2025.05.01

AI

【最新版】AIエージェントとは?種類・活用事例まで徹底解説

AIエージェントは「話し相手」ではなく「仕事を進める仕組み」です。自社でも作れるのか、どこから手をつければよいのか、途中で止まらずに運用へ載せるには何が要るのか。基本の考え方から作り方の手順、自社だけで完結できるかの見極めまでを、公式ドキュメントと公的調査を出典に整理します。

目次

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AIエージェントとは

AIエージェントとは、目的を受け取ったあと、手順の判断とツールの実行までを自分で進めるソフトウェアシステムです。従来の単一機能のAIツールとは異なり、目標設定から実行、結果の評価までを一連のプロセスとして扱います。複数のAI機能を組み合わせ、ユーザーの意図を理解しながら適切なアクションを取ることができます。

ただし、この言葉の定義は提供元によって幅があります。同じ「AIエージェント」でも、どこまでを含めるかは各社の説明で揃っていません。

出典定義の要旨
AnthropicLLMが自分のプロセスとツール利用を動的に指揮し、タスクの進め方を自ら制御するシステム。あらかじめコードで決めた経路をたどる「ワークフロー」とは区別する
OpenAIユーザーに代わってタスクを自律的に完了させるシステム。LLMを組み込んでいても、ワークフローの実行を制御していないもの(単純なチャットボット、単発のLLM呼び出し、分類器)はエージェントに含めない
Google CloudAIを使ってユーザーの代わりに目標を追求し、タスクを完了させるソフトウェアシステム。推論・計画・メモリーを備え、意思決定と学習・適応を行うレベルの自律性を持つ

参考:Building effective agents|Anthropic

参考:A practical guide to building agents(PDF)|OpenAI

参考:AI エージェントとは|Google Cloud

共通しているのは、「人の代わりに、実行まで進むかどうか」が線引きになっている点です。製品の説明文に「エージェント」とあっても、実際には提案までで止まる設計のものがあります。名前ではなく、どこまで実行するかで見るのが確実です。

AIエージェント≠チャットボット

AIエージェントは、しばしば単なる「高度なチャットボット」と混同されがちですが、これは大きな誤解です。以下2点において大きく異なります。

  • 自律的な意思決定能力: チャットボットは主に会話応答に特化していますが、AIエージェントは状況を分析し、自ら意思決定を行い、適切なアクションを実行します。
  • マルチモダリティと統合性: AIエージェントは、テキスト、画像、音声など複数の入出力様式(モダリティ)を扱い、様々なツールやシステムと連携して総合的な問題解決を行います。

Google Cloudは、AIエージェント・AIアシスタント・botの三者を自律性の高さで整理しています。AIアシスタントはユーザーの指示に応答して行動を推奨するものの、意思決定はユーザーが行う。botは事前に定義されたルールに従う。この並びで見ると、自社が検討しているものが本当にエージェントなのかを判断しやすくなります。

自社の業務に対してどの段階が適切なのか判断がつかない場合は、malnaへのご相談もご利用ください。現状の業務のどこまでをAIに任せられるかの整理からお手伝いします。

AIエージェントの種類・タイプ

AIエージェントは目的や機能によって様々な種類に分類されます。それぞれのタイプが持つ特徴と活用シーンを詳しく解説します。

業務自動化エージェント

業務自動化エージェントは、定型業務や繰り返し作業を自動化するために設計されています。データ入力、レポート作成、スケジュール管理など、ルーチンワークを人間に代わって処理することで、業務効率の大幅な向上を実現します。特に、複数のシステムやアプリケーションをまたぐワークフローの自動化に強みを発揮します。

情報検索・分析エージェント

膨大なデータソースから必要な情報を収集し、分析するエージェントです。社内文書、ウェブコンテンツ、データベースなど多様なソースから関連情報を抽出し、要約や分析結果を提供します。市場調査、競合分析、トレンド把握などのタスクに最適で、意思決定のための情報基盤を構築します。

意思決定支援エージェント

データに基づいた客観的な分析と推奨を提供し、人間の意思決定をサポートします。過去のデータパターンや現在の状況を分析し、最適な選択肢を提案します。金融投資、製品開発、マーケティング戦略など、複雑な判断が求められる場面で活用されています。

カスタマーサポートエージェント

顧客からの問い合わせや要望に自動的に対応するエージェントです。FAQへの回答、製品情報の提供、予約管理など、基本的な顧客対応を24時間365日行うことができます。高度な自然言語処理能力により、顧客の意図を正確に理解し、パーソナライズされた対応が可能です。

開発支援エージェント

ソフトウェア開発プロセスをサポートするエージェントです。コード生成、バグ検出、テスト自動化などの機能を提供し、開発者の生産性を向上させます。最新の技術動向やベストプラクティスを踏まえた提案も行い、高品質なソフトウェア開発をサポートします。

AIエージェントの作り方|5つのステップ

AIエージェントの作り方は、目的の設定・業務の分解・部品の組み立て・小さな検証・運用への移行という5つのステップに分けられます。順番を入れ替えると手戻りが発生しやすく、特に「目的を決めきらないままツールを選ぶ」進め方は、作ったものが誰にも使われずに終わる原因になります。ここでは各ステップで何を決めるのかを具体的に見ていきます。

ステップ1:目的と対象業務を1つに絞る

最初に決めるのは「どの業務の、どの部分を、どう良くしたいのか」の1行です。「問い合わせ対応を効率化する」では範囲が広すぎるため、「営業時間外に届く定型の問い合わせに、翌朝までに一次回答を返す」といった粒度まで下ろします。

対象業務を選ぶときは、OpenAIが挙げている3つの条件が判断材料になります。判断にニュアンスや例外が絡む業務、ルールが複雑になりすぎて維持が難しくなっている業務、自然言語や文書など構造化されていないデータの解釈が多い業務です。逆に、これらに当てはまらず決まった手順で処理できる業務は、従来の自動化のほうが安く早く済みます。

ステップ2:仕事の手順を分解して、任せる範囲を決める

次に、対象業務を人がやっている手順どおりに書き出します。誰が何を見て、どこで判断し、どのシステムに何を入力しているのか。この分解ができていないと、AIに渡す指示が曖昧になり、動かしたときに何が失敗したのか特定できません。

書き出した手順は、AIに任せる部分・人が承認する部分・人が最後まで行う部分の3つに色分けします。最初から全部を任せる必要はありません。総務省の令和8年版情報通信白書でも、汎用的なAIを個人作業で使うところから始め、AIの特性と適用できる業務への理解を社内で深めたうえで、業務プロセス全体の変革に進むという段階的な流れが示されています。

ステップ3:モデル・ツール・指示の3点を組み立てる

OpenAIは、エージェントを最も基本的な形に分解すると、推論と意思決定を担うモデル、行動のために呼び出す外部の関数やAPIであるツール、振る舞いを定めた指示(インストラクション)の3つの構成要素になると説明しています。この3点を書き出せた時点で、作るものの設計はほぼ決まります。

モデルは、最初から最も高性能なものでプロトタイプを作って基準を作り、そこから小さいモデルに置き換えて成立するかを試す進め方が推奨されています。ツールは、情報を取りに行くもの・実際に処理を行うもの・別のエージェントを呼ぶもので性質が異なり、それぞれ権限の重さが違います。指示は、既にある業務マニュアルや対応手順書を土台にすると、ゼロから書くより精度が上がります。

ステップ4:小さく動かして評価する

作ったら、限定した範囲で実際のデータを流し、うまくいかなかったケースを集めます。ここで重要なのは、感想ではなく「何件中何件で期待どおりだったか」を数えられる形にしておくことです。評価の物差しがないと、指示を書き換えたときに良くなったのか悪くなったのかがわかりません。

Anthropicは、最も単純な解決策から始め、必要になったときにだけ複雑さを足すことを勧めています。エージェントらしい構成にする前に、単発のLLM呼び出しに検索と具体例を足すだけで足りるケースも多いとしています。いきなり複数エージェントの構成を組まないほうが、評価も修正も速く回ります。

ステップ5:ガードレールを敷いて運用に載せる

本番に出す前に、想定外の入力や高リスクな操作を止める仕組みを用意します。OpenAIは、単一の対策では不十分であり、複数の専門的なガードレールを重ねることで頑健になるとしています。入力文字数の上限や禁止語リストのような単純なルールベースの防御と、関連性の判定や安全性の分類のようなモデルによる判定を組み合わせる考え方です。

あわせて、人が引き取る条件も決めておきます。リトライ回数の上限を超えた場合と、取り消しが効かない・金銭が動くといった高リスクな操作が発生する場合の2つが、代表的な引き取りの合図です。読み取りだけのツールと書き込みを伴うツールでリスクの重みを分け、重いものは実行前に確認を挟む設計にします。

AIエージェントを作る手段の選び方

AIエージェントを作る手段は、画面上で組み立てるノーコード・ローコード型と、開発フレームワークを使ってコードで書く型の2つに大別されます。どちらが優れているという話ではなく、対象業務の複雑さと、社内に開発を担える人がいるかで選ぶものが変わります。まずは違いを俯瞰します。

手段向いている場面必要な体制つまずきやすい点
ノーコード・ローコード型対象業務が1〜2部署で完結し、まず動くものを見たい段階業務を言語化できる担当者。開発者は必須ではない既存の社内システムとの接続や、細かい例外処理で限界が来る
コード型(開発フレームワーク)基幹システムとの連携や、独自の評価・権限設計が要る場合開発者と、運用を継続できる担当者立ち上げに時間がかかり、着手前に要件を固めきる必要がある

ノーコード・ローコードのツールで作る

画面上で処理をつないでエージェントを組み立てられるツールは、最初の一歩に向いています。Microsoft Copilot Studioは、公式に「AI搭載のエージェントやワークフローの構築と管理のためのグラフィカルでローコードなスタジオ」と位置づけられており、広範な技術的背景がなくてもソリューションを構築できるとされます。Difyは公式ドキュメントで「AIアプリケーションを構築するためのオープンソースプラットフォーム」と説明されており、エージェントやワークフロー、チャットボットが作れる対象に挙がっています。

参考:Microsoft Copilot Studio の概要|Microsoft Learn

参考:Introduction|Dify Docs

この形で作る場合、必要なのはプログラミングの知識よりも、対象業務を手順に分解して言葉にできる力です。現場の担当者が主役になれるのがこの手段の利点で、逆に業務理解のない人が作ると使われないものが出来上がります。

開発フレームワークを使ってコードで作る

社内システムとの連携や独自の権限制御が必要になると、コードで書く選択肢が現実的になります。主要な提供元がそれぞれフレームワークを公開しており、エージェントの実行ループやツール呼び出しの仕組みを自前で実装せずに済みます。

  • OpenAI Agents SDK:抽象化を最小限にして、軽量にエージェント型のAIアプリを構築できるパッケージ
  • Claude Agent SDK:Claude Codeと同じツール群・エージェントループ・コンテキスト管理を、PythonとTypeScriptから利用できるライブラリ
  • Google Agent Development Kit(ADK):信頼性のあるAIエージェントを企業規模で構築・デバッグ・デプロイするためのオープンソースフレームワーク

参考:OpenAI Agents SDK

参考:Agent SDK overview|Claude Docs

参考:Get started – Agent Development Kit(ADK)|Google

どちらの手段を選ぶ場合でも、複数のエージェントに分ける構成は後回しで構いません。OpenAIも、まず単一のエージェントの能力を最大化することを一般的な推奨としており、指示に従えなくなったりツールの選択を誤るようになった段階で分割を検討する、という順序を示しています。

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AIエージェントの活用事例

AIエージェントは業界を問わず導入が広がっており、業務の性質によって任せている範囲が異なります。ここでは実際のビジネスシーンでどのようにAIエージェントが活用され、どのような成果をもたらしているのかを業界別に見ていきます。

金融業界におけるAIエージェント活用事例

金融領域では、判断材料が多く例外も多い業務でAIエージェントが使われています。リアルタイム性が求められる分析と、過去の傾向を踏まえた提案の両方が対象です。

投資アドバイザリーエージェント

大手金融機関や資産運用会社では、AIを活用した投資アドバイザリーサービスを展開しています。これらのエージェントは市場データのリアルタイム分析、ニュースセンチメント分析、個人の投資目標やリスク許容度に基づいたポートフォリオ最適化を行い、パーソナライズされた投資アドバイスを提供します。

不正検知・リスク分析エージェント

クレジットカード会社や銀行では、取引データをリアルタイムで監視し、不審な活動パターンを検出するAIエージェントを導入しています。従来のルールベースシステムでは検出できなかった複雑な不正パターンも識別でき、誤検知率の低減と検出精度の向上に貢献しています。

医療・ヘルスケア分野の活用事例

医療分野では、診断そのものではなく医師の判断を支える位置づけで導入が進んでいます。人が最終判断を持つ前提で設計されているのが特徴です。

医療診断支援エージェント

放射線画像の分析や患者データの解析を行い、医師の診断をサポートするAIエージェントが実用化されています。例えば、X線やMRI画像から異常を検出し、医師の見落としを防止するシステムは、早期発見率の向上に貢献しています。

参考:医療現場が今すぐ導入すべき、生成AIサービスと注目される分野|コトセラ

製造業における活用事例

製造業では、設備や現場作業に紐づくデータを扱う領域で導入が進んでいます。センサーや作業記録など、既に蓄積されているデータを活かせる点が背景にあります。

予知保全エージェント

製造設備にセンサーを設置し、収集したデータをAIエージェントが分析することで、機器の故障を事前に予測するシステムが実用化されています。従来の定期保守から、必要なタイミングでの最適な保守へと移行することで、ダウンタイムの削減とコスト削減を実現しています。

小売・EC業界の活用事例

小売・EC業界では、顧客一人ひとりの行動データを起点にした接客の自動化が中心です。購買履歴という明確なデータが揃っている点が導入を後押ししています。

パーソナライズド・ショッピングアシスタント

顧客の購買履歴や閲覧行動をもとに、個々の嗜好に合わせた商品推奨を行うAIエージェントが普及しています。単なるレコメンデーションにとどまらず、チャットを通じて顧客の具体的なニーズを理解し、最適な商品を提案するインタラクティブなアシスタントも登場しています。

カスタマーサービス分野の活用事例

カスタマーサービスは、AIエージェントの導入が最も進んでいる領域のひとつです。問い合わせ内容の振り分けから回答生成まで、複数の工程をまたいで任せられる点が理由です。

インテリジェントなヘルプデスク

単純な問い合わせ対応だけでなく、複雑な問題解決までカバーする高度なカスタマーサポートエージェントが導入されています。自然言語処理の進化により、顧客の意図を正確に理解し、適切な回答や解決策を提案できるようになりました。

参考:AIで顧客対応はどう変わる?できることと導入の考え方を整理|CAT.AI

エネルギー分野の活用事例

エネルギー分野では、需給の変動をリアルタイムに読んで調整する用途が中心です。人手では追いきれない頻度と量の判断が発生する領域といえます。

スマートグリッド最適化

電力需要と供給のリアルタイム予測、再生可能エネルギーの変動要因分析、電力網の負荷バランス調整などを行うAIエージェントが導入されています。特に気象条件に左右される太陽光や風力発電の効率的な活用に貢献しています。

農業分野の活用事例

農業では、衛星やドローン、センサーから得られる観測データを判断につなげる用途で導入されています。経験に依存していた判断を数値で補う形です。

精密農業サポート

衛星画像やドローン映像、センサーデータを分析し、最適な肥料や農薬の散布タイミングと量を提案するAIエージェントが導入されています。土壌条件や気象データなどの複合的な要因を考慮した提案により、収穫量の増加と環境負荷の軽減を両立しています。

おすすめのAIエージェント3選

自分で組み立てる前に、既に提供されているAIエージェントを触って感触を掴む方法もあります。ここでは汎用的に使える3つを取り上げます。料金プランは改定が入りやすいため、検討時は各社の公式ページで最新の条件を確認してください。

Manus

Manusは、クラウド上で非同期に動作し、複雑なタスクを自動で進める自律型のAIエージェントです。

引用:Manus

特徴・クラウド上で非同期に動作し、複雑なタスクを自動実行
・成果物として文書やコードを生成できる
得意なこと・旅行プラン、株式分析、データ可視化などのマルチステップ作業を自動化
・調査と成果物作成を続けて任せられる
費用体系・クレジット制の複数プランを提供(公式の料金ページを参照)

AgentGPT

AgentGPTは、ブラウザ上で目標を入力するとエージェントを生成し、そのまま実行まで試せるツールです。

引用:AgentGPT

特徴・ブラウザ上でエージェントの作成・実行が完結する
・ベータ版として提供されている
得意なこと・旅行計画、メール作成、学習スケジュールの自動化
・マルチステップの思考型タスクの動きを掴む用途
費用体系・無料枠のあるプラン構成(公式サイトの表示を参照)

Genspark Agents

Genspark Agentsは、複数のエージェントを連携させてリアルタイムに情報を集め、結果をページ形式でまとめるサービスです。

引用:Genspark Agents

特徴・エージェント連携によるリアルタイムの情報収集
・質問から情報ページを即時生成
得意なこと・深掘りリサーチ、専門情報の集約、コンテンツ生成
・短時間での情報取得
費用体系・無料枠のあるクレジット制(公式サイトの表示を参照)

AIエージェント導入時の注意点と対策

AIエージェント導入で問題になりやすいのは、情報セキュリティの確保と、誤情報・ミスの防止の2点です。どちらも導入後に発覚すると対応コストが大きくなるため、設計の段階で織り込んでおく必要があります。それぞれの具体的な対策を見ていきます。

情報セキュリティを守るための対策

AIエージェントは社内の機密情報や顧客データにアクセスするため、セキュリティリスクへの対応が不可欠です。アクセス権限の厳格な管理はその基本となり、AIエージェントには必要最小限の権限のみを付与することが重要です。また、保存データと通信データの両方を適切に暗号化することで、情報漏洩リスクを大幅に低減できます。

セキュリティ監査を定期的に実施することで、システムの脆弱性を早期に発見し対処することが可能になります。同時に、万が一の情報漏洩に備えたインシデント対応計画を事前に策定しておくことで、被害を最小限に抑える準備が整います。外部AIサービスを利用する場合は、ベンダーのセキュリティ体制も十分に確認することが重要です。

社員が個人の判断でAIを業務に使う、いわゆるシャドーAIも注意点として挙げられます。総務省の白書は、入力した機密情報の流出等のリスクを孕むとしたうえで、情報漏えい対策を施した活用環境を社内に整備し、利用時のルールやガイドラインを整備・周知することを示しています。

誤情報・ミス発生を防ぐチェック体制

AIエージェントも完璧ではなく、判断ミスや不適切な情報提供が発生する可能性があります。そのため、重要な判断や対外的な情報提供の前には人間によるレビュープロセスを設けることが効果的です。

また、AIエージェントの回答や行動を定期的に評価する出力結果の品質評価システムを導入することも重要になります。誤りを検出した際にAIシステムへ反映するフィードバックループを確立することで、継続的な改善が可能になります。テストケースを用いた定期的なパフォーマンス評価を行えば、システムの信頼性を客観的に検証できます。

信頼性が確認できた機能から徐々に自律性を高めていく段階的な権限拡大のアプローチも、リスクを最小化する有効な方法です。これらのセキュリティ対策とチェック体制をバランスよく組み合わせることで、リスクを抑えながらビジネス価値を引き出せます。

自社だけで作りきれるかを見極める3つの分かれ目

AIエージェントを自社で作れるかどうかは、技術力よりも「動かし続けられる条件が揃っているか」で分かれます。ノーコードのツールが増えたことで、最初のプロトタイプまでは多くの企業がたどり着けるようになりました。止まるのはその先で、評価・権限設計・運用の担当が定まらないまま放置されるケースが目立ちます。判断材料になる3点を挙げます。

開発できる環境が社内に整っているか

総務省の令和8年版情報通信白書によると、生成AI活用による業務変革の環境整備として「社員が生成AIを活用したアプリやAIエージェントを開発可能な技術環境にある」と回答した日本企業の割合は15.3%でした。米国22.1%、ドイツ27.4%、中国31.1%と比べて低い水準です。

同じ調査では、生成AI活用による業務変革について「組織的な取組はない」と回答した割合が日本で27.0%となっており、米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%と比べて顕著に高くなっています。一方で、何らかの業務で生成AIを利用している企業の割合は86.4%まで上がっています。使ってはいるが、作る環境と組織的な体制はこれからという企業が相当数あることを示す数字です。

参考:令和8年版 情報通信白書 第Ⅰ部第2章第1節 企業におけるAI利用の現状(PDF)|総務省

作ったあとに手を入れ続ける担当を置けるか

AIエージェントは、作った時点が完成ではありません。想定外の入力が来れば指示を書き直し、業務側のルールが変われば手順も変えます。この改善を回せる担当が決まっていないと、精度が落ちたまま使われなくなります。

見積もるべきは初期の構築工数だけでなく、月あたりどれくらいの時間を改善に充てられるかです。兼務の担当者に週数時間しか確保できない状態では、対象業務を1つに絞り込んで小さく維持するほうが現実的といえます。

責任の範囲を社内で決められるか

AIエージェントが実行まで進む以上、誤った処理が起きたときに誰がどこまで責任を持つのかを決めておく必要があります。承認を挟む工程、AIに任せてよい上限額や件数、記録を残す範囲。これらは技術の問題ではなく社内の合意の問題で、現場だけでは決めきれないことが多い部分です。

法務・情報システム・業務部門をまたぐ調整が必要になるため、経営層の関与があるかどうかで進み方が変わります。ここが決まらないまま開発を進めると、動くものはできたのに本番に出せないという状態になります。

外部の支援を入れる場合に確認しておくこと

内製と外注は二者択一ではなく、設計と初期構築を外部に任せ、運用を自社に移していく進め方も選べます。外部に依頼する場合は、次の点を最初に確認しておくと認識のずれを防げます。

  • 対象業務の切り出しから一緒に行うのか、決まった要件を実装するだけなのか
  • 評価の基準と、どの水準で「動いている」と見なすのかの定義
  • 権限設計とログの扱い、社内データをどこまで扱うのか
  • 運用フェーズで社内に引き継ぐ範囲と、そのための資料・研修の有無

malnaは、業務の切り出しから設計・構築、社内への内製化までを伴走する形でAI導入を支援しています。AI導入・コンサルティングおよびIT・DX分野の導入事例数は累計40社以上です。どこまでを自社で持ち、どこから外部に任せるかの線引きから相談したい場合は、malnaのお問い合わせ窓口からご連絡ください。

関連記事:AI導入にかかる開発費用は?費用対効果を上げる方法を解説

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AIエージェントの作り方に関するよくある質問

AIエージェントを作る過程でよく挙がる疑問を、公開情報で確認できる範囲でまとめます。

AIエージェントを作るのにプログラミングの知識は必要ですか

ノーコード・ローコードのツールを使う場合、プログラミングの知識は必須ではありません。Microsoft Copilot Studioは公式に、広範な技術的背景がなくてもソリューションを構築できるローコードのスタジオと説明されています。ただし、基幹システムとの連携や独自の権限制御が必要になる場合は、開発フレームワークを使った実装が現実的です。

AIエージェントの開発にはどのくらいの費用がかかりますか

対象業務の範囲、連携するシステムの数、求める精度によって幅が大きく、一律の相場を示せる情報は公開されていません。ノーコードツールの利用料とモデルの利用料が主な変動費になりますが、実際の総額は要件によって変わるため、個別の見積もりで確認する必要があります。

最初にどの業務から始めるのがよいですか

判断に例外が絡む業務、ルールが複雑になりすぎて維持が難しい業務、文書など構造化されていないデータの解釈が多い業務が候補になります。加えて、失敗しても影響が限定される範囲から始めると、評価の仕組みを作りながら進められます。

AIエージェントとチャットボットは何が違いますか

実行まで進むかどうかが違いです。OpenAIは、LLMを組み込んでいてもワークフローの実行を制御していないもの(単純なチャットボット、単発のLLM呼び出し、感情分類器など)はエージェントに含めないとしています。

最初からマルチエージェント構成にすべきですか

まず単一のエージェントの能力を最大化することが推奨されています。OpenAIは、エージェントを増やすと概念の分離はわかりやすくなるものの、複雑さとオーバーヘッドが増えるため、ツールを持った単一エージェントで足りる場合が多いとしています。指示に従えない、ツールの選択を誤るといった問題が出た段階で分割を検討する順序です。

まとめ

AIエージェントは、業務効率化から意思決定支援まで、ビジネスに多様な価値をもたらす可能性を秘めています。作り方そのものはノーコードツールの普及で身近になり、目的の設定・業務の分解・モデルとツールと指示の組み立て・小さな検証・ガードレールの設計という5つのステップで進められます。

一方で、導入を成功させるには次の3つが欠かせません。

  1. 明確な目的設定: 導入の目的と期待する成果を具体化する
  2. 適切な役割分担: AIと人間それぞれの強みを活かした協働体制を構築する
  3. セキュリティとチェック体制: リスクを最小化するための対策を講じる

AIエージェントは人間の代替ではなく、協働するパートナーとして捉えることが重要です。まずは小規模なプロジェクトから始め、成功体験を積み重ねながら、自社に最適なAI活用の形を見つけていきましょう。

作り始める前の業務の切り出しや、作ったあとの評価・運用の設計でつまずいた場合は、malnaのお問い合わせ窓口からご相談ください。現状の体制に合わせて、どこから着手するかの整理からご提案します。

関連記事:AIで業務効率化|知っておきたい導入ステップと活用事例

AIを使える人材が社内にいない場合

作り方の道筋はわかった。でも、社内で試せる人がいない。

ここまで読んでそう感じた方もいるのではないでしょうか。ノーコードで小さく始めるにしても、実際に手を動かして評価し、うまくいかなかった箇所を書き直せる人が社内にいるかどうかで、次の一歩に進めるかは変わってきます。malnaでは、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。

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執筆者情報

甲斐 聖史

writer 甲斐 聖史 consultant
マーケティング全般の支援業務を担当。広告運用(リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告)、SEO対策、SNS運用、SFA/CRM/MA導入・運用(Salesforce系/Hubspot系)、Google Analyticsを活用した成果分析、ウェビナー運用、メルマガ配信など幅広い業務を担当。
2020年よりmalna株式会社に参画し、2024年からは取締役に就任。スタートアップ企業を中心に多くの事業でマーケティング基盤の構築と成果改善に貢献。
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