2026.10.12

AI

AIエージェントとは|仕組みとRPA・チャットとの違いをわかりやすく解説

経営会議で「AIエージェントを使えないか」という話が出て、業務部門や経営企画の担当者が社内向けの説明役を任されることがあります。ところがベンダーの資料やニュースは「自律的に動くAI」という言い方が先に立ち、生成AIのチャットやRPAと何が違うのかを自分の言葉で語るのは意外に難しいものです。

AIエージェント導入支援

目次

説明があいまいなまま話が進むと、「何でも自動でやってくれる」と期待が膨らむか、「チャットと同じなら今のままでいい」と検討が止まるかのどちらかに傾きがちです。どちらも、AIエージェントの中で何が動いているのかが社内で共有されていないために起きる行き違いです。

ここでは、AIエージェントの仕組みをモデル・ツール・指示・記憶・実行のループという5つの部品に分けて業務の言葉に置き換え、生成AIのチャット、チャットボット、RPA、ワークフロー自動化との違いを比較表で整理します。そのうえで、自社の業務がAIエージェントに向くかを見分けるチェックリストを解説します。内容は2026年10月時点の情報にもとづいています。社内でAIエージェントを説明する立場にある、エンジニアではない業務部門や経営企画の方に向けた内容です。

自社のどの業務が候補になりそうかは、malnaのAIエージェント構築支援で業務の棚卸しから始められます。

AIエージェントとは、目標を受けて手順を自分で組み、道具を使って仕事を進めるAIシステム

AIエージェントとは、人から受け取った目標に向けて必要な手順を自分で組み立て、社内のシステムや資料といった道具を使いながら仕事を進めるAIシステムです。答えを返して終わりにせず、結果を確かめて次の一手を選び、完了と判断するまで動き続けるところに特徴があります。

公的なガイドラインと開発各社の定義

AIエージェントの定義は、発行元ごとに表現が少しずつ違います。それでも、目標に向けて自ら判断し、外部とやり取りしながら行動するという骨格は共通です。社内資料に定義を載せるなら、次の表の言い回しを下敷きにしておくと、聞き手があとから出典をたどれます。

発行元定義の要点
総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動するAIシステム
OpenAI「A practical guide to building agents」ユーザーに代わって、独立してタスクを成し遂げるシステム
Google Cloud「AIエージェントとは」AIを使用してユーザーの代わりに目標を追求し、タスクを完了させるソフトウェアシステム
Anthropic「Building effective agents」LLMが自らの処理の進め方とツールの使い方を動的に決めるシステム

AI事業者ガイドラインは、この定義でいう自律には、高度な自律状態だけでなく、ある程度の自律性を持つものも含まれると注記しています。途中で人の承認を挟む仕組みでも、手順の一部を自分で決めて進めるのであれば、AIエージェントの範囲に入るということです。

社内向けの一言定義を用意する

社内での説明には、定義の原文を読み上げるより、自社の仕事に引きつけた一言のほうが届きます。たとえば「目標と手順書と使ってよい道具を渡すと、途中経過を確かめながら最後まで作業を進めてくれるAI」という言い方です。

この一言には、目標、手順書、道具、途中経過の確認という4つの要素が入っています。AIエージェントの部品は、モデル、ツール、指示、記憶、実行のループの5つです。一言にはモデル以外の4つが業務の言葉で入っているので、聞き手は「何を用意すれば動くのか」を思い描きやすくなります。

エージェントと名の付く製品がすべて同じ仕組みとは限らない

製品やサービスの名前に「エージェント」と付いていても、中身はまちまちです。OpenAIのガイドは、LLMを組み込んでいても仕事の流れの実行をLLMに任せていない仕組み、たとえば単純なチャットボット、1回の応答で終わるLLM、感情の分類器はエージェントではないと説明しています。

製品資料を読むときは、名前よりも、手順を誰が決めているか、ツールを使って操作まで進むか、完了を誰が判断するかの3点を見ると、仕組みの違いがつかめます。種類をもっと細かく分けて理解したい場合は、自律度と構成で整理した記事が役に立ちます。作り方の手順や業界ごとの活用例は、AIエージェントの全体像をまとめた記事で扱っています。

関連記事:AIエージェントの種類|自律度と構成の3軸で業務に当てはめる整理法

関連記事:【最新版】AIエージェントとは?種類・活用事例まで徹底解説

AIエージェントの仕組みを5つの部品に分けて業務の言葉で説明する

AIエージェントの仕組みは、モデル、ツール、指示、記憶、実行のループという5つの部品に分けると、業務の言葉で説明できます。新しく仕事を任された担当者が、頭を使い、道具を手に取り、手順書を読み、メモを見返しながら作業を繰り返す姿に重ねると、エンジニアでない聞き手にも伝わります。

部品の数え方は資料によって違います。OpenAIのガイドはエージェントの中核をモデル、ツール、指示の3つとし、Google Cloudはモデル、ツール、メモリー、ペルソナを挙げています。Anthropicは、検索、ツール、記憶で拡張したLLMを基本の部品としています。ここでは3社の説明を合わせ、業務の説明に使いやすい5つにまとめました。

部品技術の言葉業務の言葉
モデルLLM(大規模言語モデル)状況を読んで次の一手を決める担当者の頭
ツール外部の関数やAPI、システムの操作担当者が使ってよい社内システムや道具
指示役割と手順、守る制約を書いた指示文業務の手順書と社内ルール
記憶会話の履歴や参照するデータ作業メモと参照する社内資料
実行のループ終了条件に達するまでの繰り返し確かめては次に進む作業の繰り返し

モデル:状況を読んで次の一手を決める頭

モデルは、AIエージェントの中で考えて決める役を受け持つ部品です。OpenAIのガイドはエージェントの推論と意思決定を担うLLMをモデルと呼び、Google CloudはLLMをエージェントの頭脳にたとえています。

業務に置き換えると、届いた情報を読んで、次にどの資料を開くか、どのシステムに何を入力するかを決める担当者の判断です。もっとも、モデルだけでは社内のシステムを動かせません。決めた内容を実際の作業に移すには、次のツールが要ります。

ツール:担当者が使ってよい社内システムと道具

ツールは、AIエージェントが外の世界とやり取りするための部品です。OpenAIのガイドはツールを3種類に分けています。情報を取りに行くデータ系、記録の更新やメール送信を行うアクション系、別のエージェントを呼び出すオーケストレーション系です。

業務の言葉でいえば、顧客管理システムの閲覧、共有フォルダの検索、メールの送信など、担当者に使わせる道具の一覧にあたります。新人に社内システムのアカウントを渡すときと同じで、閲覧だけか書き込みまで許すか、どの範囲に触れてよいかを決めてから渡します。

指示:業務の手順書と社内ルール

指示は、AIエージェントの振る舞いを決める部品で、手順書と社内ルールに相当します。OpenAIのガイドは、指示を作る際には既存の業務手順書や対応の台本、社内規程を材料にし、作業を小さく分け、各ステップで何をするかをはっきりさせるよう勧めています。

手順書のない業務では、AIエージェントに渡す指示もありません。人に引き継ぐときに口頭で済ませている業務ほど、まず手順を書き起こす作業が必要になります。この点は、後半のチェックリストでも判断材料の1つになります。

記憶:作業メモと参照する社内資料

記憶は、AIエージェントが過去のやり取りや参照すべき情報を持っておくための部品です。Google Cloudは、直近のやり取りに使う短期の記憶と、過去のデータや会話に使う長期の記憶などを挙げています。

業務でいえば、作業の途中で書き留めるメモと、手元に置く社内資料です。どの資料を読ませるか、前回のやり取りを覚えさせるかは、製品の機能と設定で決まります。読ませる資料が古かったり足りなかったりすると、判断の質もそのまま下がります。

実行のループ:確かめては次に進む繰り返し

実行のループは、AIエージェントが目標に向けて作業を繰り返す仕組みです。OpenAIのガイドはエージェントの実行を、終了条件に達するまで回り続けるループとして説明しています。終了条件の例は、決められた形式の出力、エラー、上限回数への到達などです。

Anthropicの説明でも、エージェントは各ステップでツールの実行結果などから実際の状況を受け取り、進み具合を見極めます。必要なら人の確認を求めて止まり、上限回数などの停止条件で制御を保ちます。業務の言葉に直すと、作業のたびに結果を見て、終わったか、続けるか、上司に聞くかを決める動きです。

確かめては次に進む実行のループを矢印でつないだフロー図

1件の業務でAIエージェントの動きを追う

AIエージェントの動きは、1件の業務に当てはめて順に追うと具体的に説明できます。取り上げるのは、取引先から届いた見積依頼のメールを読み、社内の価格表を調べて返信の案を作り、担当者の承認を待つまでの流れです。架空の例ですが、5つの部品がどこで働くかを確かめる材料になります。

見積依頼の返信案を作るまでの流れ

この例では、AIエージェントは受信したメールを読むところから動き出します。依頼の中身を読み取り、必要な情報を集め、返信の案を作って人に渡すまでを、次の表の順に進めます。

段階AIエージェントがすること使う部品人がすること
受け取る依頼メールを読み、品目と数量と希望納期を書き出すモデル、指示なし
調べる社内の価格表と在庫の一覧を検索するツール、記憶なし
組み立てる手順書にある値引きの条件に当てはめて金額を計算するモデル、指示なし
確かめる足りない情報があれば、取引先に確認する文面を作る実行のループ送るかどうかを決める
渡す返信の案を作り、担当者に承認を頼んで止まる指示、実行のループ内容を確かめて送信する

AIエージェントが自分で決めているのは、どの資料を開くか、情報が足りているか、次に何をするかです。金額を取引先に送るかどうかは、人の承認を経てから決まります。

人が関わる場所を決めておく

AIエージェントを説明するとき、抜け落ちやすいのが人の出番です。OpenAIのガイドは、人の介入が必要になる典型を2つ挙げています。失敗や試行の回数が上限を超えたときと、取り消せない操作や影響の大きい操作を行うときです。

見積の例なら、取引先へのメール送信が取り消せない操作にあたります。送信の手前で止まって承認を待つように組んでおけば、AIエージェントの判断が誤っていても、社外に出る前に人が気づけます。どこまでをAIに任せ、どこで人が確かめるかを組にして示すと、聞き手の不安はかなり和らぎます。

例を自社の業務に置き換えるときの観点

見積の例を自社の業務に置き換えるときは、読み取る情報、調べる資料、当てはめる手順書、止まって人に渡す場所の4つを書き出します。4つが埋まれば、その業務でAIエージェントがどう動くかを、会議で1枚の表として見せられます。

反対に、手順書に当たるものがない、調べる資料がまとまっていないといった空欄が出たら、AIエージェントを使う前に業務の側を整える必要があるという合図です。

生成AIのチャット、チャットボット、RPA、ワークフロー自動化との違い

AIエージェントとほかの自動化の手段との違いは、手順を誰が決めるかと、どこまで実行するかの2点で説明できます。生成AIのチャットは答えを返したところで止まり、チャットボット、RPA、ワークフロー自動化は人が決めた手順やルールのとおりに動きます。AIエージェントだけが、手順の一部を自分で組んで実行まで進みます。

手段動き出すきっかけ手順を決めるのは向く仕事想定外の入力への反応
生成AIのチャット人の質問や依頼人(1往復ごとに次を決める)文章の下書き、要約、調べものの整理回答はするが、その先の操作はしない
チャットボット利用者の問いかけ人が作ったシナリオやルール決まった質問への案内シナリオにない質問には答えにくい
RPA起動の指示や決めた時刻人が記録した操作手順画面操作の繰り返し、転記画面や手順が変わると止まる
ワークフロー自動化決めた条件の発生人が設計した処理の流れシステム間の決まったデータ連携設計にない分岐は処理できない
AIエージェント目標の受け取りや決めた条件AI(手順書と制約の範囲内)判断や例外を含み、複数の道具をまたぐ仕事手順を組み直すが、誤る可能性もある

生成AIのチャットとの違い

生成AIのチャットは、質問に答えを返した時点で1回のやり取りが終わります。次に何をするかを決めるのも、別のシステムに入力するのも人です。AIエージェントは、その次の一手を自分で選び、ツールを使って操作まで進めます。

定義の違い、人の関わり方、導入の難しさまで含めた生成AIとの比較は、別の記事で詳しく扱っています。

関連記事:AIエージェントと生成AIの違い|公式定義と7軸比較で使い分けを判断

チャットボットとの違い

チャットボットは、利用者の問いかけに、あらかじめ用意したシナリオやルールで答える仕組みです。Google Cloudはボットを、事前に定義されたルールに従って単純なタスクや会話を自動化するものと説明し、複雑な複数ステップの行動を実行できるAIエージェントとは区別しています。

LLMを使って自然な文章で答えるチャットボットでも、答えたところで役割が終わるなら、OpenAIのガイドがいう単純なチャットボットに近い位置づけです。問い合わせに答えるだけでなく、注文の状況を調べて変更の手続きまで進めるようになれば、AIエージェントの領域に入ります。

参考:AIエージェントとは(Google Cloud)

RPAとの違い

RPAは、人がパソコンで行っていた定型の操作をソフトウエアのロボットに肩代わりさせる仕組みです。総務省は、RPAをこれまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化するものと説明しています。

記録した手順を正確に繰り返すのはRPAの得意分野で、手順が決まった転記や画面操作なら、AIエージェントより動きが読みやすいという利点があります。ただ、届く書類の書式が毎回違う、途中で判断が入るといった仕事では、手順を前もって書き切れません。そうした揺れのある部分を受け持てるのが、AIエージェントです。

参考:RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)(総務省)

ワークフロー自動化との違い

ワークフロー自動化は、決めた条件が起きたときに、決めた処理を順に流す仕組みです。申請フォームに入力があったら表に記録して担当者に通知する、といった処理を、人が設計した流れのとおりに実行します。

Anthropicは、LLMとツールをあらかじめ決めたコードの道筋に沿って動かすものをワークフロー、LLMが処理の進め方とツールの使い方を自分で決めるものをエージェントと呼び分けています。同じLLMを使っていても、道筋を決めているのが人かAIかで呼び名が変わるわけです。

組み合わせて使う考え方

AIエージェントは、ほかの手段を置き換えるものとは限りません。手順の決まった部分はRPAやワークフロー自動化に任せ、書類の読み取りや例外の判断が入る部分だけをAIエージェントに渡す、という分け方もできます。

社内では「どれか1つを選ぶ話」ではなく「仕事の部分ごとに向く手段を当てはめる話」として伝えると、すでに別の仕組みを使っている部署にも受け入れられやすくなります。

チャットボット・RPA・ワークフロー自動化とAIエージェントを左右に分けて比べた図
AIエージェント導入支援

社内でAIエージェントを説明するときにずれやすい4つの点

AIエージェントを社内で説明すると、言葉から受ける印象と実際の仕組みとの間に、ずれが出やすい点が4つあります。自律の意味、生成AIとの関係、RPAとの関係、誤ったときの影響です。あらかじめ押さえておけば、検討の場で期待が膨らみすぎることも、必要以上に警戒されることも避けられます。

自律は人が関わらないという意味ではない

自律と聞いて、人が一切関わらずに仕事が完了する姿を思い浮かべる人もいます。けれどもAI事業者ガイドラインは、自律にはある程度の自律性を持つものも含むと注記しており、人の承認を挟む仕組みもAIエージェントに含まれます。

OpenAIのガイドも、人の介入を、導入の初期にとりわけ大切な安全策と位置づけています。社内では、自律とは人の手を離れることではなく、決められた範囲の中で次の一手を自分で選ぶことだと説明しておくと、議論がかみ合います。

生成AIを使っていればAIエージェントというわけではない

生成AIを組み込んだツールなら、どれもAIエージェントだと受け取られることがあります。OpenAIのガイドは、LLMを組み込んでいても仕事の流れの実行をLLMに任せていない仕組みはエージェントではないとしています。

「うちもAIエージェントを入れている」という話が出たら、そのツールが答えを返すだけなのか、手順を選んで操作まで進むのかを確かめます。それだけで、社内での言葉の使い方がそろってきます。

RPAを置き換えるものとは限らない

AIエージェントが出てきたことで、手元のRPAはもう要らないと受け取られることもあります。OpenAIのガイドは、エージェントが向くのは従来の決まった処理やルールによる自動化ではうまくいかない仕事だとし、条件を満たさなければ決まった処理で足りる可能性があると述べています。

手順が固定された仕事では、動きの読みやすいRPAやワークフロー自動化のほうが扱いやすい場面があります。AIエージェントの導入は、既存の自動化を見直すきっかけにはなっても、一律に入れ替える理由にはなりません。

誤ったときの影響は文章の誤りより大きくなりうる

AIエージェントは操作まで進むので、誤ったときの影響がチャットの回答の誤りより大きくなることがあります。AI事業者ガイドラインの別添は、AIエージェントが自律的な動作の中で、人間の意図しない商品の注文やファイルの削除などを行う可能性を挙げています。

同じ別添は、外部のシステムやクラウドサービスと自律的に連携する過程で、攻撃によって挙動が不正に操作され、内部のデータが意図せず外部に送られる可能性にも触れています。社内では、便利さと一緒に、渡す権限を絞ること、取り消せない操作の前に人の承認を挟むことを前提として伝えておくと、その後の検討がぶれません。損得の比べ方や、自律的に実行させるときの統制は、次の2本で掘り下げています。

参考:AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編(総務省・経済産業省)

参考:AI事業者ガイドライン(第1.2版)別添(付属資料)(総務省・経済産業省)

関連記事:AIエージェントのメリットとデメリット|業務の条件で損得を見極める

関連記事:自律型AIエージェントの要件|任せる4条件とリスク統制の設計手順

自社の業務がAIエージェント向きかを判断するチェックリスト

自社の業務がAIエージェントに向くかどうかは、2段階で判断できます。まずほかの手段で足りるかを確かめ、残った業務について、AIエージェントに任せる条件がそろっているかを見ます。この順で考えると、AIエージェントを使わなくてよい業務を早めに外せるので、社内の検討が短く済みます。

先にほかの手段で足りるかを確かめる3つの質問

最初に、AIエージェントでなくても足りる業務を外します。次の3つの質問に上から答え、「はい」になったところで、その業務は表の右側の手段で検討します。

質問「はい」なら検討する手段
手順が毎回同じで、分岐も事前にすべて書き出せるかRPAかワークフロー自動化
欲しいのは文章や答えの下書きで、その先の操作は人が行うか生成AIのチャット
決まった質問に、決まった答えを返せば済むかチャットボット

3つとも「いいえ」だった業務が、AIエージェントの候補として残ります。OpenAIのガイドも、エージェントを作る前にその仕事が条件を満たすかをはっきり確かめるよう求め、満たさなければ決まった処理で足りる可能性があるとしています。

AIエージェントを検討してよい業務の条件

候補に残った業務は、次の6つの条件で確かめます。前半の3つは仕事の性質を、後半の3つは任せ方を決められるかを見るものです。

  • 例外の扱いや状況に応じた判断が入る
  • ルールが多く複雑で、更新や保守に手間がかかっている
  • メールや書類など、決まった形のない文章を読み取る必要がある
  • 完了したと言える状態を文章で書ける
  • 結果が正しいかを、人や仕組みで確かめられる
  • 取り消せない操作の前に人の承認を挟み、試行の回数に上限を置ける

前半の3つは、OpenAIのガイドがエージェントを優先して検討すべき仕事として挙げる、複雑な意思決定、保守しにくいルール、構造化されていないデータへの依存に対応しています。後半の3つは、OpenAIとAnthropicが示す終了条件と人の介入の考え方をもとにした、任せ方の条件です。

判定結果の読み方

前半の3つのどれにも当てはまらない業務は、AIエージェントを使う理由が薄いと判断できます。前半に当てはまっても後半の条件が欠けているなら、そのままでは任せにくい状態です。

後半が欠けているときは、完了の状態を書き出す、確かめる人を決める、承認の位置を決めるといった準備を先に進めます。前半と後半の両方を満たした業務が、AIエージェントを試す最初の候補です。業務の条件によって損得がどう入れ替わるかは、先に挙げたメリットとデメリットの記事で詳しく扱っています。

判定の結果を社内向けの1枚にまとめる

判定の結果は、業務ごとに1枚の表にしておくと、社内の会議にそのまま出せます。次の項目を並べておけば、AIエージェント向きとした理由も、まだ任せられない理由も、聞き手が順に追えます。

項目書く内容
業務名と担当部署対象の業務と、今その業務を担っている部署
今の手順手順書の有無と、主な作業の流れ
判断が入る場所例外の扱いや、状況で変わる判断の箇所
触るシステムと資料閲覧するもの、書き込むもの、送信するもの
取り消せない操作社外への送信、記録の確定、支払いなど
判定ほかの手段で足りる、準備が必要、試す候補のいずれか

この1枚があれば、AIエージェントという言葉になじみのない人にも、その業務がなぜ候補になったのかを具体的に示せます。予算の見当をつける段階に進むなら、導入方式ごとの課金単位と試算の手順をまとめた記事が使えます。

参考:A practical guide to building agents(OpenAI)

参考:Building effective agents(Anthropic)

関連記事:AIエージェントの費用|導入方式で変わる課金単位と月額の試算手順

AIエージェントを検討してよい6つの条件を並べたチェックリストの図

よくある質問

AIエージェントを一言で説明するとどうなりますか?

目標と手順書と使ってよい道具を渡すと、途中経過を確かめながら最後まで作業を進めるAIの仕組みです。総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインは、特定の目標を達成するために環境を感知し自律的に行動するAIシステムと定義しています。社内では自社の業務に引きつけた一言を用意すると伝わります。

ChatGPTのような生成AIのチャットはAIエージェントですか?

質問に答えを返すだけの使い方なら、AIエージェントには当たりません。OpenAIは、1回の応答で終わるLLMや単純なチャットボットはエージェントではないとしています。製品名ではなく、使っている機能が答えを返して終わるのか、ツールを使って手順を進めるのかで見分けます。

AIエージェントを入れると担当者の仕事はなくなりますか?

AIエージェントが受け持つのは手順の実行で、目標の設定、取り消せない操作の前の承認、結果の確認は人に残ります。OpenAIも人の介入を安全策と位置づけています。担当者の役割は、作業をこなす側から、指示を整えて結果を確かめる側へ移ると考えると説明しやすくなります。

AIエージェントに向かないと判断した業務はどう扱えばよいですか?

手順が固定された業務はRPAやワークフロー自動化、文章の下書きが目的なら生成AIのチャット、決まった質問への回答ならチャットボットで検討します。向かないという判断も検討の成果です。手順書がないために向かない業務は、手順を書き起こしてから改めて判定します。

まとめ

AIエージェントとは、目標を受けて手順を自分で組み、道具を使って仕事を進めるAIシステムです。中で働くのはモデル、ツール、指示、記憶、実行のループの5つの部品で、担当者の頭、使ってよい道具、手順書、作業メモ、確かめては次に進む繰り返しに置き換えれば、エンジニアでない人にも説明できます。

生成AIのチャット、チャットボット、RPA、ワークフロー自動化との違いは、手順を誰が決めるかと、どこまで実行するかにあります。AIエージェントはほかの手段の代わりではなく、判断や例外が入る部分を受け持つ選択肢の1つです。

自社の業務に当てはめるときは、まず3つの質問でほかの手段で足りるかを確かめ、残った業務を6つの条件で見ます。結果を1枚の表にまとめておけば、社内の会議でそのまま判断材料として使えます。

チェックリストで候補の業務が残ったら、次はその業務で何を任せ、どこで人が承認するかを決める番です。判定の1枚を手元にそろえておくと、お問い合わせの最初のやり取りから、組み方の具体的な話に入れます。

AIを使える人材が社内にいない場合

社内で説明する言葉はそろった。でも、チェックリストを通った業務を実際に組み上げる人が社内にいない。

説明の役目を終えると、道具をつなぎ、承認の位置を決める作業が待っていますが、その担い手を社内で見つけるには時間がかかりやすいのではないでしょうか。malnaでは、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。

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執筆者情報

malnaブログ編集部

writer malnaブログ編集部 webマーケター / データアナリスト
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