続きます。現場の責任者が話した内容や走り書きのメモを渡して、日報の形に整えさせたり、連絡文の下書きを作らせたりできます。

天候で作業が止まった日の連絡や、予定が前後したときの説明など、状況に応じて書き分けたい文面も、状況を一言伝えるだけで型をそろえられます。

伐採・造林の後 状況報告と所有者への報告書

伐採や造林を終えたあとは、市町村への状況報告に加えて、森林所有者に向けた作業完了の報告書を作ることもあります。作業日報の記録をまとめて報告書の下書きにする作業は、AIに向いた仕事です。

期日のある報告は、作業が終わった日から数えて30日以内といった締め切りが決まっています。報告の下書きを早めに用意しておけば、確認と提出に時間を回せます。

通年 補助事業の申請と新人向けの資料

森林整備などの補助事業に申請する場合は、事業計画をはじめとする書類が必要になります。過去の申請書類や、自治体・森林組合から受け取った記入例を渡しておけば、申請書のたたき台を作る時間を短くできます。制度の要件は年度ごとに変わることがあるため、申請内容は担当の窓口で必ず確認します。

新しく入った人に向けて、仕事の流れや事務所のルール、書類の出し方をまとめた資料を作るのも、通年で取り組めるAIの使い道です。ベテランに話してもらった内容を整理させれば、口頭で伝えていたことを紙に残せます。

関連記事:農業のAI活用事例を紹介!導入の進め方と注意点も解説

安全に関わる資料はAIで下書きし、現場で確かめる

安全作業の手順書や教育資料は、AIで下書きを作ることはできても、中身が正しいかどうかは現場を知る人が確かめる必要があります。

ベテランが説明する作業の順番や、危ない場面での判断の仕方を録音やメモで残し、AIに手順書の形に整えさせる使い方は、口頭の教えを紙に残す助けになります。新しく入った人が読み返せる資料が増えれば、教える側の負担も分散できます。

ただ、AIは現場の地形も機械の状態も知りません。整えられた手順書に、実際の作業と違う順番や抜けている注意点がないかを、現場の責任者が必ず確認してから使います。AIの下書きをそのまま教育に使うことはしません。

安全に関わる判断や手順の正しさは、AIではなく人が責任を持つ部分として、社内ではっきり分けておくことが欠かせません。

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人が判断する範囲とAIに任せる範囲

林業の書類にAIを使う場合でも、伐採や造林の計画、安全に関わる判断、提出する内容の最終確認は、人が担います。

書類 AIに任せてよい範囲 人が決める範囲
伐採届・状況報告 決めた内容を様式に並べた下書き 伐採の方法・造林の計画・提出内容の確認
作業日報・連絡 メモを日報や連絡文の形に整える 記録する事実の確認・関係者との約束
補助事業の申請 申請書のたたき台 要件の確認・提出前の最終確認
安全の手順書・教育資料 話した内容の整理 手順の正しさ・現場での安全判断

どの書類でも、AIの役目は形を整えるところまでです。中身を決め、確かめ、提出する責任は、これまでどおり人が持ちます。

始める前に決めておく3つのこと

林業の書類にAIを使い始める前に、入力してよい情報、確認する人、ひな形の置き場所の3つを決めておくと、使い方がぶれにくくなります。

始める前に決めておく3つのこと

入力してよい情報の範囲

森林所有者の氏名や住所、取引の金額など、外に出したくない情報をAIツールにどこまで入力してよいかを先に決めます。名前や金額を記号に置き換えてから下書きを作らせるといった手順を、決まりとして残しておくと安心です。

下書きを確認する人

AIの下書きを誰が確認してから提出・送付するかを、書類の種類ごとに決めておきます。届出や報告、安全の資料は、現場の責任者が確認する書類として分けておきます。

ひな形と過去の書類の置き場所

AIに参考として渡す過去の届出書、日報、報告書のひな形を、事務所の誰もが取り出せる場所にまとめておきます。担当者の手元にしかない書類を一か所に集めることは、AIを使う準備であり、そのまま引き継ぎの準備にもなります。

よくある質問

林業でAIを使うなら、最初にどの書類から試すのがよいですか?

作業日報や関係者への連絡のように、毎日のように発生して形がある程度決まっている書類から試すのがよいでしょう。慣れてきたら、締め切りのある届出や報告の下書きに広げていきます。

伐採届をAIに書かせても大丈夫ですか?

決めた内容を届出書の様式に並べる下書きまではAIに任せられます。伐採の方法や造林の計画といった届出の中身は現場の責任者が決め、提出前の確認と届出先の市町村の案内に沿った確認を人が行う必要があります。

安全教育の資料をAIで作ってもよいですか?

ベテランが話した内容を手順書の形に整える下書きには使えます。ただし、手順の正しさや抜けている注意点がないかは、現場の責任者が必ず確認してから教育に使います。

小さな事業体でも取り組めますか?

取り組めます。1つの書類から試し、入力してよい情報と確認する人を決めておけば、大きな準備がなくても始められます。

まとめ

林業のAI活用は、伐採や造林の判断ではなく、伐採の前後で発生する届出と報告、作業日報、補助事業の申請、新人向けの資料や安全の手順書といった書類の下書きから始めるのが現実的です。書類の中身を決め、安全に関わる手順の正しさを確かめるのは人という線を保ったまま、入力してよい情報、確認する人、ひな形の置き場所を決めてから始めましょう。

年間の作業予定と書類の締め切りを1枚に並べてみると、どこでAIの下書きが効くかが見えてきます。並べたものをmalnaへの問い合わせに添えていただければ、具体的な使い方の話から入れます。

AIを使える人材が社内にいない場合

書類をどの時期から軽くするかは決められた。でも、山に出ている間に事務所の仕組みを整えてくれる人がいない。

現場と事務の両方を少人数で抱える事業体ほど、新しい道具の使い方を決める役まで手が回りにくいものです。malnaでは、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。

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執筆者情報

malnaブログ編集部

writer malnaブログ編集部 webマーケター / データアナリスト
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