Claude Codeで提案資料作成を自動化した方法

はじめに

「提案資料、また一から作るのか……」

クライアントとの商談を終えた後、こんなため息をついたことはありませんか? 商談で話した内容を思い出しながら、過去の提案書を引っ張り出し、PowerPointやGoogleスライドを開いて構成を考える。デザインのトンマナを既存資料に合わせ、文言を調整し、数字を入れ替える。この一連の作業に…。この作業に、毎回2〜3時間かかっているという方は多いのではないでしょうか。

当社malna(マルナ)でも、コンサルティング案件ごとに提案資料を作成する場面は日常的にあります。恥ずかしながら、以前は商談のたびにゼロベースで資料を組み立てており、メンバーによって品質やトンマナにバラつきが出てしまうことも少なくありませんでした。

そこで取り組んだのが、Claude Codeに「商談録画」「提案の方向性」「提案資料のトンマナ」を読み込ませて、提案資料のたたき台を自動生成する仕組みです。本記事では、その具体的な方法と実際の運用フローをご紹介します。

なぜClaude Codeなのか? チャットAIとの決定的な違い

ChatGPTやClaudeのチャット版でも「提案資料を作って」とお願いすれば、それらしい文章は出てきます。しかし、実務で使おうとすると以下の壁にぶつかります。

  • 商談の文脈が入らない: 会議録画や議事録を丸ごと読み込ませるにはコンテキストが足りない
  • トンマナの再現が難しい: 既存資料のデザイン方針や言い回しの統一が取れない
  • ファイル操作ができない: 生成したテキストをスライドに落とし込む作業は結局手動

Claude Codeはこれらの課題を根本的に解決します。MCPサーバーを通じてGoogle DriveやFigmaと直接連携できるため、既存の提案資料を読み取ってトンマナを学習し、商談録画の文字起こしを分析し、スライドのコンテンツまで一気に生成することが可能です。

つまり、Claude Codeは単なる「文章生成ツール」ではなく、外部のデータソースにアクセスし、ファイルを読み書きし、一連の業務フローを自律的に実行できる「AIエージェント」として機能します。この違いが、提案資料の自動化において決定的に重要なポイントです。

提案資料自動生成の全体像

この仕組みは、大きく3つのインプットと1つのアウトプットで構成されています。

インプット

  1. 商談録画(文字起こし):クライアントの課題・要望・温度感を把握する
  2. 提案の方向性:社内で決めた戦略・提案骨子をCLAUDE.mdに定義する
  3. 提案資料のトンマナ:既存の提案テンプレートをGoogle Driveから読み込む

 

アウトプット

  • 提案資料のコンテンツ(テキスト+構成):Google SlidesやFigmaに流し込める形式で出力

Step 1:商談録画をClaude Codeに読み込ませる

商談録画の活用には、まず文字起こしが必要です。ZoomやGoogle Meetの録画をtl;dv・Otter.ai・Notta・Whisperなどで文字起こしし、テキストファイルとして保存します。

プロンプト例

meetings/

├── 2026-03-01_clientA_kickoff.txt

├── 2026-02-25_clientB_followup.txt

└── …

Claude Codeはプロジェクトディレクトリ内のファイルを直接読めるため、商談の文字起こしを配置するだけで参照できます。さらに、CLAUDE.mdに以下のような指示を書いておくことで、商談内容の分析精度が上がります。

プロンプト例

## 商談録画の読み取りルール

– クライアントの「課題」「要望」「意思決定基準」を抽出すること

– 競合への言及があれば必ず記録すること

– 温度感(前向き / 慎重 / 懐疑的)を判定すること

– 予算・スケジュールに関する発言を優先的にピックアップすること

こうしておくと、Claude Codeは商談録画から提案に必要な情報を構造的に抽出してくれます。

実際に試してみると、1時間の商談録画であっても、数分でクライアントの主要な課題と要望が整理された状態で出力されます。人間が議事録をまとめるのと違い、発言の抜け漏れがないのも大きなメリットです。

Step 2:提案の方向性をCLAUDE.mdで定義する

CLAUDE.mdは、Claude Codeの「業務マニュアル」のような役割を果たすファイルです。ここに提案の方向性や社内のナレッジを定義することで、毎回の指示を最小限に抑えられます。

プロンプト例

## 提案資料の基本方針

– 当社の強みは「戦略設計 × 実行支援」の一気通貫であること

– 提案は必ず「課題整理 → 戦略提案 → 施策詳細 → スケジュール → 費用」の順で構成

– クライアントの業界に合わせた事例を必ず1つ以上入れる

– 競合との差別化ポイントを明確にする

プロンプト例

## 提案資料の構成テンプレート

  1. 表紙
  2. アジェンダ
  3. 現状の課題整理(商談ヒアリング内容ベース)
  4. 提案の全体像
  5. 具体的な施策(3〜5つ)
  6. 想定スケジュール
  7. 費用感
  8. 当社の支援実績
  9. ネクストステップ

ポイントは、テンプレートの「型」だけを定義し、中身は商談録画から自動で埋める設計にすることです。これにより、案件ごとにカスタマイズされた提案資料が効率よく生成されます。

また、クライアントの業界や課題パターンごとに方針を分岐させることも可能です。たとえば「BtoB SaaS向け」と「店舗ビジネス向け」で訴求ポイントや事例を出し分けるような設計をCLAUDE.mdに書いておけば、Claude Codeが自動で判断して適切な構成を選んでくれます。

Step 3:トンマナをGoogle Driveから読み込む

提案資料の品質を左右するのが、トーン&マナー(トンマナ)の統一です。Claude CodeにはGoogle Workspace MCPを接続できるため、Google Driveに保存された既存の提案資料を直接読み取れます。

プロンプト例

# Google Workspace MCPの接続

claude mcp add google-workspace — uvx workspace-mcp

接続後、CLAUDE.mdに以下のように記述します。

プロンプト例

## トンマナの参考資料

– Google Drive フォルダ「提案資料テンプレート」内の最新3件を参照

– 以下のルールを厳守すること:

  – 敬体(ですます調)で統一

  – 断定的な表現は避け「〜と考えています」「〜が有効です」を使用

  – 箇条書きを多用し、1スライド1メッセージを徹底

  – グラフや図表には必ずキャプションをつける

  – フォントサイズ・配色は既存テンプレートに準拠

既存の提案資料を「お手本」として読み込ませることで、社内で暗黙知になっていたデザインルールや表現のクセまでClaude Codeが学習し、一貫性のある資料を生成できるようになります。

Step 4:スキルで一発生成する

ここまでの設定が整ったら、あとはClaude Codeのスキル(カスタムスラッシュコマンド)を定義して、ワンコマンドで提案資料を生成できるようにします。

 

<!– .claude/commands/create-proposal.md –>

商談録画ファイル「$ARGUMENTS」を読み込み、以下の手順で提案資料を生成してください。

 

  1. 商談録画から「課題」「要望」「予算感」「スケジュール」を抽出
  2. CLAUDE.mdの提案構成テンプレートに沿って各スライドのコンテンツを生成
  3. Google Driveのトンマナ参考資料を読み取り、表現を調整
  4. output/proposals/ に Markdown形式で出力

 

実行は以下のコマンドだけです。

プロンプト例

/create-proposal meetings/2026-03-01_clientA_kickoff.txt

これで、商談の内容を反映した提案資料のたたき台が数分で生成されます。

なお、スキルの中で複数のステップを順番に実行させることで、単純なテキスト生成ではなく「調査 → 分析 → 構成 → 執筆」という一連のワークフローを自動化できるのがClaude Codeの強みです。必要に応じてFigma MCPやGoogle Slides APIと連携すれば、スライドへの流し込みまで自動化することも視野に入ります。

導入してみて感じた3つの変化

1. 作成時間が2〜3時間から30分に短縮された

提案資料のたたき台を作るのに以前は2〜3時間かかっていましたが、この仕組みを導入してからは30分程度で初稿が完成するようになりました。

具体的には、ある製造業クライアント向けの提案では、1時間の商談録画から課題を抽出し、9枚構成のスライドコンテンツを生成するまでに約20分。その後の人手による微調整に10分ほどで、合計30分で提案資料の初稿が仕上がりました。以前は同規模の提案に3時間近くかかっていたことを考えると、約80%の工数削減です。

もちろん最終的な微調整は人の手で行いますが、ゼロから考える負担がなくなったのは大きいと感じています。

2. 提案のクオリティが安定した

メンバーごとに資料の品質にバラつきがあった課題が、トンマナの統一によって解消されました。

導入前は、同じクライアントへの提案でも担当者によって「ですます調」と「である調」が混在したり、スライドの構成順序がバラバラだったりすることがありました。導入後は、CLAUDE.mdで定義した構成テンプレートとGoogle Driveから読み込んだトンマナが基準になるため、誰が作っても同じ品質ラインを保てるようになっています。特に新しいメンバーが提案資料を作る際に、過去の良い資料のエッセンスを自動的に引き継げる点が効果的です。

3. 商談のヒアリング内容が資料に直結するようになった

以前は商談中のメモを頼りに資料を作っていたため、「あのとき何て言ってたっけ?」という場面がよくありました。録画の文字起こしをそのまま読み込ませることで、クライアントの発言をベースにした、より的確な提案ができるようになったと感じています。

たとえば、商談中にクライアントが「競合のA社はここまでやってくれている」と言及していた場合、以前ならメモから漏れてしまうこともありました。文字起こしベースなら発言が丸ごと残っているため、競合との差別化ポイントを提案資料に確実に盛り込めます。

導入時の注意点

この仕組みを導入する際に、いくつか気をつけたいポイントがあります。

  • 文字起こしの精度: 音声認識の精度が低いと、抽出される情報の質も下がります。重要な商談はtl;dvやOtterなど精度の高いツールを使うことをおすすめします
  • CLAUDE.mdのメンテナンス: 提案の方向性や社内ルールが変わったら、CLAUDE.mdも必ず更新してください。古い情報のままだと、ズレた提案が生成されてしまいます
  • 最終チェックは人の目で: あくまで「たたき台」を高速に作る仕組みです。クライアントに出す前には、必ず担当者がレビューを行いましょう
  • 機密情報の取り扱い: 商談録画には機密性の高い情報が含まれることがあります。ファイルの管理やアクセス権限には十分注意してください

さいごに

提案資料の作成は、コンサルティング業務のなかでも特に時間と労力がかかる作業です。Claude Codeを活用することで、商談録画の分析からトンマナの反映、構成の生成までを一気通貫で効率化できるようになります。

当社でもまだ改善を重ねている段階ですが、この仕組みの導入によって、メンバーが「資料作成」ではなく「提案の中身を考えること」に時間を使えるようになったのは、大きな変化でした。

自社でも提案資料の効率化に取り組みたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。Claude Codeの導入支援やコンサルティング業務のAI活用について、当社の知見をもとにサポートさせていただきます。

また、malna株式会社では、未来の仲間を随時募集しています。AI × コンサルティングの最前線で一緒に挑戦してみたいという方は、カジュアルに面談の時間をいただけますと幸いです。

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執筆者情報

甲斐 聖史

writer 甲斐 聖史 consultant
マーケティング全般の支援業務を担当。広告運用(リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告)、SEO対策、SNS運用、SFA/CRM/MA導入・運用(Salesforce系/Hubspot系)、Google Analyticsを活用した成果分析、ウェビナー運用、メルマガ配信など幅広い業務を担当。
2020年よりmalna株式会社に参画し、2024年からは取締役に就任。スタートアップ企業を中心に多くの事業でマーケティング基盤の構築と成果改善に貢献。
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