2026.09.10

AI

農業AI活用ガイド【2026年最新版】|公的機関の実証事例と始め方3領域

農業の現場では、担い手の高齢化と人手不足が年々重くなっています。農研機構が2024年に公表した資料によると、基幹的農業従事者の平均年齢は68.7歳(2023年)に達し、今後20年間で116万人(2023年時点)から30万人まで減少するという予測が示されています。

しかし、AIをどう使えば自分たちの経営に役立つのかは、情報を集めるほど輪郭がぼやけていきます。大規模な設備投資を伴う話と、明日から試せる話が同じ記事の中で並んでいて、どこから手を付ければよいか判断しづらいのが実情です。検索すると「事例◯選」という形式の記事が多く出てきますが、事例の数を眺めるだけでは、自社の経営規模や作物にどれが当てはまるのかまでは見えてきません。

本記事では、農業でAIが実際に使われている領域を整理したうえで、農研機構や農林水産省など公的機関が公表した実証事例を出典付きで紹介し、AI活用を始める際の手順まで解説します。対象は、農業法人の経営者、JAや自治体でスマート農業を担当する方、規模を問わず後継者としてAI活用を検討している生産者です。

業種を問わずAIエージェント構築や研修の相談を受けてきた立場から言えるのは、AI活用の始め方は特別な技術ではなく、業務の一部を切り出して任せる判断の積み重ねだということです。どこから手を付けるか迷っている方は、malnaへのお問い合わせから相談していただくこともできます。

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農業AI活用とは何か

農業AI活用とは、栽培管理や経営判断など農業現場の業務に人工知能を組み込み、これまで人の経験と勘に依存してきた作業の一部をデータに基づいて効率化する取り組みです。作物の生育状況を目視で確認したり、病害虫の兆候をベテランの勘で見分けたりしてきた場面に、データ分析という別の判断材料を加えることで、経験の浅い担い手でも一定水準の判断ができるようにする狙いがあります。

農林水産省はスマート農業を「ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業」と定義しており、AIによるデータ分析はその中核技術の一つに位置づけられています。2024年には食料・農業・農村基本法が改正され、担い手減少への対応としてスマート農業の推進が政策の柱に据えられました。2024年10月1日には「スマート農業技術活用促進法」が施行され、生産方式革新や技術開発の計画を国が認定する仕組みが整い、令和6年度時点で生産方式革新実施計画22件、開発供給実施計画8件が認定を受けています。認定を受けた農業者や事業者は税制・金融面での支援を受けられます。

担い手の減少は統計にもはっきり表れています。2025年農林業センサスの概数値によると、農業経営体数は82万8千経営体で、5年前と比べて24万7千経営体(23.0%)減少しました。一方で法人経営体は3万3千経営体と5年前より7.9%増え、経営耕地面積20ヘクタール以上の経営体が全体の耕地面積に占めるシェアは初めて5割を超えています。担い手の数そのものは減る一方で、残った経営体1つあたりが管理する面積は広がっており、限られた人数でより広い圃場を見なければならない状況が加速しています。

政策の後押しは実証結果の数字にも表れています。農林水産省がまとめた令和6年版食料・農業・農村白書によると、スマート農業実証プロジェクトに参加した水田作の産地では、総労働時間が平均9%削減され、単収は平均9%増加しました。技術別に見ると、自動水管理システムの導入で作業時間が平均80%短縮されたという実証結果も示されています。AIはこうした省力化の流れの中で、データの分析と予測を担う役割として組み込まれています。

参考:スマート農業:農林水産省

参考:特集3 スマート農業技術の活用と今後の展望:農林水産省

参考:「2025年農林業センサス結果の概要(概数値)」の公表について:農林水産省

農業でAIが活用されている3つの領域

農業でのAI活用は、栽培計画・生育管理の支援、収穫量や出荷量の予測、経営判断や書類作成の支援という3つの領域に大きく整理できます。いずれも、これまで生産者や営農指導員の経験と勘に頼ってきた判断の一部を、蓄積したデータで補う使い方です。

それぞれの領域は独立しているわけではなく、圃場のデータを集める仕組みができれば、複数の領域に順番に広げていくことができます。栽培計画の支援は、現場の入力データがあれば単独の圃場からでも始められる一方、収穫量・出荷量の予測は複数年分の生育データや気象データの蓄積が前提になるため、着手できる順番にも違いがあります。まずは各領域で何ができるのかを押さえておきましょう。

農業でAIが活用される3つの領域

栽培計画・生育管理を支援する

栽培計画・生育管理の支援とは、気象データや土壌の状態、生育状況をAIが分析し、灌水や施肥のタイミング、栽培スケジュールの判断材料を示す使い方です。ベテランの勘に頼っていた圃場ごとの判断を、データに基づく共通の基準に置き換えられる点が特徴です。

農研機構は、13の公設試験研究機関、大学1機関、民間企業2社と共同で、土壌病害診断AIアプリ「HeSo+(ヘソプラス)」を開発しました。スマートフォンやPCから土壌の理化学性や栽培管理情報を入力すると、キャベツの根こぶ病やネギの黒腐菌核病など10種の作物病害について、圃場ごとの発病ポテンシャルをAIが診断し、レベルに応じた対策技術を提示します。2022年4月に販売が開始され、全国の実証圃場から集めた7,328件のデータをもとに開発されました。各作物病害に対する正確度は、診断結果の発病ポテンシャルレベルに応じた対策を行った場合に防除が成功した圃場の割合として73.6〜86.5%の範囲にあり、実用可能な水準と評価されています。栽培の初期段階で発病リスクを把握できれば、農薬散布の要否をあらかじめ判断できるようになります。

参考:圃場毎の土壌病害の発生しやすさをAIで診断できるアプリを開発 | プレスリリース・広報 – 農研機構

参考:技術の窓 No.2647 圃場毎の土壌病害の発生しやすさをAIで診断できるアプリを開発 – 日本政策金融公庫

収穫量・出荷量を予測する

収穫量・出荷量の予測とは、生育データや気象データなどをAIが解析し、圃場単位や産地単位の出荷量・出荷時期を事前に見積もる使い方です。経験に基づく見込みを、データ裏付けのある数値に置き換える使い方といえます。

セラク株式会社は、農研機構が運営する農業データ連携基盤「WAGRI」のAPIを通じて、キャベツ・たまねぎ・きゅうり・トマトを対象としたAI出荷量予測情報の提供を2023年4月に開始しました。産地全体の出荷量予測では1週間単位で1カ月先までを絶対誤差率約20%で見積もり、キャベツの圃場単位の出荷量予測では平均絶対誤差率13.1%、出荷可能日の誤差8日間という精度を公表しています。セラク自身も、この予測情報を自社の営農支援アプリに組み込んで生産者に提供しています。出荷量の見通しが立てば、販売先との数量交渉や出荷作業の人員計画を前もって組みやすくなります。

参考:セラク、AIの活用により青果出荷量の予測を実現、主要産地の出荷量予測情報の提供を開始 – みどりクラウド

経営判断や書類作成を支援する

経営判断や書類作成の支援とは、栽培マニュアルや経営データを学習した生成AIに、経営上の疑問を相談したり、定型的な書類の下書きを作らせたりする使い方です。現時点で確認できる公開事例は、いずれも一般向けの全面公開ではなく、対象地域やユーザーを絞った試験運用や会員向け機能という段階にあります。

農研機構は2024年10月21日から、農業分野に特化した生成AIの試験運用を三重県で開始しました。対象はイチゴ栽培に関する相談で、生成AIを農業者向けチャットツールと組み合わせ、県の普及指導員に提供する形です。三重県の普及指導員が用意した120問の農業情報に関する質問で評価したところ、汎用的な生成AIと比べて正答率が40%高いという結果が示されています。栽培マニュアルや栽培暦、営農指導記録、病害虫画像データなど1,000万トークンを超える農業知識を学習させたもので、新規就農者の早期育成を主な目的としています。

参考:国内初の農業特化型生成AIを開発 | プレスリリース・広報 – 農研機構

もう一つの例が、日々の経営相談にチャット形式で答える生成AIです。農林中央金庫グループが運営する農業経営者向けサイト「AgriweB」では、BIPROGYが開発に関わった「経営アシストAI」がこの形で提供されており、2025年3月末時点で2万9千人を超える会員が登録しています。現時点では経営相談が中心の機能ですが、事業計画書や収支予測を自動で作成する構想も今後の展開として示されています。

参考:生成AIが農業経営者の“専属経営コンサルタント”として課題を解決 – BIPROGY TERASU

公的機関が公表している農業AI活用事例を数値で見る

農業AIがどこまで実用段階に入っているかは、開発主体・提供形態・精度の定義を事例ごとに比較することで判断できます。同じ「精度」という言葉でも、何を測っているかは事例によって異なるため、並べて確認しておく価値があります。前章で紹介した3つの事例を、この観点で整理してみましょう。

公的機関の実証事例を数値で見る
事例 開発・提供主体 提供形態 精度・数値の定義 公開時期
土壌病害診断AI「HeSo+」 農研機構・公設試験研究機関13・大学1・民間2社 生産者・営農指導者向けアプリ(有償) 対策実施後に発病を抑えられた割合73.6〜86.5% 2022年4月
AI出荷量予測サービス セラク(WAGRI API経由) 事業者・生産者向けアプリに組み込み提供 出荷量の予測誤差率約20%(産地単位) 2023年4月
農業特化型生成AI 農研機構 三重県の普及指導員向け試験運用 汎用生成AI比で正答率40%高い(120問評価) 2024年10月

いずれの事例にも共通しているのは、対象を絞り込んだうえで実証データを積み重ね、精度の定義を明示したうえで数値を公表している点です。「精度」が指す内容は事例ごとに異なり、HeSo+は対策後の抑制成功率、AI出荷量予測サービスは予測の誤差率というように、比較する際は定義の違いに注意する必要があります。

もう一つ共通しているのは、開発の主体が農研機構や複数の公設試験場、都道府県など、複数の組織による共同研究という形を取っている点です。単独の企業だけで農業向けのAIを開発するのではなく、現場のデータを長年蓄積してきた公的機関が関わることで、実用に耐える水準まで引き上げられています。この点は、これから自社でAI活用を検討する際にも参考になります。自社の圃場データだけで精度の高いモデルを一から作ろうとするのではなく、すでに実証を終えた仕組みに自社のデータを載せていく方が、着手までの時間を短縮できます。

なお、AI出荷量予測サービスは、農研機構が運営する農業データ連携基盤「WAGRI」のAPIとして提供されています。WAGRIは気象・地図・生育データなどを共通のAPIで扱えるよう整備された基盤ですが、基本的なAPIは会員になれば申込み不要で使える一方、予測系のAPIは無償・有償を問わず個別の利用申込みが必要で、有償APIは別途料金も発生します。WAGRIを経由しているからといって、1つの手続きで複数機能を自動的に使えるわけではありません。今後、栽培計画支援や経営判断支援のサービスを追加で検討する際も、WAGRIを経由するサービスかどうかは、データ形式の共通化という観点で連携のしやすさを見極める材料になります。この前提を踏まえたうえで、自社にどう取り入れるかを次章で見ていきます。

農業でAI活用を始める3つのステップ

農業でAI活用を始める際は、現状の棚卸し、小さく検証できる領域の選定、外部の専門家との連携という3つの手順を踏むことで、投資が空回りするリスクを抑えられます。前章で見た事例の多くも、対象を絞った小規模な実証から実用段階へと進んでいます。

いきなり大掛かりな仕組みを導入しようとすると、データが整っていないことに途中で気づいたり、現場が使いこなせずに定着しなかったりする失敗につながりやすくなります。順番を守ることが遠回りに見えて実は近道です。

現状の棚卸しから始める

現状の棚卸しとは、記帳や作業記録、気象データ、圃場ごとの収量実績など、すでに手元にある情報を洗い出し、どこにデータが不足しているかを確認する作業です。この作業が、次に選ぶべき領域を決める土台になります。

紙の日誌や個人の記憶に頼っている記録は、AIが分析できる形になっていないことがほとんどです。まずは既存のデータをスプレッドシートなど扱いやすい形式に整理し、どの領域なら分析に回せるデータがすでにあるかを確認します。作業記録が圃場ごとに紐づいているか、気象データを日次で取得しているか、収量実績を品目別に分けて記録しているかといった粒度も、次のステップで検証する領域を選ぶうえで手がかりになります。

小さく検証できる領域を選ぶ

小さく検証できる領域を選ぶとは、3つの活用領域のうち、投資額が小さく効果を短期間で確認できるものから着手する考え方です。前段の棚卸しで見えた手持ちのデータと照らし合わせて決めます。

たとえば土壌病害診断のように、既存のアプリにスマートフォンやパソコンから情報を入力するだけで使えるサービスであれば、大きな設備投資が不要です。1年目は特定の作物・特定の圃場に絞って試し、精度や現場での使い勝手を確認したうえで、翌年以降に対象を広げるという段階的な進め方が、初期投資を抑えながら成果を検証する現実的な方法になります。逆に、収穫量・出荷量の予測のように複数年分の生育データや気象データの蓄積が前提になる領域は、データが整うまでに時間がかかるため、初年度からの導入には向きません。どの領域から着手するかは、前段の棚卸しでどのデータがすでに揃っているかによって決まります。

外部の専門家と連携する

外部の専門家との連携とは、自社だけでデータ分析やシステム選定を抱え込まず、知見を持つ相談先を早い段階で確保しておく考え方です。相談先の性格によって、任せられる範囲や費用感も変わってきます。

農業データの扱いには気象・土壌・病害虫といった専門知識が必要になる場面が多く、独力での試行錯誤は時間もコストもかかります。特に、複数の圃場や品目にまたがってデータを扱う段階になると、自社の担当者だけでシステムの選定や運用ルールの整備を進めるのは負担が大きくなります。どのような相談先があるかは、次章で選択肢ごとに整理します。

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農業に強い相談先の選び方

農業でAI活用の相談先を選ぶ際は、JAや自治体の窓口、農業に特化したITベンダー、業種を問わずAIエージェント構築を担う会社という、性格の異なる3種類の相談先を、解決したい課題の性質に応じて使い分けることが基本になります。

3つの相談先は、費用の抑えやすさ、対応の速さ、汎用性という異なる軸で強みを持っています。まず全体像を押さえたうえで、それぞれの向き不向きを見ていきましょう。

相談先 強み 向いているケース 留意点
JA・都道府県の農業改良普及センター 地域の実証プロジェクトや補助金の情報に詳しい 費用を抑えて試験導入したい場合 対応できる技術領域には地域差がある
農業特化型ITベンダー 栽培管理システムや画像診断アプリなど農業向けの既製サービスを持つ 特定の作業をすぐに既製ツールへ置き換えたい場合 サービスごとに対象作物や対応地域が限定されることがある
AIエージェント構築・研修を担う会社 業種を問わず業務フローをAIエージェント化する設計力を持つ 経営データの集計や社内向け相談対応など汎用的な業務を効率化したい場合 農業特有の専門知識は自社側で補う必要がある

JAや都道府県の農業改良普及センターに相談する最大の利点は、国や自治体の補助金・実証プロジェクトの情報を持っていることです。導入コストの一部を補助で賄える可能性があるため、まず地域の窓口に相談してから民間サービスを検討する順番も選べます。農業特化型のITベンダーは、栽培管理システムや画像診断アプリなど、既製のサービスをすぐに使いたい場合に向いています。一方、栽培記録の集計や経営データの整理、社内向けの相談対応など、農業以外の業種でも共通する業務フローをAIエージェントとして構築したい場合は、業種を問わずAIエージェントの設計・研修を担う会社に相談する選択肢もあります。malnaもそうした会社の一つとして、業務の棚卸しからAIエージェントの構築・研修までを支援しており、問い合わせを受け付けています。

どの相談先を選ぶ場合も、農業特有の専門知識が必要な部分まで一社に任せきりにするのではなく、JAや自治体、農業特化型ベンダーが持つ知見を借りながら組み合わせるのが現実的です。複数の相談先にまたがって進める場合は、どのデータを誰と共有するのかを事前に整理しておくと、後から連携し直す手間を防げます。

農業AI導入で注意したい4つの制約

農業AI導入で注意しておきたいこと

農業でAIを導入する際は、データの質、通信環境、コスト、現場の受容性という4つの制約を事前に確認しておく必要があります。これらを見落とすと、導入したAIが実際の判断に使われないまま、形だけの導入に終わってしまいます。

データの質を確認する

データの質を確認するとは、AIに読み込ませる情報が、自社の圃場条件を正しく反映しているかを事前に見極める作業です。学習データの前提が自社と離れているほど、実際の精度は公表値から下がります。

AIの判定精度は学習データの質に左右されます。本記事で紹介した事例も、特定の作物や地域の実証データをもとに精度を公表しているものであり、対象外の作物や気候条件が大きく異なる地域でそのまま同じ精度が出るとは限りません。導入前に、自社の栽培環境に近い条件で実証されたサービスかどうかを確認しておく必要があります。

通信環境を確認する

通信環境を確認するとは、圃場でクラウド型のサービスが安定して使えるかどうかを事前に検証する作業です。都市部の通信環境を前提に作られたサービスが、そのまま自社の圃場で使えるとは限りません。

中山間地域など電波状況が不安定な圃場では、画像のアップロードやデータ同期が途中で止まってしまうことがあります。契約前に試用期間を設け、実際に作業する圃場で通信が安定するかを確かめておくと、導入後に使われなくなる事態を避けられます。オフラインでも撮影や記録だけは行えて、電波が入る場所に戻ってからまとめて同期できる仕組みかどうかも、圃場によっては確認しておく価値があります。

コストを継続的な視点で見積もる

コストを継続的な視点で見積もるとは、導入時の初期費用だけでなく、データ入力や保守にかかり続ける工数までを費用として捉える考え方です。見積もりの段階で漏れやすいのは、この継続的な工数のほうです。

月額利用料や機器費用は比較しやすい一方、日々のデータ入力や結果の確認にかかる人の作業時間は見落とされがちです。誰がその作業を担うのかをあらかじめ決めておかないと、導入後にかえって負担が増えてしまいます。特に繁忙期には、通常の作業に加えてAI向けのデータ入力を続けられるかどうかを、契約前に具体的な作業手順のレベルで確認しておくと、導入後のギャップを防げます。

現場の受容性を高める

現場の受容性を高めるとは、AIの判定結果を実際の作業に使う人が、その仕組みを理解し納得したうえで使い続けられる状態を作ることです。導入担当者だけが理解していても、現場には浸透しません。

AIの判定はあくまで補助的な情報であり、最終的な栽培判断や出荷判断は生産者の経験と組み合わせて行うものです。この前提を導入前に現場全体で共有しておくことが、一時的な導入で終わらせないための分かれ目になります。導入担当者だけが仕組みを理解していて、実際に圃場で作業する人には結果だけが伝えられるという運用では、判定と現場の感覚がずれたときに使われなくなりがちです。誰が入力し、誰が結果を見て、誰が最終判断をするのかという役割分担を、導入前に決めておくことが定着の実務的なポイントになります。

よくある質問

農業のAI活用について、検討段階でよく挙がる疑問を整理しました。着手前に確認しておきたい費用や規模、効果の見込みに関する質問を中心に、本文で触れきれなかった点を補います。

農業でAIを導入するには何から始めればいいですか。 既存の作業記録や気象データなど、手元にある情報の棚卸しから始めます。データが整理できたら、投資額が小さく効果を確認しやすい領域を1つ選び、特定の作物や圃場に絞って小規模に試すのが現実的な進め方です。

小規模な農家でも農業向けAIサービスは使えますか。 土壌病害診断AI「HeSo+」のように、スマートフォンやパソコンから情報を入力するだけで使えるサービスもあります。大規模なシステム投資をせずに試せるものから検討することで、規模を問わず着手できます。

農業でのAI活用にはどのくらいの費用がかかりますか。 本記事で紹介した事例は、有償のアプリから事業者向けAPI提供までサービスの種類によって幅があります。公表されている料金や提供条件は変わることがあるため、導入前に提供元へ最新の条件を確認し、継続的な運用工数もあわせて見積もることが必要です。

AIを導入すれば人手不足はすぐに解消されますか。 AIは判断や作業の一部を効率化する手段であり、人手不足を即座に解消するものではありません。省力化できた時間を他の業務にどう再配分するかという運用設計が成果を左右します。

AI導入に使える補助金や税制優遇はありますか。 2024年10月施行のスマート農業技術活用促進法にもとづき、生産方式革新や技術開発の計画が国に認定されると、税制・金融面の支援を受けられる制度があります。詳細な要件はJAや都道府県の窓口で確認してください。

まとめ

農業のAI活用は、栽培計画・生育管理の支援、収穫量・出荷量の予測、経営判断・書類作成の支援という3つの領域に整理でき、農研機構や農林水産省が公表している実証事例はいずれも精度の定義を明示したうえで数値を公表し、実用段階に入っています。担い手の減少と規模拡大が同時に進む中で、限られた人数で広い圃場を見る必要性は今後も高まっていくと考えられます。

導入を検討する際は、現状の棚卸しから始め、小さく検証できる領域を選び、必要に応じて外部の専門家と連携するという順番を守ることが、投資を無駄にしないための土台になります。相談先も、JAや自治体、農業特化型のITベンダー、業種を問わずAIエージェントを構築する会社と複数の選択肢があるため、解決したい課題に応じて使い分けてください。まずは自社の記録の中で、どのデータがすでに揃っているかを確認するところから着手してみてください。棚卸しの進め方や相談先の選び方に迷う場合は、malnaへのお問い合わせから状況をうかがうこともできます。

AIを使える人材が社内にいない場合

活用できる領域の見当はついた。事例を読めば、どの作業から任せられるかも見えてきた。でも、それを自社の圃場や経営データに当てはめて実際に動かす人が社内にいない。

圃場や経営のデータは会社によって形が違うため、外から仕組みを持ってきても、最初の擦り合わせには人手が要ります。malnaでは、AI活用の実務経験を持つ人材をご紹介するAIタレント名鑑を運営しています。採用ではなく業務委託として、週1日から相談いただけます。

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malnaブログ編集部

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