ホワイトペーパーの作り方5工程|構成・タイトル・フォームの決め方

ホワイトペーパーを作ることは決まったのに、最初の1ページで手が止まる。テーマを何にするか、何ページ必要か、フォームで何を聞くか。どれも決めきれないまま、公開予定日だけが近づいてきます。

目次

止まる原因は文章力ではありません。決める順番が定まっていないことです。書き始めてから構成を直すと、原稿もデザインもまとめて巻き戻ります。手戻りの距離が長いほど、1本目が世に出るまでの時間は伸びていきます。

本記事では、テーマ選定から公開後の改善までを5つの工程に分け、それぞれの工程で何を決めれば次に進めるのかを整理します。数値は調査主体と調査時期が確認できる調査、および公開されている改善事例だけを使います。

1本目をこれから作る方と、作ったものの数字が動かず作り直しを検討している方を想定しています。

リード獲得の担当を任され、最初の1本の設計から迷っている段階でしたら、同じ地点から資料の企画を組み立ててきた立場でご相談を承ります。企画の進め方を相談するところから始められます。

ホワイトペーパーの作り方は、5つの工程に分けて決めていきます

ホワイトペーパーの作り方とは、テーマ選定、構成設計、原稿執筆、デザイン、公開と改善という5つの工程で、決めごとを順に固めていく作業です。工程ごとに決まるものが違うため、前の工程が空白のまま次へ進むと必ず戻ることになります。まずは全体の並びを押さえてください。

工程 決めること 次へ進める合図
1 テーマ選定 誰のどの課題を扱うか テーマを1文で言い切れる
2 構成設計 ページごとの役割とページ数 目次が確定する
3 原稿執筆 各ページの主張と根拠 図表の元データがそろう
4 デザイン レイアウトと表紙 通しで読める状態になる
5 公開と改善 タイトル、フォーム、見る指標 数字を見て直せる

工程5は、公開前の準備と公開後の見直しに分かれます。前半でタイトルとフォームを詰め、後半では出てきた数字を読んで手を入れる流れです。ここまでを一続きに設計しておくと、1本目の経験が2本目の速度に変わります。

つまずく場所は制作後に集中しています

実務の課題は、資料をつくる過程よりも公開したあとに集中しています。株式会社ベーシックが2025年4月8日から9日にかけてBtoBマーケティング業務に関わる330名へ実施した調査では、施策の課題として次の回答が並びました。

感じている課題 回答割合
ダウンロード後に商談に繋がらない 48.3%
リードの質が低くターゲット外のユーザーが多い 46.4%
ダウンロード数が伸びない 29.9%

集める段階よりも、集めたあとで詰まっている企業のほうが多いという結果です。作り方の設計には公開後の使われ方まで含める必要があり、テーマ選定の時点で誰に商談を持ちかけるのかを決めておくと、この詰まりはかなり避けられます。

参考:ホワイトペーパーを「作るだけ」で終わっていない?(株式会社ベーシック)

着手前に3つだけ決めておきます

着手前に必要な決めごとは、届ける相手の検討段階、資料が使われる場面、公開後に見る指標の3つです。ここが空白のままだと構成設計の途中で判断が止まり、関係者の意見が割れたときに立ち戻る基準がなくなります。

届ける相手の検討段階は、課題に気づいたばかりの層か、すでに他社と比べている層かという粒度で決めます。使われる場面は、読み手が自分で読むのか、社内会議で回されるのかの違いです。前者なら通読を前提に書けますが、後者なら1枚単位で意味が通る構成が要ります。見る指標については後の工程で扱いますが、決めるのは着手前です。

この3点は、口頭の合意ではなく短い文章で残してください。制作が進むほど関係者は増え、途中から加わった人は前提を知りません。1枚のメモに書いて共有しておくだけで、後半の差し戻しが減ります。

工程を飛ばすと戻る距離が長くなります

工程を飛ばして先に手を動かすと、後から効いてくる手戻りが大きくなります。構成を決めずに原稿を書き始めた場合、章の順番を入れ替えるだけで各ページの前提説明が噛み合わなくなり、書き直す範囲が全体へ広がります。

デザインまで進んだ段階での構成変更は、さらに重くなります。ページを1枚差し込むだけでノンブルや目次、図版の配置がずれるため、修正の工数が原稿の書き直しを上回ることも珍しくありません。目次が確定するまでレイアウト作業に入らないという線引きが、実務ではもっとも効きます。

工程1のテーマ選定では、誰のどの課題を扱うかを1文で決めます

テーマ選定の到達点は、誰のどの課題を扱う資料なのかを、修飾のない1文で言い切れる状態です。1文にならないうちは、対象が絞れていないか、扱う課題が複数混ざっています。この段階の曖昧さは、後の工程では回収できません。

営業とインサイドセールスの現場から質問を集めます

テーマの材料がもっとも多く眠っている場所は、商談とその前段のやり取りです。営業担当者が繰り返し聞かれている質問、インサイドセールスが電話で断られる理由、失注時に相手が挙げた懸念は、いずれも見込み顧客が自分の言葉にした課題そのものです。

集め方は簡単で構いません。直近の商談を10件ほど振り返り、相手から出た質問を書き出してもらうだけで候補が並びます。同じ質問が3件以上で重なったものは、資料1本を成立させるだけの需要がある候補です。会議室で組み立てた読者像よりも、実際に発された質問のほうが精度は高くなります。

テーマが1文にならないときは分けます

1文にまとめようとして長くなる場合、そのテーマは2本以上に分けたほうがうまくいきます。対象読者が違う、扱う課題が違う、想定している検討段階が違うという3点のどこかで混ざっているのが、長くなる原因です。

たとえば導入前の検討方法と導入後の運用体制を1本に詰め込むと、読み手はどちらの立場でも中途半端に感じます。分けたうえで、先に出すほうを検討段階の近さで選んでください。1本に載せる課題はひとつに限るという原則を持つと、ページ数の配分にも迷わなくなります。

検索キーワードと既存リードの関心から裏を取ります

現場から集めた候補は、外側のデータで裏を取ると精度が上がります。検索キーワードの月間検索数を見れば、その課題を言葉にして探している人の規模がわかりますし、既存リストのメール開封やページ閲覧の履歴からは、いま関心が寄っているテーマが読み取れます。

裏取りには、候補を却下する役割もあります。現場では話題に上がるのに検索もされず既存リードも反応しないテーマは、資料にしても取得されません。逆に検索数が小さくても検討段階が近いテーマは、件数が少なくても商談につながります。件数の大小だけで優先順位を決めないでください。

関連記事:【保存版】BtoBマーケティングとは?基礎から戦略・手法、成功のプロセスまで徹底解説

商談化まで見て、テーマの当たりを付けます

テーマの良し悪しは、ダウンロード数ではなく商談化率で判定します。先の株式会社ベーシックの調査では、商談化率が5%未満にとどまる企業でもっともダウンロードされている形式は課題解決型が47.6%を占め、商談化率が11%から20%の企業群では調査レポート型が39.8%、導入事例型が29.6%と主力が入れ替わりました。

読み解き方には注意が必要です。課題解決型が悪いという話ではなく、検討段階の早い相手に届く形式ほど商談までの距離が遠いということです。1本目に何を作るかを決める場面では、入口を広げたいのか商談を増やしたいのかを先に選ぶと、テーマの絞り方が変わります。

参考:第3章 成果を支えるコンテンツ設計と形式の工夫(株式会社ベーシック)

工程2の構成設計では、ページの役割を先に決めます

構成設計とは、各ページに持たせる役割とページ数の配分を決め、目次の形で固める作業です。本文を書く前に目次を確定させれば、書きながら論点が増えていく状態を防げます。ページの役割が決まっていれば、複数人で分担して書いても筋が通ります。

基本のページ構成を型として持ちます

ページ構成には、テーマが変わっても使い回せる基本の型があります。表紙から会社概要までの並びをあらかじめ持っておけば、毎回ゼロから考える必要がなくなり、テーマ固有の部分だけに検討時間を回せます。

ページ 役割 目安のページ数
表紙 タイトルと対象読者を示す 1
概要 何がわかる資料かを1ページで示す 1
目次 全体の流れを見せる 1
課題の整理 読み手の状況を言語化する 3〜4
解決の考え方 判断軸と手順を示す 6〜9
自社の位置づけ 解決手段のひとつとして示す 1〜2
会社概要と連絡先 発行者と問い合わせ先を明示する 1

課題の整理から解決の考え方へ進む流れは崩さないでください。解決策から始めると、読み手は自分の状況と結び付けられないまま読み進めることになります。概要のページを軽視しないこともひとつのコツです。2ページ目で読む価値が伝わらない資料は、その先を開いてもらえません。

ページ数は20ページ前後を目安にします

分量の目安は1本あたり20ページ前後です。40本以上の制作経験を公開している株式会社GIGの解説でも、1つの資料につき20ページ前後を目安とし、制作期間は2週間から1ヶ月程度と示されています。

この目安が現実的なのは、読み手の可処分時間と釣り合うからです。50ページを超える資料は、ダウンロードされても放置されがちです。逆に5ページ程度では、連絡先を渡した見返りとして物足りません。分量が足りないと感じたときは、テーマを広げるのではなく、扱う課題をもう1段深く掘るほうが読み応えにつながります。

参考:ホワイトペーパーの構成・作り方(株式会社GIG)

1ページに載せる主張は1つに絞ります

構成段階で守ると効くルールが、1ページ1メッセージです。1枚のページで伝える主張を1つに限定し、それを支える根拠だけを同じページに置きます。主張が2つ以上あるページは、読み手がどこを持ち帰ればよいのか判断できません。

このルールは、社内で回される場面でも働きます。会議で1枚だけ抜き出して見せられたときに意味が通るかどうかが、資料が社内で使われるかどうかを分けます。目次の各行がそのままページの主張になっている状態を目指すと、構成と本文のずれも起きません。

判定のしかたも決めておきましょう。ページの主張を口頭で説明したときに、接続詞の「かつ」や「また」でつながるなら、主張は2つあります。その場合は2枚に割ってください。ページ数は増えますが、読みやすさは確実に上がります。

テンプレートは構成の型として使います

配布されているテンプレートは、構成の型として使う範囲では有効です。表紙、目次、本文、会社概要の並びやレイアウトの枠組みが用意されているため、体裁を整える時間を短縮できます。2本目以降の制作速度は、この型を持っているかどうかで変わります。

一方で、テンプレートに載っている見出し例や文例をそのまま使うと、他社の資料と区別がつかないものになります。埋めるべきは自社の顧客から集めた課題と、自社が持っている根拠です。枠は借りて中身は自前でそろえる、という切り分けを守ってください。

工程3の原稿執筆では、ページ内の書く順番を固定します

原稿執筆でつまずかないための要点は、すべてのページで書く順番を固定し、ページ単位で書き切っていくことです。文章の巧拙よりも、順番の統一のほうが読みやすさに効きます。順番が決まっていれば、書く速度も自然に上がります。

ページ内は主張、根拠、補足の順で書きます

1ページの中の並びは、主張、根拠、補足の順で固定します。最初に結論となる一文を置き、その下に根拠となるデータや図表を配置し、最後に例外や注意点を短く添える形です。上から下へ読むだけで論旨がたどれます。

この順番は、読み飛ばしを前提にした設計でもあります。資料を受け取った相手は全ページを精読しません。各ページの一番上だけを追っていっても筋が通るなら、斜め読みされても主張は届きます。結論を下に置いた資料は、読み飛ばした相手には何も残しません。

書き終えたあとの確認も、この順番を使うと簡単になります。各ページの一行目だけを抜き出して並べ、それだけで論旨がつながっているかを読んでみてください。つながらない箇所があれば、そのページの主張が定まっていないか、順番が入れ替わっている合図です。原稿の段階でこの確認を済ませておけば、デザインに入ってからの差し戻しはほとんど起きません。

用語と数値の表記ルールを先に決めます

書き始める前に決めておくと効くのが、用語と数値の表記です。同じ対象を複数の呼び方で書いた資料は、読み手が別のものだと受け取ります。分担して書く場合はとくに起きやすく、後からの統一作業は全ページの読み直しになります。

決めるのは3点で足ります。対象を指す言葉、数値の単位と桁の揃え方、外部データを引用するときの書き方です。引用については、調査主体と調査時期を数値のそばに置く形を決めておいてください。出典が読み取れない数値は社内で回せません。持ち帰った担当者が上長に説明できる形にしておくことが、資料が使われる条件になります。

図表とチェックリストを1つ以上入れます

原稿には、読み終えたあとに手元へ残る要素を必ず1つ以上入れてください。比較表、判断の流れ図、確認項目を並べたチェックリストのいずれかがあると、資料はファイルとして保存され、必要になった場面で社内から参照されます。文章だけの資料は、一度読まれて閉じられたあとに開き直されることがありません。

作り方は難しくありません。本文で言葉にした判断軸を、そのまま表の列に置き換えるだけで比較表になります。手順を説明した箇所は、番号付きの確認項目に変換できます。本文の要約ではなく、読み手が自分の状況を当てはめられる形にすることが条件です。

自社サービスの説明は独立したページに固めます

自社サービスの記述は、本文の各ページに散らさず、専用のページへまとめます。課題の整理や解決の考え方を説明している途中に製品名が現れると、読み手はそこから先を宣伝として読むようになり、それまでの記述の信頼も一緒に下がります。

置き場所を固めておけば、書き手も判断に迷いません。本文では解決の選択肢を並べるところまでを担い、自社が担える領域は後段のページで示します。自社について語るページは1枚か2枚で足り、そこから先の詳細はサービス資料の役目です。

AIに任せる工程と人が持つ工程を分けます

原稿の工程では、生成AIの使いどころを先に決めておくと迷いが減ります。株式会社ベーシックの調査では、ホワイトペーパー施策でAIを活用していない企業は3.5%にとどまり、活用している業務はデータ分析による改善提案が53.6%、ターゲットに合わせた構成案の作成が50.6%と上流に寄っていました。画像生成は34.5%、タイトルや見出しの最適化は32.6%です。

実務での線引きも同じ形になります。集めたデータの整理や構成案の候補出しは任せられますが、顧客から聞いた課題の解釈と自社の判断軸は人が持つ領域です。一次情報の部分をAIに埋めさせると、他社の資料と変わらない一般論に収束します。

参考:第5章 AI活用による制作プロセスの変革(株式会社ベーシック)

工程4のデザインでは、読ませるためのルールを決めます

デザインの工程で決めるべきものは、判断を毎回発生させないためのレイアウトのルールです。装飾の巧みさよりも、全ページで同じ約束が守られていることのほうが読みやすさに効きます。ルールを3つか4つ決めて、それを全ページへ適用してください。

スライドの向きとサイズを最初に決めます

最初に決めるのは、資料の向きとサイズです。画面で読まれる前提なら横長のスライドサイズが読みやすく、印刷して配る前提が強いならA4縦が扱いやすくなります。途中で変えると全ページの再調整が必要になるため、1ページ目を作る前に確定させてください。

余白とフォントサイズも同時に決めます。1ページに詰め込める量は余白で決まるため、余白を先に確保しておけば文字量が自然に制限されます。会議で投影される可能性があるなら、本文のフォントは離れた席から判別できる大きさが必要です。ここを決めずに作り始めると、後半のページだけ文字が小さいという不統一が生まれます。

文字を削って図に置き換えます

文字が多いページは、読まれずに飛ばされます。1ページの文字数を減らし、削った内容を図へ置き換える作業が、デザイン工程の中心です。長い説明文は、3行から5行程度で改行を入れると視線が流れやすくなります。

置き換えの判断は難しくありません。並列の関係にある要素は表にでき、順番のある要素は流れ図にできます。数量の比較はグラフに向きます。文章として説明が長くなった箇所ほど図にする効果が大きいため、原稿で書きにくかった部分を優先してください。

図を作るときは、1枚に入れる要素の数を絞ってください。項目が10を超える表や、線が交差する流れ図は、文章より読みにくくなります。分けられるなら2枚にし、それでも収まらない場合は元の整理そのものが複雑すぎるということです。図にして伝わらないものは、本文でも伝わっていません。

ferret Oneが既存12冊を作り直した事例です

既存の資料を作り直した公開事例として、ferret Oneが自社のホワイトペーパーを改善した記録があります。改善前の状態は、ダウンロードはされているが次のアクションにつながらず、文字での説明が多く、内容が古いままで、設置していたボタンがすべて同じという4点でした。

2019年春の2ヶ月間、新規制作を行わず既存12冊のみを作り直しています。実施した内容は、A4縦から横長スライドへの変更、表紙の個別制作、1ページあたりの文字数削減と図の追加、資料ごとに内容と合わせたボタンへの差し替えです。リニューアル前後の4週間を比較した結果、資料からサービスサイトへの遷移が12倍、サイトでのコンバージョンが2.5倍になったと報告されています。新しい資料を増やす前に、手持ちの資料を作り直すという選択肢があることを示す実例です。

参考:成果の出ないホワイトペーパーを作り直す(ferret One)

デザインを外に出す場合の分担を決めます

デザイン工程は、外部の力を借りやすい領域です。社内にレイアウトの担い手がいない場合、原稿とページごとの主張までを自社で用意し、そこから先を委託する分担が現実的です。この形なら、内容の責任を自社に残したまま仕上がりを上げられます。

委託するなら、渡す材料を先に決めておくと進行が速くなります。目次、各ページの主張、使用する図表の元データの3点がそろっていれば、初回のやり取りで方向が固まります。逆に材料が不足した状態で依頼すると、デザイナー側の確認待ちが積み重なり、日程だけが延びていく結果になりがちです。

関連記事:ホワイトペーパーの制作代行会社15選|選び方や費用も解説

自社でどこまで持ち、どこから任せるかの線引きから整理したい場合は、企画から制作までを伴走してきた立場で一緒に組み立てられます。malnaでは株式会社HERP様の支援で、ホワイトペーパーの情報収集から構成とデザインの制作、リード獲得の設計までを担当しました。体制の組み方を相談するところから始められます。

参考:株式会社HERP様の支援事例(malna)

工程5の公開準備では、タイトルとフォームを詰めます

公開の準備で決めるものは、タイトル、ダウンロードフォームの項目、取得後の導線という3つです。中身の質が同じでも、この3つでダウンロードされる件数と後工程の動きが変わります。資料が完成してから慌てて決める箇所ではありません。

タイトルは対象読者と得られるものを入れます

タイトルに必ず入れる要素は、誰向けの資料かと、読むと何が得られるかの2点です。テーマ選定で書いた1文を短く言い換える作業だと考えると、ぶれずに決まります。中身を要約した名詞だけのタイトルは、クリックの判断材料になりません。

具体語への置き換えも同時に行います。改善や強化といった抽象語を、対象業務や数値、期間に言い換えると輪郭が出ます。同じ中身でもタイトルの具体性で反応が変わるため、ここは時間をかける価値のある工程です。候補は1つに絞らず5つほど並べ、対象読者に近い立場の人に選んでもらうと、書き手の思い込みを外せます。

社内で選ぶときの基準も持っておいてください。読み手が自分のことだと気づくか、得られるものが想像できるか、他社の資料と入れ替えても成立しないか。この3点で候補を絞ると、無難なだけのタイトルが残りにくくなります。

導線のボタン文言とタイトルを一致させます

タイトルが決まったら、ダウンロードボタンや遷移元の文言と表現をそろえます。株式会社WACULが2019年1月から5月にかけて21件のフォームを対象に行った調査では、ボタンと遷移先の文言が一致しているサイトのフォーム通過率は平均約21.7%、一致していないサイトは平均約16.6%で、約1.3倍の差が出ました。

差が生まれる理由は単純です。クリックした先に別の名前の資料が現れると、読み手は自分が押した対象を見失います。遷移元のボタン、フォームの見出し、資料のタイトルの3箇所を同じ言葉でそろえるだけで、通過率は改善します。

フォームの項目は後工程で使うものだけにします

フォームの入力項目は、後工程で実際に使うものだけに絞ります。同じ調査では、入力項目数とフォーム通過率のあいだに相関係数マイナス0.757の強い負の相関が見られ、1項目減らすごとに通過率が約2%pt向上すると報告されました。21件のフォームでの通過率は平均20.37%、最大34.4%です。

項目を残すかどうかは、その情報を誰がいつ使うかで判断します。

項目 後工程での使い道 必須にするかの判断
会社名 企業単位の名寄せ、既存顧客の判別 必須
氏名 メールの宛名、商談時の呼称 必須
メールアドレス 資料の送付とその後のフォロー 必須
部署と役職 決裁への距離の推定 使う場合のみ必須
電話番号 インサイドセールスの架電 架電するなら必須
従業員規模 ターゲット外の判別 任意で足りる
検討状況 営業へ渡す優先度の判断 任意で足りる

架電しないのに電話番号を必須にする、集計しないのに従業員規模を聞くといった項目が、通過率を下げている典型です。使わない項目は削り、必要になった段階でフォローのやり取りの中で聞き直してください。項目を減らして件数が増えたぶん、ターゲット外も混ざります。そのぶんは後工程の絞り込みで対応する前提を、営業側と先に共有しておくと衝突を避けられます。

利用目的の明示と取得後の導線を用意します

フォームで連絡先を受け取る前に、個人情報の利用目的を明示する準備が必要です。個人情報保護委員会は、利用目的について、本人が自らの個人情報がどのように利用されるかを一般的かつ合理的に予測できる程度に特定することを求めています。フォーム付近にプライバシーポリシーへの導線を置き、営業連絡に使うのであればその旨がわかる記載にしてください。法令の適用や自社の記載内容の妥当性は、社内の法務担当者や専門家に確認することをおすすめします。

取得後の導線も同時に用意します。ダウンロード直後の自動返信、数日後のフォローメール、関連する資料やセミナーの案内、営業へ引き渡す基準の4点を公開前に決めておいてください。誰がいつ何を送るかが決まっていないと、受け取った連絡先はそのまま冷めていきます。

関連記事:【初心者向けガイド】MAとは?基本機能から導入メリット、事例まで徹底解説

参考:利用目的の特定(法第17条第1項)、通知又は公表(法第21条第1項)(個人情報保護委員会)

参考:B2Bサイトのフォームにおけるベストプラクティス研究(株式会社WACUL)

公開後の改善は、ダウンロード率と商談化率を分けて見ます

公開後の改善で守るべき原則は、ダウンロードまでの数字とダウンロード後の数字を分けて見ることです。合計のダウンロード数だけを追っていると、どの工程を直せばよいのかが判別できません。指標は4つに絞れば足ります。

見る指標を4つに絞ります

追う指標は、クリック率、フォーム通過率、商談化率、受注率の4つです。数字が動かない場所と直すべき工程が一対一で対応するため、どこに手を入れるかの切り分けに使えます。指標を増やすほど判断は遅くなるので、この4つ以外は当面追わなくて構いません。

指標 計算のしかた 動かないときに直す場所
クリック率 バナーやリンクのクリック数÷表示回数 タイトル、掲載位置
フォーム通過率 送信数÷フォーム到達数 入力項目、ボタン文言
商談化率 商談数÷ダウンロード数 テーマ、営業への引き渡し
受注率 受注数÷商談数 テーマの検討段階、ターゲット

評価のタイミングは件数で決めます。フォーム到達数が十分にたまっていない段階で通過率を比べても、判断材料になりません。期間で機械的に切るのではなく、比較できる件数がそろってから手を入れてください。

数字が読める状態を公開前に作ります

指標を決めても、計測の準備がなければ数字は読めません。資料ごとにダウンロードの記録を分けておく、どのページから来た人が取得したのかを残す、商談や受注の記録に取得した資料名を紐づけるという3点は、公開前に用意しておく作業です。

後から遡って整えるのは、ほとんどの場合できません。記録が資料ごとに分かれていなければ、どのテーマが商談を生んだのかを判定できず、次に作る資料の判断材料も得られません。測れない状態で公開した1本は、成果の有無すら確かめられないという点で、作らなかったのと同じ扱いになってしまいます。

ダウンロード率が低いときはタイトルとフォームを直します

ダウンロードまでの数字が伸びない場合、直す対象はタイトル、表紙、フォームの3箇所です。資料の中身を書き直す前に、この3箇所を確かめてください。読まれる前の段階で落ちているなら、中身は原因ではありません。

順番としては、クリック率が低いならタイトルと表紙、クリックはされているのに送信されないならフォームの項目とボタン文言を見ます。切り分けができていないまま資料を作り直すと、時間をかけたのに数字が動かないという結果になります。

手を入れるときは、一度に1箇所だけ変えてください。タイトルとフォームを同時に直すと、どちらが効いたのかがわからず、次の判断に使える材料が残りません。掲載しているページが複数あるなら、片方を元のまま残して比べる方法もとれます。変更した日付と内容を記録に残しておくと、あとから効いた施策をたどれます。

商談化率が低いときはテーマと引き渡しを直します

ダウンロード後の数字が動かない場合、原因はテーマ選定と営業への引き渡しにあります。先の株式会社ベーシックの調査では、ROI向上のために実施している施策として、ダウンロード後のナーチャリング強化が60.9%、営業チームと連携した商談創出が44.1%を占め、タイトルやコンテンツの最適化は36.4%にとどまりました。

読み取れるのは、成果を出そうとする企業の手が資料の外側へ向かっている傾向です。誰にいつ連絡するかの基準、営業へ渡す条件、渡したあとの結果を戻す仕組みを整えるほうが、資料を作り直すより先に効きます。資料の改善と後工程の改善は別の作業として分けて考えてください。

関連記事:【完全ガイド】リードナーチャリングとは?意味から手法、成功の秘訣まで徹底解説

参考:第4章 施策運用における課題と改善アクション(株式会社ベーシック)

2本目以降は工程の記録を残して速くします

2本目以降の制作速度は、1本目で何を記録したかで決まります。テーマの決め方、目次の型、デザインのルール、フォームの項目、使った指標の5点を残しておけば、次回は判断が済んだ状態から始められます。

記録を残す先は特別な仕組みでなくて構いません。目次のひな形と決めたルールを1枚のドキュメントにまとめ、資料ごとの実績値を並べた表を横に置くだけで足ります。同じ判断を繰り返さない状態を作ることが、年間の本数を増やす前提になります。

関連記事:BtoBリード獲得支援おすすめ15選!手法別の選び方と費用

よくある質問

ホワイトペーパーを作る過程で判断に迷いやすい論点を、5つの質問にまとめました。制作ツール、テンプレートの扱い、1本目のテーマ、フォームの項目数、公開後の評価タイミングという順で回答します。

ホワイトペーパーはPowerPointで作ってよいですか

問題ありません。横長のスライドを1ページ1メッセージで組み、最後にPDFへ書き出す流れが扱いやすく、図表の差し替えも容易です。Wordは文章量が多い資料に向きますが、図が中心になるなら向きません。デザイン専用ツールを使う必要は、社内に担い手がいる場合に限られます。

テンプレートを使って作っても大丈夫ですか

構成の型として使う分には有効です。表紙から会社概要までの並びやレイアウトの枠組みを借りることで、体裁を整える時間を短縮できます。ただし見出し例や文例をそのまま流用すると他社の資料と区別がつかなくなるため、中身は自社の顧客から集めた課題と自社の根拠で埋めてください。

1本目はどのテーマから作るべきですか

営業が商談で繰り返し聞かれている質問から選んでください。直近の商談を10件ほど振り返り、相手から出た質問を書き出したときに3件以上で重なったものは、資料1本を成立させる需要があると判断できます。想像で作った読者像より、実際に発された質問のほうが精度が高くなります。

フォームの入力項目は何項目にすべきですか

後工程で実際に使う項目だけに絞ってください。架電しないのに電話番号を必須にする、集計しないのに従業員規模を聞くといった項目が通過率を下げます。項目数とフォーム通過率には負の相関が確認されているため、必要になった情報はフォローの中で聞き直すほうが有利です。

公開後はどのタイミングで評価すればよいですか

期間ではなく件数で判断してください。フォーム到達数が十分にたまるまでは通過率を比べても差が読み取れず、少ない件数での比較は誤った修正につながります。クリック率、フォーム通過率、商談化率、受注率を分けて記録しておき、比較できる件数がそろった指標から順に手を入れます。

まとめ

ホワイトペーパーの作り方は、テーマ選定、構成設計、原稿執筆、デザイン、公開と改善の5工程に分けて決めていく作業です。テーマ選定では誰のどの課題を扱うかを1文で言い切り、構成設計では20ページ前後を目安にページの役割を決め、目次を確定させてから本文に入ります。

原稿はページ内の書く順番を固定し、自社サービスの説明は独立したページに固めます。デザインでは向きとサイズ、余白、文字量のルールを決めて全ページへ適用します。公開の準備で詰めるのは、タイトル、フォームの項目、取得後の導線の3つです。

調査で示された課題は、制作後に集中していました。ダウンロード後に商談へ繋がらないという回答が48.3%を占め、成果を出そうとする企業の手はナーチャリング強化と営業連携へ向いています。資料の出来と後工程の設計は別の作業として、両方を工程に含めてください。

まずは直近の商談から相手の質問を書き出し、3件以上で重なったものを1本目のテーマ候補として並べてください。そこから目次を1枚作れば、制作は動き始めます。リード獲得から商談化までを一続きで設計し直す段階でしたら、戦略から実行、内製化までを伴走する形でのご相談も可能です。設計から相談することができます。

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malnaブログ編集部

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