Slackでタスク管理を自動化した話 ― Claude Codeで社内Botを作るまで

 

「あのタスク、どうなった?」

これが一番コストのかかる質問だと気づいたのは、チームが10人を超えてからでした。誰かが誰かに聞く。聞かれた人が確認する。確認した人が答える。1回あたり数分でも、1日に何度も繰り返されると、チーム全体の集中力がじわじわと削られていきます。

しかも厄介なのは、その質問をした時点で「管理できていない」という事実が露呈することです。マネージャーとして、それが一番しんどかった。

そこで当社が選んだ答えは、タスク管理ツールを乗り換えることでも、運用ルールを厳しくすることでもありませんでした。Slackの中に、タスクを自動で管理してくれるBotを作ることでした。

1. よくある「Slackでタスク管理」の限界

「Slackでタスク管理する方法」を調べると、だいたい同じ答えが返ってきます。

Slack単体であればリマインダー機能・スター機能・タスクチャンネルの活用。外部連携であればAsanaやTrello、Notionなどのプロジェクト管理ツールと連携して、Slackに通知を流す運用です。

当社も一通り試しました。正直に言うと、どれも「うまく機能した」とは言えませんでした。

Slack単体の運用は、誰がどのタスクを持っているのかが見えません。リマインダーは個人の管理ツールであって、チームで共有するには向いていないのです。

外部ツールとの連携は機能が豊富ですが、「Slackで話したことを別ツールに手で登録する」という手間が必ず発生します。その一手間が、想像以上に大きな壁でした。

2. 本当の問題は「ツールが増えること」だった

ある日、当社のSlackにこんなメッセージが流れていました。

「この件、タスクに入れておいてもらえますか?」

入れる先はNotion。ところが確認してみると、そのタスクが登録されていない。担当者に聞くと「後でやろうと思ってたんですが、忘れてました」。

これは個人の問題ではありません。「登録するひと手間」が発生している時点で、構造的に漏れが起きやすい仕組みになっているということです。

ツールを乗り換えても同じ問題が起きます。Slack→Asanaでも、Slack→Notionでも、「Slackの外に出てタスクを登録する」という動作が必要である限り、話の流れの中で生まれたタスクは取りこぼされ続けます。

チームが増えれば増えるほど、この問題は深刻になりました。3人なら感覚でカバーできていた管理が、10人になると完全に破綻しました。「誰が何を持っているのか」を把握するために、マネージャーが朝夕に声がけする運用が当たり前になっていたのです。

それは管理しているのではなく、管理のためだけに時間を使っているということでした。

3. だから、Slackの中にBotを作った

発想の転換

「もっといいツールを探す」という発想をやめたとき、答えが見えてきました。

問題はツールの良し悪しではなく、「Slackの外に出なければならない」という構造そのものでした。であれば、Slackの中にタスク管理の仕組みを持ち込めばいい。

外部ツールと連携するのではなく、Slack自体をタスク管理ツールにする。これが「やりきり先輩」を作ることにした理由です。

Claude Codeでゼロから構築した

当社にはエンジニアが専任でいるわけではありません。それでも、Claude Codeというツールを使うことで、Slack Botをゼロから作れました。

Claude Codeはターミナルで動くAIのコーディングツールです。「絵文字でリアクションしたらタスクが登録される仕組みがほしい」「コマンド一発で自分のタスク一覧が見たい」という要件を日本語で伝えながら、コードの設計と実装を一緒に進められます。

実際に作ってみると、壁はいくつかありました。Slack APIには「モーダルを開くためのトリガーIDが3秒で失効する」という制約があり、タイミングの設計を間違えると何も起きないまま終わります。こういう細かい仕様上の制約を、試行錯誤しながら対処していくのが一番時間がかかりました。

それでも、集中して取り組んだ時間で換算するとおよそ1週間でプロトタイプが動き始めました。コードを書くスキルがなくても、「何を作りたいか」が明確であれば、今の時代は実現できます。

名前は「やりきり先輩」。タスクをやりきることを応援してくれる、頼れる先輩のイメージです。

4. やりきり先輩でできること

絵文字を押すだけでタスクが生まれる

Slackのメッセージに特定の絵文字でリアクションをつけると、そのメッセージ内容がそのままタスクとして登録されます。

会話の流れの中で「これ、対応しなきゃ」と思ったとき、ツールを開かずにその場でリアクションをつけるだけで済みます。Slackから離れる必要がないため、会話の文脈が途切れません。

そしてこれが重要なのですが、「このメッセージから生まれたタスク」という文脈がそのまま残ります。後から「なぜこのタスクが発生したのか」を確認したいとき、元の会話に戻れます。

/yarikiri で今日やるべきことが一目でわかる

/yarikiri とSlackに打つと、自分が担当しているタスクが一覧で表示されます。

表示される順番は優先度順です。期限を超えているもの、今日中のもの、今週中のもの、という形で並んでいるので、「今日何から手をつければいいか」を考える手間がなくなります。

/yarikiri all と打てばチーム全体のタスクが見渡せます。マネージャーが朝の確認に使うのに向いています。

ボタン操作でタスクを完結させる

タスクの担当者変更、期限の更新、ステータスの変更、完了報告——これらをすべてSlack上のボタン操作で完結できます。ブラウザで別のアプリを開く必要はありません。

「完了しました」と報告するのも、ボタンを1回押すだけです。

期限が近くなると自動でリマインドが来る

締め切りが迫ったタスクは、担当者にSlack DMで自動的に通知が届きます。

マネージャーが「あれどうなった?」と声がけしなくても、メンバーが自分で期限を認識して動ける状態になります。

5. 使い始めてから変わったこと

正直に言うと、劇的な変化を期待していたわけではありませんでした。それでも、使い始めてから確実に変わったことがあります。

一つは、「確認のためのSlack」が減ったことです。

以前は進捗確認のメッセージを送ることが、マネージャーの日課になっていました。それが自分の仕事だと思っていたのですが、振り返るとそれは管理コストを全員で分担していただけでした。/yarikiri all で状況が見渡せるようになってから、「声がけ」が仕事ではなくなりました。

もう一つは、タスクが「発生した文脈」とともに残るようになったことです。

以前は別ツールに登録されたタスクを見ても、「これはなんのためのタスクだっけ」と思うことがありました。Slackのメッセージから直接タスクが生まれる今の仕組みでは、そのタスクがどの会話から来たのかがわかります。背景を理解した上で動けるのは、思っていたより大きな違いでした。

6. 自社にも欲しいという方へ

「うちにも同じ仕組みがあったら」と感じていただけたなら、その感覚は正しいと思います。

ただ、当社が「やりきり先輩」を作るのに使ったのは、外注費でも大きな開発リソースでもありません。Claude Codeを使い、自分たちの業務フローに合わせながら、自分たちで作りました。

このアプローチ——「市販ツールに業務を合わせるのではなく、業務に合ったツールを自分たちで作る」——は、AI活用の本質だと当社は考えています。

当社では、Slack Botに限らず「自社の業務に合った自動化の仕組みを作りたい」というご相談をお受けしています。「こういうことができたらいい」という段階からお声がけいただき、業務フローの整理から設計・実装まで一緒に取り組んでいます。

まずは当社サイトのお問い合わせフォームから、気軽にご連絡ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「タスク管理に時間をかけない」ための仕組みが、少しでも参考になれば幸いです。

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執筆者情報

高橋 一志

writer 高橋 一志 consultant
Web開発やデジタルマーケティングの総合支援を担当。戦略的なWebサイト企画・設計からSEO対策、SNS運用、広告運用(リスティング、ディスプレイ、SNS広告)に至るまで、プロジェクトの企画から実行まで幅広く携わる。SalesforceやHubSpotを活用したCRM/MA導入・運用やGoogle Analyticsを基にしたデータ分析を通じて、施策の成果向上を実現。ウェビナーやメールマーケティングの運営でも豊富な実績を持つ。
2018年にmalna株式会社を創業し、デジタル分野における幅広い支援を展開。
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